忍び寄るレプリカントハンター

作者:のずみりん

 うなるプロペラの羽音に、ピコ・ピコ(ナノマシン特化型疑似螺旋忍者・e05564)は地面を転がった。
「ナノマシン広域散布。ダミー投影……」
 街路樹を、ガードレールを切り裂いて手裏剣が飛ぶ。飛び続ける。
 ピコを追いかけるのはただの手裏剣ではない、四方の刃に小型の回転翼をもった攻撃ドローン……ひとたび放たれれば目標を切り裂くまで飛び続ける殺し屋、シュリケンドローンだ。
「ダミーに反応なし……見切られている……?」
 豊かなロールした金髪の放熱索が裂かれ、センサーが放熱の低下を警告する。
 間違いない。この敵は自分を知り、明らかに自分を狙ってきている。いったい誰が?
「ナノマシン、索敵モード。地形スキャン」
 母の飛行ユニットを駆動し、ピコは放棄地区を駆けた。数増すドローンを速力で引き離し、目についた廃ビルへと飛び上がるや周囲を索敵……いた!
「認識番号……PIC=03……いえ、その姿は」
 向かいの廃ビルの屋上、察知された敵が姿を現す。ドローンを従える、どこか彼女と似た顔立ちの少女ダモクレスは呼びかけに首を振る。
「EXE-03、それが今の名前。異常個体、ダモクレスに被害をもたらすPIC=02の破壊、奪取部品の回収。それが今の使命」
 腰に刻まれた銘をなぞり、螺旋を帯びたダモクレスの足が宙を蹴る。八艘飛びのように、宙に展開したドローンを足場に、瞬く間にビル間を飛び越えられた。
「……このままでは、危険」
「逃がさない」
 瞬く間に詰められる距離に、ピコは素早く行動した。廃ビルの屋上をぶち抜き、煙幕としつつ下層に落下。追いかけるドローンの群れから身を隠す。
 今はここで耐えるしかない。仲間たちが気付き、救援に来てくれるまでは。

「ダモクレスのハンターがピコ・ピコを狙っている」
 リリエ・グレッツェンド(シャドウエルフのヘリオライダー・en0127)はケルベロスたちに邂逅の予知と状況を告げる。
「敵は過去にも数例あったが……レプリカント殺しに特化したレプリカントハンターだ。個体名は不明だが会話で『PIC=03』『EXE-03』という型式番号が聞こえた。どうやらピコと同じ疑似螺旋忍者タイプの姉妹機らしい」
 放棄地域の廃ビルへと身を隠したピコだが、EXE-03は執拗に追撃を続けている。このままではやられるのも時間の問題だ。
「急いで救援に向かい、ピコと共にダモクレスを撃破してほしい」
 ゴーストタウンと化した辺りの地図を示し、リリエはケルベロスたちに呼びかけた。

「敵ダモクレスは『EXE-03』のみ。ただ彼女はドローンを自在に操る強力なダモクレスだ、数の利はあまりあてにできないだろう」
 レプリカントハンターである『EXE-03』は、レプリカントの弱点を突くように能力とグラビティを調整した特殊タイプだ。
「螺旋忍者に似た技を使ったところからすると、螺旋忍軍に近いのか……ともかく一般的なダモクレスと共通する部分はほとんどない、ダモクレス相手とは考えない方がいいだろう」
 彼女の特徴は扱う装備やグラビティはほぼすべてが無人機、ドローン絡みという事だ。ピコを追い詰めた無数の手裏剣型のドローンは広範囲にブレイク効果のある斬撃を放ち、小型の棒手裏剣も自律駆動して毒のように敵を食い破る無人機の一種だ。
「シュリケンドローン、クナイドローンとでも名付けるべきかな。これらのドローン兵器は召喚して補充、分身の術のように状態異常への耐性を与えることもできるようだ」
 更にドローンを攻略できても、彼女は螺旋忍者たちの使う螺旋掌や手裏剣術のような体術も用いてくる。その威力は非常に高く、ドローンも格闘も連続して受ければ瞬く間に倒されてしまうだろう。
「彼女はキャスターの位置で布陣しており、命中回避も飛びぬけている。何とか早めに攻撃を当て、回避できるように持っていかないとまずいだろうな」
 またEXE-03はピコやレプリカントに対し、特に敵意を持っているらしい。そのあたりもうまく利用すれば、戦いを優位に進められるかもしれない。

