究理の瞳

作者:崎田航輝

 いつの間に雑踏の音が消えたろうか。
 路地を通って道に出たレヴィン・ペイルライダー(秘宝を求めて・e25278)は──景色から人の姿がなくなっている事に気づいた。
「……何だ?」
 ぴんと糸が張ったような、不思議な違和感に足を止めている。
 別段人通りが多い一角ではないが、さりとてここが無人であったことなどなかった。大通りも遠くないし、公園だってほど近いのだから。
 偶然ではない。
 その直感に、周囲を見回した。
 何が現れるのかは半ば予想もついていたから。
 と──こつりと靴音が鳴って、無音に残響を齎す。
 レヴィンははっとして顔を向けた。そこに、違和の正体が立っていた。
 ──ドラグナー。
 腰まで伸びる赤髪を揺らし、レヴィンへと歩んでくる仕草は何処か悠々としている。
 それでいて帯びる表情は何か、実験対象を見るような、興味と冷たさを同居させたものだった。
 ただ、瞳の奥には強い使命感もあって──それがケルベロスへの敵意として顕れている。
「街の只中というのも、悪くはない。何処だって、必要な処理は出来るものだからね」
 彼は言って歩み寄る。
 レヴィンは警戒の色を見せる、けれど彼は躊躇もなく戦意の矛先を向けた。
「まずは──君の命が尽きるまで、痛みを与えてあげよう」

「レヴィン・ペイルライダーさんがデウスエクスの襲撃に遭うことが判りました」
 イマジネイター・リコレクション(レプリカントのヘリオライダー・en0255)はケルベロスへ説明を始めていた。
 予知された未来はまだ起こっていない。だが一刻の猶予もないという。
 レヴィンは既に現場にいる。その上でこちらからの連絡は繋がらず、敵出現を防ぐ事もできない。それ故に一対一で戦闘が始まるところまでは覆しようがないだろう。
「それでも、今からレヴィンさんの元へ駆けつけて戦いに加勢することは可能です」
 時間の遅れは多少出てしまうけれど、戦いを五分に持ち込むことはできる。だから皆さんの力を貸してください、と言った。
 レヴィンと敵がいるのは市街地の一角だ。
 普段は人通りもあるところだが、敵が人払いをしているのだろう、今は無人状態。一般人の流入に関しては心配する必要はないだろう。
「皆さんはヘリオンで現場に到着後、戦闘に入ることに集中して下さい」
 周辺は静寂。レヴィンを発見することに苦労はしないだろう。
「レヴィンさんを襲った敵ですが……ドラグナーのようです」
 目的の詳細は判らないが、レヴィンを狙ってやって来たことは事実のようだ。だからこそ確実に撃破する必要があるだろう。
「レヴィンさんを助けるために──さあ、行きましょう」


参加者
緋色・結衣(運命に背きし虚無の牙・e12652)
レヴィン・ペイルライダー(秘宝を求めて・e25278)
浜本・英世(ドクター風・e34862)
天雨・なご(どっちかの夜は昼間・e40251)
遠野・篠葉(ヒトを呪わば穴二つ・e56796)
アルベルト・ディートリヒ(レプリカントの刀剣士・e65950)
フレデリ・アルフォンス(ウィッチ甲冑ドクター騎士・e69627)
アルケイア・ナトラ(セントールのワイルドブリンガー・e85437)

■リプレイ

●静寂
 街の只中を満たす静謐は、強い違和感を運ぶ。
 あったはずの喧騒がなくて、それと一緒に居るはずのものがなくなってしまうような──不思議な喪失感の前兆。
「レヴィン……」
 天雨・なご(どっちかの夜は昼間・e40251)は呟きながら、その発生源へと直走る。彼が帰ってこないことに、違和感は覚えていたけれど。
「まさか敵に襲われてるなんて……」
「無事でいてくれれば良いのだがな──」
 浜本・英世(ドクター風・e34862)は言いながらも、つぶさに視線を奔らせる。それは確かに、まだ彼が生きて戦っていると信じているからに他ならなかった。
 事実、道を縫っていくと──遠くに剣戟の音が聞こえる。
「レヴィンさんで間違いなさそうね」
 と、遠野・篠葉(ヒトを呪わば穴二つ・e56796)は仄かに狐耳を動かして、それが人と人ならざるもの──デウスエクスだと確信を得る。
「とにかく今は、ささっと助けに行くとしましょ」
「もちろん」
 なごは強く頷いた。
(「だってキミがいないとボク……寂しいもん」)
 一人戦う彼に、素直に思うから。今はただ、全速力で駆けていく。

