●背徳の創造
深夜。
12月の夜風が吹き当たる、ビルの屋上に、いくつかの人影があった。
「プリンは!!! 飲み物!!!!!!!!」
『飲み物ォォォーーーーー!!!!!!!!』
咆哮。そして咆哮。
プリンを飲料とのたまい、周囲から熱い賛同を獲得しているのは――ビルなんとか。
例の鳥がまた、やっていた。
「プリンって柔らかいし飲めると思うんですよー。でー飲めるならそれもう飲み物じゃないですかー。だからプリンって飲み物だと思うんですよー」
『思うんですYOOOOO!!!』
間延びした鳥さんの語りに、チェケラ的な感じで盛り上がる信者たち。
彼らの視線を一身に受けた鳥さんは、自分の後ろを指差した。
「見ろ! あれをォォ!!」
「あ、あれは!?」
「何なんですか、あれは!?」
驚いた信者たちの視界に飛びこんできたものは、樽型をした巨大物体。
ビルの貯水タンクじみたサイズ。その一箇所に黄金のレバーのようなものが付き、吐出口らしきものが見受けられるそれは――。
「私が造ったプリンサーバーだ」
『ぷりんさーばー!!!』
一気にざわつく屋上。
鳥さんは彼らの目の前でジョッキを持ち出し、レバーを引きあげる。
すると出てくる出てくる。どぽぽぽ、とおよそ飲み物には思えぬ重い音を出しながら、ジョッキはたっぷりのプリンでいっぱいになってしまった。
それを鳥さんは、ぐいっとあおる!
「うん! 優しいたまごの風味になめらかな喉越し……最高だぁ!」
「うおお! 俺も俺も!」
「わ、私もやらせてー! 飲み放題やらせてー!」
わーっとプリンサーバーに殺到する信者たち。
プリンをごくごくしてる鳥さんを押し出すと、我先にとプリンを注ぎだしてゆく。
いやあ、太りそうですねえ!
●一種のロマンではある
「ぷりん! ぷりんよ! 行きましょう!!」
「ええ、わかっていますよ梢子。だからひとまずヘリオンから降りて下さい」
「えっ? 降りなきゃだめ?」
「ええ、いちおう。プリンならひとつあげますからひとまず」
ヘリオンの中で何やら騒いでいた朱桜院・梢子(葉桜・e56552)が、イマジネイター・リコレクション(レプリカントのヘリオライダー・en0255)がちらつかせたプリンに釣られて外に出てくる。
それを葉介(ビハインド兼夫)が何だか申し訳なさそうに見ている。
ヘリポートに来てみたらまずコレだったので、猟犬たちはさっそく肩の力を抜いたよね。
そんなもんだからイマジネイターの説明もさらっとアッサリ味だった。
ビルシャナが『プリンは飲み物』とか言って布教を図っているらしいので、現地に向かって止めてきてほしい。
そう言うと、イマジネイターは大ジョッキを取り出した。
「ビルシャナたちが集まっているビルの屋上には、プリンサーバーなるものが置かれているそうです。レバー操作するだけでプリンが流れ出てくる……そんな小学生が夢見るような代物でビルシャナは信者の心を完全に掌握しています」
「それはいけないわ! すぐに向かいましょう! 回収しないと!」
「だいたい現場の信者もあんな感じだと思って下さい」
プリンサーバーという単語を聞くなり再びヘリオンに乗りこもうとした梢子を示して、淡々と仰るイマジネイター。後ろのほうで葉介が頑張って梢子を引き留めているのが見えて、猟犬たちは彼の苦労を慮った。
「信者の数は10名ですが、まだ完全に配下となったわけではありません。プリンは飲み物ではないということを強く印象付けてあげれば目を覚ましてくれるはずです。例えばプリンはパンに塗るものだとかそういう感じで……」
なるほどわかった。
つまりプリンの美味しい味わい方を説明すればいいということですね。飲む以外で。
「人々を太り放題に陥らせかねないビルシャナの教えは、放置するわけにはいきません。日本社会の健康のため、皆さんよろしくお願いします」
「話は終わったのかしら? なら早く行きましょう! 夢の機械が私たちを待ってるわ!」
