
そこは、かつては酪農家の乳牛の牛舎。
そこに、ある日。虫が中に潜り込んでいった。その虫は……コギトエルゴスムに脚が付いた、小型ダモクレス。
それが潜り込み、そして、
「ねー双葉、マジにここいらで幽霊が出たの?」
……その日。三人の女子高生は、わいわい言いつつ外の道を歩いていた。
一人はポニテ、二人目はツインテ、三人目は眼鏡。三者三様の容姿だが……共通する点は二つ。
その制服と、その胸。三人とも結構な巨乳だった。
「マジよ一美! 目撃者いるんだからね!」
ツインテールの少女、双葉が、ぐっと拳を握る。
「酔っぱらったオッサンでしょ、信ぴょう性無いと思うけどなー。三津子もそう思うよね?」一美と呼ばれたポニーテール少女は、肩をすくめた。
「知らんわよ。つーかここって不景気だかなんだかで閉鎖して、そのままうやむやになったって牛舎じゃなかったっけ。マジ引くわー」
三津子……メガネの少女は一美に同意。
だが、次の瞬間。
牛舎から、いきなり『それ』……『巨人』が、壁を溶かして出てきたのだ。
それは、鉄骨で構成されたような、巨人がごとき姿の異形。全身の各所から電気コードが変化したらしい触手を伸ばすと、三人を捕まえ……胸部や腕、腹部など、独房のようになっている自分の身体の各所へと放り込んだ。
「きゃああっ!」
そのスペース内にて、触手は叫ぶ三人の手足を縛り、虜にすると……服の内部に入り込み、胸の部分を引きちぎった。
三人の豊かな胸が、露わになる。
「いやああっ!」
「何すんのよ! このスケベ!」
「まさか……ちょ……やめ……ああっ!」
そして、三人の乳首に……ホースが伸びて吸い付くと、『搾乳』し始めた。
が、搾り取っているのは『乳』ではなく……『血』だった。
両胸の先端から、激痛が走り……血が一緒に吸い取られていくのを、三人は感じ取っていたのだ。
「痛い! やめて! やめ……て……」
「こんなの……いや……いや……」
「あ……あああ……」
『ザ、グ、ニュー!』
そして、怪物は……そんな彼女らをあざ笑うかのように、咆哮し、牛舎の壁を壊して外へと足を踏み出した。
「巻島・菫(サキュバスの螺旋忍者・e35873)さんが手がけて解決した、人妻をプールで襲うオークの事件ですが。経営していたフィットネスクラブがかつて所有していた酪農場にて、ダモクレスが発生した模様です」
と、セリカが述べた。
『フィットネスクラブ・ビューティーモンスター』。現在、水泳教室など各種スポーツ教室を並行して経営しているが、十年以上前には健康食品や酪農にも手を出していた。
酪農も直営していたが、経営不振から酪農および食品部門は閉鎖し、現在に至っている。
「それで、その閉鎖された酪農場の乳牛の牛舎、そこに放置されてた大型の搾乳機が、ダモクレス化するところを見ました。時間は夕方、周囲は元牧場ですが、今は持ち主が不明で放置されています」
しかし、住宅街からはそう離れてはいない。五分ほど歩けばすぐにアパートに住宅街、小さな商店街に出るため、早く対処するに越した事は無いとの事だ。
「それで、ダモクレスですが」
そいつの素体は、『垂直上昇型出口ゲート方式』の大型乳牛搾乳機で、一見すると競馬場のゲートのよう。
「ダモクレス化されたことで、鉄骨が絡まり合い、おおまかに人の形になった鉄骨の外と内側に、電気コードや搾乳用のホースが覆っている……という外観になっています。そして、バスターライフルのような砲撃を行う事が認められましたが……」
そいつが放つのは、砲弾ではなく『強酸性の液体』。最初に壁を破ったのもこれで、もともとは機械洗浄用の化学洗剤だったらしい。