 焔が弾けて、膚が焼け焦げる程の威力を運ぶ。
 レヴィン・ペイルライダー(秘宝を求めて・e25278)は敵の攻撃を腕で受け止め、衝撃に後退していた。
「……、いきなりご挨拶だな! 何の用だ、デスエクス」
 布地が溶けて煙を上げ、強い痛みに蝕まれながら。眼前のドラグナー、ブルージュを見据えている。
 彼は歩み寄りながら、笑みを浮かべた。
「勿論、番犬を倒しに来た。けれど、同じくらい知りたいこともあってね」
 その為に君が最適と思ったのさ、と。ブルージュは腕を広げる。
「君は頑丈そうだしね。死ぬ程痛めつければ、きっと面白いものが見られる」
「……」
 レヴィンは微かに口を噤み思考する。
(「……暴走、か?」)
 自身が死ぬ程の危機になれば、と。思い当たるのはその事だ。
 けれど──それが何であれ、思惑通りにさせるつもりはない。
「悪いけどな、死ぬつもりも痛めつけられるつもりも無いんだ!」
 刹那、炎弾を撃ち出して敵の生命力を奪い取り、己を治癒する。
 が、ブルージュはそのダメージにも寧ろ喜色を見せた。
「結構。このくらいの方が負荷のかけ甲斐がある」
 手元に刃を顕現すると、そのまま剣戟でこちらの傷を抉る。その一撃は余りに強烈で、レヴィンは気力を保ちながらも──朦朧とふらついた。
 このまま攻撃を続けられれば待っているのは死だと、本能的に直感する。
 ブルージュは踏み寄って、期待感を見せた。
「どうだ、絶望的な気分だろう?」
 その感情に身を任せてみろ、と。そうすれば望む物が見られるというように。
 だが、レヴィンは浅い息を零しながらも首を振っていた。
「──絶望なんかしちゃいないさ」
 きっと、“みんな”が来てくれるって信じているから。
 見上げる瞳は変わらぬ真っ直ぐさで。
「オレには帰る場所があるんだ、何が目的か知らないけどこんな所で倒れてたまるか!」
「──ああ、その通りだ。ここで斃れさせなどしない」
 と、そこへ響いたのは静やかなれど、焔の意志を宿した声音だった。
 ブルージュは仰ぎ、驚愕する。
 そこに高く跳躍して、空に紅蓮を棚引かす影があったから。
 緋色・結衣(運命に背きし虚無の牙・e12652)。
 掲げる魔剣に、その紅の瞳にも劣らぬ純な灼熱を纏わせて。真っ直ぐに二者の間へと飛び込んできている。
「デウスエクス風情にみすみす仲間をやらせたりはしない」
 刹那一閃。言葉を体現するよう、描いた赫の斬閃で斬り込んだ。
 ブルージュは流血と共に後退しながらも、とっさに反撃を目論む。が、そこへ銃口を向けるのが英世だった。
「ごきげんよう。悪いが、お楽しみは邪魔させてもらうよ」
 声音は涼やかに、閃かす光線は零下の温度で。硝子のような氷晶を散らせながら、氷気でブルージュを吹き飛ばす。
 その間にレヴィンへと駆けつけるのは、アルケイア・ナトラ(セントールのワイルドブリンガー・e85437)だ。
「傷の処置は、お任せを」
 すぐに癒やしてみせますから、と。
 翳す掌に眩い黄金の光を帯びさせて、優しい温かさを与える。触れる輝きは苦しみを浚いとるよう、傷を薄めていった。
「よし、俺も手伝うよ」
 と、手元に清廉な煌めきを降ろすのはフレデリ・アルフォンス(ウィッチ甲冑ドクター騎士・e69627)だ。
 ──聖王女よ、彼の者に加護を。
 明滅する『清浄なる灯』は、自身の一族を加護していた力。それを溶け込ませていくことで飛躍的に治癒を進めていく。
 そこへなごが月光の如き治癒の灯りを投与すれば、もう傷も痛みも無かった。
「レヴィン、もう大丈夫だよ」
「ああ、なご……それにみんなも、来てくれたんだな」
 健常となったレヴィンは、立ち上がり、見回す。
 結衣は一度振り返って頷いた。
「レヴィンさんには以前助けられたからな、今度はこちらが助ける番だ」
「俺もだよ。世話になったばかりだしな」
 と、フレデリが明朗に笑み返して見せれば──アルケイアもそっと頷く。
 自分は皆のようにレヴィンと親交こそないけれど。
「我々セントールはケルベロスに救われました」
 その恩返しが少しでもできれば、と。
「ああ──ありがとう」
 レヴィンは、皆の言葉に目頭を熱くして、涙をほろりと零していた。
 アルベルト・ディートリヒ(レプリカントの刀剣士・e65950)は、レヴィンの無事なその姿に一つ頷きを見せると──モノクルの視線を前に向ける。
「……あれが、敵か」
「うわー、なんかネクラそうな感じね」
 篠葉が仄かに眉根を寄せていると、結衣も視線を前に戻している。
「ドラグナー……ドラゴン配下の残党がこんな所に姿を現すとはな」
「ドラゴン勢力は、我々が蘇生する前にゲートを破壊されたと聞きましたが、しぶとく生き残ってるのですね」
 アルケイアの言葉に、しかしブルージュは顔色も変えず声を返す。
「皆が皆、徒党を組んでいるわけではないからね」
 勢力のことなどどうでも良いと言うように──魔導書を繰ろうとしていた。
 が、それを許すアルベルトではなく。
「死に損ないのドラグナーには変わりないだろう。悪趣味なマッドサイエンティストっぽいが──その微変態行為もそこまでだな」
 瞬間、地を蹴って肉薄すると香刀“青薔薇”を抜き放ち『風神突』。真っ直ぐの、シンプルにして強烈な刺突がブルージュの腹を深々と穿った。
 傾いだブルージュは、それでも反撃の意志を崩さない、が。
「させないわよ!」
 篠葉が一手早い。
 ──冥府より出づ亡者の群れよ、彼の者と嚶鳴し給え。
 糸を手繰るように、瘴気にも似た靄を大地から引き上げると──出現するのは怨霊の群。『怨嗟嚶鳴之呪』。魂に取り憑き怨嗟の声を響かすことで、体の動きを止めながら命を蝕んで。深い苦痛と共に、ブルージュに膝をつかせていた。

