これからの時代、BLより百合!

作者:ゆうきつかさ

●都内某所
「いいですか、皆さん! これからの時代、BLより百合です! そもそも、漢なんて汚らわしい! 触れるのも、見るのも、嫌なモノ。そんなモノに、身体を触れられ、喜ぶこと自体ありえない事ですわ。故に、百合ッ! 百合こそが至高ッ!」
 ビルシャナが都内某所にある百合園に女性信者達を集め、自らの教義を語っていた。
 女性信者達はビルシャナによって、洗脳されているため、みんな一糸纏わぬ姿でウットリとした表情を浮かべ、甘えるようにして、その肌に舌を這わせていた。

●セリカからの依頼
「マサムネ・ディケンズ(乙女座ラプソディ・e02729)さんが危惧していた通り、ビルシャナ大菩薩から飛び去った光の影響で、悟りを開きビルシャナになってしまう人間が出ているようです」
 セリカ・リュミエール(シャドウエルフのヘリオライダー・en0002)が、教室ほどの大きさがある部屋にケルベロス達を集め、今回の依頼を説明し始めた。
 ビルシャナが拠点にしているのは、都内某所にある百合園。
 女性信者達はビルシャナによって洗脳されており、同性しか愛す事が出来なくなっているらしい。
 また百合園には甘いニオイが漂っており、少し嗅いだだけでもイケない気持ちになってしまうようである。
「今回の目的は、悟りを開いてビルシャナ化した人間とその配下と戦って、ビルシャナ化した人間を撃破する事です。ただし、ビルシャナ化した人間は、周囲の人間に自分の考えを布教して、信者を増やしています。ビルシャナ化している人間の言葉には強い説得力がある為、放っておくと一般人は信者になってしまうため、注意をしておきましょう。ここでビルシャナ化した人間の主張を覆すようなインパクトのある主張を行えば、周囲の人間が信者になる事を防ぐことができるかもしれません。ビルシャナの信者となった人間は、ビルシャナが撃破されるまでの間、ビルシャナのサーヴァントのような扱いとなり、戦闘に参加します。ビルシャナさえ倒せば、元に戻るので、救出は可能ですが、信者が多くなれば、それだけ戦闘で不利になるでしょう」
 セリカがケルベロス達に対して、今回の資料を配っていく。
 どうやら、ビルシャナは男性だけでなく、男性の形をしたモノも毛嫌いしているため、そう言った道具を使い、教義を否定する事も可能なようである。
「また信者達を説得する事さえ出来れば、ビルシャナの戦力を大幅に削る事が出来るでしょう。とにかく、ビルシャナを倒せば問題が無いので、皆さんよろしくお願いします」
 そう言ってセリカがケルベロス達に対して、ビルシャナの退治を依頼するのであった。


参加者
秋芳・結乃(栗色ハナミズキ・e01357)
白雪・まゆ(月のように太陽のように・e01987)
盟神探湯・ふわり(悪夢に彷徨う愛色の・e19466)
九条・カイム(漂泊の青い羽・e44637)
山元・橙羽(夕陽の騎士妖精・e83754)
 