加えて、発射できるのは一か所だけではない。体中にある数十のホースから、死角無しで全方向に同時に撃つ事が出来る。しかも次弾装填は、わずか五秒程度。
このダモクレスが行うのは『搾乳』。ただし、搾乳とはいっても対象は人間、そして搾り取るのは『乳』ではなく『血』なのだという。
女性、それも巨乳の女性を、電気コードが変化した触手でからめとり、体内のスペースに閉じ込める。そこで服を脱がせ、乳首に搾乳ホースを吸い付かせると、そこから搾乳ならぬ搾血する。
血を搾り取ったら、前の犠牲者の死体は捨て、別の女性を探しに移動する。
「ですが……ちょっとした弱点があります。それを使えば、勝率は上がりますが……」
抵抗がある、とセリカ。どうやら『搾乳時に、動きを止める』らしいのだ。
ダモクレスの体内には、両腕に二つ、両足に二つ、胸部に二つと、搾乳スペースが六ケ所ある。それぞれ一つに一人が入る事で、本体の動きは徐々に鈍くなり、全部が埋まると完全に動きを止めてしまう。
これを利用すれば、誰かが入り込み搾乳させて動きを止め、体内の酸の元になる二つの原液タンク……元は化学洗剤のタンクで、混合して酸になる……を破壊するなり、手足を切断したり、爆弾をしかけるなりすれば、無力化・破壊は容易になる。
搾乳されるためには、下手に攻撃せずに接近すれば良い。そうすれば、向こうの方からコードの触手を伸ばし、搾乳スペースに放り込んでくれる。
しかし、血を絞られるその時間は、約五分が限度。それ以上は失血死する恐れがあり、非常に危険である。失血死した後、十分ほど経過したら、体内の血液は全て抜かれ、死体は廃棄。ダモクレスは次の獲物を求め、動き始める。
「なので、作戦としては『六人の巨乳の女性ケルベロスが、囮になってつかまり、搾乳される。その隙に残った者が、ダモクレスを無力化する工作を行い、然る後に脱出』というものになると思われます」
また、虜にされても、ケルベロスならばかろうじて自力で脱出は可能らしい。ただし、捕まった時、敵の体内で搾乳される直前に攻撃は厳禁。実行したら、その虜に向けて酸を放つため、自殺行為だからと、セリカは付け加えた。
遠くから酸のタンクを狙撃する……というのも不可能だという。タンクは胴体内部に内蔵され、分厚い鉄板に覆われているため、多少の狙撃ではびくともしない。
また、動きを完全に止めるのは六ケ所全部が埋まらなければならない、とも。搾乳が五人までなら、動きはかなり鈍るも、酸を放つ頻度が上がり、かえって危険だという。
対象になるのは女性。貧乳微乳小さめの胸の女性も対象になるようだが、やはり大きめの胸の方が、敵の食いつきは良いらしい。
ちなみに男性は、どんなに外観が女性に似ていても、搾乳の対象にはならず、問答無用で酸攻撃するらしい。
「なので、この依頼は女性専用。加えて、胸が大きな女性推奨となります。もしも男性が参加するのであれば、女性が虜になった後に出てきて、破壊工作を行う……という役割に強制的になってしまいますので、その点もご了承ください」
ともかく……事態は急を要する。
「難しい敵で、しかもかなり恥ずかしい事を強いられる事になりますが……皆さん以外に頼れる方々はいません。それでも参加して下さるのなら……よろしくお願いします」
そう言って、セリカは頭を下げた。
参加者 | |
---|---|
![]() ミステリス・クロッサリア(文明開華のサッキュバス・e02728) |
![]() 呂・花琳(デウスエクス飯・e04546) |
![]() 除・神月(猛拳・e16846) |