「レプリカントハンターはソフィア、いえケルベロスに限らない全レプリカントの脅威です」
 ソフィア・グランペール(レプリカントの鎧装騎兵・en0010)は決意の表情で剣をとる。
「彼女が狙うピコ殿とソフィアたちが倒されれば、ドローンによる無差別な大殺戮が開始される恐れもあります。必ずここで阻止しましょう」


参加者
ジョルディ・クレイグ(黒影の重騎士・e00466)
ミオリ・ノウムカストゥルム(銀のテスタメント・e00629)
槙島・紫織(紫電の魔装機人・e02436)
テレサ・コール(黒白の双輪・e04242)
ピコ・ピコ(ナノマシン特化型疑似螺旋忍者・e05564)
セツリュウ・エン(水風涼勇・e10750)
マティアス・エルンスト(レプリフォース第二代団長・e18301)
リティ・ニクソン(沈黙の魔女・e29710)

■リプレイ

●ハンターズ・エントリー
 観測するピコの目前、シュリケンドローンは突如追跡の向きを変えた。
「観測用ドローン、設定完了。お願いします、リティさん」
「データリンク完了……まずい、逃げて!」
 駆けよるリティ・ニクソン(沈黙の魔女・e29710)が槙島・紫織(紫電の魔装機人・e02436)を呼ぶと同時、展開したばかりの『サテライトドローン』に黒十字の剣が突き刺さる。
 爆発と衝撃。
「増援は想定内。速やかに殲滅する」
「お前がピコの姉妹機か……!」
 その主をマティアス・エルンスト(レプリフォース第二代団長・e18301)が廃墟の頂上に主を見つけたのと、機械的な声が振り下ろされたのは同時。抜き放つ『Schwert』の機刃がシュリケンドローンの切っ先を弾くが、すぐにそれは姿勢制御を試みた。
 それは目標を殺しきるまで地に落ちる事のないドローン……だが次の目標を探る一瞬、その刃は氷の螺旋に貫かれていた。
「ありがとう……無事だったか、ピコ」
「おかげで体制を立て直せました……団長、気を付けて」
 螺旋氷縛波が吹き飛ばした廃墟の瓦礫から這い出して来るのは、探していたピコ・ピコ(ナノマシン特化型疑似螺旋忍者・e05564)の姿。
 彼の宿敵とよく似た顔は汚れ、放熱索でもある美しい金髪は煤けているが目立った傷がないのは幸いだろう。身の無事を確認し、セツリュウ・エン(水風涼勇・e10750)はほぅと竜の顎に溜息をもらした。
「母に続き妹、か……ピコの家族はどうしてこうも皆、切ないのであろうな」
 この口数少ない少女が、一件ほどに無感情でないことをセツリュウは覚えている。ダモクレスの側がどうあれ、縁者との戦いが彼女の心の繊細に影を落としてきたことも。
「……助太刀、参る」
「……レプリカントではない?」
 打ち上げられる轟竜砲にEXE-03は意外そうな顔を見せたが一瞬。姿を消した宙を竜砲弾が空振り、返礼とばかりに無数の棒手裏剣が降り注ぐ。
 情報によれば、それは一本一本が意志を持って相手を食らう無翼無人機『クナイドローン』。だが追われ廃墟を飛び出しながらも、ピコたちに不安も恐怖もない。
「盟友の危機に種族は関係ありませんから」
「来いよ、レプリカントハンター!」
 ジョルディ・クレイグ(黒影の重騎士・e00466)の突き立てる『Black Fortress』に接続された大盾型無人機『Guard Drone』が巨大な壁を形成、仲間たちを守る城砦を形作る。
「そして、ドローンを使うのはあなただけではございません」
 弾かれてなお尚も突破しようと足掻くドローンをヒールドローンで対応しつつ、テレサ・コール(黒白の双輪・e04242)と彼女の半身、ライドキャリバー『テレーゼ』のガトリング砲が薙ぎ払った。
 巻きあがる硝煙と砂埃、それをミオリ・ノウムカストゥルム(銀のテスタメント・e00629)の噴射した『スチームバリア』が滞空させ、辺りを白く包み込む。
「耐衝撃蒸気展開……目標、確認」
「……脅威度を上方修正。『目標』の戦闘経験は想定以上」
「その通り。不退転こそ我が誇り、この“ダモクレスハンター”が狩られる側の恐怖を教えてやろう」
 ミオリの声にぬるりと姿を現すEXE-03の影へ、ジョルディは気合一閃『Jd-E.T-A.R.M』から凍気の槍を突き出した。

