大阪市街戦~市街地で暴れるコーラの自販機

作者:なちゅい


 大阪府大阪市。
 大阪城が攻性植物に侵略されて久しい。
 やがて、市街地にエインヘリアルが現れるようになり、さらに様々な勢力も姿を見せだしたのは、大阪城に多種族の勢力が集まってきていることに起因している。
 ただ、種族間の関係は決して良好とは言えないようで、互いに睨みを利かせた状態が続いているようだ。

 そんな中で、市街地に現れたのは、とあるダモクレス。
 全長3mほどあるコーラの自動販売機を思わせる姿をした「密偵型ジン」だ。
 市街地に現れたダモクレスは素早く襲撃、そして姿を隠すという行為を繰り返し、破壊活動を行っている。
 大阪の民も、デウスエクスの襲撃にはかなり慣れてきており、おおっぴら襲撃してくるデウスエクスであれば、すぐさま避難と動くことができるのだが……。
 なにせ、相手は密偵を得意とするダモクレス。
 暴れていたかと思えばいなくなり、いつの間にか別所へと移動して襲撃を再開しているのだという。
 足としてついている2つの車輪を活かし、素早い移動ができるからこそ、そうした行動が可能なのだろう。
「悪いが、僕は破壊を続ける必要があるんだ」
 襲撃し、人々を手にかけるこのダモクレスはこう叫んでいるという。
「ハニー、僕がこの手で愛してあげるよ……!」
 その筐体の画面にある顔は怪しい笑みを浮かべ、とあるケルベロスの来訪を待ち侘びているようだった。


 大阪城のデウスエクスは、たびたび大阪市街地へと現れ、襲撃を繰り返している。
 様々な種族が襲撃しているようで、どうやらその中にはケルベロスと浅からぬ因縁のあるデウスエクスもいるらしい。
「今回現れるのは、密偵型ジンという名のダモクレスだね」
 ヘリポートでは、リーゼリット・クローナ(ほんわかヘリオライダー・en0039)が今回の事件の概要について説明を始めている。
「…………」
 どうやら、小柳・玲央(剣扇・e26293)と因縁がある相手のようで、話を聞いて駆け付けた彼女は何やら思うことがあるようだ。
 軍勢では無く、単体のデウスエクスによる襲撃事件。
 だが、被害が出れば、大阪市街の住民達に不安が広がってしまうのは避けられない。
「そうなれば、大阪城周辺地域の住民の多くが避難し、無人となった地域がデウスエクスに制圧されていく事になってしまうよ」
 それを阻止する為にも、被害を出さずに今回の1件を防ぎきる必要がある。

 この密偵型ジンはキャスターとして立ち回り、コーラの自動販売機である自らの体を活かした攻撃を行う。
 その大きな体にもかかわらず、素早い動きで相手を翻弄してくる。
「それでいて、相手はこちらの動きを止めてくるから厄介だね」
 ともあれ、出くわしたら逃げないように足止めしたいところ。
 密偵型ジンが探しているのが玲央であるなら、相手は逃げずに戦闘を続ける可能性もあるが……。
 できる限り、このダモクレスに一般人を近づけぬよう配慮したい。
 現状、敵が出現した地域から一般人の避難が進んでおり、ほとんどの人が退避できているはずだが、残されている人が皆無というわけではない。
 取り急ぎ、このダモクレスを討伐してしまいたいところだ。

 一通り説明を終えて。
 リーゼリットは少し間を置いてからこう語る。
「大阪の街を救ったら、熱々のたこ焼きでも食べながら語り合うのはどうかな?」
 玲央が参加していれば、今回のダモクレスとの関係を聞くとよいだろう。
 あるいは現状、ドリームイーターのゲート破壊などという話も上がっている。
「そうだな、私達を取り巻く現状について色々確認するのもいいかもしれないな」
 雛形・リュエン(流しのオラトリオ・en0041)は参加メンバー同士で情報交換し、自分達の置かれている状況を確認するのもいいかもしれないと語った。
「ともあれ、その前に大阪の市街地を救ってあげてほしい」
 まずは、今回現れるダモクレスの討伐を。
 リーゼリットは最後にそう願い、参加メンバー達を自らのヘリオンへと招き入れるのである。


