栗農園に現れし特攻暴走男

作者:なちゅい


 茨城県は、栗の生産量が日本一であることで知られている。
 栗の収穫期は9月から10月ということで、すでに時期としては終わっている。
 それもあって、栗拾いに訪れる人々もいなくなっているのだが、今回ばかりは時期が外れていてよかったと思うべきだろうか。

 とある農園へと降り立ってきたのは、鎧を纏った長身の男だった。
「んだぁ? 農園かよ」
 来るなり悪態をつくその男、強面で睨みを利かせるとかなり威圧感がある。
 身長が3mもある為か、見下ろされると普通の一般人ならば恐怖を覚えてしまう相手だ。
「エ、エインヘリアル……!」
 それに気づいた農園主の男性が恐れおののいて逃げ出そうとすると、エインヘリアルは槍を手に素早く追ってきて。
「俺の前から逃げられると思うなよ?」
 汚らしい笑みを浮かべたそいつは、農園主の腹を穿つ。
 グラビティ・チェインを得たことで、エインヘリアルは口元を吊り上げて。
「さて、どんどん行こうじゃねえか。地球人がいっぱいいるところによ」
 周囲を見回した男は市街地を目指して、適当に歩き始めたのだった。


 すっかり涼しくなり、ビル屋上のヘリポートだと吹き付けてくる風に寒さすら感じてしまう。
 そんな中、ヘリポートへと降り立ってくるヘリオンから、銀髪ポニーテールのリーゼリット・クローナ(シャドウエルフのヘリオライダー・en0039)が降りてきて。
「皆、お疲れ様。来てくれて嬉しいよ」
 集まるケルベロスの中から、野々宮・くるる(紅葉舞・e38038)がこんな話を口にした。
「栗を栽培する農園に、エインヘリアルが襲来するんじゃ……って思って」
「わかった、少し待っていて」
 その話を受け、リーゼリットがヘリオンで予知を行う。
 程なく、彼女はケルベロス達の前に姿を現して。
「うん、くるるが予見したようなエインヘリアルの襲撃が視えたよ」
 茨城県某所の栗農園へと降り立つ罪人エインヘリアルが近場の人々を手にかけてしまうのだと、リーゼリットは言う。

 現れるエインヘリアルは1体。
 マイルズという名前に反して非常に人相は悪く、三白眼に強面で威圧感を相手に与える見た目をした男だという。
「エインヘリアルは平均身長が3mあるから、身長差も相まって威圧感が倍増する相手だね」
 戦法はセントールランスを使った突撃。
 キャスターとして戦場を駆け回り、ヒットアンドアウェイで場をかき乱そうとする敵だ。
 農園内に降り立った敵は、多数の人々がいる場所を求め、市街地へと移動しようとする。
 できるだけ、農園から外に出さぬよう配慮しつつ討伐に当たりたい。
「人的避難を多少気掛けて欲しいかな。そうすれば、農園外まできた警察隊に保護してもらえるはずだよ」
 農園の木々が傷つくのは心苦しいが、そちらは戦闘後のヒールで対処したいところだ。

 一通り事件についての説明を終え、リーゼリットがこんな話を付け加える。
「農園主の方々から、お礼にと栗を頂く形になるかと思う」
 そのまま落ち葉をかき集めて焼き栗を食べてもいいし、食材を持ち込んで自分で栗を使った料理を作ってもいい。
「何か皆に希望があれば、私も作ってみようかしら?」
 ユリア・フランチェスカ(慈愛の癒し手・en0009)も希望があれば、何か作りたいと話す。
 依頼後の料理はこの上なく美味しいはずだが、その為にも。
「そうだね、まずはエインヘリアルの討伐を。よろしく頼んだよ」
 リーゼリットはそう告げて、ヘリオンへと依頼参加者を招き入れるのだった。


参加者
カトレア・ベルローズ(紅薔薇の魔術師・e00568)
ミント・ハーバルガーデン(眠れる薔薇姫・e05471)
野々宮・くるる(紅葉舞・e38038)
八久弦・紫々彦(雪映しの雅客・e40443)
オルティア・レオガルデ(遠方の風・e85433)
ローゼス・シャンパーニュ(セントールの鎧装騎兵・e85434)
アルケイア・ナトラ(セントールのワイルドブリンガー・e85437)
サクラ・ロクジョウ(ハイスピードスタンピーダー・e85451)