●究理
「……面白いじゃないか」
 静寂に小さな笑いが響く。
 ブルージュは声音に苦渋を交えながら、顔には好奇を含めてもいた。
「君達も研究のしがいがありそうだ」
「研究、か。判ったことの一つでも教えてほしいところだな」
 どうせその研究は此処で途切れるのだから、と。結衣が言ってみせると、ブルージュは笑み交じりに応えた。
「君達番犬が強い力を秘めていることさ。そして、痛めつけてあげればより究明できそうだということもね」
「オレたちの力を研究? その上ドSとか……キモい!」
 フレデリが本音から言うと──アルケイアも頷いている。
「しかも嫌な奴みたいですから。私達がすべきは──二度とケルベロスに手出し出来ないよう、とっちめることでしょう」
「そういうことだね」
 と、英世も怜悧な瞳を向けて。
「相手の力を究明しようというのなら──自らもまた相手にとって究明対象になる、と」
「……僕が、かい」
 ブルージュが瞳を細めると、ええと頷くのは篠葉。
 その手に取った水晶玉を、ふわりと浮かべると──。
「実験が好きなら、私の新作呪いの実験台にもなるといいわ!」
 それを浮かべて大きく両手で撫で回すような仕草を取ると──その瞬間、ブルージュの片目を覆っていたレンズがぱりんと弾けた。
「どう、前触れもなくメガネが割れる呪いよ! あと、後頭部に円形脱毛症ができる呪いも付けちゃうわね! 狐の呪いはサービスいいのよ」
「……小細工を」
 目元を抑えながら、ブルージュは雷光を揺蕩わせて遣り返そうとする。
 が、フレデリがオウガメタルから銀粒子を煌めかすと、その耀に澄明な知覚を得たアルベルトがブルージュへ剣を突き出していた。
 突き抜ける一刀は残像を伴う速度。ブルージュの血煙が舞うと、英世も閃光の如き稲妻を放ち追撃。白色の火花を伴う衝撃を与えてゆく。
「さあ、今のうちに」
「ああ、ありがとな」
 応えるレヴィンも気合十分。地を蹴り跳ぶと、宙で廻って蹴撃で痛打を加えた。
 ブルージュはよろけながらも冷気の魔法を返す、が、アルベルトがしかと庇い受けている。
「通しはしない」
「──うん、護ってみせるよ」
 小さく言ったなごは、剣から星の加護を降ろしていた。
 一度だけ、レヴィンに視線を向ける。
 なごはケルベロスになる前は家族も知らない野良猫だった。雨の日に茫然としていたあの時、レヴィンに匿ってもらったことを思い出す。
 今でこそ、自由気ままにレヴィン家に住んでるだけになっている気もするけれど──そんなレヴィンに恩返しをしたいと思っていたらケルベロスになったのは、確かだから。
 レヴィンと皆を護るために。燦めく光を舞い散らせ、皆の傷を癒やしていく。
 アルベルトが靴音を鳴らし、雷光を宿す花弁を舞わせて治癒を進めれば──アルケイアもまた霊力を撒いて皆を万全とした。
「これで、心配はありませんね」
 憂いが消えれば、アルケイアはそのまま攻勢へ。高く跳んで頭上からの『トキシックフォール』──苛烈な一撃で生命を蝕んでいく。
 たたらを踏んだブルージュは、現出した刃で斬り返そうとする、が。そこへ既に狙いを定めているのがフレデリ。
 風雷剣に眩い雷光を湛えると、真っ直ぐに撃ち出す。放射された雷撃はブルージュの刃を焼き尽くしながら膚までもを深く灼いていった。
 篠葉が底冷えする呪いの氷気を放てば、ブルージュは血潮までもを凍らせて呻きを零す。
「凄まじい力だ。究明が叶えば、もっと凄いものが見られるだろうね──」
「そうか。俺達にはもう、どうでもいいことだが」
 と、声を投げるのは疾駆する結衣だった。
 滑らすように大太刀も抜いて、その手に在るのは焔揺蕩う二刀。
 元より無駄話をする気もない。なれば遣るのはただ斬閃を刻むのみ。
 敵が氷の魔力を生めばそれを蒸発させ。炎の魔力を生めばそれすら焼き尽くし。焔で旋風を象って、舞わす斬撃でブルージュの片腕を斬り飛ばした。

