晩秋の憩い

作者:崎田航輝

 街角に仄かな雪が降り始める日。
 はらりはらりと六花が空から舞って、景色を淡い白に彩っていく。
 秋の終わりを告げるようにひんやりとした風も吹き、歩む人々が上着の前を合わせる。そんな道の一角で──微かな賑わいを見せるカフェがあった。
 煉瓦造りの小さなそこは、寒い時期に営業を始める、ホットドリンクが人気の店。
 カカオの風味が豊かなホットチョコ、焼きマシュマロもトッピングできるカフェラテ。ニューヨーク風のアップルサイダーに、ハチミツが優しいレモネード。
 他にも苺を浮かべたホットワインや……抹茶ラテや紅茶、珈琲も揃えたそこは、温かなものが欲しい心にはまさに楽園。
 常連の人々も、温かな空気に誘われてきた人も。そこに流れる穏やかな時間の中でゆったりと寛いでいた。
 ──と。
 そんなカフェを見下ろす晩秋の空から、雪に交じって降ってくるものがある。
 それはふわふわと漂う謎の胞子。店先に生える竜胆の花に取り付くと、いつしか一体化していた。
 開花時期を終え、葉も落ちていたその竜胆は──俄に蠢いて動き出す。
 そして新たな命を得て、冬にも咲き誇ってみせるとでもいうように大輪を広げて。獰猛に、激しく、道行く人々へ襲いかかっていった。

「段々と、寒さが増して来ましたね」
 イマジネイター・リコレクション(レプリカントのヘリオライダー・en0255)は高い空を見上げながら、ケルベロスへそんな言葉をかけていた。
「何でも、こんな日に人気のカフェがあるらしいですが……」
 その近辺で攻性植物が発生することが予知されたのだという。
「現場は大阪市内になります」
 爆殖核爆砕戦より続く流れが、未だ絶えていないということだろう。
 放置しておけば人命が危機に晒される。周辺の景色にも被害が出る可能性もあるので、確実な対処が必要だろうと言った。
「戦場となるのはカフェのすぐ傍となります」
 攻性植物は道に這い出て人々を襲おうとするだろう。
 ただ、今回は警察や消防が避難誘導を行ってくれる。こちらが到着して戦闘を始める頃には、丁度人々の避難も終わる状態になるはずだといった。
「皆さんは到着後、討伐に専念すれば問題ありません」
 それによって周囲の被害も抑えられるはずだといった。
 ですから、とイマジネイターは続ける。
「無事勝利できた暁には、皆さんもカフェに寄っていってはいかがでしょうか」
 ホットドリンクが人気で、色々な種類が揃っているという。
「スイーツも各種ケーキやパフェなどあるようですから。そのおともに、温かなドリンクを楽しんでみてはどうでしょうか」
 そんな憩いのためにも是非敵の撃破を、とイマジネイターは言葉を結んだ。


参加者
セレスティン・ウィンディア(墓場のヘカテ・e00184)
相馬・泰地(マッスル拳士・e00550)
緋色・結衣(運命に背きし虚無の牙・e12652)
ジェミ・ニア(星喰・e23256)
アルシエル・レラジェ(無慈悲なる氷雪の白烏・e39784)
ラグエル・アポリュオン(慈悲深き霧氷の狂刃・e79547)
キャルディム・ヴァレファール(黒猫は自由を求め天意に叛逆す・e84163)
オルティア・レオガルデ(遠方の風・e85433)