■リプレイ


 茨城県某所の栗農園に、降り立つケルベロス達。
「栗ですか、少しシーズンが遅れていますけど。この肌寒くなってきた季節には丁度良さそうですわね」
 真っ赤な長い髪と瞳を持つカトレア・ベルローズ(紅薔薇の魔術師・e00568)は、すっかり収穫の終わった栗の木を見回す。
「栗は私も大好きですし、美味しい栗が食べられるなら頑張ってエインヘリアルを倒しましょう」
 深い青色の髪のゴスロリ少女、ミント・ハーバルガーデン(眠れる薔薇姫・e05471)は無表情ながらも、事後のことを考えてか依頼解決に意欲を見せる。
 なお、この依頼、赤茶色のミドルヘアの少女、野々宮・くるる(紅葉舞・e38038)が危惧していた事件なのだが、現実のものとなったことに当人が一番驚いている。
「ともあれ、駆けつけて来てくれた頼もしい仲間達の為にも、頑張るよ!」
 その頼もしい仲間のメンバー構成だが。
「我々セントールと地球人で半々の面子ですか」
 失った左腕と内臓の一部をワイルド化されたアルケイア・ナトラ(セントールのワイルドブリンガー・e85437)が言うように、4人が地球人、4人が最近定命化したセントールという珍しいチーム編成である。
 そのセントール達だが、ややそっけない態度で仲間達から距離をとるオルティア・レオガルデ(遠方の風・e85433)のように、半馬状態での参加する者がいる。
 一方で、両手足がサイボーグのようにガジェットパーツのようにしたサクラ・ロクジョウ(ハイスピードスタンピーダー・e85451)のように、人形態をとっている者もいる。
 そして、セントールにとって、エインヘリアルは種族を滅ぼされた天敵である。
「罪人エインヘリアルですか、良いですね。腕が鳴ります」
 戦場を駆ける赤と呼ばれたローゼス・シャンパーニュ(セントールの鎧装騎兵・e85434)としても、願ってもない相手だ。
「我が武勇と脚力お見せしましょう」
 なお、彼はフルアーマーかつフルヘルムという重装備での参戦。二つ名の通り、その全てが赤く彩られている。
「不法投棄エインヘリアルが汚い手で、セントールランスを使うのは腹立たしい」
 自分達の種族が愛用する武器を敵が所持していることに、アルケイアは嫌悪感を抱いていたようで。
「私はランス以外の武器を使いこなして、ゴミ処理してみせますよ」
 善良な農夫と農園を守る為、アルケイアは敵の討伐に意欲を見せるのである。