●涼風
 滂沱の血で地面を穢し、ブルージュは倒れ込む。
 這いずり起きるも、相貌からは余裕が剥がれ落ちていた。
「……馬鹿な。まさかこの僕が、本当に……」
「言ったろう、悪趣味もここまでだと」
 アルベルトが静かな声を落とせば、ブルージュは歯噛みして自己治癒をする。
 態勢を整えるつもりだろう、が、遅い。直後に迫ったアルベルトが、その拳に気力を溜めて一撃を打ち込んでいた。
 同時、アルケイアも零距離へ。深く踏み込んでパイルを射って、腹部を貫き加護を砕いていく。
「後はお願いします」
「了解!」
 頷くフレデリも剣を奔らせ連閃。一刀、また一刀と剣撃を重ねて傷を深めていった。
 忿怒を見せながら、ブルージュは最後まで敗北を認めぬように刃で斬り込んでくる。が、その足が何もないところでつっかえて、転んだ。
「ずっこけの呪いが効いてきたわね!」
 吸い込まれるように敵が倒れてくるのを、待ち構えていた篠葉は拳で一撃。強烈な殴打で地に叩きつけていく。
 ブルージュは再度倒れながらも、手を伸ばして魔法を行使しようとする、けれど。
「無駄さ」
 英世が周囲に無数の刃物を顕現させている。
 敵と自分の術はよく似ていると、英世は思う。単純な威力や精度は敵の方が上だとも。
 だが、それを補うだけの仲間が此方にはいるから。
「この業をもって──君の命が尽きるまで、痛みを与えてあげよう」
 飛び交う刃による魔術『悄然! 無慈悲なる殺神手術!!』は、言葉に違わず。鋭く激しく、ブルージュの四肢を裂いていく。
「──何、すぐに皆が終わらせてくれるとも」
「ああ」
 それもすぐのことだ、と。
 結衣は二刀で無数の剣撃を繰り出していた。
 その斬撃は一振りごとに空間に記憶として留まり、ブルージュを斬り刻み続ける。
 桜火<消えぬ傷痕>──棚引く炎の牙は桜吹雪の如く舞い散り、鮮血と業火は結衣の静謐にして苛烈な戦意を示すよう、鮮やかに大輪を咲かせていった。
 そこへなごがオーラを撃ち、ブルージュを瀕死に追い込めば──。
「レヴィン」
「任せろ、終わらせるさ!」
 レヴィンがリボルバーを真っ直ぐに向けていた。
「仲間まで傷つけようとしてくれたお礼だ。全弾、プレゼントしてやるよ!」
 刹那、マズルフラッシュが輝き、弾丸の全てが放たれる。『贅沢な弾丸の使い方』──命中した衝撃が違わずブルージュの命を撃ち砕いた。

