●都内某所
「俺は常々思うんだ! 可愛い男の子達に女物の服を着せる事こそが至高である、と!」
ビルシャナが廃墟と化した工場に信者達を集め、自らの教義を語っていた。
信者達はみんな可愛らしい男の子で、何故か女物の服を着せられていた。
どうやらビルシャナにとって、それが至高という事らしい。
それとは対照的に、信者達はとっても恥ずかしそうにしながら、顔を真っ赤にしていた。
それがビルシャナにとっては何よりの悦びであったらしく、そんな彼らを眺めながら、自らの歪んだ性癖を満たそうとするのであった。
●セリカからの依頼
「霏・小獅(カンフー零式忍者・e67468)さんが危惧していた通り、ビルシャナ大菩薩から飛び去った光の影響で、悟りを開きビルシャナになってしまう人間が出ているようです」
セリカ・リュミエール(シャドウエルフのヘリオライダー・en0002)が、教室ほどの大きさがある部屋にケルベロス達を集め、今回の依頼を説明し始めた。
ビルシャナが拠点にしているのは、廃墟と化した工場。
信者達はビルシャナの歪んだ性癖を押し付けられ、男の子でありながら、女物の服を着せられているらしい。
それが原因で、とても恥ずかしい思いをしているものの、ビルシャナに洗脳されているせいで、逆らう事が出来ないようである。
「今回の目的は、悟りを開いてビルシャナ化した人間とその配下と戦って、ビルシャナ化した人間を撃破する事です。ただし、ビルシャナ化した人間は、周囲の人間に自分の考えを布教して、信者を増やしています。ビルシャナ化している人間の言葉には強い説得力がある為、放っておくと一般人は信者になってしまうため、注意をしておきましょう。ここでビルシャナ化した人間の主張を覆すようなインパクトのある主張を行えば、周囲の人間が信者になる事を防ぐことができるかもしれません。ビルシャナの信者となった人間は、ビルシャナが撃破されるまでの間、ビルシャナのサーヴァントのような扱いとなり、戦闘に参加します。ビルシャナさえ倒せば、元に戻るので、救出は可能ですが、信者が多くなれば、それだけ戦闘で不利になるでしょう」
セリカがケルベロス達に対して、今回の資料を配っていく。
信者達も薄々おかしいとは思っているものの、洗脳によってビルシャナに逆らう事が出来ないため、自分ではどうしようもできないようだ。
しかし、可愛い男の子達に女物の服を着せる事が至高と言っておきながら、ビルシャナ自身がそれを実践していないことに対して、疑問に思っているらしい。
その事を指摘すれば、ビルシャナが動揺し、洗脳の力が弱まって、信者達を元に戻す事が出来るかも知れないようである。
「また信者達を説得する事さえ出来れば、ビルシャナの戦力を大幅に削る事が出来るでしょう。とにかく、ビルシャナを倒せば問題が無いので、皆さんよろしくお願いします」
そう言ってセリカがケルベロス達に対して、ビルシャナの退治を依頼するのであった。
参加者 | |
---|---|
平・和(平和を愛する脳筋哲学徒・e00547) |
ジュスティシア・ファーレル(シャドウエルフの鎧装騎兵・e63719) |
霏・小獅(カンフー零式忍者・e67468) |
柄倉・清春(大菩薩峠・e85251) |
●歪んだ欲望
「なぜボクはここにいるんだ……。こういう相手は避けて通りたいのに……」
平・和(平和を愛する脳筋哲学徒・e00547)は仲間達と共に、ビルシャナが拠点にしている廃墟と化した工場の前に立ち、複雑な気持ちになった。
ビルシャナは可愛い男の子達に、女物の服を着せる事こそ至高であると訴えているようだ。
しかし、実際には自らの欲望を満たすため、ビルシャナによって広められた歪んだ教義。
それが分かっていたため、『どうしても、ここに来てしまったのか』と言う気持ちが強いようである。
「それにしても、随分とイカれた鳥がいるものだな。今すぐ、ぶち殺してぇところだが、信者達を助けるまで我慢しておくか」
柄倉・清春(大菩薩峠・e85251)が指の関節を鳴らしながら、廃墟と化した工場を睨みつけた。
気のせいか、風に乗って男の子達の鳴き声が聞こえてきた。
もしかすると、今こうしている間もビルシャナによって、歪んだ欲望が満たされようとしているのかも知れない。
そういった意味で急ぐ必要があったものの、廃墟と化した工場内は不法に投棄されたゴミで溢れ返っており、迷路のように入り組んでいるせいで、なかなか先に進む事が出来なかった。
「異性装自体は個人の自由だと思いますが、洗脳で強制する時点はアウトですね。私は成人女性だから奴等のターゲットにはなりませんが、小獅さんは危ないと思いますし……。アホウ鳥相手でも、気を抜かずに行きましょう」
ジュスティシア・ファーレル(シャドウエルフの鎧装騎兵・e63719)が仲間達に警告しつつ、迷路のような工場内を進んでいった。
