槍のスピリドン

作者:紫村雪乃


 雨のように降り注ぐ光は刃の鋭さを秘めていた。
 大地が軋るような悲鳴を上げて裂けてゆくのを、巨漢はたいした感慨もなく、ただ眺めている。
 夜の街に溢れた光に浮かび上がった顔は冷酷そのものだ。サメを思わせる目をしていた。
「まだだ」
 低く言葉を巨漢は零した。周囲には蜘蛛の子を散らすように逃げ惑う人々の姿で溢れ返っていた。幾重にも重なった悲鳴が響き渡っている。
「うるさい」
 巨漢は右手の槍で空を薙いだ。無造作な一閃である。が、それだけで幾つもの人体が断ち切られた。大根でも切るような呆気ない殺戮だ。
 非力で、ちっぽけな存在。まるで虫けらのようだ。
 血まみれの肉塊と化した、かつては人であったモノに一瞥をくれると、巨漢は再び槍を横薙ぎに払った。
 その一閃で、死んでゆく。あまりにも無慈悲に命が刈り取られていった。
 それでも巨漢の冷酷な顔に表情が動くことはなかった。幾千の命を踏みにじってきたが、変わりはない。もしすかすると万の命を狩れば満足するのかもしれなかった。


「エインヘリアルによる人々の虐殺事件が予知されました」
 セリカ・リュミエール(シャドウエルフのヘリオライダー・en0002)はいった。
「このエインヘリアルの名はスピリドン。過去にアスガルドで重罪を犯した凶悪犯罪者です。放置すれば多くの人々の命が無残に奪われるばかりか、人々に恐怖と憎悪をもたらし、地球で活動するエインヘリアルの定命化を遅らせることも考えられます。急ぎ現場に向かい、このエインヘリアルの撃破をお願いします」
「スピリドンの武器は何なの?」
 問うたのは妖艶な女である。ほとんど裸といっていい身なりで、輝くばかりの肌を惜しげもなくさらしていた。和泉・香蓮(サキュバスの鹵獲術士・en0013)である。
「槍です。グラビティはゲシュタルトグレイブのそれ。威力は桁違いですが」
「……槍、か」
 銀髪紅瞳。沈毅重厚な若者が呟いた。彼の得意とする武器もまた槍であったからだ。
 無辜の民の虐殺を許すことはできない。当然だ。が、そのこととは別に、戦闘種族たるエインヘリアルの槍の使い手と戦ったみたい気持ちがあった。
 彼の名はランサー・ファルケン(正義を重んじる騎士・e36647)。剣の扱いにも長けたケルベロスであった。
「アスガルドで凶悪犯罪を起こしていたような危険なエインヘリアル。そんな罪人を放っておくわれにはいかないわ。そして、そのような罪人から人々を守ることができる者はケルベロスだけ。必ずエインヘリアルを倒してね」
 妖しく笑う香蓮の瞳には、仲間を信頼する光が煌めいていた。


参加者
ロベリア・アゲラータム(向日葵畑の騎士・e02995)
ランドルフ・シュマイザー(白銀のスマイルキーパー・e14490)
盟神探湯・ふわり(悪夢に彷徨う愛色の・e19466)
ライ・ハマト(銀槍の来訪者・e36485)
雑賀・真也(英雄を演じる無銘の偽者・e36613)
ランサー・ファルケン(正義を重んじる騎士・e36647)
ネモ・ゴーシュ(放浪絵師・e50439)
 

■リプレイ


 宝石箱のようだ。
 夜空を降下しつつ、その男は思った。
 美青年といっていいだろう。やや冷たそうな美貌の持ち主だ。
 美青年――雑賀・真也(英雄を演じる無銘の偽者・e36613)は何もない空を掴んだ。
「あれか」
 真也は目を眇めた。猛禽の視力すら超える彼のそれは、街路に立つ巨漢の姿をとらえている。
 次の瞬間、その手に弓が現出した。他方の手には漆黒の剣が握られている。
 真也が剣を弓に近づけた。番えた時、剣は紫電をまとわせた矢と変じている。
「血に飢える電光石火の猟剣よ。その力をもって、敵を亡き者にせよ。喰らいつけ、血に飢える電光石火の猟剣(フルンティング)!」
 真也は矢を放った。紫電の尾をひいて疾るそれは、まさに稲妻だ。