 程なくして、ケルベロス一行は敵の発見に至る。
 セントールランスを持つ長身の男。エインヘリアル、マイルズ。
 強面の獲物は農園をあちらこちら見回しながら、農園の外に出る場所、そして多数の人間がいる都市部を目指している。
 幸い近場に人の姿はないが、どこかに農園主などがいるはずだと考えたケルベロス達はすぐさまそいつの足止めに向かう。
「……なんだ、これは!?」
 突然降ってきた流星雨のごとき滅びの光を、マイルズは即座に避けてみせた。
 グラビティの関係もあって、サジタリウスコールへと使用変更したサクラ。
 回避はされたものの、敵の気を引けたことでサクラは良しとしていた。
「そこの者! 貴様は匹夫か、それとも戦士か!」
 同時に叫びかけたのは、セントールランを活かしていち早く駆けつけたローゼスだ。
「セントールだぁ……?」
 振り返る敵へ、騎士然としたローゼスは槍を携えて対峙し、さらに続ける。
「戦士なれば、槍を交えよ。でなくば、誹りと背傷を送ろう!」
「あぁ!?」
 その挑発の言葉と戦線布告に、マイルズもややキレ気味に睨みつけてきた。
 そんな敵を、ミント、くるると駆けつけるメンバー達が囲んでいく。
「私達はケルベロスです。安心して退避を願います」
 その輪に加わるアルケイアは拡声器を使い、自分達がケルベロスだとアピールすることで周囲の人々を安心させようとする。
 同時に、別班が一般人の避難に動いていて。
「今のうちに、避難を……」
 スタイリッシュモードで変身したオルティアは目立って敵を引きつけつつ、農園の関係者をこの場から遠ざけようとする。
 それに気づいたユリア・フランチェスカ(慈愛の癒し手・en0009)がオルティアの依頼の元、警察の保護がかなうまでの間、避難誘導を請け負っていた。
 オルティア曰く、被害を出さぬ為、栗を貰う為、とても重要な役どころである。
 さて、その間にもエインヘリアルへの包囲網は狭まってきており、敵を農園から出さぬようにとケルベロス達が囲んでいく。
「退屈でしたら、私達が貴方の相手をしてあげても良いですわよ」
 人々が外に向かって駆けていくのが見えたこともあり、カトレアはその射線を塞ぐ。
「ケルベロス……か、くく」
 すると、少し考えた敵はにやけて。
「てめぇらくらいグラビティ・チェインが豊富なら、問題ねぇな……!」
 槍を構える敵に、サクラは敢えて毒づいてみせて。
「全く、突撃バカは他人に迷惑かけない程度にしたほうがいいんじゃない?」
「はぁ? ビビッてんじぇねぇか?」
 囲まれているにもかかわらず、フットワークを生かして威嚇してくる敵は、サクラの足がややすくんでいることに気づいて。
「なによ、あたしはビビったりなんかしないわよ!」
 定命化し、慣れぬ地球でケルベロスとしての初依頼だ。サクラも思うことがあるのだろう。
「図体に似合わず、よく走る奴だな」
 そこで、長身のセントールにも劣らぬ高身長の八久弦・紫々彦(雪映しの雅客・e40443)が3mもある敵に堂々と言い放つ。
 相手はエインヘリアル。その力は紫々彦にとって申し分ない相手だ。
「二度と走り回れないようにしてやるさ」
 そう告げた彼はこの場の仲間達と共に、エインヘリアルへと仕掛けていくのである。


 罪人エインヘリアル、マイルズ。
 そいつが武器としているのはセントールランスと、その武器を活かした機動力だ。
 ケルベロス達はまず、それを封じることに重点を置き、先手を打つようにして攻め始める。
「いきますわ。覚悟なさいませ」
 クラッシャーとして立ち回るカトレアは高く飛び上がり、薔薇の飾りが着いたブーツで敵を重力が伴った一撃で蹴りつける。
 時間を置かず、ミントもまた頭上から飛びかかって。
「この飛び蹴りを、避けきれますか?」
 ディフェンダーであるミントもまた力の限り、流星の煌めきをエインヘリアルへと見せつけ、その体を強く蹴りつけていく。
「野郎、食らいやがれ!!」
 マイルズも反撃として、ランスを突き出して突撃してくる。
 そこで、間に入ってきたのは緋色の影。紅の鎧を纏うローゼスだ。
 その身を挺して、彼はマイルズのランスインパクトを受け止めてみせた。
「ざけやがって、邪魔すんじゃねぇ!」
「君も地球人の仕事を邪魔しているのでしょう?」
 汚らしい敵の言葉にも、ローゼスは事も無げに反論する。
 そこに激しい吹雪が巻き起こり、マイルズの足元に雪が積もっていく。
「雪しまき、呑まれて消える人影よ」
 相手の動きを奪うべく、紫々彦が吹き荒れる風を浴びせかけていたのだ。
「こんなもの……!」
 それでも、強引に動こうとするエインヘリアルに、紫々彦は笑みを浮かべる。どうやら、戦闘狂の気があるのだろう。
 少しでも、敵の余裕を奪っておきたいと考えるくるる。
 ただ、彼女はチームの回復役としてこの場は立ち回って。
「守護星座よ、皆を護ってあげてね!」
 前線の仲間達の足元へと、くるるは守護星座を描く。
 マイルズが持つセントールランスはこちらにプレッシャーを与え、体に炎を燃え上がらせてくることがあり、彼女はまずその対策をとっていた。
 さらに、セントールのメンバー達も戦場を立ち回る。
 農園内はそれなりのスペースがとれる為、半馬形態で交戦するメンバーが多い。
 仲間達の感覚を研ぎ澄ます為、アルケイアは前列から順にオウガ粒子を振り撒いていった。
 オルティアはというと、素早く動く敵の動きを鈍らせるべく、ドラゴニックハンマーから発射した砲弾をマイルズへと撃ち込んでいく。
「ほらほら、本気でかかってきなさい。こっちはエインヘリアルに馬車馬にされて嫌な気分なのよ!」
 己のトラウマを敵にぶちまけるサクラは、セントール勢で唯一人形態のまま。
 零の術とガジェットの人体融合手術を受けた彼女は、サイボーグのようにガジェットパーツとなった足で素早く戦場を駆け回る。
 そのサクラがセントールランスを虚空に突き出すと、遠距離にいるはずのマイルズを突然発火させてみせた。
「なにっ!?」
 相手が発火に驚いた隙を突き、ローゼスはヒールドローンを展開して仲間達の守りを固めていた。
 孤高の騎士である彼は、チーム戦も遠い年月ぶり。それもあって、戦いの中で手探り感も見せている。
 仲間の援護を受けるカトレアは「艶刀 紅薔薇」を手に飛び込み、マイルズに弧を描くように斬撃を浴びせかけた。
 得意とする高機動戦闘を早くも妨害されて。
「く、くそがああっ……!」
 出鼻をくじかれたエインヘリアルは激高し、ケルベロス達を睨みつけながらランスを突き付けてくるのである。


