紐パンこそ至高なりッ!

作者:ゆうきつかさ

●都内某所
「この世には二種類の人間がいるッ! それは紐パンツを穿いている人間と、穿いていない人間の二種類だ。そもそも、何故そんな分類をしたのか、お前達に分かるか?」
 ビルシャナが信者達を前にして、自らの教義を語っていく。
「そ、それは……ビルシャナ様が……その……紐パンツを……好き……だからですか?」
 いかにも気の弱そうな信者が答えを返す。
 その途端、自分がとんでもない事を言ってしまったと自覚したのか、いかにも気の弱そうな信者が慌てた様子で自らの口を塞ぐ。
「……」
 一瞬の沈黙。
 ビルシャナが険しい表情を浮かべた後、静かに目を閉じ……時を待つ。
 その空気に飲み込まれそうな勢いで、誰かがゴクリと唾を飲み込んだ。
「……正解ッ!」
 ビルシャナがキリリとした表情を浮かべた。
「よ、良かった……」
 これには信者達も、安堵の溜息。
 そもそも、さっきのタメはいるのか、いらないのか、小一時間ほど話し合いところだが、とりあえずスルー。
「……と言う訳で、この世界を紐パン一色の染めようと思う」
(「……随分と唐突なッ!」)
 ビルシャナの言葉に、信者達が驚いた。
 だが、ビルシャナの暴走は止まらない。
 この世界を紐パン色に染め上げるため、ビルシャナ達は市街地に繰り出すのであった。

●セリカからの依頼
「ユーロ・シャルラッハロート(スカーレットデストラクション・e21365)さんが危惧していた通り、ビルシャナ大菩薩から飛び去った光の影響で、悟りを開きビルシャナになってしまう人間が出ているようです。悟りを開いてビルシャナ化した人間と、その配下と戦って、ビルシャナ化した人間を撃破する事が、今回の目的です。ただし、ビルシャナ化している人間の言葉には強い説得力がある為、放っておくと一般人は信者になってしまいます。ここで、ビルシャナ化した人間の主張を覆すようなインパクトのある主張を行えば、周囲の人間が信者になる事を防ぐことができるかもしれません。ビルシャナの信者となった人間は、ビルシャナが撃破されるまでの間、ビルシャナのサーヴァントのような扱いとなり、戦闘に参加します。ビルシャナさえ倒せば、元に戻るので、救出は可能ですが、信者が多くなれば、それだけ戦闘で不利になるでしょう」
 セリカ・リュミエール(シャドウエルフのヘリオライダー・en0002)が、教室ほどの大きさがある部屋にケルベロス達を集め、今回の依頼を説明し始めた。
「ビルシャナは破壊の光を放ったり、孔雀の形の炎を放ったりして攻撃してくる以外にも、鐘の音を鳴り響かせ、敵のトラウマを具現化させたりするようです。信者達を説得する事さえ出来れば、ビルシャナの戦力を大幅に削る事が出来るでしょう。現在、ビルシャナ達は一般人を襲うため、市街地に繰り出しています。このまま放っておけば、問答無用で下着を奪われ、紐パンを穿かされてしまうので、何らかの対策を練っておく必要があるでしょう。ただし、彼らは下着を脱がすためなら、手段を選びませんので、殺さない程度に痛めつけてください」
 そう言ってセリカがケルベロス達に資料を配っていく。
「また、信者達はビルシャナの影響を受けているため、理屈だけでは説得することは出来ないでしょう。重要なのは、インパクトになるので、そのための演出を考えてみるのが良いかもしれない。また、ビルシャナとなってしまった人間は救うことは出来ませんが、これ以上被害が大きくならないように、撃破してください。それでは、よろしくお願いします」
 そして、セリカはケルベロス達に対して、深々と頭を下げるのであった。


参加者
ティーフォリア・ルキアノス(サキュバスの刀剣士・e28781)
リシュティア・アーキュリア(サキュバスのブラックウィザード・e28786)
ノノ・サーメティア(オラトリオの巫術士・e67737)