 禍々しい殺気に大気が捻じ曲がった。光溢れる街が一瞬凍りついたようだ。
 殺気の主たる者は三メートルほどにも及ぶ逞しい巨躯を持つ巨漢であった。手には二本の槍を携えている。その槍の一本を、彼は天空にむかって投擲しようとしていた。
 刹那である。彼――スピリドンは見とめた。空を裂いて迫りつつある稲妻を。
 エインヘリアルたる彼のみ見抜いた。稲妻の正体を。それは紫電をからみつかせた矢であった。
 そうと察した時は遅かった。音速を遥かに超える速度で疾った矢がスピリドンの肩を貫く。
「ぬうっ」
 スピリドンが呻いた。突き刺さった矢から流し込まれる電流により身体が麻痺してしまっている。
 刹那である。八つの影が高空から舞い降りてきた。
「いかがかな? 俺のフルンティングの味は」
 ゆるりと立ち上がった真也がニヤリとした。
「見せモンじゃねえんだ! 命が惜しけりゃとっとと逃げろ! 命が見物料になっちまうぞ!」
 辺り一帯の空気をぴりりとさせるような叫びが響き渡った。ランドルフ・シュマイザー(白銀のスマイルキーパー・e14490)の咆哮だ。
 狼型獣人であるランドルフの、まさに狼の遠吠えを思わせる叫びに魂すら震わせ、人々は走り出した。その背をぐるりと見回し、次いでランドルフはスピリドンに視線を転じた。
「街中で暴れようなんざ迷惑な野郎だ。鬱陶しいってLevelじゃねえぞ!」
 ランドルフは気にくわぬとばかりに敵を睨み付けた。
「チマチマ狩るしか能がねえのか? 笑わせやがる! 大物狙うなら相手になるぜ、但し狩られるのはテメエだがな!」
 言うなり、ランドルフは跳んだ。煌く爪先が描くは流星のごとき光の軌跡。とてつもなく重い蹴撃が敵の巨体に叩きつけられた。