ぺこっと頭を下げたイマジネイターの後ろで、もうヘリオンに搭乗している梢子がぶんぶんと手を振っている。(葉介は降ろすどころか乗せられた)
かくして、猟犬たちはプリンサーバーとかいう悪魔的機械を見に行くことになった。
参加者 | |
---|---|
シルフィリアス・セレナーデ(紫の王・e00583) |
日柳・蒼眞(うにうにマスター・e00793) |
月原・煌介(白砂月閃・e09504) |
エディス・ポランスキー(銀鎖・e19178) |
オリヴン・ベリル(双葉のカンラン石・e27322) |
アリャリァリャ・ロートクロム(悪食・e35846) |
アリッサム・ウォーレス(花獄の巫竜・e36664) |
朱桜院・梢子(葉桜・e56552) |
●潔いほど賊
「うぅっ……!」
「くっ、あぁ……!」
ビルの屋上に集った信者たちが涙を流している。
なぜか。
「ぷはーっ! 何杯でも飲めそうね!」
「悪くない、わるくないです……」
「プリンが飲み放題……なんて素晴らしいんでしょう」
朱桜院・梢子(葉桜・e56552)とオリヴン・ベリル(双葉のカンラン石・e27322)、アリッサム・ウォーレス(花獄の巫竜・e36664)にプリンサーバーを占領されていたからである。
到着してからわずか10秒のスピード制圧でした。
「これ持って帰りたいわね……」
「うん、うん……」
「もう1杯いただいても構いませんよね……?」
プリンの口髭作ってる梢子とオリヴンの間から、マイジョッキを突き出すアリッサム。この人が数秒前まで『このマシーンはまだ人類には早すぎます!』と言っていたと誰が信じるだろうか。
「無法や……無法すぎる……」
「私が作ったんだけど……」
信者たちがすすり泣く。開発者たる鳥ですらまごまごしているだけである。
遠巻きに眺めていた日柳・蒼眞(うにうにマスター・e00793)が、天を仰ぐ。
「……雉も鳴かずば撃たれまいに……」
下手に見せびらかせば賊が寄ってくるのは道理。
秘して楽しんでいれば、と蒼眞は憐れむしかなかった。
他方、シルフィリアス・セレナーデ(紫の王・e00583)とエディス・ポランスキー(銀鎖・e19178)は興味深くプリンサーバーを観賞する。
「しかし立派な機械っすね」
「よくこんなもの作ろうと思ったわね」
「でもおかげでプリン食べ放題っす」
「それは感謝しなくちゃね! できれば屋内に設置してほしかったけど……」
ジョッキを掲げつつも、ふと吹いてきた寒風に震えるエディス。
冬の屋上は寒かった。当たり前だが。
しかし震えて座してなどいられない。アリャリァリャ・ロートクロム(悪食・e35846)はバケツを両手に抱いてGO。
「プリン……」
「やめられないわね! もう1杯!」
梢子に阻まれるアリャリァリャ。
「プリンサーバー……」
「僕ももう1杯……あと地デジの分も……」
オリヴンに阻まれるアリャリァリャ。
「プリンプリン放題……」
「これが最後です。最後の1杯を……」
アリッサムに阻まれるアリャリァリャ。
少女は茫然と立ち尽くした。
で。
「欠 陥 品 じ ゃ ネ ー カ ! ! ! !」
アリャリァリャが天に吼える。
口がひとつしかない。それはつまり戦争ということである。
「いや、落ち着ケ、ウチ。出るとこがないナラ増やせばいい。スパイラルアームで人数分の穴開ければ平和ダナ」
「本当に平和!?」
「大丈夫!? 液漏れとか!?」
「ウチを信じろ!!」
不安そうな信者の視線が集まる中、プリンサーバーに飛びついて改造を始めるアリャリァリャ。削れた屑がぱらぱらと舞い上がる。
その一方で、月原・煌介(白砂月閃・e09504)は大荷物をドサッと地面に下ろしていた。
広いレジャーシートを丁寧に敷き、その上に持参したブツを並べる。
果実、生クリーム、泡だて器、等々。
「記憶にはないんだけど……昔……小さい頃、プリンで凄く……幸せになったような気がして……食べる度、心温まると、いうか……」