参加者
相馬・泰地(マッスル拳士・e00550)
陸奥・昌親(護国の撃鉄・e13604)
羽鳥・紺(まだ見ぬ世界にあこがれて・e19339)
キリクライシャ・セサンゴート(林檎割人形・e20513)
小柳・玲央(剣扇・e26293)
小柳・瑠奈(暴龍・e31095)

■リプレイ


 大阪府大阪市。
 この地にデウスエクスが出現するのが珍しくなくなってきている中、ケルベロス達もその出撃に慣れてきている者も多くなってきていた。
 熱血漢で猪突猛進な格闘家、相馬・泰地(マッスル拳士・e00550)もデウスエクス討伐にと馳せ参じている。
 目的はダモクレス「密偵型ジン」の討伐。
 両腕を地獄化させたレプリカント女性、小柳・玲央(剣扇・e26293)と因縁がある相手のようで、本人も複雑な想いを抱いてこの依頼に参加している。
 そんな玲央の様子に、真珠の銀髪に赤いアネモネを咲かせたキリクライシャ・セサンゴート(林檎割人形・e20513)は。
(「……久方ぶりの仕事だけれど、やれることがあると思えたから」)
 キリクライシャにとって玲央は茶飲み友達であり、林檎のお菓子をお土産にもらったお礼もある。
 表面上、無表情な彼女だが、かなり義理堅いようで、玲央を助けようと同行を決めていた。
 集まったメンバーの多くは玲央のことを気遣って、この討伐依頼に参加している。
「玲央さんの宿敵の出現とあらば、親友として駆けつけないわけには参りません」
 読書好きなシャドウエルフの女性、羽鳥・紺(まだ見ぬ世界にあこがれて・e19339)は淡々とした口調で語るが、その言葉には強い想いが込められている。
 玲央が因縁にけりをつけられるように精一杯頑張ろうと、紺は意気込む。
「今回の戦いで、納得のいく結末を迎えられることを願うばかりです」
「この戦いは姉様の戦い。決着は姉様の御心のままに」
 紺に同意するのは、玲央と似た風貌を持つスタイリッシュな少女、小柳・瑠奈(暴龍・e31095)だ。
 全ては大好きな姉様の為にと、この場にいる瑠奈。ただ……。
「願わくは……、姉様が笑んでいられる結果に辿り着きますように」
 そうでないと、自分が家族に怒られると瑠奈は語る。
「姉様は誰がなんと言おうが、私たちの家族なんだから」
「市民が安心して暮らせる街を取り戻すのは、公務員の務め。そして……」
 皇宮警察護衛官であり、その制服で参戦していた陸奥・昌親(護国の撃鉄・e13604)が玲央に視線を傾け、言葉を続ける。
「妹の安心を奪う輩を討つのに手を貸すのも、兄の役目だろう?」
 兄弟に親友、友人。この場にはいないが、両親に大好きな恋人。
 その存在を玲央は強く感じて。
(「今の私は大事な縁を得たし、愛だって知った」)
 ――私は地球の自然が好きだ。
 ――今の自分のあるがままが好きだ。
 破壊を支援するダモクレスになんて戻らない。
 だからこそ、過去の相棒であろうと、破壊するのであれば……。
 両腕の青い地獄の炎は彼女の想いに応じて、強く、激しく燃え上がるのである。