「やってくれる」
 蹴りの衝撃に身を仰け反らせながら、しかしスピリドンは槍を突き出した。ケルベロスですら視認できぬほどの超高速の刺突である。槍の穂先が深々とランドルフの肉体を貫いた。
「まだだ」
 止めとばかり。スピリドンは腕をひいた。
 その時だ。彼は眼前に佇む少女に気づいた。
 十七歳ほど。まるで花の精が舞い降りたかのような美少女である。が、その美しさには毒があった。彼岸花のように。盟神探湯・ふわり(悪夢に彷徨う愛色の・e19466)であった。
「槍って一直線に、その人だけを狙うってそうなの。情熱的な感じがして、ふわりは槍も好きなのー♪」
「ならば、その槍で刺し殺してくれる」
 一撃で仕留めてくれる。その意思を込めて、なおもスピリドンは腕を引いた。
「うん?」
 スピリドンが狼狽した。ふわりの姿を見失ったのだ。両手で美麗な顔を覆った時までは見とめていたのだが――。
 次の瞬間、ふわりがスピリドンの背後に現れた。巨躯に抱きつき、恋人にするように花びらのような唇をスピリドンの頬に押し付ける。
「馬鹿な」
 スピリドンが呻いた。彼ほどのエインヘリアルがふわりの接近を感知できかったからである。
 が、反応は速かった。槍の石突をふわりの腹に突き込む。
 硬い金属音が響いた。槍の石突はとまっている。オルトロス――ニモのくわえた退魔神器によって。
 次の瞬間、ニモが吹き飛んだ。そしてスピリドンはよろめいた。ふわりが扇の毛でスピリドンの足を傷つけたのである。
「槍を殺戮のための道具にとはな…! 用途として、間違ってはいないが槍使いとして看過するわけにはいかない。 覚悟!」
 ライ・ハマト(銀槍の来訪者・e36485)は叫んだ。その言葉通り、彼女の手には愛用の巨槍――水禍槍がある。
 日本狼のウェアライダーである少女は、菅笠の下の金色の瞳をちらりと動かした。その視線の先、スピリドンと同じく二槍を携えた男の姿がある。
 騎士鎧をまとった凛々しい青年であった。優しそうな美貌の持ち主で、おそらく女は放ってはおかないだろう。名をランサー・ファルケン(正義を重んじる騎士・e36647)といった。
「ランサー!」
 名を呼ぶライの身から満月にも似た白銀の光球が放たれた。その光を吸い込んだランサーは、身の内に宿る凶暴性が目まぐるしく覚醒してゆくのを感じた。
「感謝する」
 礼を述べると、ランサーはスピリドンと向き合った。
「お前がスピリドンか。我が名はランサー・ファルケン。良き使い手とお見受けした。槍合わせ願おう」
「ほう」
 スピリドンは面白そうにニヤリとした。
「貴様も二槍を使うか」
「そうだ」
 ランサーがこたえた。刹那、熱風のごとき殺気が吹き付けてきた。ランサーの銀髪が強風を受けたように翻る。
 ランサーとスピリドン。今、二槍をもって相対す。
「これほどとは」
 ランサーは内心、舌を巻いた。槍の達人たる彼にはわかる。スピリドンの実力が。一人で戦った場合、おそらくは敵わないだろう。
「なるほど。確かに筋はいいな。技のキレもある。しかし、少々ムラがあるな。そこを突けば、崩せるチャンスはあるな…」
 ランサーが稲妻の一閃にも似た超高速の突きを放った。
 戛然。
 ランサーの槍がとまった。スピリドンの槍がはじいたのである。
 二つの槍の激突は爆発的な衝撃をばらまいた。ビルが揺れる。
 一瞬後、攻守はところを変えた。今度はスピリドンの神速の突きが繰り出される。
 咄嗟にランサーは他方の槍を舞わせた。が、間に合わない。スピリドンの槍がランサーの脇腹を貫いた。
「ランサーさん、退ってください!」
 絶叫は上空で響いた。はじかれたように目を上げたスビリドンは見た。荒野の色の髪を翻らせて降下する騎士鎧をまとった娘の姿を。
「貫け!」
 娘――ロベリア・アゲラータム(向日葵畑の騎士・e02995)が握る剣――太陽の剣獅子王がスピリドンの肩を貫いた。
「おのれ」
 スピリドンが槍を放った。その切っ先を避けてロベリアが身を捻る。
 槍は、そのまま空に飛んだ。そして分裂、ケルベロスめがけて降り注いだ。
「大丈夫ですか!」
 着地し、後方を振り返ったロベリアの目に、負傷した仲間の姿が映った。
 すぐさま次の攻撃へと移ろうとするスピリドン。その挙動に気づいた女がいた。八人めのケルベロスだ。
「おーい! こっちだよ!」
 筆を振り回しつつ、女が叫んだ。人間ではない。可愛い顔をしているが、角があった。戦闘種族たるオウガだ。
「私達が相手だよ!」
 いうなりオウガの娘――ネモ・ゴーシュ(放浪絵師・e50439)は自らの拳に筆をはしらせた。


