七夕防衛戦~鏡合わせなモザイク紳士

作者:雪見進

 ここは何処だろうか。ドリームイーター寓話六塔・ポンペリポッサが、別のドリームイーターへと指示を出している。それは、言葉ではなく形容しがたい何か。恐怖を覚えるか、それとも安心を感じるか、様々だろう。その指示を受けるのは、二体のアフロのような髪型をし紳士的な服を着たドリームイーター・バランとギャラン。双子のドリームイーターらしいが、分かっている事はほとんど無い謎のドリームイーター。しかし、寓話六塔の指示を受けたようで、鏡合わせのような綺麗な会釈を見せる。
「承知!」
「承知!」
 綺麗に響くバランとギャランの言葉に満足そうな雰囲気のポンペリポッサ。
 そのまま、東京都港区の方向へと向かうバランとギャラン。二体のドリームイーターがどんな指示を受けたか分からない。その顔はモザイクに包まれ表情も分からない。
 しかし、そんなバランとギャランの動きは、紳士という言葉が当てはまるような動き。
 そのまま、二体のドリームイーターが鏡合わせの動きのまま、港区の方向へと消えていくのだった……。

「七夕の魔力を利用してドリームイーターが動くのではないかと警戒していた、レーグル・ノルベルト(ダーヴィド・e00079)さんが、日本各地に潜伏していたドリームイーターが、ダンジョン『ジュエルジグラットの手』に向けて移動を開始しようとしている事を突き止めてくれました」
 メモを手に、ケルベロスたちへと説明をしているのはチヒロ・スプリンフィールド(ヴァルキュリアのヘリオライダー・en0177)。本来、七夕というのは楽しい行事のはずなのだが、デウスエクスによって事件が発生しようとしている事に、少し憤りを感じている様子でもある。
 一呼吸いれてから説明を続けるチヒロ。
「とっても沢山のケルベロスの皆さんが、ダンジョンを制覇した事でゲート周辺に変化があった様子です。分たれた2つの場所を繋げる七夕の魔力によって、寓話六塔の鍵で閉ざされたドリームイーターのゲートが開かれようとしているらしいのです」
 七夕は、織姫と彦星が一年に一度出会える日。その想いや願いが影響を及ぼしているのだと思われる。
 ちなみに、参考資料という事なのか、七夕関連の書籍がチヒロの横に並んでいる。子供向けから様々と読んだ様子。
「ドリームイーター勢力は、ゲートの封鎖を維持し、ケルベロスを寄せ付けないようにと、戦力を集めています。皆さんには、この集結する強敵たちを迎撃して撃破をお願いします」
 戦力が集まれば危険も増す。集結前に各個撃破出来れば、ドリームイーター勢力の力を削ぐ事も出来るだろう。
「集結するドリームイーターを撃破する事が出来れば、7月7日に開かれるゲートへの逆侵攻すら可能かもしれません」
 さらに、その先の説明を続けるチヒロ。先の事は分からないが、ゲートへ侵攻出来れば平和へとまた一歩進む事が出来る。
「そして、皆さんに迎撃をお願いするするドリームイーターなのですが……」
 続けて、倒すべきドリームイーターの説明に移るチヒロ。
 しかし、実際に相手の正体は不明。分かっているのは、バランとギャランが双子であるという事だけ。それ以外、詳細不明のドリームイーターなのだ。
 二体が並ぶと、左右が反転したかのような姿に見える。青い方がバランで、緑色の方がギャラン。紳士のように見える服装にアフロヘアーとちぐはぐな印象もあるが、その戦闘力は低く無い。
 双子だからか、息のあった動きでコンビネーション攻撃を繰り出して来る。手に持つ杖をフェンシングような動きで操り攻撃してくる。その攻撃は、フェアリーレイピアに酷似した攻撃となっている。
「ドリームイーターが集結すると怖い事が起こりそうな気がします。出来る限り撃破して、大きな戦力にならないようにしましょう」
 そう言って、後を託すチヒロだった。