 ケルベロスから足止めを受け、十全には走れなくなっているエインヘリアル、マイルズ。
 それでも、そいつの動きは非常に素早いが、敵は狙撃役として立ち回っていたことがマイナスに働く。
 クリーンヒットすれば絶大な威力を見せるが、その素早さはキャスター程に生かせぬ状況がある。
 オーラの翼を背に生やし、突撃してくるマイルズ。
「全身真っ黒焦げにしてやんよ!」
「効きませんね、そんな炎なんて」
 炎をこちらに浴びせて些か得意げに笑う敵目掛け、ミントは凍気を纏わせたパイルを突き出す。
「青き薔薇よ、その神秘なる香りよ」
 仲間達が攻撃を続ける間に、再び回復に回るミントは青薔薇の香りを周囲へと振り撒く。
 その神秘的な香りは仲間達の気持ちを落ち着けて癒しをもたらし、マイルズがつけた炎も鎮めてしまう。
「回復はわたしに任せてね!」
 さらに、くるるが周囲へと歌声を響かせて。
「もし願うのなら 願うのなら 引き金を引いてみせてよ……」
 ブラッドスター……生きる事の罪を肯定するメッセージ。
 くるるの歌声は戦う仲間達に力を与える。
 彼女はさらに仲間達へと個別に気力を撃ち出し、万全に戦える状態を維持しようとする。
 また、無事に農園関係者を警察に保護してもらったユリアも、ライトニングロッドを振るう。
 撃ち出された電気ショックによって、彼女は主力として攻撃するメンバーの力を高めていた。
「攻撃は大丈夫か?」
 紫々彦の言葉が示していたのは、戦場を駆け回るマイルズを十分捕捉できるレベルになったかということ。
 皆が問題ないと反応を示せば、紫々彦も威力に重点を置いた攻撃へと切り替え、虚無魔法を発して敵を飲み込もうとしていく。
「ぐうう……っ!!」
 マイルズはそれから逃れられず、球体に引きずり込まれそうになるのを何とか堪える。
 体力を消耗しながら、球体が消えるまで堪えた敵は、さらにメンバー達へと狙いをつけようとしたが。
「無駄です!」
 アルケイアが素早く相手の足元へと惨殺ナイフを突き刺し、足止めすると、速度を高めたオルティアが日本刀を抜き、怒涛の超連撃を見舞っていく。
 全身が傷ついてきたマイルズは明らかに足を鈍らせ、速度も出なくなってきている。
 そこへ、サクラがガジェットパーツとなった足で強烈な蹴りを食らわせた。
 まさに馬に蹴られたかと思うほど強烈な一撃に、マイルズが呻いて。
「はぁ、はぁ、冗談じゃねぇぜ……!」
 折角、シャバに出られたのに、あっさり倒されては……。
 だが、そいつに逃走の機会すら与えず、ローゼスが仕掛ける。
「我が名はローゼス。さしたる名でもないが、死者の泉まで持ってゆけ」
 Aimatinos thyella。
 まるで赤い風が駆け抜けるかの如く、ローゼスは槍を突き出して相手の全身を貫いていく。
 さらに、カトレアがワイルドスペースから克己の残霊を呼び寄せ、一気に仕掛ける。
「その身に刻め、葬送の薔薇! バーテクルローズ!」
 2人の斬撃は薔薇の模様となって逃げようとしたマイルズの身体へと刻み込まれる。
 そして、カトレアが素早く一突きすると、薔薇の花びらが散るかの如く、大きな爆発が巻き起こった。
「ぐおああああぁぁぁぁ……っ!!」
 断末魔の叫び声を上げ、そのエインヘリアルは盛大にこの栗農園へと命を散らしていったのだった。