「まったく、なんちゅう教義を持ち出す鳥公が出てきてやんだか……。まあ、しゃあねぇ……如意棒で思いっきしシバいてぶっ飛ばしてやんか」
そんな中、霏・小獅(カンフー零式忍者・e67468)が、呆れた様子で溜息を漏らした。
その途端、奥の方から腐った鳥のようなニオイが漂ってきたため、物陰に隠れつつ、警戒した様子で近づいていった。
●欲望の果てに
「なんだ、お前達は……」
その途端、ビルシャナがケルベロス達の存在に気づき、不機嫌そうな表情を浮かべた。
室内には女物の服を着せられた信者達がおり、恥ずかしそうに頬を染めながら、ビルシャナに胸を揉まれていた。
そのせいで、信者達は妙な気持ちになっているのか、甘えるように声を洩らし、ビルシャナに擦り寄っていた。
おそらく、ビルシャナによって洗脳され、自分の意志に反して、身体が反応してしまっているのだろう。
その感覚に酔いしれながら、次第に禁断の世界に迷い込んでいるような感じであった。
「こらー! なに無抵抗で女装させられてるんだー! 君達それでも男か! ボクはいつも抵抗してるぞ! たとえ敵わなくとも! それこそ、事ある毎に、ボクに女装させようとしてくるお姉ちゃんと妹に! なんなら、お母さんまで加わってくることがあるけど! お父さんは『強く生きろ……!』って視線を送ってくるだけで、助けてくれないけど! いつも抵抗はしてるんだ! いつも負けるけど! それが、それが男の矜持ってもんだろう……!」
それを目の当たりにした和が信者達に対して、自らの思いをぶち撒けた。
「で、でも……」
だが、信者達は洗脳された事によって、すっかり弱気になっており、まるで牙を抜かれたケモノのようになっていた。
それでも、多少なりともビルシャナに抵抗しているようだが、それはほとんど形だけ。
その事が本能的に分かってしまったため、余計に腹立たしかったようである。
「なるほど、ひょっとして嫉妬しているんだな? 仲間に入れてもらえなかったから。……安心しろ。俺は差別をしたりしない。俺を欲しているなら、それを着ればいい」
その言葉を自分にとって都合よく解釈しつつ、ビルシャナがイケメンスマイルを浮かべ、女物の服をケルベロス達に勧めた。
おそらく、洗脳の力によって何でも思い通りになるという考えに至ってしまったせいで、常識が何処かに行ってしまったのだろう。
まさに俺様街道まっしぐらと言った感じで、欲望丸出しの言葉を吐き出していた。
「……はぁ? なに血迷った事、言っているんだ!? だーれが混ざるかよ、俺は男だぜ お・と・こ! おめぇらも男だろ?」
小獅がイラついた様子で、信者達をジロリと睨みつけた。
「ひぃ!」
その気迫に圧倒されて、信者達が怯えた様子で、身を強張らせた。
「どうやら、身体で分からせてやる必要がありそうだな?」
ビルシャナがムッとした表情を浮かべ、ケルベロス達に対して催眠光線を放ってきた。
「えへへ、ボクかわいいでしょお……」
その途端、和がビルシャナによって洗脳され、躊躇う事なく女物のワンピースに着ると、くるりっと回った。
それはまるでファッションショー。
催眠状態に陥った事で、和のまわりには沢山のギャラリーが集まっており、その視線を一身に浴びているような感じであった。
そのため、ビルシャナの身体を撫で回されても、ほとんど抵抗していなかった。
「……ん? 何かしたのか? そういや、何だか寒気がしてきたな。こういう時は、やっぱ完封摩擦だな。お前らも脱げ、脱げ! 身体が温まるぜ!」
小獅が上半身裸になって、信者達の服を脱がし始めた。
「えっ?」
これには信者達も驚き、さらに身を強張らせたものの、小獅はまったくおかまいなしで、千切った服を手渡し、乾布摩擦を促した。
「男の子なら、やっぱり戦闘服です。嘘だと思うのなら、試しに着てみますか? ほら、燃えますよね?」
そんな中、ジュスティシアが信者達に、ミリタリー衣装を手渡した。
しかも、どれも男臭く、ビルシャナにとっては、鳥肌モノ。
その事に気づいた信者達が、魔除け代わりに、ミリタリー衣装を身に着けた。
この様子では、だいぶ洗脳が解けているのだろう。
まるでゴミを見るような目で、ビルシャナに視線を送っていた。
「お、お前ら、正気か!」
それを目の当たりにしたビルシャナが、信じられない様子で信者達を見た。
だが、信者達の気持ちは変わらず、誰ひとりとして、ミリタリー衣装を脱ごうとしなかった。
「マジな話、カッコいい方が女の子にはモテるんだよねー。男同士、がっつりハシャごうじゃねぇか。あ?上手い銃の撃ち方は俺より他の人に聞いてみな」
それを煽るようにして、清春が信者達にエアガンを持たせ、なりきり感を高めていった。
「もうボクらは、お前の玩具じゃない」
その気持ちが一気に高まり、信者達が一斉にエアガンの銃口を向け、ビルシャナめがけて乱射した。
