クローバーフィールドのジレンマ

作者:ほむらもやし

●予知
 澄み渡る青空、凜とした空気、爽やかな秋の休日の午前、河川敷にはシロツメクサの花が揺れていた。
 白い花弁に微かに入る紅が陽光を浴びて強調されて見える。
 つばの広い帽子を被り、揃いの白いワンピースの母娘が小さな花を摘んでいた。
「お母さん、出来たっ! お花のかんむり、これでいつまでもいっしょだよ」
 ありがとうと、笑顔を向け、母親は帽子を脱いで頭を低くしようとした。
 その時、強い風が吹き抜けた。
 風に飛ばされた帽子が、くるくると草原の上を転がって、こんもりと盛り上がった緑の塊に当たって止まる。
「ちょっと待ってね、取ってきてあげる」
 花冠を手渡して、女の子は駆け出した。
 そして帽子を拾い上げようと。手を伸ばした瞬間、帽子が乗っていた緑の塊が突如膨れ上がり、数え切れない程の蔦が湧き上がった。
「き、霧架!」
 蔦は女の子の足下から絡みつく。
「何これ、いやだ、助けて、おかあさああああ!!」
 野に引き倒された女の子は瞬く間に緑の塊の中に飲み込まれて、緑の塊は巨大な芋虫の如き異形と変わる。
「やだ、そ……そんな、これは何の冗談、きりか、返して……」
 母親は何も出来ないまま、呆然と立ち尽くすしか出来ない。
●ヘリポートにて
「攻性植物と化したシロツメクサに女の子が宿主にされる」
 ケンジ・サルヴァトーレ(シャドウエルフのヘリオライダー・en0076)は軽く会釈をすると、今から向かうのは佐賀県と福岡県の境にある筑後川の河川敷と告げる。
 宿主にされた被害者の名前は霧架、小学二年生の女の子。
 攻性植物は周囲の草を巻き込んで巨大化してワームのような外見をしている。
「諸君にお願いしたいのは、この攻性植物の撃破。数は1体のみで、配下など味方する戦力はいない」
 現地到着は女の子が攻性植物に取り込まれた直後の見込み。
 到着したら、すぐに戦闘を開始できる。
「今回の依頼は攻性植物の撃破だけでも成功とする。だけど通常の敵と同じ様に攻撃して普通に斃すと、攻性植物に取り込まれて一体化している女の子も一緒に死ぬ。敵にヒールグラビティを掛けながら戦えば、戦いが終わった後で、救助できる可能性もあるが、攻撃とヒールのバランスが重要だ」
 戦闘中のダメージにはヒールで回復可能なダメージと戦闘中のヒールでは回復できないダメージの二種がある。
 二種のダメージの内、回復可能なダメージを敵にヒールを掛けることで回復させて、回復出来ないダメージのみを蓄積させ、耐久力の上限を慎重に削り続けるというテクニックを使えば、今回の攻性植物に取り込まれた女の子は助けられる。

「最高の成果を目指すなら手間の掛かる戦いになるだろう。時間も相当掛かる。諸君が敗北するリスクも大きくなるから、絶対に救助すしてくれ、とは言えない。だから作戦は任せるけれど、全力は尽くして下さい」
 助けたくとも手を伸ばせなかった母親の目の前で、娘の命が失われることの無いよう、祈りを込めて、ケンジは出発時間の到来を告げた。


参加者
エイダ・トンプソン(夢見る胡蝶・e00330)
倉田・柚子(サキュバスアーマリー・e00552)
七隈・綴(断罪鉄拳・e20400)
日下・魅麗(ワイルドウルフ・e47988)
牧野・友枝(抗いの拳・e56541)
不動峰・くくる(零の極地・e58420)
リリベル・ホワイトレイン(怠惰と微睡・e66820)