■リプレイ

●フィルターの向こう側
「これからの時代は、BLより百合ですか。これまた随分と変わった教義ですね」
 白雪・まゆ(月のように太陽のように・e01987)は事前に配られた資料に目を通した後、仲間達と共にビルシャナが拠点にしている百合園にやってきた。
 百合園は既に閉鎖されてしまっているが、奥の方から濃厚な百合のニオイが漂っており、息をするだけでも頭がクラクラする程だった。
「わたしも可愛い子が大好きだから、百合を否定する気はないけど、鳥の支配っていうのはいただけないかな。でも、鳥を倒して、支配から卒業させた上で、それでもしっかり百合好きだったら、それはそれでありだよねっ!」
 秋芳・結乃(栗色ハナミズキ・e01357)が、含みのある笑みを浮かべた。
 結乃の場合、男性も好きだが、女性も嫌いという訳ではない。
 そういった意味でも、たまには女性も……と言う考えが脳裏を過ったようである。
「ふわりはねー、男の子も女の子も好きなの! 女の子を好きって気持ちも分かるけどー、男の子の良さを知らないのは、勿体ないなーって思うの!」
 そんな中、盟神探湯・ふわり(悪夢に彷徨う愛色の・e19466)が、自分の考えを述べた。
 ある意味、そう言った意味で、ビルシャナは、人生の半分を損しているようなモノ。
 本来であれば、得るべき悦びをスルーしているため、ふわりからすれば残念で仕方がない。
「恋愛対象は人それぞれ。僕には、まだちょっと早いような気もしますが……。女性同士のガチな同性愛ばかりでなく、軽めの恋愛感情に近い友情ものでも『百合』の範疇だとか。男性同士を指す『薔薇』という隠語の考案者さんが考えた対義語だそうです。もっと詳しく調べようとしたら、18歳未満禁止とかでフィルタリングかかっちゃったけど……」
 山元・橙羽(夕陽の騎士妖精・e83754)が、苦笑いを浮かべた。
 おそらく、真実はフィルターの向こう側。
 そこを閲覧する事が出来れば、もっとハッキリしたことが分かるかも知れない。
 だが、そのためにはあまりにも時間が無さすぎる。
 それでも、いずれフィルターの向こう側を……。
 そんな気持ちが橙羽の心に芽生えた。
「理由は何であれ、女性信者達を正気に戻して救出しておくべきだな」
 そう言って九条・カイム(漂泊の青い羽・e44637)が、覚悟を決めた様子で百合園に足を踏み入れた。