■リプレイ

●荒ぶる性癖
「ひ、紐パンって、まさか……あの、ちょっと恥ずかしそうな下着っ!?」
 リフィルディード・ラクシュエル(刀乱剛呀・e25284)はビルシャナを倒すため、仲間達と市街地に向かっていた。
 市街地には、ビルシャナに襲われた女性達が座り込んでおり、恥ずかしそうに顔を真っ赤にしながら、その場から動く事が出来なくなっていた。
 おそらく、ビルシャナ達に穿いているモノを無理やり脱がされ、紐パンを穿かされてしまっているのだろう。
 それが分かってしまう程、女性達の顔は真っ赤。
 『こ、こっちを見ないでぇ……』と言わんばかりに真っ赤であった。
「紐パン、紐パンねー。いや、紐パン以外のパンツはあるでしょーに……」
 そんな中、ノノ・サーメティア(オラトリオの巫術士・e67737)が、深い溜息を漏らした。
 だが、ビルシャナ達は紐パン以外を認めていないらしく、女性達から奪った下着を見せしめと言わんばかりの勢いで、高いところに括りつけていた。
 それが大漁旗の如くユラユラと揺れていたため、ビルシャナ達の進行ルートが丸わかりになっていた。
「……要は、それ以外の下着は認めないって事よね」
 リフィルディードが何やら察した様子で口を開く。
 色々な意味でツッコミどころが満載ではあるものの、ビルシャナならば十分にあり得る事だった。
 そんな理由でビルシャナと化すのもアレな気はするが、破裂寸前にまで膨らんだ欲望ゆえに過ちという事だろう。
「つまり、エロい下着が見たいーって事でしょ? それとも、何か違う意図があるのかしら? まあ、ビルシャナだし、深い意図なんて無いだろうけど……」
 ティーフォリア・ルキアノス(サキュバスの刀剣士・e28781)が何かを悟った様子で、乾いた笑いを響かせた。
 それでも、相手がビルシャナでなければ、何か深い意図があったかも知れない。
 しかし、ビルシャナであれば、話は別。
 間違いなく、ノープラン。
 それどころか、何も考えず、本能の赴くまま、行動している可能性が高かった。
「やっぱり、ビルシャナってことかしら。……紐パンって男性用もあったりするけど、男性も紐パンだとしか認めなかったりするの?」
 リシュティア・アーキュリア(サキュバスのブラックウィザード・e28786)が、頭の上にハテナマークを浮かべた。
 いまのところ、被害に遭っているのは、女性のみ。
 男性の姿が見えないところを考えると、女性だけに限定した教義なのかも知れない。
「確かに、でも2つに1つって言ってるし、若い女性なら紐パンで、それ以外は紐パン以外って言う……」
 そこまで言ってティーフォリアが、驚いた様子で目を丸くした。
 その視線の先にいたのは、紐パンを穿いた男性達であった。
 しかも、男性達は半ばヤケになっており、『俺を見ろ! 俺だけを見ろおおおおおおおおおおおお』と言わんばかりに、自らの股間を曝け出していた。
「どうやら、老若男女みんなが紐パンのようだね。嫌だよ、そんな世界……。待ってるのは、ある意味で地獄だし!」
 それを目の当たりにしたリフィルディードが、ゾワゾワっと全身に鳥肌を立たせた。
 実際に、目の前に広がっている光景は……地獄ッ!
 ……まさに地獄絵図である!
「いっそ、ランジェリーショーでもすればいいのか? 紐パン以外にも可愛らしい物もあるし、紐パン以外の魅力を魅せてやるかな~」
 そう言ってノノが大漁旗の如く揺れる下着を目印にしながら、市街地の奥を目指すのだった。

●ファッションショーは突然に
「なんだ、お前達は!?」
 市街地の奥にいたのは、ビルシャナ達であった。
 その傍で、ビルシャナに襲われ、先程まで悲鳴をあげていた女性が、紐パンを穿かされ、瞳をウルウルさせていた。
「ホントはこういうのが見たかったんじゃない?」
 それに気づいたティーフォリアが、その場で服を脱ぎ捨て、ぱっくりと開いた下着が見えるように足を開いた。
「お、おお……」
 それだけで、ビルシャナ達の視線は釘付け……ガン見であった。
「……ほら。紐パンじゃ、こんなの出来ないでしょ?」
 リシュティアもビルシャナの顔色を窺いながら、同じように足を開いた。
 その間に、女性が脱兎!
 服を抱えて、脱兎した。
「た、確かに……」
 だが、ビルシャナはまったく気づいていない。
 それどころか、ふたりをガン見したまま、不動の如く動かなかった。
「遠慮せずに、来てもいいのよ~?」
 そんな空気を察したティーフォリアがリシュティアと並び、互いの部分が良く見えるように、大事な部分をくぱあと開き合った。
「こんな風に、紐パン以外でもオシャレ出来るし……って、なんか怪しい方向に行ってない!?」
 リフィルディードがハッとした表情を浮かべ、思わずふたりにツッコミを入れる。
 最初の予定では、ビルシャナ達の前で、ファッションショーをするはずだったのだが、明らかにこれは何かが……違う!
「いや、これで問題ない」
 ビルシャナが棒立ちしたまま、サムズアップ!
 信者達も鼻息を荒くさせて、同じようにサムズアップ!
 実際には問題があるものの、欲望を最優先したため、都合の悪い事を揉み消したようである。
「いやいや、問題ありでしょ、大ありでしょ! だからと言って、私は脱がないからね! 絶対に……脱がないから!」
 リフィルディードがまわりにツッコミを入れつつ、勢いよくフラグを立てた。
「んじゃ、代わりに脱ぐねー? これも説得するためだし、可愛らしい物を見せ……あれ? これ、ちょっと、えっちくない?」
 ノノが流れに身を任せてスパーンと服を脱ぎ、ビルシャナ達の前で下着姿になった。
 だが、ノノの下着は股の部分が紐で喰い込んでおり、紐パンよりも……エッチであった。
「おお、これは……」
 そのため、ビルシャナ達は、前屈み。
 だいぶ危険な状態に陥っているせいか、その笑顔もぎこちない。
「我慢しなくていいからね」
 そんな空気を察したリシュティアが、濡れた指をティーフォリアのナカに入れ、ビルシャナ達に見せつけるようにしてペロリと舐めた。
「ほ、本当にいいのか! 好きにしていいのか!」
 ビルシャナが興奮した様子で、リシュティア達に迫っていく。
「あん♪ 好きにしていいから♪」
 それを迎え入れるようにして、ティーフォリアがビルシャナを抱き寄せた。
「えっ? どうして、わたしまで!? ひゃ! や! ダメェ!」
 その巻き添えを食らってノノも信者達に襲われ、困った様子で悲鳴をあげた。
 だが、信者達は下半身が本体であるかのように暴走しており、盛りのついた猿の如くノノに欲望をぶち撒けた。