●ドローンズ&ディテクターズ
「ドローン、パージ」
「やって……ない……!?」
 凍結と共に、ソフィア・グランペール(レプリカントの鎧装騎兵・en0010)の展開したスターサンクチュアリが弾け飛ぶ。
 腰から射出されたドローンがイガルカストライクの盾となり、そのまま攻撃に転じたのだ。
 得物を失いEXE-03自身も無傷ではないが、それは仕掛けたジョルディも同じ。身を包む水陸両用鎧装『All Round Machine Zapper-One』には浅くない一文字が刻み込まれている。
「躊躇なく武装を捨てるとは……」
「そうでもないようだ、くるぞ」
 見た目によらぬ思い切りに驚くソフィアに、マティアスがその理由を指し示した。
 草むらから、空から、廃墟の奥から無数のドローンが飛来する。一体一体はデウスエクスでもない武装の一部だが、事前に仕込んでいたとしたら脅威的な数だ。
「アイハブ。必要十分の増援部隊を確保」
「それはどうかな?」
 もちろん、無策に見過ごすケルベロスでもない。集結するドローンの大外には更なる包囲……ドローンではない、正しく中空に出現した大剣の群れだ。
「……相手を見て喧嘩を売る事だ」
「待ち伏せ……何処に観測機が?」
 素早く観測し、EXE-03は気づく。先ほど破壊した紫織の『サテライトドローン』、高空より見下ろす目の存在に。
「サテライトドローンも一基ではありませんよ。マティアスさん……!」
 二人に多くの言葉はいらない。
「このまま着任前に潰させてもらう……!」
 ドローンのデータから描かれる『M・ディフェンサー』メディカルアームドフォートのガイドレーザーに、マティアスは『Schwert』ブレードに走らせたプログラムを乗せ、召喚した『Befehl "Breitschwert"』の大剣の群れを振るう。
 連鎖する爆発、飛び散る破片。
「クネウスです、ソフィアを補助します。敵【EXE-03】……認識番号PIC=03の弱点は高度な演算が必要になるドローンの制御そのもの、つまり……」
「ソフィア、了解しました……!」
 機をうかがうクネウス・ウィギンシティの『FAILNAUGHT(フェイルノート)』が放ったダメ押しの一矢、ヒールドローンに導かれた曲射レーザーがEXE-03頭部のセンサーを直撃する。
 よろめき、ドローンの動きがわずかにそれた。
「03……擬似螺旋炉外付け型兵装の貴女は継戦能力に優れる代わり、出力を犠牲にしている。装備の更新は見られますが、貴女自身はどうですか」
 それは問いではなく勧告。勢いを削がれたドローンの盾を『忍者刀【紅竜鱗】』で掃討し、ピコは一気に肉薄した。
 母だったものより預かった『飛行ユニットだった物』が翼を開き破鎧衝が加速する。突き出した掌がダモクレスの柔肌へとめり込み、EXE-03に血糊を吐かせる。
「03、戦闘行動を中止を。私も黙って破壊される訳には行かない」
 バイザーがぶつかりあう零距離。感情を抱かぬものと出し切れぬもの、黒と赤の瞳が交錯する。
「言動を、理解できない……02」
「いけない、下がっ……!」
 その勧告を詰めの甘さというのは酷だろう。リティの声より一手早く、状況は展開した。
「ふか、く……」
「間に合いましたか……!?」
 クナイドローンの残骸が深々とピコを穿孔している。テレサ駆るテレーゼの『デットヒートドライブ』が一歩遅ければ、マインドシールドが螺旋を阻まなければ急所を撃ち抜かれていた。
「テレーゼ、ピコ様を」
「柳嵐、散華!」
 傷ついたピコをテレーゼに預け『ジャイロフラフープ・オルトロス』マスドライバーを水平に盾とするテレサ、再び放たれるEXE-03の螺旋にセツリュウが決意の呪を唱える。
「仲間は、やらせぬよ」
「決めるのは貴女ではない、ドラゴニアン」
 貫く螺旋に雪柳の花弁が暴風と舞った。