独り言を呟きながら『プリン楽しむグッズ』を置き終え、煌介が月を見上げる。
「つまり……プリンは、良いもの」
ふふっ、と微笑む煌介。
この顔は間違いありません。プリンガチ勢ですよ。
●想像力は危ない
喉を過ぎる感覚は、お世辞にもサラサラとは言えない。
だが美味いのもまた事実。ジョッキに入ったまろやか濃厚プリンを飲み干したエディスは、恍惚と口元を拭った。
「やっぱりプリンは美味しいわねぇ」
「そうだろう!」
「飲むプリンは最強だよな!」
隣り合った信者たちが、エディスに絡んでくる。
彼らの手にもプリンのジョッキ。改造が成されたおかげでプリンにありつけたようです。
「体は甘いものを求めるんだよなぁ……」
プリンをがぶ飲みして口々に絶賛する信者たち。
黄色いそれが怪しいお薬に見えなくもない。
だがそんな狂騒の中、アリッサムはマイジョッキを静かに置く。
「プリンは! 食べ物! です!」
「急に怒られた!?」
「今の今まで飲んでいた人に!?」
アリッサムの語勢にビビり散らす信者たち。
ついさっきまで笑顔で飲んでた人が叱ってきたのです。無理もありません。
「勢いに任せて飲んではいけません。あの濃厚なたまごとほろ苦いカラメルのハーモニーは飲まずにしっかりと味わうべきだと思います」
「うん……俺もそう思うな……」
話に横から入ってきたのは煌介だ。
ジョッキに注ぎすぎたプリンが溢れないよう慎重に歩いてきた煌介だ。
「台詞の割にそのジョッキは……」
「こぼれそうだから……少し飲んでおこう……」
「飲んどるやないか」
表面張力でもっていたプリンを応急的に啜る煌介。
だがほわほわ顔を緩めたのは30秒程度だ。30秒後には彼はスッと背を正した。
「飲むプリン……確かに、幸せ。だけど……焼いたり、型に入ったプリンをひと匙ずつ掬って……ゆるり目と口で味わう。それも……いいものだよ」
「ふむぅ……確かにそれも良き」
「でも一気に呷る背徳感も良くね?」
「そう言われると……」
「煌介さん。あちらに引かれないで下さいね?」
ふらふらと行きかけた煌介を、がしっと引き留めるアリッサム。ファインプレーである。
「どうしてもプリンを飲みたいなら止めはしない」
話が止まったところへ、蒼眞が顔を出す。
「しかし飲むというなら、それはもうプリンじゃなくカスタードクリームなんじゃないか……?」
「なん……だと……」
ジョッキへ視線を落とす信者たち。
そう言われると、そんな気もしてきた。
「食感も何もあったもんじゃないし、こう……カラメルソースの絡み具合を変えて味の違いを楽しんだりするのもできないじゃないか……」
「それは確かに……!」
「カラメルたっぷり絡めて美味しいとかもできない……!」
一部の信者ががくり崩れ、項垂れる。
そこで、蒼眞はいよいよもって禁句を口にする。
「それに第一、グチャグチャになったプリンって……二日酔いの口からリバースするもんじゃ的なアレに見えないか……?」
「や、やめろォォーー!!?」
信者たちが一気に青ざめ、口をつけようとしていたジョッキを離す。
「変なものを想像させるんじゃないよ!」
「結構どろどろしてるっすから、たくさん食べた後のリバースっすね」
「だからやめろァァーー!!」
余計なことを言ってきたシルフィリアスに魂の抗議をぶつける信者たち。ちなみにシルフィリアスさんは鋼メンタルなので、普通にジョッキプリンを飲んでいます。
信者の1人が、ふらっと体を傾がせる。
「何か気持ち悪くなってきた……」
「きっと皆さんの体が言っているんです。プリンは飲み物ではないと」
信者の背中をさすってあげながら、アリッサムが優しく語る。
「プリンアラモードや香ばしい焼きプリン等々……プリンには無限の可能性があるのです。それを飲むだけと言って、柔らかなプリンを固い枠組みに嵌めてしまうのは間違ってます!」
「プリンアラモード……焼きプリン……」
「いかん、涎が……」
アリッサムが発した単語に、思わず口元を拭う信者たち。