「さ、ぶんなぐっちゃうよー!」
 ペイントで巨大化した拳をネモはぶち込んだ。技も何もない力任せの単純なパンチである。それだけに強烈な一撃であった。
 肉と骨を軋ませるようなもの凄い衝撃に、吐血しながらエインヘリアルの足が後ろへよろけていく。その姿に双眸を眇めたふわりが口元に笑みをはくと、敵に向かって片手を伸ばした。
「ふふふ。お食事の時間なのー」
 伸ばされた腕から漆黒の粘塊が噴出した。それは空で巨体な顎門に変じ、襲撃。貪欲に強欲に獣のもののような顎門を開けてスピリドンに喰らいついた。
「無辜の民を傷つけようとするその心情、私にはわかりません」
 弱き者を守るのが騎士。ロベリアはやはり騎士であった。はねあがった彼女は足は理力を籠めたオーラを蹴った。それは流星のように空を翔け、スピリドンに炸裂した。
「ぬううう」
 さらによろけたスピリドンは、しかし唇の端をつり上げた。その仕草に反撃の意図を察したロベリアであるが、遅い。一瞬早く、スピリドンは身を旋回させた。
 光が真円を描いた。空間すら切り裂かんとする激しさと苛烈さを伴い、槍が疾る。それは数人のケルベロスたちを横一文字に切り裂いた。いや――。
 槍はとまった。同じ槍によって。鼓膜を突き刺すような金属音が響き渡る。
「ご自慢の槍を受け止められた気分はどうだ?」
 ランサーがいった。その挑むように言葉に、スピリドンの口元に喜色が滲む。対するランサーも同じだ。
 巻き上がる砂塵の中、攻撃を受け止めた衝撃で痺れた両手をちらりと見下ろし、ランサーはしかし、ニヤリと余裕の笑みを浮かべてみせた。
 そのランサーの頭上、ネモが躍り上がった。蹴りを放つ。
 咄嗟に左手の槍でスピリドンが受け取めた。が、続いて放たれたランドルフの拳は躱せない。
「ブチ砕け、シルヴァリオン!」
 ランドルフの鬼装の拳がスピリドンの鋼の筋肉に覆われた肉体を撃った。
 さらに真也の一閃。決して躱すことのできぬ斬撃は容易くスピリドンの背を切り裂き――。
「ぬっ」
 呻く声は、しかし真也の口から発せられた。彼の刃はとまっていたのである。背にスピリドンがまわした槍によって。
 のみならず、反転されたスピリドンの槍が深々と真也の腹を貫いていた。
「ぐふっ」
 真也の口から先決が溢れ出た。
 刹那、天をも貫く咆哮がひしり上がった。
 るいぃぃぃぃおおおおお。
 金色の狼の遠吠え。それはライの祈りの絶叫だ。
 応えた天は癒しの雨を降らせた。