●欲望をぶち撒けろ!
「はあはあ……、も、もう無理です」
 ノノが全身ミルクまみれになりながら、荒々しく息を吐き捨てた。
 あれから、数十分……。
 ビルシャナ達もスッカリ満足したのか、まるで仏のような表情を浮かべていた。
「ところでビルシャナ様……紐パンは……」
 そこで信者達も、ようやく気付く。
 自分達が欲望に身を任せ、自らの教義に反した行動をしていた事を……。
「い、いまから紐パンを穿かせれば……大丈夫だ」
 ビルシャナが脂汗を流しながら、ぎこちない笑みを浮かべた。
 まったく大丈夫ではないのだが、そんな事を言えるような空気ではない。
 信者達も余計な事を言って、とばっちりを受ける訳にも行かないため、とりあえず話を合わせていた。
「こんな事をして、いまさら紐パンって……。とりあえず、少し頭を冷やしてもらいましょ」
 ノノがこめかみをはげしくピクつかせ、ナカから垂れ落ちるミルクを気にしながら、ビルシャナに禁縄禁縛呪を仕掛けた。
「ぬおっ! 身体が……!」
 その途端、ビルシャナの動きが封じられ、下半身を丸出しにしたまま、気まずい様子で悲鳴を上げた。
「う、うわあああ」
 それを目の当たりにした信者達が、一斉にビルシャナから離れていく。
 既に、赤の他人。
 『こんな鳥、知らないですッ!』と言わんばかりに、距離を取りまくっていた。
「お、おい、お前等! 俺を裏切るのか!? う、嘘だろ!」
 ビルシャナが信じられない様子で悲鳴をあげる。
 だが、信者達は他人のフリ。
 決して目を合わそうとせず、関わろうともしなかった。
「そろそろ、逝ってくれるかな?」
 すぐさま、ティーフォリアが雷刃突を放ち、ビルシャナの羽根をチリチリにした。
 それに合わせて、リフィルディードが雷刃突を仕掛け、ビルシャナの羽毛ごと切り開いた。
「それじゃ、ビルシャナには退場願いますよ!」
 次の瞬間、リフィルディードがクイックドロウを使い、ビルシャナの身体に風穴を開けた。
「せ、せめて、紐パンを……ぐはっ!」
 その一撃を食らったビルシャナが、紐パンを握り締めたまま、げふっと血反吐を吐いた。
「じゃあ、続きしよ」
 それを確認した後、ティーフォリアが信者達を誘う。
「……いいのか?」
 信者達が驚いた様子で目を丸くした。
 しかし、ビルシャナが命を落とした以上、何の障害も存在していない。
「私達なら、幾らでも相手してあげるからね」
 リシュティアがティーフォリアに寄り添い、信者達を見つめて微笑んだ。
「ひゃっほー!」
 それと同時に、信者達の中で何かが弾け、ふたりに向かって、漫画の如くダイブした。
「あ……、まだまだするんだね……」
 それを目の当たりにしたノノが、色々と察した様子で乾いた笑いを響かせた。
 せっかくなのでランジェリーファッションショーの続きでもしようと思っていたのだが、まわりの様子を見る限り、それどころではないようである。
「……え? 終わったのに、終わらない? まさか、私も……。あ、いや、ちょっ……」
 その巻き添えを喰らって、リフィルディードも信者達に捕まり、強引に服を脱がされた。
「こ、こいつ、何も身に着けてねぇ!」
 信者達が、まるで宝物を見つけた子供達の如く、瞳をキラキラ輝かせた。
 こうなると、ブレーキが何処かに行ってしまい、欲望の赴くままに大暴走ッ!
「なんなら、デキちゃってもいいから……。いいよね、ティー? だから……もっと沢山、頂戴ね」
 それとは対照的に、リシュティアが信者達を煽る。
「うん、デキちゃったら、私達の子にしようね」
 ティーフォリアも思わせぶりな態度で、群がる信者達を迎え入れた。
「そんなつもりじゃっ」
 そのため、リフィルディードは信者達を拒絶する事が出来ず、後ろから抱きかかえられるようにして、激しく腰を打ちつけられた。

作者:ゆうきつかさ 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2019年4月25日
難度:普通
参加:4人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 0
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