●スピンオン・スピンオフ
「擬似螺旋炉、機能停止……システム復旧を志向……障害……」
「無理はなさらないで、電気賦活します」
 あえぐピコに、紫織は『Baculum fulgur』を伸ばし、慎重に患部へエレキブーストを賦活する。残るサテライトドローンを目標変更。障害原因を検査。
「アンチヒールではない……異常除去、システムにアクセス……」
 致命域にある負傷を分析し、紫織は癒しを続ける。迫るドローンの羽音とぶつかりあうマティアスの剣戟が心を焦らす。
「心の方……二か月前の事を……」
「……できれば共生の道を模索したいが、隊員の危機を見逃すわけにはいかない」、
 静かに言うやマティアスは『Photonenstrahl Generator』ビームドライブユニットからマインドソードを伸ばし薙ぐ。爆発を跳び越すEXE-03を蹴り上げるように迎撃するも、敵は迷わず後退。足刀は宙を切る。
「それ、此方にもお主の相手がおるぞ!」
「っ、だが問題はない」
 だが計算の内だ。運動エネルギーを使い切ったEXE-03を側方からセツリュウの竜爪撃が切り裂いていく。
 スナイパーとジャマーが重ねてきた足止め、プレッシャー、エンチャントにより攻撃は届きつつある。残る問題は決定打だ。
 あえてクラッシャーをおかず守りを固めたケルベロスたちは着実にEXE-03を抑えてきたが、じりじりと致命ダメージを重ねられてきてもいる。
 今もクナイドローンを受け止め、ジョルディ最後のヒールドローンが墜落して消えた。
「ここまでか……ありがとう」
 残骸に礼を述べ、ジョルディはシールドからパイルバンカーを伸ばす。
 迎撃するシュリケンドローンを突き刺し、ドリルパニッシャーが回転。そのままEXE-03ごと廃墟の壁に叩きつけ、ぶち破る……が。
「……致命傷は与えたはず。知らない装備が内蔵されている?」
「装備、か……強いて言えば、不退転の我が誇りよ……!」
 カウンターで放たれたEXE-03の螺旋掌がジョルディの機関を揺さぶっている。肉体を凌駕する意思は何とか一打を与え切ったが、もうヒールも限界だ。
「リフレクタードローン、グラビティフィールド展開……!」
 止めと呼び寄せられるドローンの群れにリティは伸ばした『対艦戦用城塞防盾』をカタパルトに『リフレクタードローン』たちを飛び込ませた。
「もう遅い。モード疑似螺旋」
「螺旋、疑似……あ」
 間に合わない。無数の反射レーザーに撃ち抜かれながらも、EXE-03の掌がジョルディの体を抉り、打ち倒す。
 だがミオリは気づいた。螺旋を放とうとしたピコの、何かをつかんだという顔に。
「ピコさん?」
「螺旋……一つ、お願いがあります。力を」
 更に数度の攻防を経て傷ついたピコの頼みにミオリは頷き、集中治療ナノマシンを展開する。
「生体構成要素解析……ナノマシン修復実行。再構築」
 開かれたピコの中枢へ『ナノ・リカバリー』が活力を取り戻させる。最後の癒しを受け、ピコは一歩を踏み出した。