■リプレイ

●初雪
 季節の終わりの粉雪が、優しく舞って街に白色を降ろす。
 薄っすらと煌きを帯びた道は明媚、だからこそ──相馬・泰地(マッスル拳士・e00550)は、その鮮やか過ぎる蒼花をすぐに見つけていた。
「あれか。りゅうたん、だったか?」
「“リンドウ”だな。ああいった植物は……身近に溢れすぎて警戒のしようもないな」
 困ったものだ、と。
 幾度花と戦ったか、緋色・結衣(運命に背きし虚無の牙・e12652)は想起して微かな吐息を零す。
「たまには命を得ても暴れずに大人しくしている個体がいても良いようなものだが、な」
「そうね。あの花は、行きすぎね」
 と、小首を傾げるのはセレスティン・ウィンディア(墓場のヘカテ・e00184)。
 自然と人が調和するのを夢見るけれど──人の体躯すら超える大輪が、それを否定する程の歪さだったから。
 ジェミ・ニア(星喰・e23256)も碧の瞳を見開いて、半ば感心を憶えてしまう。
「竜胆の憂いを帯びたイメージから、かけ離れた力強さですね……!?」
「ええ。竜胆って足元にこう繊細な……」
 いえ、とセレスティンは首を振る。
 眼前の怪物に元の面影が既に無いのであれば。
「むしろその力強さ、見習って全力で行きましょう」
「勿論、張り切ってお仕事するわ。甘いスイーツがあたしを待ってるんだから!」
 耳と尾を揺らし、機巧仕掛けの剣を構えるのはキャルディム・ヴァレファール(黒猫は自由を求め天意に叛逆す・e84163)。
 魔力弾を閃かせて爆風で花を足止めすると、そこへ魔力を炎雷の隕石として墜とす。“エクリプスミーティア”──苛烈な赫の衝撃が一体の根元を燃やした。
「緋色!」
「よくやった、キャル」
 応える結衣は既に双剣に劫火を宿している。
 目の前の花が今、大きく咲いていようとも──。
「人々に牙を剥くから2度と咲き誇る事もできなくなる」
 その殺意の代償を識れ、と。月狐を模る焔が烈しく、花弁を灼き裂いていた。
 揺らぐ竜胆は、尚凶暴に地を踏み鳴らす、が。
「景観が損なわれる前に……倒して、しまおう」
 軽やかな蹄の音が、風と共に吹き抜ける。
 花にも捉えられぬ程、素疾く奔るオルティア・レオガルデ(遠方の風・e85433)。
 蔓すら届かぬ間合いから跳ぶと翻って一撃。撓らせて突き降ろした脚で萼の一端を粉砕してみせた。
 ジェミが星灯りを帯びた刺突を打ち込むと、ふらついたその一体が冷風を返す、が。
 それよりも冷たく澄んだ氷が煌めいた。
 ラグエル・アポリュオン(慈悲深き霧氷の狂刃・e79547)が手繰る、梨の樹にも似た氷枝。透明の花を開かせて甘露を滴らせると、ラグエルは金の瞳を横へ向けて。
「さあアルシエル、皆を護り、癒そう」
「──勿論、そのつもりだよ」
 と、一瞬だけ視線を返すのはアルシエル・レラジェ(無慈悲なる氷雪の白烏・e39784)。
 声音はそっけなくも、翳す剣に降ろすのは、冬の匂いを帯びた綺羅びやかな星の加護。
 氷晶が踊るように星々のアステリズムを描けば、ラグエルと共に齎す光の協奏が皆を包んで癒やしていった。
「これで、一先ず安心だね」
「よし、反撃は任せろ!」
 ラグエルに応えて、泰地は身一つで敵前へ飛び込んでいる。
「まずは止まっててもらうぜ!」
 着地と共に地を踏みしめると、生まれるのは呼気で練った“気”。『巨人の足』──文字通りの一撃が襲ったかのように強烈な衝撃波が三体を怯ませた。
 その隙があればセレスティンが『死の調べ』を奏でるには十分。
 かつんと踏み込む所作は力強くしなやかに。それでいて見目の麗しさとは裏腹に──零距離へ突きつけた槌砲から放つのは、騒々しい程の轟音。
 闇の魔力を凝縮させた一撃が、一体を宙へ煽ると──。
「後は、お願いね」
「……ん」
 頷くオルティアが跳び、氷気を纏う打撃でその花を墜とせば、同時に狙いを定めるのがジェミ。
「申し訳ないけどここで散ってもらうね」
 影から掬う漆黒の矢が、自在の軌道を描いて翔ける。『Devour』──生命を捕食する一矢は、違わず花を射抜いて散らせた。