 しじまに吹く風が柔らかに感じられる。
 静寂が訪れると、篠葉は敵が散ったのを確認して振り返っていた。
「終わったみたいね」
「皆、無事か?」
 アルベルトが見回すと皆はそれぞれに頷く。
 フレデリも首肯して──レヴィンに向いていた。
「怪我はないな?」
「ああ! みんなのおかげだ! 助かったよー!!」
 レヴィンは視線を巡らせ、改めて礼を言う。
「本当にありがとう! 来てくれてめっちゃ嬉しい……」
 そうしてまたほろりと涙を零していた。
 その姿に瞳を和らげ、結衣も息をつく。
「全く、お互い妙な敵に付き纏われるものだね。でも、大事なくて良かった」
「うん。本当に。みんなありがとうね」
 なごも言って、安堵の表情を浮かべている。
 英世は周囲をヒールして、皆が無事だと見れば帰路へ。軽く手を振って去っていく。
 アルケイアもゆっくり歩み出した。
「私達も帰還しましょう」
「そうだね」
 結衣は一歩踏み出し、視線をレヴィンへ。
「さあ行こう。帰りを待っている人がいるのだろう?」
「ああ」
 レヴィンも頷き歩を進め始める。
 なごがそこに並んで、声をかけた。
「今度は襲われちゃだめだよ」
「気をつけるよ。……心配かけたな」
「べ、別に心配なんかしてないんだからね……!」
 なごはぷいと視線を逸しながらも──ぼそりと呟く。
 だって友達だもん、と。
 レヴィンは聞こえたか聞こえていないか、小さく微笑みを返して視線を前に戻した。
 いつしか人々の姿が見え始め、街は元の姿を取り戻している。その平和な騒々しさの中、レヴィンは家路についていった。

作者:崎田航輝 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2019年11月20日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 6
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