 大阪市街地はすでに、ダモクレスの出現に合わせて避難が行われている。
 玲央は周囲の地図をアイズフォンで検索、確認しながら、残った人を感知したらしく。
「避難誘導、お願いできる?」
「了解した」
 同行している雛形・リュエン(流しのオラトリオ・en0041)に依頼すると、翼で羽ばたく彼は一般人に避難を促す。
 避難が完全に済むまではと、キリクライシャは一般人をすぐにでも庇うことができるよう警戒を怠らない。
 合わせて、玲央は自らを囮とし、空き地に敵を引きつけようとする。
 それも、少しでも市街地への被害が防ぐことができればという彼女の気遣いからだ。
 紺はその空き地を中心とし、一般人を遠ざける殺気を放つ。
 だが、展開した殺界へ、かなりのスピードで近づいてくる影が。
「ケルベロス……かな?」
 それはコーラの自動販売機の姿をしたダモクレス。
 コーラの選択する押しボタンの上に男性の顔が見えており、やや冷めた表情でこちらを見つめてくる。
「僕の邪魔をするなら、全力で壊すよ……!」
 この男こそ、討伐対象である「密偵型ジン」だ。
「変わってないんだな、ジン」
 その姿を目にした玲央が呼びかけるが、ジンの反応は鈍い。
「誰だい、君は?」
「私? 元支援型機のレプリカント……そう言えばわかる?」
 そんな玲央に以前の面影がまるでないことに、ジンが笑って。
「冗談はきついよ。僕がハニーを見間違えるはずはない」
 玲央がケルベロスになったという情報はあったようだが、それほどに容姿が変わってしまったことを、ジンは知らなかったようだ。
 今の玲央の姿は定命化の際、養父母を参考にしたとのこと。だから、瑠奈と容姿が見ているのだろう。
「お前の認識がどうであれ、姉様は……姉様は私たちの姉様、小柳玲央なんだよ」
 瑠奈は敬愛する姉の為、毅然としてジンへと言い放つ。
 ――姉様の妹として姉様の心を乱すヤツは許さない、と。
「端的に言えば……そう、端的に言えば、ブッ壊してやるよ、ポンコツ」
 そんな瑠奈の態度に、ジンは明らかに不機嫌な表情をして。
「邪魔するなら、破壊すると言ったよ?」
 視線を鋭くするジンを、昌親は睨み返して。
「お前はお前の役割を果たしに来たのだろう。此方も此方の役目を果たす」
「ああ、ここで破壊活動を行うことが僕の任務だ」
 昌親が言うことを、思ったよりもすぐ聞き分けるジン。
「ジン、最期の土産に翻弄してあげるよ」
 そんな元相棒へと、玲央は身構えながら戦いと言葉で過去と今の自分の違いを見せつけるべく、間合いをとって攻撃を仕掛ける隙を窺い始めるのだった。


 攻撃態勢をとるダモクレスへ、泰地が素早く相手へと接敵して仕掛ける。
 回復役として立ち回る泰地だが、先手を打ったことで拳に空の霊力を纏わせて相手の機体、胴に当たる部分を強かに殴りつけていく。
 敵の後方から、紺も素早くダモクレスを狙う。
「目を背けても意味はありません。いつだって、あなたの中に潜んでいるのですから」
 紺は、相手の心が生み出す恐怖を実体として当人へと付きまとわせる。
 電撃を纏う怪人にも見えるそれがジンの行く手を阻む中、ケルベロス達は攻撃を続ける。
 玲央も仕掛けるならここだと感じたらしく、両腕の青い地獄の炎から爆竹を作り、鮮やかに火花をジンの足元で散らす。
 攻撃を受けたジンの表情はかなり険しい。
「……ハニー、もう愛する君はいないんだね」
 もう、倒すしかないと彼は悲劇ぶるが、それに玲央が鳥肌を立ててしまって。
「今の私はお前の相棒機じゃない、小柳家の玲央なんだ。……何よりハニーって呼ぶな!」
「本当に残念だよ」
 足となる車輪を動かし、戦場を疾走し始める「密偵型ジン」。
 その名の通り、密偵を得意としていた機体。見た目はかなり大きいが、それに余りある機動性が売りだ。
 絶好のポジションを見つけたジンは、大量のコーラを前線メンバーへと噴きつけてきた。
「……リオン、いくよ」
 それらから仲間を護るべく、キリクライシャと彼女のテレビウム、バーミリオンが前に飛び出す。
「……戦線を維持するのが、私のできる最優先」
 一度、敵の攻撃を受け止めたキリクライシャは、仲間の強化へと移る。
「……返して合わせて、力を増やして」
 バーミリオンが傍で応援動画を流してくれている間に、キリクライシャは広げた両手の上に月光にも似た光の珠を生み出す。
 反射の力を持ち、仲間の姿と力を映し出すその珠は仲間達の身体へと溶け、精神集中を促してくれる。
 仲間からの援護を受けた瑠奈はチームの火力として、攻めに重点に置いた忍者スタイルで立ち回っていく。
 ポンコツと呼ぶ敵の周囲へと張り付くようにして動き回る瑠奈は両腕の零式鉄爪を使い、敵の体を切り裂いていった。
 身体に傷を増やすジンへ昌親も迫り、惨殺ナイフの刀身を煌めかせて敵のトラウマを映し出す。
「く、またお前か……」
 虚空を見るジンは、先程の雷を纏った怪人が見えているのだろうか。
 さらに、昌親は自らの存在感をアピールし、後方にいる玲央への射線を塞ぐように位置取りを行う。
「……身命を賭して、護衛対象はやらせん。本職の、本領だ」
「3度は言わない。遠慮なく壊させてもらうよ!」
 ジンは自らの身体を直接、昌親目がけて叩きつけてくるのである。