「良い雨だぜ」
 ニヤリとすると、ランドルフは巨躯の死角に飛び込んだ。そして、彼は更に地を蹴った。
 槍の長所は間合いの広さであるが、それは同時に短所でもある。それを彼は利用したのであった。
「テメエにはもったいねえが見せてやるよ! 鬼を超えた阿修羅の拳をッ!」
 グラビティ・チェインと気を純粋な攻撃エネルギーとして形成。拳に込めてランドルフはエインヘリアルの脇腹に叩き込んだ。
「効いたぞ。たいした威力だ」
 たらりと血を垂らしたスピリドンの吊り上がった唇から鋭利な歯が覗いた。持ち上げられた槍の切っ先がケルベロスたちに重たい斬撃を送り込むのを見て、銀の耳を立てたライはひとまずランドルフの回復に当たる。が、同時に彼女はスピリドンが弱っていることも察していた。
「…癒し手を担っているが私も槍使いの一人。見切れるものなら見切ってみろ!」
 槍使いとしての抑えきれぬ血の滾りに衝き動かされ、ライは常人には視認不可能なほどの超高速の突きを放った。
「未熟!」
 スピリドンがわずかに身動ぎした。ライの槍がその頬をかすめて過ぎる。
「が、恐ろしい奴。せめて一撃で仕留めてくれる」
 スピリドンの槍がびゅうと疾った。避けも躱しもならぬライの胸めがけて。
 爆発にも似た衝撃と轟音が辺りを席巻した。
 槍はとまっている。ロベリアの太陽の大盾によって。ロベリアのは薄く笑った。
「させませんよ。私は守り手たる騎士ですから」
「ならば、その盾を貫いてやろう」
 スピリドンのもう一つの槍が唸りをあげた。それは亀裂のはしったロベリアの盾を貫き、今度こそロベリアの胸に突き刺さった。
 が、その一撃は致命傷ではなかった。やはり盾は破壊力を削いでいたのである。
「凄い、なのー」
 ふわりが目を見開いた。感嘆しているのである。濁りの全くない超然としたレ女の思考はもはや人のものではないのかもしれなかった。
「ふわりも一杯貫いちゃうの! ふわりの事、たくさん感じて欲しいのー♪」
 美しいというより、不気味な笑みをうかべるふわりの手から黒い粘塊がのびた。それは空で槍の穂先のように尖がり、スピリドンを貫いた。
「その細い身体でよくやる」
 血反吐を撒き散らしながら、スピリドンは二槍を同時に繰り出した。無数の刺突ががふわりを襲う。
 瞬間、ふわりの前に小さな影が飛び出した。ニモだ。無数の刺突をあび、血まみれの肉塊と化して吹き飛ぶ。
「そっちこそやってくれたな。本当に危険な連中だよね。絶対に倒してやるから!」
 闘志を燃やしたネモは、戦闘種族特有の筋力をふりしぼり地を蹴った。爆発的な加速で接近、摩擦で生じた炎をまとわせた蹴りを放った。
「ぬうん」
 咄嗟にスピリドンは槍を交差して防いだ。が、防ぎきれない。あまりに重い蹴撃の衝撃に、スピリドンの槍がはねあがった。
 刹那だ。スピリドンの足から鮮血がしぶいた。彼の足を光の矢が貫いている。
「これでお前は思うように動けないはずだ。例え片手で槍を振るえても、踏ん張りが効かない足では、全力を出せないだろう」
 真也はランサーを見やり、ニヤリとした。
「さて、槍使いへのフィニッシュは槍使いに決めてもらおうか」
「任せてもらおう」
 滑るようにランサーが接近した。
 再び相対する二槍の使い手。二人の発する殺気がぶつかり、地が鳴動した。
「では、最後にお前に送ろう。我が絶技、手向けとして受け取れ!」
 ランサーの槍が疾った。真紅の魔力をまとわせたそれは、緋色の稲妻のよう。同時にスピリドンもまた刺突を放った。
「ううむ」
 スピリドンの口から呻きがもれた。その胸を槍が貫いている。そして、彼の槍はランサーの脇をかすめたに過ぎなかった。やはり足の傷が彼の全力を削いでいたのである。
 その一瞬後、ランサーの放った止めの槍がスピリドンの胸を貫いた。
「これこそ我が絶技。我が槍に仕留められない敵はなし」
 ランサーが槍を引き抜くと、どうとスピリドンは倒れ伏した。


 ランサーの口から重い吐息がもれた。敵を斃せはしたものの、さすがにちてつもなく疲れている。やはりスピリドンは恐るべき敵であった。
「何とか敵は倒せたが…反省点はいくつもある。我が槍術をまた磨かねばならんな…」
「けれど、ともかく街は守られた。またこの街が襲われることはあるかもしれないが、気休めにはなるだろう」
 砕かれたビルの壁面を修復しつつ、ライがいった。
「槍使い、か」
 真也がスピリドンの骸を見下ろした。ふわりが側で跪いている。
「今回の相手は槍使いだったが…そのうち弓使いとか現れるかもしれんな。そうなれば、撃ち合いをしてみるのも、また一興。…ま、現れずに平和であれば一番良いのだがね」
 真也は苦笑した。
 確かに平和が一番だ。が、槍使い同時の死闘が彼の戦士としての血を奔騰させているのもまた事実であった。
 が、そのような戦士の感慨などふわりは知らぬ。ただ異常な愛を込めて、彼女はスピリドンに口づけした。
「いっぱい気持ち良かったの、ありがとうなの……♪」

作者:紫村雪乃 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2019年2月26日
難度:普通
参加:7人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 2
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