参加者
ノーフィア・アステローペ(黒曜牙竜・e00720)
ティファーナ・ティヴァイノリ(オラトリオのミュージックファイター・e04698)
リュセフィー・オルソン(オラトリオのウィッチドクター・e08996)
ハル・エーヴィヒカイト(閃花の剣精・e11231)
セレネー・ルナエクリプス(機械仕掛けのオオガラス・e41784)
那磁霧・摩琴(医女神の万能箱・e42383)
エリザベス・ナイツ(フリーナイト・e45135)
 

■リプレイ


「今年も動いたわね、ポンペリポッサ。去年と違って、今年は攻める為の戦いだけど、負けるつもりはないよ」
 静かだが、強い決意を胸に気合を入れる那磁霧・摩琴(医女神の万能箱・e42383)。今回のドリームイーターの動きの背後で暗躍している『寓話六塔』の一人、ポンペリポッサ。今回の騒動でその影が見えている。その影を踏める機会が近いのかもしれない。
「ドリームイーターは久しぶりだね。楽しませてもらうのだよ!」
 対して、楽しそうな様子なのはノーフィア・アステローペ(黒曜牙竜・e00720)。相棒のボクスドラゴン・ペレはくるっと一回転して、やる気を見せる。
「双子のドリームイーターですか……初めてのパターンですね……」
 今回、倒すべきドリームイーターはバランとギャランという双子という、ちょっと珍しいタイプのドリームイーター。リュセフィー・オルソン(オラトリオのウィッチドクター・e08996)は、珍しいタイプだからこそ、気を引き締める。
「コンビネーション抜群みたいだけど……こっちだって一緒に戦っている仲間が一緒よ!」
 バランとギャランはコンビネーションを得意とするドリームイーターらしい。エリザベス・ナイツ(フリーナイト・e45135)の言う通り、今まで戦ってきた仲間と一緒なのだ。連携で劣るわけにはいかない。
「双子か。色々思い出すわね」
 そんなドリームイーターを気にしながら、過去を回想するセレネー・ルナエクリプス(機械仕掛けのオオガラス・e41784)。
(「私が姓を捨てて《月蝕》を名乗りだしたきっかけだし……。月蝕の時、月は地球の影に入り、太陽から隠れていられる。それ故の《月蝕》の名乗り……」)
 しかし、それも一瞬。頭を振り、過る気持ちを振り払う。
 そんな様々な想いを重ねる中で、他の者たちと合図を確認しているのは、ティファーナ・ティヴァイノリ(オラトリオのミュージックファイター・e04698)。少し緊張している様子だが、同じケルベロス同士、言葉を交わすうちに段々と緊張が解れていく様子。

 そんなケルベロスたちが待ち構える場所へと、怪しいモザイクが近づいていた……。
「ほう……待ち伏せですか……」
「そうですか……」
 そんな気合いを入れるケルベロスたちが待っていた場所は、周囲に被害を出す事のない公園。『ジュエルジグラットの手』へ向かうバランとギャランを待ち伏せていた。
「……今は向かうべき場所があります」
「その為に、貴方達を排除させていただきます」
 バランとギャランは、ケルベロスたちに気付くと、すぐに戦闘体制を取る。
 ステッキを一回転させ、フェンシングのような構えを取るバランとギャラン。その動きは、虚空に鏡でもあるかのような鏡合わせの動き。
「双子の夢喰いか。ならば、まずはその連携を断つ」
 一糸乱れぬ動きに、警戒しながら同じく武器に手を置くハル・エーヴィヒカイト(閃花の剣精・e11231)。そして、剣を抜きながら声を上げる。
「状況開始。速やかに標的ドリームイーターを撃破する。皆全力を尽くすぞ」
「これを乗り越えて、脅威を一つ排除するんだから!」
 ハルと摩琴の声が戦いの火蓋を落とす。
「貴方達を排除し……」
「手土産とさせていただきます!」
 口調や服装が紳士的だが、その顔は不気味なモザイクに包まれた双子のバランとギャラン。二人がステッキを鳴らし襲いかかってきた!