![]() エメラルド・アルカディア(雷鳴の戦士・e24441) |
![]() 獅子谷・銀子(眠れる銀獅子・e29902) |
![]() 巻島・菫(サキュバスの螺旋忍者・e35873) |
![]() サラサ・セレイン(スーサイドブラック・e44400) |
![]() エレオノーラ・エルヴァスティ(へたれ勇者見習い・e56447) |
●血まみれ機械の侵略
「マジよ一美! 目撃者いるんだからね!」
「酔っぱらったオッサンでしょ、信ぴょう性無いと……」
双葉へと返答しようとした一美は、
「そこの女子高生諸君、こんにちは」
自分たちより少し年上の、美少女に声を掛けられた。
「え……あ……ど、どうも……」
一美はたどたどしく返答し、
「……なにこの人、すごい美人!」
「……金髪で藍色の瞳? どっかのモデルか女優? マジ凄いわー」
双葉と三津子は、ミーハーっぽく質問の嵐。
目前の美少女は、スッっと……カードらしきものを取り出し、三人に見せた。
「え? ……ひょっとして、ケルベロス?」
「って、マジ驚きだわー」
などと言う双葉と三津子を尻目に、一美はそれに見入った。
「……エメラルド・アルカディア(雷鳴の戦士・e24441)さん?」
「ああ、ケルベロスの末席に名を連ねている。今日は警告に来た。この牛舎からダモクレスが出現し、人々に危害を加える事が明らかになっている」
すぐにこの道を引き返して逃げろ。エメラルドの警告に、三人は従った。
……十数分ほど後で。
「ね、サインして!」「一緒に自撮りお願い!」「なんでそんな美人なの、マジ知りたいー!」「ってーかおっぱい大きい!」「いいなー! こんな顔に生まれたかった!」「マジ握手して!」
「あ、あの……ちょっと……」
辟易しつつ、三人は退散し、エメラルドはようやく安堵。
「よウ、人気者じゃあねーカ」と、からかい口調とともに、除・神月(猛拳・e16846)がそこに現れた。
「……戦いよりも疲れるな。他の皆は?」
「既にスタンバってるゼ。後は……奴が出てくるのを待つだけだナ」
神月の言葉に、気が引き締まるのを実感するエメラルド。
そして……出てきたダモクレスに対し、屈辱的かつ危険な行為をしなければならない。
『覚悟』を決め、エメラルドも一歩を踏み出した。
それから、数刻。
牛舎の壁が、腐食し、溶解し……吹き飛んだ。
そこからダモクレスが……巨体を振るわせつつ、出現した。
それは、まさしく奇怪なる機械。鉄骨で大まかな中空の人型を作り出し、その内部に機械を詰め込んだ外観をしていた。
身長は約十m。競馬場のゲートのような、籠状のケージが身体の各所に。
ケージ内には番号があった。胴体部の縦二つが『1』『2』、両肩は『3』『4』、両足の大腿部に『5』と『6』。
頭部は絡まった機械やコードに埋もれ、存在するかどうかすらわからない。
『ザ、グ、ニュー!』
恐ろし気な機械音声で、吠える。
「ううむ……これは……改めて見ると中々凶悪な奴じゃな」
呂・花琳(デウスエクス飯・e04546)、巨乳かつ小柄なドラゴニアンの少女のつぶやきは、皆の心象の代弁になっていた。
「で……これから、アレにワザと捕まるのね?」
ミステリス・クロッサリア(文明開華のサッキュバス・e02728)、サキュバスの女性がつぶやいたのは、皆のこれからの行動予定。
あのダモクレスに、六人がわざとつかまり、内部で搾乳……という名の、吸血行為を受ける。その隙に二人の仲間が破壊工作を施し……ダモクレスの攻撃及び行動を不能にし、破壊する。
「ええ。恥ずかしいけど……こんな女性の敵のダモクレス、街に近づけるわけには……いや、存在させるわけにはいかない!」