 ダモクレス「密偵型ジン」の攻撃は思った以上に激しい。
 本来、隠密型として行動するのが最も力を発揮するのだろうが、改造されて破壊活動を行う彼は、高機動を活かしてグラビティを使ってくる。
 いつの間にか背後に回り込み、飛ばしてくる大量の缶。
 突然、発してくる照明フラッシュはこちらの強化を強制的に剥がしてくる。
「まだまだ、行かせてもらうよ……!」
 見た目こそスタイリッシュとは言い難いが、多少の攻撃ではびくともしないタフなボディも合わさり、ケルベロス達も思った以上に苦戦を強いられていた。

 ジンからの攻撃は広範囲に及ぶものも多く、チームの回復役となる泰地が攻撃直後にすぐ回復へと当たる。
「今解き放つぜ、癒しのオーラを。はああああああっ!」
 身体の中心から優しく暖かい光のオーラを生み出し、泰地は自らのポーズと共に仲間達の傷を癒していく。
 それに、避難を終えて戦線に加わったリュエンがサポートに当たる。
 前線メンバーの前に雷の壁を張り巡らせた彼は、立ち止まらず戦い続ける者達の歌を歌い、ジンに立ち向かうメンバーを全力で支援する。
 攻防の繰り返す中、主としてジンを抑えていた昌親が徐々に相手のグラビティに慣れてきていたようで、地獄と化した左腕から炎弾を発して相手の体力を奪い取る。
 粘り強い昌親の戦いに、ジンもないはずの舌を巻いてしまう。
 昌親へと注意を引くことも多いジンに、他メンバーもコンスタントに攻撃を加え、その動きを少しずつ鈍らせていく。
 壁として並び立つキリクライシャは紙兵を撒き、ジンの攻撃に備える。傍のバーミリオンも身構え、抑えに回復にと頑張ってくれていた。
 缶や体当たりなどの攻撃の威力は侮れないが、キリクライシャは防御よりは攻めに重点を置いて月光の珠を使う。
(「……何よりも、攻撃が当たらなければ意味がないもの」)
 そんな中、相手の足止めに注力する玲央は敵の車輪に集中して狙いを定め、轟竜砲を撃ち込んでいく。
 瑠奈もそれに重ね、両手の鉄爪に空の霊力を纏わせて車輪を狙う。
「食らえ、ポンコツ」
 側面へと回り込んできた瑠奈は相手の足元から切り上げるように、両手の鉄爪で切りかかっていった。
「車輪が……!」
 足元の車輪が破損したことでジンの動きは目に見えて鈍り出し、ケルベロス達がその動きを捉えやすくなってきていて。
(「……そろそろいいでしょうか」)
 足止めに見切りをつけ、紺はブラックスライムを嗾け始める。
 仲間達の攻撃の合間に紺は敵の頭上へとルーンアックスを叩き込み、さらにその斧を影の如く振り抜いてジンに強いプレッシャーを与えていく。
 長引く戦闘もあり、ジンの機体はズタズタになっている。
 装甲に穴は開いて内部が露出しており、画面の表情も険しい。
 元相棒同士である両者が決別していたのを見ていた昌親。
 玲央が渾身の一撃を仕掛けようとしていたのを見て、彼は正面から壁となる。
「邪魔だよ……!」
 画面の照明の光度を全開にし、昌親を怯ませたジンは再度、玲央を見て呼びかける。
「さあ、ハニー。全力で愛してあげるよ」
 その愛とはどういった形なのか。それを考えるだけで、玲央はまたも鳥肌を立ててしまう。
 そこで、目晦ましを受けた昌親は視界が朧気でも敵を捉えて壁となり続け、そのまま戦闘態勢を整える。
 だが、どうやらその次の攻撃は必要ないと昌親は判断する。
「決めろ、玲央ッ!」
 その時、地面を蹴った玲央がエアシューズを燃え上がらせて。
「お前の愛が欲しいなんて、昔から言った覚えもない。要らないんだ!」
 玲央はそのままソバットを相手の上体へと叩きつけた。
 丁度、画面へと蹴りが命中し、めり込んだエアシューズの炎が大きく燃え上がる。
「あっ、ああああっ……!!」
 画面が破壊されたジンは大きくぐらついて後方に倒れ、爆破四散してしまった。
「…………」
 ようやく、決着したと息をつく玲央の元へ、瑠奈が駆け寄ってきて。
「姉様……」
 勝利を実感した彼女は優しく姉を抱きしめると、玲央もそんな妹に感謝して抱きしめ返す。
 納得がいったと思われる結末を迎えた玲央の姿に、メンバー達も安堵の表情を浮かべていたようだった。