 エインヘリアルの討伐を終えて。
 ケルベロス達はまず、戦闘の影響を受けた農園へのヒールに当たる。
 カトレアは周囲へとドローンを飛ばし、ミントは戦闘時と同様に青薔薇の芳香を周囲に放ち、ピンポイントでの癒しには気力を撃ち出していた。
 オルティアもまた気力を発し、くるるが歌声を響かせると、程なく栗農園の木々や地面は幻想交じりに修復が完了する。
「助かった。折角だから、ゆっくりしていってほしい」
 避難から戻ってきた農園主達も農園と自分達を救ってくれたことに感謝を示すが、初めて見るセントールにはさすがに驚いていた様子。
 ローゼスは、新たにケルベロスとして加わった自分達セントールの認知を上げようと考えていたが……。
 武人気質であり、孤高の騎士として戦ってきたこともあってか、一般人との交流に戸惑っていたようだ。

 お礼にと貰った栗を使い、くるるは先程の修復作業中に集めていた落ち葉を使い、焼き栗を作る。
「美味しく焼きあがると良いなー」
 それにアルケイアも協力し、落ち葉を集めていた。
 紫々彦もまた自分の分をと仕込む。破裂防止の為、切れ目を入れることを忘れない。
「何かお勧めの料理がありましたら、教えて下さいませ」
 カトレアはその間に、他の料理も口にしたいと希望を出す。
「料理は、あんまり経験が……丸焼きしか……」
 そこで、オルティアが口を開こうとしていたが、なぜか言いよどんでしまっていて。
 焼き栗は仲間達が作ってくれているから、問題なく食べられるだろう。
「……ええと、モンブラン、とか、タルト、とか、その……」
 しかし、それではでは……と、オルティアは自らの食欲には勝てず、ユリアをちらっと視線で訴えかける。
「わかったわ。任せてね」
 微笑むユリアが農園関係者と共に栗料理の調理に入ると、オルティアはほっとしていたようである。
「どこかに、栗のスイーツの作り方の本とか無いでしょうか?」
 それならと農園主の人がくれた本を、ミントはありがたく受け取っていた。
 少しすると、焼き栗も焼けたようで、それらを口にするメンバー達。
 程よく焼けた栗はくるるも会心の出来だったようで、あっさりと平らげて第二陣を作り始めていた。
 香ばしい栗の香りと味わいにほっこりとしながらも、ユリアや農園の人達が次々に料理を運んでくる。
 栗ご飯、甘露煮、栗きんとん。
 そして、デザートとして、栗ようかんにマロンパイや希望のモンブランやマロンタルト。
「ほんのり甘くて、美味しいですわ」
 そんな色々な料理に、カトレアは舌鼓を打つ。
 セントールメンバー達は家に入るのに邪魔になると判断したのか、人形態となってから料理をいただくことにしていて。
「いいですね。程よい味付けで」
 アルケイアも、いただいた一つ一つの栗料理を絶賛する。
 オルティアは少し仲間と距離をとっていたが、それらの料理を遠慮なく、美味しそうに食べていたようだ。
「ちょっと、この栗ご飯スゴク美味しいじゃない!」
 そして、サクラも地球の食べ物の味をこれでもかと堪能していて。
「おかわり貰っちゃおうかしら」
 お腹いっぱいになるまで栗料理を口にし、その味わいを楽しむのだった。

作者:なちゅい 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2019年11月21日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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