「作戦指揮官の力を見せてあげる!」
 バランとギャランに対峙すると共に、殺気を放つ摩琴。この場に近づく一般市民が現れない事への念のための対処だ。
 同時にエクトプラズムで擬似肉体を作り、エリザベスやハルたちの身体を強靭にする。
「黒曜牙竜のノーフィアより、鏡写しのバランとギャランへ。剣と月の祝福を!」
 ノーフィアの名乗りに、答えるバランとギャラン。
「ならば、こちらも……」
 ステッキを垂直に立て、軽い会釈と共に、バランとギャランが名乗る。
「私はバラン。ギャランの双子の兄にて候!」
「私はギャラン。バランの双子の弟にて候!」
 まさに一糸乱れぬ鏡合わせの動きを見せるバランとギャラン。
「さあ、力を尽くそう。負けた時に言い訳する気も起きぬくらいに!」
「それは……」
「こちらの言葉……」
 ドラゴニックハンマーを構えるノーフィア。しかし、それよりも早く、バランとギャランが動く。周囲にモザイクの薔薇が舞ったかと思うと、連続で響く剣戟の音と共に、バランとギャランがノーフィアの背後へと移動していた。
「見事……」
「賛辞を送る……」
 モザイクに視界を阻まれ、はっきりと確認出来なかったが、バランとギャランが鏡合わせに交差し、ノーフィアに凄まじい数の刺撃を放つも、それを、翼で受け……体捌きで避け……耐えたのだ。
「軽いよ!」
 そのまま反撃に移るノーフィア。一瞬、ティファーナに視線を送ると、それに答えティファーナも動く。
「その合図は、これだね☆」
 ノーフィアの視線による合図を受け、楽しそうな声と共にアームドフォートを展開、バランとギャランに接敵するノーフィアに援護射撃をすると共に、ヒールドローンを展開させる。
「繋ぐよ!」
 ティファーナの援護を受け、そのままドラゴンスマッシュを繰り出すノーフィア。
 魔杖鞘『龍の顎門』ドラゴニックハンマーのドラゴニックパワーを噴出させ、加速したハンマーをそのままバランへと叩き込む。
 そこへ連携を重ねるエリザベスとハル。
「こっちだって連携は得意なのよ!」
 一瞬だけハルに視線を送ってから、距離を詰めるエリザベス。
「連携に自信があるのは、お前達だけではない」
 ハルとエリザベスが連携の取れた動きを見せる。
「そのアフロごと叩き割ってあげますよ!」
 紳士的な服装と共に特徴的なバランのアフロを狙い、大きく跳躍するエリザベス。
「このアフロは伊達ではない!」
 何を言っているのか分からないが、顔面のモザイクをアフロまで大きくし、エリザベスの攻撃に耐えるつもりか。
「くらぇ!」
 そのまま、モザイク化したアフロに叩き込まれるルーンアックス・ナイトブレイカー。
「……なんだとぉ!」
 モザイクアフロにルーンアックスがぶつかったとは思えないような、形容し難い音が響いたかと思うと、バランのアフロが少々削れる。
「なんだとぉ!」
 ダメージを受けたバランではなく、ギャランが声を上げる。しかし、それも一瞬。削れたアフロはモザイクにより元に戻り、ギャランは冷静さを取り戻す。
「よし、クール。互いに同じアフロ。オーケー!」
「そうだ、同じだ、オーケー」
 謎な会話を行うバランとギャラン。そんな会話を完全に無視して、バランを側面から斬りかかるハル。
「剣の扱いに自信があるのはお前達だけではない。さあ、競い合うとしよう」
「ならば、お相手しよう!」
 さきほどまでの動揺は一瞬で消え、ステッキを剣のように操り、ハルと打ち合う。
「夢幻残像!」
 一瞬の構えから顔面からモザイクが溢れ、残像と共に、ハルへと無数の刺撃を放つバラン。
「させるか!」
 無数の刺撃を受け流しながら武器に呪詛を載せ、刺撃を受け流す流れの中で、美しい軌跡を描きながら、バランへと斬撃を繰り出す。
「見事……」
 互いにダメージを受けながら、一歩距離を取るバランとハル。
「こっちもだ!」
 反対側のギャランへ距離を詰めていたのは、セレネー。流星の力を込めた蹴りでギャランの足止めに尽力していた。
「とにかく、動きを止めないと話しにならないわ」
 牽制の中でも、バランとギャランの動きを阻害する攻撃を入り交ぜながら、課された役割を果たすセレネー。
「一度距離を取るわよ!」
 混戦となってきた戦場に、雷の壁を構築するリュセフィー。
「……なるほど」
「……そうですね」
 ケルベロス側の意図を理解したバランとギャラン。混戦乱戦では、互いの連携は発揮出来ない。リュセフィーの雷の壁で耐性を高めるケルベロスたち。
 対して、顔面のモザイクを強大化させ、互いのダメージを回復させるバランとギャラン。
 互いに相応のダメージを負っている。しかし、戦況としてはケルベロス側が一歩押している感じだ。
 そのまま、お互いの連携を崩せぬまま、戦いは続くのだった……。