■リプレイ

●到着
 荒ぶる攻性植物を前に立ちすくむ母親の前で虹色の光の軌跡が横切った。
「大地に実る七色の煌めきファナティックレインボウ!!」
 牧野・友枝(抗いの拳・e56541)の声が響き渡る同時、強かな蹴りの衝撃に緑の巨塊は揺らめいた。
「霧架は……絶対助けるッ!」
「あ、あなたさまはいったい?!」
 巨塊を踏み込んで後ろに跳び着地する友枝、うわずったような母親の声に軽く頷く。そして救援だと分かるように、あとはこのウサギに任せろと告げた。
 そんなやり取りの刹那にも、七隈・綴(断罪鉄拳・e20400)の電光石火の蹴りは炸裂し敵を揺さぶった。
「この蹴りを受けて、痺れてしまいなさい!」
 乾いた衝撃音を立てながら、巨大な緑の塊は悲鳴をあげ身体をうねらせる。ケルベロスとしての戦闘力を示せば、母親も少しは落ち着けるかも知れない。
「右腕『轟天』、グラビティ吸収機構稼働! お主の力、頂くでござる!」
 不動峰・くくる(零の極地・e58420)は素早く収納形態の手甲を展開すると、その巨大な鉤爪を振り抜いた。
「何としてでも、助けるでござるからな」
 幼い我が子を目の前で体内に取り込まれる所を見れば、気が狂わんばかりの精神状態のはず。多少の力を見せた所で落ち着くとは限らない。だからこそ決して見過ごすことは出来ないと母親の前に立って、くくるは不測の行動に備える。
「お嬢さまのことは、拙者らが必ず、助けるでござるから……ここはどうか、落ち着いて堪えて欲しいでござる」
「安否は気になるでしょうけれど、ここは私どもを信じて少しの間辛抱願えませんか。貴女が子を思うように、お嬢さんにとっても貴女が無事であることは、同じくらい重要なのです」
 だから、母親のあなたは生きていなければならないと、くくると倉田・柚子(サキュバスアーマリー・e00552)は声をそろえた。
 そこに、エイダ・トンプソン(夢見る胡蝶・e00330)がやって来て、此処は危険だと母親の手を引く。
「だいじょうぶ、きっとうまく行きます。この種の事件は初めてではありません。お母さま、あとは私どもケルベロスにお任せ下さい。必ず娘さんを救出します」
 そう言って、攻撃の届きそうもない土手の裏側の方を目指す。
 ミミック『田吾作』に母親の護衛を委ね、マリオン・オウィディウス(響拳・e15881)は身に纏うオウガメタルに活性を促すのに機を合わせるようにして、リリベル・ホワイトレイン(怠惰と微睡・e66820)もまた、輝くオウガ粒子を発散させる。
(「避難の方はうまくいきそうかな?」)
 土手の上面、堤防道路で振り向く母親の姿をほんの短い時間見遣ると、日下・魅麗(ワイルドウルフ・e47988)は、緑の巨塊に向けて大自然の癒やしの力を注ぎ込んだ。
 ジャマーの特性はエフェクトを多く重ねられること、3度の共鳴を重ねたヒールはメディックに匹敵する強力な癒力を齎す。一見戦いが振り出しに戻ったように見えるが、今回は攻撃とヒールを繰り返し攻性植物にだけ殺傷ダメージを重ねる特殊な戦い。
 そしてこの戦術を理解していない者が居れば攻性植物と融合した被害者を殺してしまう難しい戦いでもある。