 ダモクレスの討伐を終えて……。
 幸いにも、空き地を戦場に指定したこともあり、街への被害はさほど大きくはならなかったが、それでも玲央はしっかりと気力を撃ち出してひび割れた地面の修復へと当たる。
 キリクライシャは戦闘時と同様に月光の珠を使い、周囲へと癒しをもたらして幻想交じりに街を元の形へと近づけていった。
 この場にて、手慣れた様子で場を仕切るのは泰地だ。
 彼は気力と癒しの波動を使い分け、周囲の修復と仲間達の手当てへと動く。
 さらに、泰地は警官隊などに連絡を入れ、デウスエクス討伐が完了した旨を伝えてくれていた。

 その後、人々が市街地へと戻ってきて、人々が日常を取り戻し始める。
「さて、たこ焼きでも食うか」
 そんな泰地の言葉を受け、たこ焼き店へと立ち寄ったケルベロス達は待っていましたと言わんばかりに、それぞれ自分の好みのトッピングで注文していく。
 苦手なマヨネーズ抜きを頼んでいた紺は、熱々のたこ焼きを一つ爪楊枝で突き刺し、ふーふーと冷ましてから口にする。
 こんがりと焼けて、それでいてふわとろな中身に、紺は大きく目を見張り、もう一つと食べ進めていく。
 傍で、逆にマヨネーズを思いっきりかけていたリュエンを彼女は見つけて。
「雛形さんもありがとうございました」
「ああ、無事に討伐が完了して何よりだ」
 避難誘導など気を張る行動に当たった彼に礼を告げる紺へ、リュエンも労いの言葉を返していた。
 そこで紺は、玲央に先程倒したダモクレスとの関係について、話を伺うことにして。
「ハニーと言っていたあたり、あちらにはまだ好意があったように思えるのですが……」
「そうだね……」
 玲央は多くを語ろうとはしなかったが、答えられる範囲で応じていたようである。
 その間も、香ばしいたこ焼きの味に皆、ほっこりして。
 瑠奈は成長期とあって、がっつりとたこ焼きを平らげていく。
 キリクライシャは玲央達を邪魔せぬよう、端で見つめながら林檎ベースのソースをかけたたこ焼きを美味しそうに口にしていた。
「ちょっと聞いてくれ」
 そこで、泰地が仲間達へと話しかけ、できるなら多くの情報が欲しいと皆に情報の掲示を求める。
 同時に、彼はケルベロスが置かれている現状を整理ついでに語ってくれた。
「大阪市街戦で最も数多く出てるのは、ダモクレス勢力か」
 とはいえ、攻性植物も大阪各地で謎の胞子等を使って、多くの事件を引き起こしている。泰地によれば、爆殖核爆砕戦の影響とのことだ。
「後、最近気になったのがドリームイーターか」
 こちらは、ゲートの破壊に向けた作戦が間近といったところ。
 破壊が叶えば、大阪城勢力にもダメージが与えられるだろうとの見通しだ。

 これからの戦いについて、ケルベロス達は熱々のたこ焼きを食べながら、活発に意見交換を進め、これからの戦いに弾みをつけるのである。

作者:なちゅい 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2019年11月30日
難度:普通
参加:6人
結果:成功!
得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 3
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