獅子谷・銀子(眠れる銀獅子・e29902)が凛々しく言い放つが、それでもやはり恥ずかしそう。
そんな彼女のすぐ後ろに、銀子に劣らぬ凛々しさと雄々しさとを漂わせる、金の瞳の美少女サキュバスが。
戦士のごとく、恐れを見せぬその顔と瞳。その口から出る言葉は……、
「ううっ、牧場で搾乳体験するだけって聞いてたのに……」
容姿とは正反対の、やる気のない残念なそれ。彼女の名は、エレオノーラ・エルヴァスティ(へたれ勇者見習い・e56447)。
「人払いも、完了しています。後は……『吸われる』だけですね」
不健康そうな顔色の、シャドウエルフの美少女。彼女、サラサ・セレイン(スーサイドブラック・e44400)の手により、殺界形成が成されている。
「皆、これを」
花琳が皆に、地獄に渦巻く風……【僧去】を召喚し、その身にまとわせた。
「『八獄顕正【分陀利】僧去の外套(ヤゴクケンショウブンダリソウキョノガイトウ)』。気休めくらいにはなるじゃろう」
あとは、実際に行動に移すのみ。
エメラルドは不安と戦っていた。やっぱり、恥ずかしくないと言えば嘘になる。が、それを振り払わないと。
先刻の『覚悟』とともに気合を入れ、エメラルドは……、
ダモクレスへと、進んでいった。
●血のバレンタインデー
「……さて、作戦開始、ですか……」
離れた場所の陰から……巻島・菫(サキュバスの螺旋忍者・e35873)が、ダモクレスに向かうエメラルドの姿を見ていた。
すぐ近くに神月、そして、ミステリスのライドキャリバー『乗馬マスィーン一九』と、花琳のシャーマンズゴースト『梵天丸』が、ともに待機。
エメラルドが歩み寄ると……、ダモクレスは彼女の姿を認識し、体中から蛇のようなホースを伸ばして彼女へと向けた。その全ての先端にはノズルが付き、ノズルからは液体……酸が滴っている。
が、エメラルドが立ち尽くすと……値踏みするかのように、ダモクレスは動きを止めた。
「……もしここデ、搾乳しなけれバ……」
神月は、自分のつぶやきが杞憂である事を願った。ダモクレスが、彼女を『敵』でなく、『獲物』だと認識してくれなければ……!
「!」
刹那。オークのような触手が全身から伸びて……エメラルドへと迫り、絡まった。
「きゃあっ!」
思わず抵抗しそうになるエメラルドだったが、それを堪え、なすがままに。
ダモクレスは触手……電気コードのそれでエメラルドを持ち上げ……胸部『1』のケージ内へと放り込んだ。
「……どうやら、一人目は獲物として認識してくれたようですね」
菫は、自分がそう呟くのを聞いた。
「……!」
両手を広げ、敵対の意図が無い事を示しつつゆっくりと接近したサラサは、
エメラルド同様に巻き付かれ、『2』に入れられた。すぐにケージ内の各所から、電気コードの触手が伸びて壁に固定する。
「くっ……ああっ……」
右肩の『3』に入れられたのは花琳。やはりコードに縛られ固定され、両胸を露わにされかけている。身体に似合わず、その丸く大きな両胸を触手に撫でまわされ……、
「んっ……くふぅっ……!」
思わず声が出そうになるが、羞恥を覚え、必死にこらえる。
「さあ、私を! ちゅっちゅしてみせるの! ……ひゃあっ!」
『4』には、ミステリス。こちらはやたらとやかましく、妙にテンションが高め。
「見せてみるの、新型の搾乳ダモクレスの吸引力を!」
右脚『5』には、
「くっ……」
悔しさをにじませつつ、無抵抗を装った銀子が。
そして、
「……自分から進んで行くのは、ちょっと怖いし……。だったら、このままこうしてても……っていうかそもそも、女だけでも恥ずかしいし……ひゃあっ!」