●真実は百合の中
「あら、可愛らしい蝶……だけではないようねぇ」
 ケルベロス達の存在に気付いたビルシャナは、殺気立った様子で男性陣を睨みつけた。
 ビルシャナにとって、百合園は男子禁制。
 故に、男性は排除すべきモノ。
 途端に膨らんだ爆発的な殺意を抑えつつ、一糸纏わぬ姿の女性信者達を守るようにして陣取った。
「ふわりねー、女の子好きなの♪ だからぁ、一緒に気持ち良くなれたら嬉しいのー♪」
 そんな空気を察したふわりが、百合に興味がある女の子を装い、ビルシャナの前に陣取った。
 しかも、濃厚な百合のニオイを嗅いだせいで、全身トロトロ。
 まるでお漏らししたような状態になりつつ、トロンとした表情を浮かべて、傍にいた女性信者にキスをした。
「んあ……んんっ!」
 最初は女性信者も戸惑っていたものの、ふわりのキスがあまりにも上手であったため、まわりの目も気にせず、舌を絡ませていた。
「んふふ、これは、これ! やっぱり、百合はいいわね!」
 そんなふたりを眺めながら、ビルシャナがウンウンと頷いた。
「……と言うか、さすがに全裸は、ちょっと……。女の子なんだし、可愛いお洋服を半脱がし、とか、靴下だけは履かせないと、とか、そういうの、とっても大事だと思うのっ」
 それとは対照的に、結乃が視線のやり場に困りながら、小さくコホンと咳をした。
「本当に、そうかしら? だって、服なんて邪魔だし、このままでいいわ」
 だが、ビルシャナはまったく考えを改めず、傍にいた女性信者の顎をしゃくり、愛おしそうにクチバシを擦り寄せた。
 それだけで女性信者は、ウットリ。
 めくるめく百合の世界に、躊躇う事なく身を委ねた。
「……良い訳ないだろ。それに、服を着ないと、風邪を引く」
 すぐさま、カイムがビルシャナ達とは視線を合わす事なく、バサッと上着を投げつけた。
「きゃあ、汚らわしい!」
 それに驚いたビルシャナ達が、上着を中心にして、ささっと離れていった。
 どうやら、みんな男性アレルギーらしく、全身にゾワッと鳥肌が立っており、誰一人として近づく者はいなかった。
「そういえば、男嫌いだったな。まあ、百合そのものを否定する気は無い。むしろ有りだと思う。ついでに言うと、女の子同士でイチャついてる所に乱入して台無しにする男絶許明王だし。なんなら今日一日、女性には直接触らないと宣言しよう」
 カイムが色々と察した様子で、ビルシャナ達に誓いを立てた。
「そんな事を言って、私達のわがままボディを堪能する気でいるんでしょ! 目を見ればわかるわ! あなた達が女に飢えたケダモノだって!」
 ビルシャナは何やら確信した様子で、一方的にカイムを批難した。
 だが、それは単なる思い込み。
 何の根拠もなく、難癖をつけているだけだった。
 それでも、女性信者達はビルシャナの言葉を鵜呑みにしており、親の仇と言わんばかりの勢いで、カイム達に対して敵意を剥き出しているようだった。
「そう言えば地球の全人口って、男女比が完全な50%ずつじゃなくて、わずかに男性の方が多いらしいですよ。定命化すれば男同士・女同士で子供が産めるようになるのかと思えば、全然そんな事無いそうですね……。そうなると、男性を排除しちゃったら、どう子孫を残すんですか?」
 そんな中、橙羽がカンニングペーパーを見つつ、ビルシャナに対して疑問を投げかけた。
「そんな事は、どうでもいいでしょ! その時は、その時。きっと、何かイイ感じの技術が開発されて、まったく問題が無くなっているものだから! それに、誰だって、綺麗なモノや、可愛いモノだけ見たいでしょ!」
 ビルシャナが逆ギレした様子で、鼻息を荒くさせた。
 まわりにいた女性信者達も、何故か逆ギレ。
 自分達が法だと言わんばかりに苛立っていた。
「確かに、綺麗なモノや、可愛いモノを見たいとは思いますが……」
 まゆがビルシャナ達の教義に、多少なりとも理解を示した。
「でしょー!」
 だが、その言葉が引き金となって、女性信者がまゆに飛び掛かり、問答無用で服を脱がせて、ブラあとをなぞるようにして舌を這わせてきた。
「皆おいでー、なの」
 それを見たふわりも何やらモンモンとした気持ちになり、まわりにいた女性信者達を手招きすると、みんな纏めて相手をした。
「それはさておき、女がみんな女同士でくっついたら、余った男も男同士でくっつくしか無いだろ」
 その途端、カイムが橙羽の腰に手をまわし、思わせぶりな態度で髪を撫でた。
「こんなイケメンに誰も寄り付かないなんて勿体無いと思いますけどね」
 それでも、橙羽はまったく気にせず、ビルシャナに見せつけるようにして、カイムに身体を擦り寄せた。
「ンマー、不潔よ、不潔! だから、それが問題なのよ! やっぱり、百合! 百合しかないわ!」
 ビルシャナが傍にいた女性信者を抱き寄せ、見せつけるようにした長い舌を絡ませた。
「百合好き、っていっているくせに、わたしに襲われて果てたりしたら、アイデンティティ崩壊、だよね。これで果てるようなら、百合好きを撤回しないと……」
 結乃もビルシャナに覆い被さり、舌と手でビルシャナの敏感な部分を、激しく執拗に攻め立てた。
「べ、別に女性同士なら、何の問題も……」
 ビルシャナがピチャピチャと湿った音が響く中、恥ずかしそうに頬を染めた。
 しかも、まったく抵抗する気がないのか、結乃を迎え入れるようにして、湿り気を帯びた羽毛のナカに誘った。
「これね、すっごく気持ちいのー♪ 一回だけ、試して欲しいの……♪」
 一方、ふわりは男性器の形をしたモノを腰に装着し、女性信者達に迫っていった。
「そ、それは……駄目です!」
 その途端、眼鏡を掛けた女性信者が、激しく動揺した様子で、ふわりの愛を拒絶した。
 しかし、その言葉に反して、イケない水溜りが広がっており、少し足を動かしただけで、クチュッと湿った音が響いた。
「大丈夫なのー、怖くないのー」
 それでも、ふわりはまったく気にせず、眼鏡を掛けた女性信者の股間に指を滑らせ、クチュクチュと音を響かせた。
「んあっ! ダメ!」
 これには眼鏡を掛けた女性信者も、激しく動揺したのか、ふわりの手を挟み込むようにして内股になったものの、余計に身体が敏感に反応してしまい、恥ずかしい水溜りが、さらに広がっていった。
「こっちもイイ感じなのー」
 ふわりも眼鏡を掛けた女性信者を抱きかかえ、自らのモノを滑り込ませるようにして奥まで挿れた。
 それがあまりにもスムーズであったため、そのまま激しく腰を打ち付け、二人で一緒に絶頂に達して潮を吹いた。
「んあ……んくっ! はあはあ……」
 その横で、まゆも女性信者達に襲われ、抵抗する事が出来ないような状態で、耳、頬、手足の指先、胸、腋、脇腹、へそ、背中、太股、ふくらはぎ等を攻められ、腰が抜けそうな勢いで甘い声を響かせた。
 それだけでは女性信者達も満足する事が出来なかったのか、指を滑り込ませるようにして穴と言う穴を塞ぎ、卑猥な音を響かせた。
 そして、ビルシャナ自身もそんなまゆ達を眺めながら、結乃のテクニックに屈して、盛大に潮を吹くのであった。