●雪下
 晩秋の情緒を掻き消すよう、二体の巨花は未だ殺意に蠢いていた。そこに元の花の静かな趣はなくて、ラグエルは息をつく。
「本当に、綺麗な花が勿体ないね……」
「ったく。何時になったら根絶やしに出来るんだか」
 戦う程に、攻性植物の止まぬ侵食を実感させられて、アルシエルも声を零す。
 それでも二人共、退くわけに行かぬと知っているから──泰地もまた肩を回して気合を入れていた。
「とにかく一体でも斃して。大阪城勢力の影響圏拡大、阻止させてもらうぜ!」
 戦意は十分、鍛えられた体には冷たい風すら苦ではなく。瞬間、力を籠めた腕を振るって重力すら撓ませて、熾烈な波動で敵を薙いでいた。
 二体の体勢が崩れれば、泰地は止まらず連撃。打突で生んだ風圧を冷気と成し、一体の茎を凍結させる。
 もう一体が背後に回ろうとしてきても、キャルディムは焦らない。
「花も好きな方だから囲まれてのんびりするのはいいんだけどね──勝手に動きまわられるのは鬱陶しいから嫌い」
 邪魔するなら全部刈り取るわよ、と。
 放った咆吼は空気を劈き、二体を震わせ静止させた。
「後はいけるでしょ?」
「ああ。ここで灼き尽くすさ」
 結衣は白き空に紅を纏いながら翔け上がり、双刃を振り上げている。刹那、放つ炎閃が燃え盛る驟雨となって一帯を包み込んだ。
 異形へ堕した花は、もう元の生命には還らない、だから。
「竜胆が悲しみに寄り添う花ならば、せめてその悲しみは俺が代わりに背負ってやるよ」
 悲嘆も慟哭も、魂ごと喰らってやるのだと。
 流星<見果てぬ真理>──集束した焔は火柱へ変遷し、豪熱の抱擁で花を灰にした。
 残る竜胆は、狂乱しながら花粉を飛ばす。だがジェミとアルシエルがしかと防御して見せれば、直後には空に細かな耀きが明滅した。
 それはラグエルが宙から注がせる氷の粒。
 色の無い宝珠のように、澄んだ光を通すそれは一つ一つが治癒の魔力を内包して──弾けるたびに皆の視界を澄み渡らせていく。
 皆の無事を確認したラグエルは、弟にも目を向ける。
「意識はしっかりした?」
「……ああ。兄──」
 兄貴、とまでは未だ素直に言えなくて、アルシエルは言葉を止める。
 それでも体を包む感覚に、助かった、とは小さく呟いて。敵に向き直ると指にカードを挟んでいた。
 ⅩⅢ【Tod】──それは死神を喚ぶ一枚。顕れた死の化身は、艶めく刃で生命を狩るよう、花弁を斬って消し飛ばす。
 危機を感じて竜胆はとっさに飛び退った。けれど花自身よりも疾く、その動きを察知していたのが、オルティア。
 働かせたのは五感ではなく、その代わりに全神経を注いだ感知魔術。
 蹂躙戦技:舌鼓雨斬。細糸のように伸びたその一端に花が触れると、オルティアは半ば無意識に動いて一閃。鮮烈な斬撃で根元を断ち切った。
「今のうちに攻撃を」
「判りました!」
 傾ぐ花へ、応えるジェミが奔っている。
 白雪の如き髪をふわりと揺らして、纏うのは旋風を宿した魔力。
 刹那、繰り出した斬閃は流麗ながら慈悲はなく。鋭い連撃で花の体を刻んで生命を削り取っていた。
「お願いします!」
「ええ」
 嫋やかに応えるセレスティンは、足掻く花を見つめる。
「秋の終わりは皆必死なのよ、ご存知? 命を削って身を赤く染めるの。そしてそれらの命を刈り取って冬に備えるの」
 その輪廻から、この花は外れたけれど。
「命を狩るのはもってこいの季節よね。だから、教えて頂戴」
 その青がどんな散り際を魅せてくれるの、と。
 振り下ろした槌は、濃密な魔力を揺蕩わせて。一撃で花の温度を奪い、その魂までもを凍らせて粉砕した。