●ショーダウン
「大量の擬似螺旋力の損失に気が付きました……恐らく、私自身が有していた螺旋力が干渉している。ゆえに機械は今しかなかった。感謝します」
「意図不明。PIC=02、何を言いたいのか理解できない」
 警戒するEXE-03にピコは行動で答えた。突き出された右手、腕部マルチプルミサイルランチャーから漏れ出す光の粒子が尾を引き、感覚を研ぎ澄ましていく。
「これは、オウガメタルの……?!」
「擬似オウガメタル……【Pメタル】と、呼んでいます」
 ソフィアの驚きにピコはそう答えた。体内で生成するナノマシン……一般的なオウガメタル以上に主の一部であるそれの輝きが辺りを満たし感覚を覚醒していく。
「だが、既にヒールは……」
「癒しではないわ」
 リティの声と同時、銃弾がEXE-03を掠め飛んだ。一瞬遅れて響く銃声、リティが中継した超長距離からの『overload shot』……マーク・ナインの狙撃はごっそりと肉を抉り、ダモクレスを遂によろめかせる。
「ライフル強制冷却開始……後は頼むぞ」
「承知しております。モード『斬環の末妹』」
 通信を通してのみ聞こえるマークの声にテレサは答え、呼び出されるティーシャ・マグノリアの残霊へとジャイロフラフープ・オルトロスを託す。
 特殊戦闘形態『デウスエクリプス』、アームドフォートから神喰の双円刀へと姿を変えたダモクレスが回転を増し、一気に放たれる!
「ドローンたち……!」
「何度もさせない。リフレクタードローン、包囲布陣。反射射撃」
 リティの『強行偵察型アームドフォート』から『リフレクタードローン』へと放たれた砲撃が光の雨となり、身を護るドローンを破っていく。光のカーテンの中をジャイロフラフープはEXE-03へと駆ける。
「がっ……擬似螺旋炉に、損傷……出力を」
「擬似螺旋力出力調整、私の螺旋力と完全同期」
 貫かれたシュリケンドローン、クナイドローンが次々と脱落していくなか拳に収束する力。ダモクレスとレプリカントはほぼ同時に螺旋を放った。
「生来の力を神経系へ、擬似螺旋力を循環器系へ……交わる先は貴女の体内です。PIC=03」
 ただ異なるのは放たれた力の数と質。跳ね飛ばされ倒れたピコの見上げた先、『螺旋相剋撃』の輝きがEXE-03の背を突き破り、その存在を消滅させていった。
「周囲に敵性存在なし……クローズ・コンバット」
「おつかれさまだ……皆が、ピコが、無事でよかった……紫織、あなたも」
 静かに戦闘モードを解除するミオリの声に、マティアスが戦いの終わりを締めた。
 あれだけ戦場を埋め尽くしたドローンも最早ない、静かな終わりだった。

「……」
「あまり、話をする余裕はなかったわね」
 EXE-03……姉妹機と呼んでいたものの前に佇むピコに、リティは何と話しに呟く。
 互いに覚悟が決まっていたゆえにか、押されていたこともあってか、知る者はなくなった当人か、当事者たるピコくらいだろう。
 ただピコは傷ついた体も厭わず、静かに戦いの後を見据えていた。
「……帰るかの?」
「はい……」
 セツリュウの呼ぶ声に短く答える。ピコの顔と声には、不器用な感情があふれて見えた気がした。

作者:のずみりん 重傷:ジョルディ・クレイグ(黒影の重騎士・e00466) ピコ・ピコ(ナノマシン特化型疑似螺旋忍者・e05564) 
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年12月26日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 7/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 3
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