と、そのときだ。
「飲むのも悪くない。でも僕が一番好きなのは、ちょこっと固めのプリンなの」
不意に現れたのは、謎のカップを手にしたオリヴンだった。
●これが宴プリン
「例えば、こんなの!」
「ん? これは……」
オリヴンが差し出したカップを、しげしげ見やる信者。
そこにあったのは半凍結したプリンだった。
「プリンシャーベットです!! 最初はシャリシャリ、口の中でどんどんトロリと……っていう、食感の変化が楽しめる、です」
どーん、と自信作を見せるオリヴン。
だが用意はこれだけではなかった。
「地デジ、もってきて」
とことこ歩いてきた地デジが持っているのは耐熱皿。オリヴンは底に林檎のスライスを並べるとサーバーからプリンを流しこみ、バーナーで表面を焼き焦がした。
「そ、それは……!」
「そう! くれーむぶりゅれ風、です! どっちもたくさん用意したけど……みんなもたべる?」
「た、食べるー!」
「もちろんアタシも食べるわ!」
地デジの耐熱皿に、殺到する信者&エディス。
「うーん、この食感はいいな……」
「ようやくわかったのね! ぷりんの可能性は食べてこそ花開くのよ!」
くれーむぶりゅれ風に舌鼓を打っていた信者たちへ、言い放つのは梢子だ。
彼女はぱちんと指を弾いた。(しかし音は鳴らない)
「煌介さん! 例のものを!」
「うん……ちょうどできたところ、だよ」
梢子の召喚に応じて給仕用のワゴンを持ってやってくる煌介。
ワゴンには大きな皿。
カットされた果物やホイップクリームでデコられたプリンが座していた。
「ぷりんあらもーどよ! この美しさ……芸術品のような一皿にすぷーんを入れる時のときめき……どろどろに崩れたぷりんでは決して味わえないわ!」
「はい、お茶どうぞ……」
「何から何までありがとう! 煌介さん!」
煌介から緑茶を受け取った梢子が尊敬の眼差しを煌介に浴びせる。プリンアラモード作ってくるたしお茶淹れてくれるし、ガチで何から何まで感謝だった。
で、満を持してアラモードを一口食べる梢子。
「ん~! 見た目だけじゃなくて味も絶品! なめらかなぷりんと果物の甘酸っぱさを生くりぃむがうまくまとめてくれるから、一緒に食べると相乗効果が生まれるのよね!」
「飲むプリンだと、こうして果物と合わせるとかできないわよね……」
「ぐぬぬ……!」
熱弁する梢子の横からスッとスプーンを出し、ぱくっと味わうエディス。2人の言葉に信者たちが懊悩を始める。
「プリンはアラモードだけじゃネーぞ! ケーキもいけル!」
次に乱入してきたのはアリャリァリャ。
持っているのは、大皿に乗った巨大なケーキだ。
ホイップクリーム、チョコホイップやらがふんだんに盛られ、果物やらクッキーやらが気ままに乗せられている。そして頂上にある鶏の頭が申し訳程度のクリスマス要素を醸し出す。
信者は眉を寄せた。
「これのどこにプリンが……」
「土台のバウムクーヘンの穴の中にたっぷり入ってるゾ! 豆腐も沈めたから食感もバツグン! しかもマロンプリンも乗っかってるから二度美味シイ!」
「二度美味しいプリン……!」
「一口いただきますね……」
胸を張るアリャリァリャの横から、ケーキにスプーンを突っこむ梢子&アリッサム。
「甘いくりぃむとぷりんが同時に味わえて、これは贅沢ね!」
「お豆腐も良いアクセントです」
姦しくはしゃいでは、食べ食べする梢子とアリッサム。
エディスは立ち尽くす信者らの顔を見やる。
「焼きプリンとか、プリンアラモードとかケーキとか。蛇口から出るプリンじゃ堪能できないわね」
「ああ、確かに」
「そもそも飲み物とか食べ物とかの括りをするのがプリンに対する冒涜なのかもしれないわね。だってこんなに美味しいプリンの可能性を真っ向から否定する事になるんだから」
「返す言葉もないぜ……」
諭すようなエディスの声に、次々と頷く信者たち。
するとそこへ、シルフィリアスがとてとてと近づいてきた。