●温かな日
 戦いの痕を癒やすと街角の景観は元通り。
 小さな雪が美しい、平和な時間が訪れていた。
 泰地は隣人力を発揮しつつ、警察や消防、市民へと無事を伝えに行く。
「もう心配しなくても平気だぜ。いつもどおりの日常に帰ってくれ」
 その言葉に、不安を残していた人々からも憂いは消えたろう。道には賑やかさも戻ってきていた。
 それが済めば、泰地は振り向いて。
「よし、カフェに行くか」
 それには皆も頷いて、煉瓦の深い紅が可愛らしい店へと向かってゆく。
 店内の席に着くと、泰地は早速レモネードと、スイーツを一通り注文。ショートケーキをつまみながら、温かなレモンの薫りを楽しんだ。
「仄かに甘くて、ハチミツが優しいな──」
 ほっと一息つくと疲れも癒えて。
 泰地は暫し、寛ぎの時間を過ごしていく。

 セレスティンは黒衣のスカートをそっと整えて、上品にカフェの席に座る。
「素敵なお店ね」
 眺める店内は心地良い音楽が流れていて、外気より温かく。ゆったりと優しい空気が流れる世界だ。
 そんな中、セレスティンが頼んだのはホットジンジャエール。
 スイーツはアップルパイで……一口運べばさくりと小気味良い歯ざわりと、焼きたての香ばしさが広がった。
「実りの秋ね」
 夜色の髪をさらりと流し、穏やかに笑みを浮かべて味わって。
 ジンジャエールを静かに含むと、瞳を細めてその美味を感じる。ドライスタイル、即ちジンジャーがまろやかなタイプで、果実の甘味との相性が抜群だった。
「美味しいわ──」
 食を進めていくと、初雪に冷えた体も温まる。
 甘さとしゅわりとした炭酸と、その感覚に──また一つ淑やかな笑みを零して、セレスティンはのんびりとしていった。

 皆がカフェに入る中、キャルディムも小走りに店に向かい始めていた──結衣の手をくいくいと引っ張りながら。
「寒いのは得意じゃないのよ、早く中で温まりましょ」
「ああ、判ってるさ」
 結衣も引かれるままに、店内へ。
 温かさに季節の移り変わりを感じながら──二人で席に着いた。
 メニューを眺めていると……結衣はふと最近、こういう場に来る機会が増えたなと思う。
(「まあ喜んでいるようだから何でもいいが」)
 と、対面を見やると、キャルディムは悩ましげ。
「ホットチョコもいいし、カフェラテにマシュマロとか美味しそう……ケーキもいいけどパフェも食べたいし……どれも捨てがたいわね」
 言いつつ、結衣をちらっと見やる。
 すると結衣はその意向を汲んで、自身はコーヒーだけを注文。キャルディムは顔には出さず嬉しげに、気になったものを全て頼んだのだった。
 やってきた品々を眺めつつ、キャルディムは早速パフェを一口。
 芳醇なマロンクリームに舌鼓を打ちつつ、ホットチョコを啜ればカカオの深い薫りと控えめな甘さが美味だ。
「これ、美味しいわ」
 感心の声を零しつつも、さらに苺のケーキをはむり。幸福な甘味を味わいつつ、食べ切れなくなれば──。
「ね、手伝って」
 フォークに刺して、一口分を差し出す。
 自分で食べられる、と言う前に口に放り込まれた結衣は、仕方なくもぐもぐ。一緒に渡されたカフェラテを飲むと芯から温まる心地だった。
「こういう季節には、いいな」
「それじゃあ、こっちも」
 と、キャルディムが今度はパフェを掬ってくるから……結衣は軽く息をつきつつもそれを食べながら。ゆっくりと、二人の時間を過ごした。

