しろがねのとら

作者:baron

『ゴオン!』
 重低音を奏でて方向が響き渡った。
 彼方から町を目指すのは、全長7mもの大きさを持つ虎である。
 それが生物であるはずがないことを、その色彩が更に主張して居る。何しろ白銀に輝いているのだ。
『ゴッフ!』
 虎型の巨大ロボ……ダモクレスは白銀のボディで光を照り返し、颯爽と町に入り込んだ。
 車を踏み潰し、ビルに噛みつき……そして風を操って小さな家屋であれば容易く切り裂いて行く。
『シャーアー!』
 重い唸り声を持つその巨体が、初めて高音を発した。
 十分もしないうちに稼働限界でも来たのか? いや、そんな筈は無い。
 凄まじい竜巻を引き起こし、逃げようとする車の列に向けて解き向けて放ったのだ。
 機械仕掛けの虎はその戦果に満足したのか、空間の歪みと共に去って行った。


「熊本県の八代市で先の大戦末期にオラトリオにより封印された巨大ロボ型ダモクレスが、復活して暴れだすという予知があった」
 サイフリート王子が地図を手に説明を始めた。
「現時点では復活したばかりでグラビティが枯渇して戦闘力が弱体化して居る。だが、放っておけば、人が多くいる場所へと移動し、多くの人間を殺戮して、グラビティ・チェインを補給してしまうだろう」
 そんな事はさせられないが、もしそうなってしまうと力を取り戻してしまう他、その力で更なる被害を出し、内部にある工場を稼働させかねないという。
 その前に退治して欲しいとザイフリート王子は告げた。
「敵は虎型で、爪牙で攻撃して来る他、真空の刃を操って攻撃して来る。またダモクレスにしては珍しく、パワーよりもスピードの方が問題になるだろう」
 攻撃力は高いがサイズに比してという程でも無いらしい。
 問題があるとすれば制限時間があるので、メンバーによっては間に合うかどうかが焦点だろう。
「巨大ダモクレスはグラビティ・チェインの枯渇により、全体的な性能や攻撃力が減少しているが一度だけ全力で攻撃を行うことが出来る。その場合はただでさえ枯渇して居るので能力が落ちるんだが……こいつは逃げる前か、囲まれると全力攻撃を行うようだ。場合によっては狙うのも良いかもしれないな」
 そう言って王子は簡単に図を描き、相手を取り囲む様な陣形を描き込んだ。
 危険かもしれないが能力が落ちるならば、狙って見るのもよいかもしれない。
「それと住民に避難勧告は既に出して居る。建物を足場に戦っても問題は無い」
 住民さえ避難してしまえば、建物はヒールで直せる。
 死角を突くのは難しいが、サインや合図を出して行動するのはやり易くなるだろう。
「巨大ダモクレスが回収されれば、ダモクレスの戦力強化を許すことになってしまう。そんなことはさせられん。頼んだぞ」
 虐殺なんてやらせる訳にはいかないが、敵を強化させる訳にもいかない。
 ケルベロス達の相談を見ながらザイフリート王子は出発の準備に向かったのである。


参加者
写譜麗春・在宅聖生救世主(誰が為に麗春の花は歌を唄う・e00309)
桂木・京(ダモクレスハンター・e03102)
ミント・ハーバルガーデン(眠れる薔薇姫・e05471)
暮葉・守人(迅雷の刃・e12145)
ラギア・ファルクス(諸刃の盾・e12691)
天司・桜子(桜花絢爛・e20368)
穂村・花園(アンダーカバー・e56672)
冷泉・椛(ただの女子高生・e65989)