●約束を果たす
 母親はどのように救出されるか想像出来ずに躊躇ったが、力と誠意を示したあなた方を信じて言われた通りに身を隠した。
 本当の所をいえば言えば絶対に成功させられる確証など、誰にも無かった。
 ――必ず助け出します。
 但しそうだったとしても、表に出さなければ良い話。
 8人のケルベロスが成功させると言い切り、注意深く射線を遮る様な動きを見せる。口だけでは無く行動で強い気持ちを示せばこそ、パニックに陥った母親も落ち着きを取り戻せた。
 戦いに合流しようとしてエイダが堤防道路から見下ろせば、シロツメクサ(クローバー)のフィールドに潤いのある緑が広がっている。
 その広いフィールドを駆け巡る巨体と仲間を目にしてエイダは逡巡した。
 本当にキープアウトテープで囲むべきかを。50メートルの円周では半径8メートルほどの円しか描けない。体長が5メートルの敵に対して、この戦場設定が有意な制限となり得るか疑問が生じた。
 直後、荒ぶる巨体から生み出された斬撃の渦が間近から襲いかかって来る。
「ここは、私が――」
 竜巻の渦に飲み込まれる方が未だ生温いと感じるほどの激痛に耐えながら柚子は唇の奥を噛みしめる。歯に挟まれて頬の内側が抉れて口の中が血の臭いで満ちる。
「このぐらいなら、まだ耐えられます……くっ!」
 耐性違いの一撃に体力の大半を削り取られていた。強気の言葉と裏腹に膝の力が抜ける感覚がして、早く癒さなければ次は持たないと自らを癒す。
「柚子殿、それ以上は身を破壊するも同然、無茶はやめるでござる」
 ウイングキャット『カイロ』であれば、ここまで痛手を受けることもなかったかも知れないが、今更それを言い出しても、どうにもならない。サーヴァントを含めた4人のディフェンダーの内、斬撃に耐性を持つのはウイングキャットのカイロだけだった。
(「絶対に、助けるでござるからな!」)
 くくるは思いを重ねながらヌンチャク型如意棒を回転させ、蠢く蔦を払うと力任せの一撃を叩き込んだ。
 悲鳴、だが攻撃とヒールを交互に繰り返す不気味さから攻性植物は一層敵意を強めたように見える。
「拙いです。このままでは私たちが負けてしまいます」
 次の瞬間エイダは敵に意識を定めて手の内に在る爆破スイッチを押し込んだ。
 巨躯の体表で雷が落ちる様な音と共に連続爆発が沸き起こり緑の破片をまき散らす。
 防御に隙があるならば、救助へのリスクが高まっても攻勢を前倒すしかない。
「身体を巡る気よ、空高く立ち昇り癒しの力を降らして下さい」
 だが綴の表情が歪む。そして警鐘の如き不吉な言葉が続く。
「癒力が足りません」
 攻撃に機を合わせて回復可能ダメージを消し去って行けば、回復不能ダメージのみが積み重なって行く目論見だったが、ディフェンダーへの回復の手が想定以上に取られる事態に歯車が狂い始めた。
 そしてディフェンダーへのダメージを低減しうる手立ては攻撃の失敗を誘うか守りを固めるかのいずれか、或いはその両方だろう。
「Call(出でよ)、八角の牢獄」
 マリオンは詠唱し、現れた八角柱の結界が敵を囲う。だがそれだけでは荒ぶる巨塊はびくともしない。
「大丈夫です。まだ終わりではありません」
 結界の中に満ちる圧迫感。このグラビティはここからが本番、直後、あらゆる物を凝縮させる深海の如き高圧が巨塊に襲いかかった。
 盾の加護が足りないなら、敵の武器を封じて補うことも出来る。
 短時間の打ち合わせで、自ら明かさなければ、互いに手の内を把握することは難しい所もあったが、その中でも出来ることはあると、知恵を絞った者ばかりだった。
「頑張れ霧架! 今助けてやるからね!」
 傷だらけの緑の巨体、ヒールと攻撃を繰り返してはいるものの、今の段階で、攻撃によるダメージがヒールによる回復を上回っていることは、誰の目にも明白な事実だった。
「……くっ、しくじったか」
 続けて、信じたくないミスに気がついて、友枝の表情が苦々しく歪む。それを察したリリベルだったが、メディックである彼女が敵にヒールを掛ければ、キュアも同時に発動してしまう。
「引き続き、私は、私の役割を果たします」
 被害者はどうしても救助したい。しかしそれは仲間と手を取り合わなければ叶わぬ希望だ。癒術を武器とすると決めた以上、戦いが終わるまで貫くしか無い。そう覚悟を決め、リリベルは柚子に莫大な癒力を送り、機を合わせる様にして、ウイングキャット『シロハ』が清浄な気配を前衛に齎した。
「悪い……」
 気を取り直して、やれることを整理する友枝。その間にも仲間は止まることなく動き続ける。
「霧架さん、大丈夫だよ」
 言葉を紡ぐほんの短い時間に、魅麗の瞼の裏にワイルドスペースを呼び寄せた日の映像が鮮明に蘇った。
「私たちが必ず助けるから、今は辛抱してね」
 声はきっと届いているはず。
 信を胸に言葉を継ぎ、魅麗は大自然と繋がった。直後大地の力を介した莫大な癒力が傷ついた攻性植物に注ぎ込まれた。
 大幅に回復された、攻性植物は続いて自力での癒術を発動した。
「――しめた」
 一挙に回復可能ダメージを癒やしきる敵を見て、エイダは無数の紅い蝶を生み出した。
「さぁ踊りましょう、蝶のように」
 数え切れないほどの紅い蝶は不吉な声に導かれて攻性植物に纏わり付き始める。悲鳴の如き咆吼と共に暴れ回る巨体を目掛けて更に多くの紅い蝶が纏わり付き深いダメージを刻み付ける。
「その加護を、打ち砕いてあげますよ」
 ジェット噴射の如き勢いで綴は前に躍り出ると、超硬度を誇るレアメタルナックルを突き出した。次の瞬間、綴の拳は勢いのままに衝突した拳は、強固に編み固められた緑を深く抉った。
「そう易々と思い通りにはさせませんよ!」
 巨体を守る加護は消え去った。攻撃と癒しを繰り返されながらも、攻性植物は滅びの未来に向かっていることを思い知らされていた。