「つーか、銃口を人に向けるなって、教えられなかったかァ!」
次の瞬間、ビルシャナが、ブチ切れた様子で、叫び声を響かせた。
「……はっ! うぅ~、おにょれ、よくもー! そ、それに、これは女装じゃないです、病院着的なワンピースです」
その拍子に和が我に返って、恥ずかしそうにしながら、必死になって言い訳をした。
いまさら何を言っても後の祭りだが、ビルシャナによって洗脳されてしまったせいで、色々とはっちゃけていたため、恥ずかしい。
そんな気持ちを誤魔化すようにして、和がビルシャナに攻撃を仕掛けていった。
●ビルシャナの言い分
「お、お前達は何か誤解をしている! 俺は何も悪くない! ただ、お前達が可愛すぎるから悪いんだ!」
ビルシャナが清々しいほどクズな発言をしつつ、自分の正当性を訴えた。
それでも、ビルシャナにとっては、最善の答え。
だが、信者達も同じように、それが最善の答えという訳にはいかなかった。
むしろ、最悪。
『何言っているんだ、このクソ鳥は……』と思わせるのには、十分すぎるほどの答えであった。
「……と言うか、信者達が味わった羞恥心を味わってもらわねぇとなぁ!」
すぐさま、小獅が紅蓮大車輪を仕掛け、ビルシャナの羽毛を焼き払った。
「ぬおっ!」
それと同時に、ビルシャナの無駄の白くて艶のある地肌があらわになり、ケルベロス達が『一体、誰得!?』とばかりにゲンナリとした。
「せめて自分がお手本になって、教義の正当性を訴えて下さい。ただし、それで信者達が納得すればの話ですが……」
ジュスティシアが素早い身のこなしで間合いを詰め、ビルシャナにフリルとレースとリボンがたっぷりついたドレスを無理矢理着せた。
それはビルシャナだけでなく、見た者すべての心をポッキリ折るほどのグロレベル。
その服を着せたジュスティシアさえ、予想外のグロさに、『まさか、此処まで酷くなるとは……』と絶句してしまうレベルであった。
「夢に出そうだな、こりゃ……」
それを目の当たりにした清春が、頭を抱えて現実逃避し始めた。
だが、トラウマレベルが、精神汚染度MAXだった事もあり、目を閉じても浮かぶビルシャナの裸体&セクシーショット。
そのせいで、心の中にある大切なモノが、ガリガリと削られていくようなダメージを受けつつ、清春が何処か遠くを見つめた。
「日頃の鬱憤を晴らすとか、そういう訳ではありませんが……ここは本気で容赦なく、殴って殴って、殴るのです!」
そんな中、和が満身の力こめたグラビティで、ビルシャナを殴って、殴って、殴りまくり、容赦なく轟竜砲を撃ち込んだ。
それはビルシャナが着ていた可愛らしい服が、一瞬にして布切れと化すほど、強力な攻撃ッ!
「愛情こめて麺から作り上げました! さあ、召し上がって下さいね!」
次の瞬間、ジュスティシアがフルーツお汁粉スパ・マヨネーズ&生クリーム特盛り(アナタノタマシイヲコロシマス)を仕掛け、ビルシャナに激マズ料理を食べさせた。
「んごごっ!」
その途端、ビルシャナが死んだ魚のような目になり、身も心もフリーズした。
「ロクでもねぇ事をほざく鳥公は焼き鳥してやんぜ、オラァ!!」
それに合わせて、小獅が火尖槍(カセンソウ)を放ち、ビルシャナの身体を炎に包んで消し炭に変えた。
「これで二度と酷い目には遭いませんよ。ミリタリー衣装も似合ってますし、嫌な事は忘れてしまいましょう。それに、どんなに顔が可愛くても、あなたたちは身も心も鋼です。もしも同じような目に遭いそうになったら、対抗できるだけの力をつけておくといいですよ」
ビルシャナが絶命した事をンクニンした後、ジュスティシアが信者達の頭を撫でた。
ミリタリー衣装を着ているせいか、信者達の表情は凛々しく、キリリとしていた。
「とりあえず、鳥公も倒した事だし、近くの公園で缶蹴りなり、鬼ごっこなりして温まろうぜ。男は元気よく風の子、元気な子ってな」
その間に小獅が信者達に駆け寄り、近くの公園に誘った。
「うん、行こう!」
信者達もビルシャナが倒された事で、気持ちが落ち着いたのか、小獅の誘いに力強く頷いた。
「ところで、みんな……姉ちゃんはいるかぁ? もし、いるんだったら、少し聞きたい事があるんだが……」
そう言って清春が信者達の顔色を窺いながら、無駄に爽やかな笑みを浮かべるのであった。
作者:ゆうきつかさ |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2019年11月13日
難度:普通
参加:4人
結果:成功!
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得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 2
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