■リプレイ


「まあ。だいたい狙い目の場所はこんな感じか」
 暮葉・守人(迅雷の刃・e12145)は地図を携帯に表示して説明する。
 そして仲間達が頷くのを見てから、消防や警察に送るメールを用意し始めた。
「ダモクレスの復活に、人々を巻き込ませるわけにはいかない。必ず食い止める、必ずだ」
 やがて時間が来ると、桂木・京(ダモクレスハンター・e03102)はヘリオンの扉に手を掛け大空へ。
 そしてビルの上やアパートへと身を隠すべく、コンクリートのジャングルへと侵入する。
「今回は避難終わってるらしいけど、できれば何も無い様にしたいよな。慣れない奴も居るし……上手く行きゃあいいんだが」
「できれば封じ込めたいところだよねー。上手く連携できれば後が楽なんだけどー。ん~」
 望遠鏡を取り出した守人の言葉に頷いて、写譜麗春・在宅聖生救世主(誰が為に麗春の花は歌を唄う・e00309)が頷きながら翼を展開。
 守人の視線を追って、慣れない動きで着地する仲間の方に向かった。
「でも赤い鳥の次は白い虎かー」
「今回の敵は巨大な虎型ロボットでしたっけ? おっきい敵と戦うのは初めてだけどちょっとワクワクするねっ」
 在宅聖生救世主は話し易い話題選びながら、冷泉・椛(ただの女子高生・e65989)の反応を見て初々しいなぁ。と微笑む。
 七分以内が大変だと言う椛の言葉に、いけるけると気楽に言葉を返しておいた。
(「来たぞ」)
「こちらも確認した。虐殺など絶対にやらせはしない」
 京が声を潜ませて敵の襲来を告げると、ラギア・ファルクス(諸刃の盾・e12691)は頷いて前線に向かい始めた。
 屋根を蹴り壁を蹴り、ついには空を蹴って敵前へと飛び出して行く。

 そこへ高速で白銀のダモクレスが襲い掛った。
 あるいはその動きも含めて、ネコ科の習性(?)を利用したラギアの陽動であったのかもしれない。
『ガオン!』
「っ! ふふふ……こんな強烈な猫パンチは経験ないな。腕も心も痺れたぞ」
 ラギアは突っ込んで来る虎型ダモクレスに立ち塞がる。
 猫手掌底から爪を浴びせる強烈な一撃だが、不敵にも笑って受け止める逞しさだ。
 なお、本人は猫パンチであると認識して居る摸様。もしかしたら尻尾フリフリかもしれない。
「やらせないってーの! 後は任せたぜ」
「応! 永遠の陽だまりで眠らせてやろう」
 守人はアイコンタクトをラギアに送った後で、銃剣を構え弾丸代わりにグラビティを叩き込む。
 光の刃を作りあげると今も残る衝撃を吹き払うかのように薙ぎ、ラギアが流体金属の結界を広げるまでの間合いを確保する。
 守人の導きもあり不用な移動を抑えたラギアは、仲間たちにを流体金属の囁きを及ぼす事に成功した。
「やっぱり空飛んでたりしない分、攻撃当てやす……くない! 速い! 順番はちょと代わったけど、このビッグウェーブには乗らないとね!」
 在宅聖生救世主は驚くよりも先に、反射的に体を動かした。
 仲間のフォローの後に動ければ理想的だったが、相手が違っただけだ。まあ許容範囲内だろう。
 そしてビルから飛び立ちながら、祈る様に両腕を掲げた。
「天よ天よ。遍く我等を見守り包む優しき光よ、我等を見届け慈しむ暖かき光よ。今一時、その身を刃へと変え、あれなるものを切り裂き給え!」
 呼び掛けにより、空から巨大な光の十字架が訪れる。
 在宅聖生救世主が手の取るとソレは巨大な剣と化し、まさしく閃光の一撃を浴びせたのであった。