「そこであちしが勧めるのがポテチっす」
「ポテチ!?」
「この流れで!?」
がさっと市販のポテチ袋を取り出したポテチ狂いに、嵐のごとくツッコむ信者たち。料理が一気にとんでもグルメ漫画の方向に飛んでいった。
だが、シルフィリアスはやはりメンタルが鋼なので気にしない。
気にせずポテチ2枚でプリンを挟み、口に放ってパリパリした。
「プリンばかり食べてたら飽きるっすよ。でもポテチと一緒に食べれば一味違った味わいが楽しめるっす。ポテチの塩っ気とプリンの甘みがいい感じにかみ合うっすよ」
「ほ、本当に……?」
「食べてみればいいっす」
「じゃあ1枚……あ、意外といける」
「マジかよ。なら俺も」
「じゃあ俺はあっちのを食べてこようかな!」
シルフィリアスのポテチプリンを食べたのをきっかけに、どんどん信者たちが猟犬らのプリン料理へと流れ込む。
プリン飲む教が解散してゆく光景。
それを蒼眞は黙って見つめていた。
隅っこでプリン飲んでた鳥を踏んづけながら見つめていた。
「どうして踏んでいるゥ!」
「おまえが卵を使ったプリンを食べるのって共喰いのような気がするよな……」
「いや私は鶏じゃないし! 好きなものを飲んで何が悪い!」
「……そうか」
少し遠い目をした蒼眞が、頭上に巨大な物体を召喚する。
それはぷるぷるしていて、ぽよぽよしていて――どう見てもプリンだった。
「あ、あれはプリン!」
「そう、プリン(のような何か)だ。好きなものに埋もれて逝ければ本望だろう?」
踏んづけていた鳥の上から退き、巨大プリンもとい巨大うにうにを落下させる蒼眞。
重しが消えたから鳥は逃げることもできたはずだ。だが彼にその選択肢はなかった。
嘴を開け、アホみたいな顔で待つしかなかった。
「カモーーン!!」
ずどぉぉぉん。
クリティカルヒットだったのは、言うまでもない。
●良い土産だぜ
ぷるぷると揺れる巨大うにうに。
逝った鳥の上で墓標してるそれの横で、煌介は紅茶を啜りながら黙々とプリンケーキを食べていた。かれこれ40分は食ってる。
「プリン……やっぱり、美味しい……」
「ふふ、甘くて幸せでとろとろで、なんだか身体中がプリンになってしまいそうです」
ぱくぱくと黄色い甘味を食べ続け、顔を蕩けさせるアリッサム。その横にはプリンが詰め込まれたタンブラー(無限機能消失の前にGETした)が置かれている。
シルフィリアスとアリャリァリャはプリンシャーベットをもぐもぐしながら、巨大うにうにを見上げる。
「生け捕りにしとけばプリン食べ放題だったかもしれないっすね」
「サーバーに接続したまま永久機関……」
「それはちょっと、試したかったかも……」
プリンアラモードを地デジと分けていたオリヴンが、悶々と夢の状況を想像する。家に帰れば自由にプリン……と考えると割と強めの後悔です。
しかし逝ったものは仕方がない。
エディスは(仲間たちのプリン料理を食べて汚れた口元を淑やかに拭いつつ)大人しく帰路につく。
「少し冷えちゃったわね。温かいものでも買って帰ろうかしら」
「確かにもう冬だものねぇ……」
こくんと頷く梢子。
「……」
「どうしたの? エディスさん?」
梢子の頭上を、何か言いたげに見上げるエディス。きょとんとする梢子。
その顔は本当にどうして見られているのかわからない顔だった。
とても、鳥さんの遺品たるプリンサーバー背負っている女の顔ではなかった。
後ろで葉介が『置く場所ないよ?』と言わんばかりにあたふたしてたけど、結局サーバーは無事に自宅まで運ばれてしまったそうです。
作者:星垣えん |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2019年12月14日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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