「ふんふん、やはり季節の食材はチェックしてあるようですね」
 自身も喫茶店を経営しているから、雰囲気の良い店を視察するのは良いこと。
 そして勿論、味を確かめるも重要だから──と。
 席に着いたジェミは早速メニューを眺めていた。
「限定メニューは特別感があっていいですね……。うん、決めた──こっちの冬限定カフェオレ+焼きマシュマロ付きでお願いしまーす。あ、ガトーショコラも追加で!」
 これも勉強だからと呟きつつも、注文すればわくわくとして。
「わぁ──」
 品がやってくると仄かに瞳を煌めかす。
 早速カフェラテを頂くと、まろやかな口当たりと、ふわりと蕩けるマシュマロが美味。その甘さと香ばしさにほうと吐息した。
「……美味しい」
 ガトーショコラは表面はさっくり、中はしっとりで濃厚。
 ほろ苦さが甘い飲み物とよく合って、ずっと食べていられそうだ。
「お土産にしよう」
 これほどの美味、ぜひ持ち帰りたいから、と。包んでもらうと上機嫌に、ジェミは帰路についていく。

 カフェへ向かう皆の背を見ながら──ラグエルも隣に声をかけていた。
「折角だから、私達も寄って行こうよ」
「……」
 視線を受けたアルシエルは、それに一瞬だけ嫌な顔を見せる。けれどじっと見つめるラグエルを見ていると、小さく息をついていた。
「まあ、いいけど」
「本当? じゃあ早速入ろう」
 ついてきてくれるか心配だったけれど。前より少し仲良くなった今なら大丈夫だと、信じて誘った良かったとラグエルは笑みを零して歩み出す。
 そうなればアルシエルも一応素直に同伴して──二人で向かい合う席に座った。
「紅茶にしようかな。アルシエルは?」
「……何でもいいさ」
「それじゃ同じので。スイーツはどうしようか」
「あるもので」
 兄の言葉にアルシエルは短く返す。その仕草こそ変わらぬすげなさだけれど、今のラグエルはそれでも上機嫌。
 紅茶とモンブランをお揃いで頼み、食事を始めた。
 モンブランは濃密な甘さと香り高さが美味。紅茶も秋摘みの上品さが甘味とよく合う。
「寒さや冷たさには慣れているけれど……こういう温かい空間もいいね」
「……ああ」
 沢山話しかけるラグエルに対し、アルシエルは少々適当に相槌を返すばかり。それでもアルシエルがしっかりと食事を進めているのを見ると、ラグエルは少し幸せな気分。
 いつかはちゃんと兄と呼ばれたいけど、まだ我慢。今はこうして一緒に過ごしてくれることが嬉しいから。
「また、来ようね」
「……機会があればな」
 食事が終わると、アルシエルは幾分ぶっきらぼうに応えて席を立つ。
 その言葉も喜ばしくて……ラグエルは楽しげな足取りで、その後を追った。

 オルティアはお品書きを広げて、視線を彷徨わせ中。
「迷う……」
 どれも温かそうで、美味しそうで。悩んでしまうけれど、まずは最初に気になったカフェラテから頼むことにした。
 焼きマシュマロの文字を見つければ勿論それも入れて貰って。
 供されたカップを一口啜ると、温かさに体が包まれる。表面に乗る、仄かに焼き目のついたマシュマロを掬って食べると、舌でやわく溶けて。
「ふわっと甘い、美味しい……」
 その後、パフェも大きめのものを注文した。
 バニラクリームとシロップ漬けの林檎、新鮮な葡萄、果実もアイスも一つの器で楽しみつつ──追加の飲み物はレモネード。
 快い酸味とハチミツの香りに癒やされて、しっかりとした甘さと優しい甘さを堪能した。
「とっても美味しいです……とろけます……」
 走って温まるのも嫌いではないけど、こういう温まり方も良い。
 戦時はきりりとしていた表情も、ほわりと和らいで──秋の終わりに長閑な時間を過ごしていった。

作者:崎田航輝 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2019年12月3日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 4/キャラが大事にされていた 0
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