「白銀の虎かぁ、凄くかっこよいね。でも、それが人々の命を脅かすなら、放ってはおけないよ」
「この巨体にして、スピードも兼ね備えたダモクレスですか、厄介ですね。ですが、絶対に逃がすわけにはいきません」
 天司・桜子(桜花絢爛・e20368)の言葉に頷きながら、ミント・ハーバルガーデン(眠れる薔薇姫・e05471)は先行して動き出した。
 二人はコンビニや家屋の屋根を足場に走り抜け、左右に別れると徐々に助走距離を開けて行く。
「挟み討ちでいきますよ。……この飛び蹴りを受けなさい、その動きを止めてあげます」
 まずは機先を制する様に相手の横腹へ、ミントが飛び蹴りを浴びせに掛った。
 相手の動きは早いが、後方から移動経路を確認したミントならば十分に狙える位置だ。
 体重を載せて蹴り飛ばし、突き離す先は友人である桜子が向かった方向である。
「ありがとね。素早い敵は苦手だし、まずは動きを止めるよ!」
 桜子の蹴りは残念ながら避けられてしまったが、それでもかなりの手応えを感じていた。
 当てる自信はあるし、何より今回は囲む為に動きを止めることが先決だ。
 鼻先に位置する事に成功し、同じ盾役であるラギアとも程良く離れている。予定その物は絶好調だと言えるだろう。
「よしっ。もらった」
 京は右手の手袋を外しながら疾走し、地獄化した右腕を開放した。
 右手は溶岩のよいに燃え盛り、そして別の見方をすれば獣の様に獰猛である。
 ベルトから白い銃弾を抜いて装填、瞬時に凍りつく程の冷気を至近距離から放つ。
「上手く行ってる……のかな?」
「みたいだぜ? 囲んでボーで叩く、これが最も簡単で有効だと古事記のも書いてある」
 椛は一瞬、穂村・花園(アンダーカバー・e56672)の言葉にキョトンとした。

 古事記にそんな事、書いてたっけ?

 だが、ただの学生が真面目にそんな本を読み込んで居る筈が無い。
「というのはさておき、相手の動きをこっちでコントロールできりゃあ良いんだよ」
 そういって花園は飛び出すと、手首から先にオウガメタルを集め始める。
 対象的に炎は足へ集め、一気に解放する準備を始めた。
「先輩らができるんなら、俺にだって出来るよな!」
 花園は意識を集中しながら、まずは足から、そして腕へとグラビティを動かす。
 壁を蹴った時には足から炎を噴射し、そして殴りつける時に腕へ流体金属を集めて行ったのだ。
「なんだ冗談……なんだね。後で援護したげるから」
「作戦が上手く行きゃあ、イラネーって」
 椛は攻撃を外してしまった花園に声を掛けながら、前衛に爆風を放った。
 風に載せて攻撃を支援しつつ、後でオウガメタルで補正を掛ける範囲を広げる予定である。
「まあ狙いとしちゃあ悪くないと思うぜ。問題はこっちの怪我人がどうなるかだが……冷泉、そのままでいいんじゃね?」
「え? 私? あ、そっか。このまま行けるね」
 守人は敵の動きを見ながら、右掌に血で文字を描き両手を合わせて紋様をコピーした。
 彼の言葉を受けて、椛は自分が今要る位置から、援護がそのまま飛ばせることに気が付く。
 そしてオウガメタルを散布する事で、攻撃を導く為のガイドに設定し始めた。
「傷はどうだ?」
「痛いけど……でも、このくらいなら……」
 守人が血の紋様を描くと、先ほど桜子に付けられた噛み痕が引いて行く。
 そして椛が拡げた流体金属の膜が、傷口を覆って行くのであった。
 こうしてケルベロス達は、順調に作戦を遂行して行く。