「やはり、貴方達は脅威……」
「せめて、一人の首だけでも……」
 ケルベロスたちの連携は、バランとギャランの連携を上回るほどではない。しかし、ダンスを踊る訳では無い。必要なのは勝利する事。
 ケルベロスたちの力量は少しであったが二体のドリームイーターを上回っている様子。
「油断は禁物だな」
 ハルの言葉は仲間へかけた言葉か、それとも自分への言葉か。
「無論ですよ!」
 エリザベスが答える。戦況はケルベロス側が有利。しかし、ちょっとの油断で戦況など一転する。
 そんな仲間たちの集中力を途切らせない為に、摩琴が動く。
「親愛なる仲間たちに期待を、希望を掴む集中力を」
 ガンベルトに備え付けられている薬瓶を仲間たちへと投げる。同時にレンギョウの香りが周囲に漂う。
「香れフォーサイシア!」
 その香りは、細胞を賦活させダメージを癒すと共に、反射神経を活性化させる。
「ありがとね。まこちゃん!」
 摩琴の支援を受け、勝機を見たエリザベス。一瞬、過去の戦いが脳裏を過ぎり、放つグラビティを決める。
「かぶとわりっ!!」
 鋼鉄の覇王にグラビティを込めて、バランへと振り下ろすエリザベスの必殺剣!
 その斬撃は、鋼鉄の如き硬度を誇る謎のアフロを真っ二つに両断する威力を誇る。
「……まだだ」
 謎のアフロが両断され、顔面のモザイクも半分に削られているのに、動きを止めぬバラン。
「全力を出させてもらう」
 エリザベスの攻撃に重ねようと動くハル。
「そうは……」
「させません……」
 しかし、バランとギャランが強引に割り込み、ハルの攻撃を封じるように、刺撃を繰り出す。バランとギャランの杖が、モザイクを放ちながら、残像と共にハルへと刺撃を繰り出す。バランの身体が左から、ギャランの身体が右から、鏡合わせの動きでハルを挟撃する。
(「二人の動きが鏡写しなら、もしかして片方の動きを追ったら、もう片方の立ち回りは見なくても分かるかも?」)
 摩琴は直感を信じ、二体のドリームイーターの動きに惑わされず、バランの動きを注視する事で、その動きを読み切る。
「左下段からくるよ!」
「よし、任されたよ!」
 摩琴の判断に動いたのはノーフィーア。
「よっしペレ、あっちは任せた」
 左のバランをノーフィアが、右のギャランはペレが攻撃を受け、仲間を庇う。
「合わせるよ、ペレ!」
 そのまま反撃を繰り出すノーフィア。ペレと呼吸を合わせ、ペレの封印箱を後ろから蹴りボクスタックルでギャランを牽制、ノーフィア自身はドラゴニックハンマーでバランの杖を弾くと共に、バランの背後を指差す。
「我、流るるものの簒奪者にして不滅なるものの捕食者なり」
 バランの背後に描かれた魔法陣が漆黒の球体を形成する。
「然れば我は求め訴えたり、奪え、ただその闇が欲する儘に」
 漆黒の球体とノーフィアの直線上にいるバランが漆黒の球体へと吸い寄せられ、圧壊させる。
「グハァ!」
 まだ形を保つドリームイーターへと攻撃を集中させるケルベロスたち。
「……」
 一瞬だけ、セレネーに視線で合図を送ってから、オラトリオの翼を広げるティファーナ。開いた翼から、聖なる光を放ち、ドリームイーターたちへと攻撃する。
「さあ、終わりの時よ! 覚悟!」
 ティファーナの聖なる光に重ねるように、翼を広げるセレネー。
(「義骸装甲を外した今は、飛ぶことも必殺技を使うことも出来ない。もどかしいわ」)
 もどかしさを感じながらも、翼から聖なる光を放つセレネー。
 ティファーナとセレネーの放つシャイニングレイ。聖なる光がバランとギャランへ降り注ぎ、その罪を直接貫く。
「いきますよ」
 ミミックがエクトプラズムで作り出した武器は、リュセフィーに合わせグレイブ。ミミックのグレイブの攻撃に合わせ、稲妻のような高速の突きを繰り出すリュセフィー。
「我が内なる刃は集う。無明を断ち切る刹那の閃き……」
 詠唱と共に、殺界を起点に、無数の剣を内包する領域を展開させるハル。
「絶望を切り裂く終わりの剣……!」
 具現化した刀で、逆袈裟懸に斬撃を繰り出すハル。斬撃の途中で刀から手を離し、領域から別の剣を抜き、ギャランへ突き刺し、抜く事も無く再び剣から手を離し、別の刀で袈裟懸けに切りつける。それを舞うような動きで繰り出すハル。
「グゥ!」
 無数の剣に貫かれながらも、抵抗するギャラン。杖を構え、多数の斬撃の刺撃を少しでも弾くが、それ以上に舞うように繰り出されるハルの斬撃になす術なく傷を増やしていく。
「久遠の刹那ッ!」
 繰り出す斬撃に、よろめくギャランへと必殺の一撃。多数の刀剣を領域に内包しているハルの決戦奥義。
 無数の剣がギャランへと一斉掃射され、多数の刀剣がギャランの身体を貫く。
「……さよならだ」
 貫く多数の刀剣の二本に手をかけ、そのまま両断。
 次の瞬間、両断されたギャランの身体はモザイクの欠片となり消滅し……同時にかろうじて形を保っていたバランも消滅した。
 ケルベロスたちの勝利だ!