●終わりの始まり
「ステイ、田吾作。今回ばかりは急いてはいけません」
 そうミミックに告げて、マリオンは攻性植物に癒力を向けた。
 ここで攻撃を掛けて敵が倒れないだろうが、耐久度の残量は命中力と違って予想するしか無い。リスクを考慮すれば回復しておく方が無難だ。
「お母さまが心配されていますよ。そろそろお店に行く時間です」
 幼く罪のない少女を犠牲にして、勝利を得るぐらいなら、慎重すぎると笑われるぐらいのほうがずっと良い。
 なぜなら敵の命を奪うことは難しくなく、壊れやすい命を救うのはとても難しい。
「拙者も約束したでござるからな、失敗は許されないでござる」
 くくるの目には、ヒールを掛けられたばかりの緑の巨体は瑞々しくとても力強く映る。思い切りぶん殴っても問題ないように感じたが、仲間の言葉に耳を傾け、天秤の左右の水平を狙うが如き戦い振りを見て、単によく観察するだけでは誰も救えないと思い知った。
「こういう戦い方もあるのでござるな」
 戦いにくさは、もうあまり感じない。
「くくるも母親の顔を見たよな。――あれが大切な者を奪われようとする者の顔だ」
 友枝もまた自身に足りない分は仲間に任せ、戦術を立て直していた。
 気持ちだけで、何もかもに細心の注意を払えば良いと言うわけでも無い。
 なぜなら本来しないところにまで、注意を払うと言うことは、その分無駄な時間を使ってしまうか、必要な注意が散漫になることを意味する。
 被害者を救うのは全員で協力する仕事だ。厳しい者ならば己と味方の攻撃力とヒール力ぐらいは最低限把握すべきものとも考えるとも言われる。
「心配ないです。そこまでカチコチに考えなくても、ふわっとしていても助けられますから」
 淡いピンクの髪を揺らし、前に出たエイダの突きが深々と突き刺さり、孕む稲妻が巨体の内側で暴れ回る。
 破裂音と共に無数の爆炎が爆ぜる。
 焼け焦げた植物の破片が宙を舞う中、攻性植物の巨体が揺らぐが、倒れない。
 クラッシャーの強烈な一撃は戦いを早く進めるメリットもあるが、一歩間違えば、被害者の死亡に直結する危険な技。しかし――。
「ね。大丈夫だったでしょう。でも次は無さそうですね」
 メディックとジャマーの発動する共鳴ヒールの違いを始めヒールの仕様を把握すれば、与えて良いダメージの予測はある程度出来る。サキュバスらしく軽く言う彼女だったが、それは経験を積み重ねに裏付けられた者のもつ余裕かも知れない。
「これは命の糸を繋ぐ大自然の護り……その傷を癒せ!」
 幼い声とは裏腹、魅麗が的確なタイミングで大自然の護りを発動する。単純な力量だけ見ればメンバーの中で弱いとみられる彼女だったが、三つの共鳴を重ねることで莫大な癒力を生み出した。
 序盤の戦いにくさが夢だったかのように、ケルベロスが戦いの流れを支配していた。
 ミスさえしなければ助けることが出来る。
 あと少しで、霧架さんに手が届く。
 いつまで頑張るつもりかと、リリベルは苛立ちにも似た感情を抱いて爆破スイッチを押し込んだ。爆炎に包まれる巨体から焼け焦げた異臭がまき散らされる。
 最早、攻性植物は攻撃を繰り出さず。自身にヒールを掛けるしかしない。
 果たして、攻性植物に残る最後の命を削り取ったのは、魅麗の獣と化した蹴撃だった。
 命が尽きると同時、蔦をきつく編み重ねたような身体は一挙に弛緩して、千切れた草を積み上げただけの緩やかな小山と化した。そしてその中央部に、透明のゼリー状の物質に包まれた白いワンピース姿の女の子が横たわっていた。
「だいじょうぶ……かな?」
 魅麗が触れるだけで女の子を包むゼリーは簡単に崩れ去り、消滅した。
 直後、こほこほと咳き込んで女の子は息を吹き返す。その小さな手首に手を添えて脈を確かめた綴が魅麗の疑問に応じる様に満面の笑みで頷く。
「大丈夫ですか、意識はありますか?」
「……いしき、? なにそれ、それに、おねえさん誰?」
 とりあえず、綴は名乗ると、お約束通りに、生年月日と名前、両親の名前を尋ねて簡単に意識の正常さを確認した。
「霧架、霧架! 大丈夫なの? ケルベロス様、ありがとうございます!!」
 そこにエイダと柚子に導かれて、戻って来た母親が息を吹き返したばかりの霧架に駆け寄り、攻性植物に取り込まれる前と変わらない娘の姿を確かめるように抱き寄せた。