「もう少しですね」
 ミントは視界を巡らせて仲間達を配置を確認する。
 徐々に距離を詰めて道を塞ぎ、あとは四方を抑える事で万全を期す段階だった。
「包囲網の完成をお願いします。……竜砲弾よ、敵の機動力を奪いなさい」
「おっけー。ほいさー!」
 ミントの放つ重低音の響きが、ダモクレスを直撃する。
 ほぼ同時に在宅聖生救世主の拳が振り下ろされており、籠手から放たれる霊威がその頭を抑えつけた。
 だが重要なのは、これで完全に囲んだということだ。
「今度はこっちで挟み討ちだよー。今度こそ当てないとね」
「了解した。……だがそれよりも仲間を護り切る方をなんとかしないとな」
 桜子とラギアはV字状になった仲間と、付かず離れずの位置を取る。
 予定通りならば敵の攻撃が強大化する筈で、ここでの攻撃も重要だが、仲間を守ることもまた重要なのだ。
「この一撃は内緒だぞ……公私混同したと思われてはいけないからな」
 ラギアは超硬化した手で7mの巨大ダモクレスを撫で撫で。
 まるで磨く様にモフモフ(ガシガシにしか聞こえないが)、仕上げにハアーと息(炎だけどな)を浴びせて綺麗綺麗にする。
「なにか今、違和感が……気のせいかな。桜の花々よ、紅き炎となりて、かの者を焼き尽くせ」
 桜子の放つ花弁状のエナジーは、虎型ダモクレスの周囲を覆い始める。
 そして花弁は雪の様に降り注ぎ、一枚一枚が触れる度に炎と化して燃え上がった。
 灼熱の風花が敵の身を包み、白銀のボディを赤く染め上げる。
「私の眼から逃げられると思うなよ……お前の動き、すでに丸裸だ」
 京は眼鏡を僅かに下げ意識を集中させる。
 グラビティを変質させることにより、一瞬だけ目から光を放ったのだ。衝撃が敵を捉え、そこへ仲間が襲い掛る。
「よし、今度は外さねえぜ! さっきの分までくれてやらあ!」
 花園は失ったチャンスを自らが奮起する燃料に替えて、前向きに捉えることにした。
 家屋の間を駆け抜けて敵の足元まで接近すると、炎を足に圧縮して噴射。
 ロケットのように飛び上がりながら首元へ刃を突き立てて、自らの後悔を敵の後悔へ変換すべく、グルリと頭の方を目指したのだ。

 そして彼が完全に上方へ飛び抜けて、マンションのビル壁を使って方向転換した時。
 急にシンとして、耳を抑える者が続出した。
「みーみーがー、いたーいー」
「くうっ……これは、餌が欲しいのかそれとも……ちゅーるか」
「……全力攻撃じゃないかな」
「えっとえっとー。予定通り、なんだよね?」
 次第に戦場外周囲の空気が逆巻いて行く。
 逆に戦場内のゴミやホコリは姿を消し、不気味な程だ。
『シャアー!』
「散開!!」
 ダモクレスの足元がグズグズに崩れ、真空の刃が放たれて行くのが判る。
 ケルベロス達は急いで盾役の後ろに移動し、あるいは建物の陰へ。烈風が戦場を吹き荒れて行った。


「確かに威力は大きいがヤバイ奴にくらべたらそれほどでも無い。なら俺達は立ち止まらねぇ……悪いなしぶとさは折り紙付きなんだ!!」
 守人は仲間達の傷を見ると、銃剣の弾倉に特殊な弾丸を放り込んだ。
 トリガーを引けば込められた魔力が活性化し、戦場の光景が反転して行く。
 大いなる生命力によりアスファルトが一瞬、草原の様に揺れ、仲間達は立ちあがる活力を取り戻す。
「んと。治癒に参加した方がいいのかな……それとも援護した方が良いのか……」
「悩み多き青春っぽい? さてと、無事で済んだし一足先にいっくね~」
 椛がオウガメタルへ与える指令に悩んで居ると、在宅聖生救世主は裾についたホコリを払って再び翼を広げる。
 急上昇の後に散布される流体金属を眺めながら、今度は急降下を掛けて斧を勢いよく振り下ろした。
「……腐っても鯛。いえ、衰えても虎ですか。まぁ、想定の範囲です、私はこのままいくとしましょう」
「そんな感じで頼む。かなり当て易くなったが、それでも外す可能性はあるからな」
 ミントは相手のスピードが落ちたのを見て取ったが、ラギアが狙いにくそうにライフルを構えているのも確認した。
 そこで序盤の様に飛び蹴りを浴びせて動きを留め、ラギアが冷凍光線を当てるのをサポートしておく。