●果てる時も逝く時も
「さて……」
 そんな中、カイムがイケない行為でヘトヘトになっていたビルシャナの前に陣取った。
「な、何よ、汚らわしい! 私に少しでも触れたら、容赦しないわよ!」
 その視線に気づいたビルシャナが、殺気立った様子で胸元を隠した。
「これなら、触れる必要もないな」
 すぐさま、カイムがプラズムキャノンを放ち、圧縮したエクトプラズムで作った大きな霊弾で、ビルシャナの身体を撃ち抜いた。
「触れなきゃいいって訳でもないし!」
 ビルシャナがプラズムキャノンの直撃を喰らって、悲鳴にも似たツッコミを入れた。
 だが、身体を撃ち抜かれた痛みのせいで、妙な震えが止まらず、身体がグラつき、言葉より先に大量の血が口から吐き出された。
「百合を推しといて他のLGBT差別しちゃ本末転倒でしょ拳ー!」
 それに合わせて、橙羽がグラインドファイアを放ち、炎を纏った激しい蹴りを放った。
「……って、拳じゃないし!」
 これにはビルシャナも、即座にツッコミ。
 思わずツッコミを入れて、涙目である。
「ちょっと、そこ! うるさいのー!」
 その途端、ふわりがプンスカと怒った様子で、猟犬縛鎖を放ち、ビルシャナの動きを封じ込めた。
「んな!? 何をするの!?」
 ビルシャナが半ばパニックに陥った様子で、ふわりをジロリと睨みつけた。
 しかし、ふわりは女性信者達とイケない事をするのに夢中で、ビルシャナの言葉が耳に届いていない。
「一撃必砕! 全・力・全・開っ!」
 次の瞬間、まゆがCentrifugal Hammer(セントリフューガルハンマー)を仕掛け、全力ダッシュでビルシャナに迫るようにして一回転すると、遠心力を乗せた一撃を叩き込んだ。
 それは『叩き潰す』という言葉が、もっとも相応しく思えるほど強烈な一撃ッ!
 故にビルシャナが悲鳴をあげる余裕すらなく、肉の塊と化して崩れ落ちた。
「鳥はいなくてしまったけど、百合好きなみなさんに、しっかりたっぷり、満足してもらいたいな。その代わり、お洋服は、全部脱がせないで欲しいけど、ね」
 そう言って結乃が女性信者達を見つめて、含みのある笑みを浮かべた。
 女性信者達は未だに洗脳が解けていないのか、結乃の誘いに乗って、再び互いを求め始めた。
「みんな……凄い……」
 まゆもまんざらではない様子で、女性信者達の宴に加わり、濃厚なキスをしながら、お互いを慰め始めた。
「……」
 そんな中、カイムが百合園にヒールを施した後、その場を後にするのであった。

作者:ゆうきつかさ 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2019年10月23日
難度:普通
参加:5人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 1
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