 頭上には秋の青空、流れる風は凜と爽やかで、陽射しはほかほかとあたたかい。
「ヒールも掛けたし、大丈夫だと思うけど、病院には行ったほうがいいかもね」
 再会ムードが落ち着いた頃合いを見計らって、リリベルは霧架と母親にヒールを掛けると、役割を果たした精神的な疲れと油断から、うつむき加減に頬を紅くした。
「どうしたの? お姉さん」
「別に何でも無い。細かいことを気にするな」
 そんな様子を眺めながらマリオンは目を細める。
(「よかった。こんな事件があっても優しさが優しいままで変わらなくて」)
 平和に見える世界でも、常に侵略を受けている現在は非常である。非常の時にあっては優しさなど簡単に消えて無くなってしまう。
 そんなタイミングで、ウイングキャット『シロハ』がふわりと近づいて来て、清らかな羽ばたきの風を送って来る。自然に吹く風と違わない優しい風に、マリオンもリリベルも心が洗われるように気がした。
「じゃあ、これで一件落着だな」
 さあ帰ろうと、言うリリベルに頷きを返す者もいる。
「助かって本当によかった。すごく愛されているんだね。お母さん、大事にしてね」
 そう霧架に告げた、友枝もスッキリした表情で背伸びをした。
 女の子を救った。
 人知れず困難な戦いを制したケルベロスたちは温かい気持ちで帰路に着いた。

作者:ほむらもやし 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年10月29日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 4/キャラが大事にされていた 0
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