 そして時は巡り、周囲にアラームが鳴り響いた。
 ケルベロス達は治療を行いながら、数分掛けて追い詰めて行ったのだ。
「五分経過だよ。逃がさない様にしないとね」
「言われるまでも無い。この好機、逃す事無く仕留めに行く!」
 飛び蹴りを浴びせた桜子は、着地しながら仲間に時間の経過を告げ、再び桜色のエナジーを蓄積して行く。
 京は頷いてアパートの屋根を足場にマンションの屋上ヘと飛びあがり、……良く見ると最初に潜んだ場所だったろうか。
 湧きあがったデジャヴを追いだしながら。逆落としにナイフを突き立てダモクレスを狩る為の戦いを続行する。
「お前の死角を突くのは難しいそうだが、私の射撃に死角は無い」
 そう言って銃を構えつつ、京は戦いの終わりを感じていた。
 だが最後まで油断はしない、それがハンターの掟であろう。
「作戦があたったつーか、連携がうまく行ってるのは良いけど。順調だし後で治すから壊れても勘弁なって言いきれねえのが残念だな」
 花園はオウガメタルの爪でダモクレスを抑えつけた。
 もはや風前の灯、後は逃がさない様に倒すだけだ。
「そこはみんな無事で良かった。で良くない? 痕は……名前がおんなじ技だから、戦って見たかったんだよね」
「俺らの誰かが倒すから問題無いと思うぞ」
 椛は守人の言葉に頷き、素早く刀を振り抜いてカマイタチを発生させた。
 真空の刃が同じ技の持ち主であるダモクレスを切り裂いて、片膝を突かせることに成功した。
『ゴッ!』
「今の回避すごくなかった!? 10点10点10点! って感じだったよね、はくしゅー!」
 って聞いてよー。
 在宅聖生救世主が華麗に避けたのだが、仲間達は苦笑するだけだ。
 危険な巨大ダモクレスと戦闘中では、回避を喜ぶのも苦笑するのも仕方あるまい。
「トドメは任せる!」
「んじゃ遠慮なく」
 守人が影で作った弾丸を撃ち込みながら牽制すると、在宅聖生救世主の鉄拳が7mの巨体を吹っ飛ばしたのである。

「終わりましたか。出張してもらう手間が省けましたね」
 ミントは集中させていた意識を解き、ふっと溜息をついた。
 空間を越えて友人を呼ぼうとしたのだが、一緒に戦えなかったことを、ちょっとだけ残念に思う。
「倒れた姿もまた可愛いな。だが、ゆるさーん! 街の復興に邪魔だからな」
「あ、私も手伝う手伝う。ところでスコテッシュ・ホールドって何の言葉か知ってる?」
 腹を見せた猫を見た子供の様にラギアが言い訳を始めたので、在宅聖生救世主は歌を唄いながら整理を手伝って行く。
「あれは関節技だな。一度掴まると脱出でき……ゴホン。ヒールするか」
「変異しちまうのがなんだよなーでも放っておくわけにいかねーし」
 ラギアの猫好きに苦笑しつつ、花園は周辺の具合を確認し始める。
「なら私達はこの辺かな? 全力攻撃凄かったし」
「見落としは避けておきたいところです」
 桜子が丹念に周辺を確認し始めると、ミントはそれに付き合って地道に建物の陰なども確認して行く。
 仲間達は手分けして街の修復を開始した。
「封印されていたガラクタが……全て焼き尽くすまで、あとどれだけ倒せばいい……」
 そんな中、京はヒールを仲間達に任せると、整理された残骸に地獄の炎を放つ。
 そして火が消えるまで確認し、複雑な思いを込めつつ右手に手袋を嵌め直した。
「こんなものかな? お疲れさまー」
「だな。何のために避難した人を診て来るよ。押し合いで怪我してるかもだし」
 椛がねぎらいの声を掛けると、守人はそこでようやく息を吐いた。
 戦い慣れない様子だったがもう大丈夫だろう。そんな事を想いながら帰途についたのである。

作者:baron 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年10月29日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 3/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 3
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