「良かった……これでドリームイーターの企みを阻止出来ましたね」
 リュセフィーは静かに呟く。何のために『ジュエルジグラットの手』へ集まろうというのか詳細は不明だが、ドリームイーターのゲートに関する事なのは間違いない。それを防げたのだ。今は作戦の成功に一息付いてもいいだろう。
「きっと、七月七日にはみんな願いと共に、空を見上げるなら……みんなが楽しく、その日を迎えることが出来るようになりますように……」
 そっと、空へと願いを込めるエリザベス。
「……」
 そのエリザベスとは対照的に、消滅した双子のドリームイーターに少し想うところがあるセレネー。しかし、すぐにそれを振り払うように歩き出す。
「気分転換に公園をお散歩しない?」
 そんなセレネーの様子も含め、少し気持ちを緩衝させようというのか、散歩を提案する摩琴。
「うん、行こうまこちゃん」
「駅の方で何かお祭りをやってるみたいだよ☆」
 摩琴の誘いに喜んで歩き出すエリザベスやティファーナたち。
「七夕かー。笹飾りとかお菓子買っていこうか。……かりんとうだっけ?」
 その隣を歩きながらペレと一緒に首をかしげるノーフィア。
「任務は完了だ。散歩もいいが、あまりのんびりしすぎるなよ」
 散歩に向かう者を見送りながら、他のケルベロスたちと連絡を取り状況把握に移るハル。
 戦いの中では、あれだけ連携を取っていたケルベロスたちだが、戦いが終われば結構自由気まま。安堵する者、季節事に想いを馳せるもの、次の戦いに備える者、本当に様々だ。
 ある意味、それこそがケルベロスたちの強みなのかもしれない……。

作者:雪見進 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2019年7月7日
難度:普通
参加:7人
結果:成功!
得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 3
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