行くか行くまいかと悩んでいたエレオノーラが、結局絡み取られて、左脚『6』へ。
ダモクレスのボディの、6つのケージに……虜が全て入った。
そして、触手が彼女たちを固定し、その胸をはだけさせた。
●オペラ座のような血の喝采
「菫、まだカ?」
「……まだ、奴は動いてます……!」
実際、そいつはまだ動き回り……体の各所の酸を放出する無数のホースも、撃つべき敵を探し回りうねうねと動いていた。
焦ってはならない。おそらく周囲の安全を確認してから、搾乳を開始するのだろう。下手に焦って動かず……好機を待たねば。
やがて、ダモクレスは体内にホースを収納し……、地面にひざまずいた。
「ひっ!」
『3』内。触手に両胸をはだけさせられた花琳は、自分の大きく敏感な双丘に外気が当たり……、思わず声が出てしまった。
「……んっ、くっ……」
自身の召喚した『僧去』の効果はあるはず。そう言い聞かせつつ……、
「くっ……くふぅ……」
感じやすい自分の大きな両胸を撫でまわされ、触手が与える快感をこらえていく。せめて、声だけは出すまい。羞恥もあるが……快楽に負けたと思いたくない。
それは、『5』内の銀子も同様。両胸をまさぐるのは、オークの触手に似ていたが……両胸を露出させると、その愛撫はいったん消えた。
「こんな、牛みたいな扱いなんて……」
屈辱に、唇をかみしめる。
そして、
「炭水化物・良質たんぱく質・ビタミンミネラルをいっぱい食べておいたから、用意は万全! さあいつでも吸ってくださいなの!」
『4』内部のミステリスの言葉に答えるかのように、ケージ内部から二本、酸を発射するホースとは別の、透明な太目のホースが伸びてきた。その先端には、奇妙な形状のノズルが。
「……ええっと、造血剤飲んできたし、大丈夫、だよね? ……って、でもやっぱり、おっぱい剥き出しは恥ずかしい……ってそれ以上に、そんなのに吸い付かれるのは……ひゃんっ」
『6』のエレオノーラ、彼女の豊満な両胸、その乳首にも……ホースの先端が吸付いた。
「んっ……痛っ!」
『2』のサラサ……彼女の双丘の先端にも、ホースは吸い付く。その感触は、太目の針を乳首に突き刺されたかのような、激痛を伴ったもの。
「痛いっ! 痛っ……ああっ……痛い、痛い、けど……」
それが……『気持ちいい』。最初は痛みを伴ったものの、すぐにそれが、彼女の中で快感に変換され……、
「ああ……あっ……あんっ……」
喘ぎ声がその口から洩れ、よがりはじめた。
「え……そこはっ、違っ……!」
さらに、下の口。いつしか濡れたそこの、勃起し赤く色づいた淫核にも……搾乳機が吸付く。
「ひぎぃっ! 取れちゃう! 私の……!」
サラサは苦痛と快感に狂い悶える。
その上の、『1』でも、
「くうっ!」
エメラルドの乳首にも、ホースが吸い付き……激痛と、それを伴った快感が襲い掛かる。
「っ、痛……!」
触手にがんじがらめにされつつ、何とか自分の携帯を操作し……タイマーをセットし終えた。
「あとは……菫さん、神月さん、お願いよ……ああっ!」
エメラルドの言葉とともに、ダモクレスの動きが止まり、その巨体が膝をついた。
●ダモクレス、血のシャワー
「一気に仕掛ける!」
菫が突撃し、
「おうサ!」
神月も後に続く。
やはり搾乳中には動けないらしく、二人が接近しても反応はない。
すぐに跳躍した菫は、背中にとりつき外部鉄骨をひきはがしにかかる。
「オラオラッ! ……へッ、結構堅いナ!」
その間、神月はダモクレスの手足の関節部に攻撃を。手近なところから、右肩の関節部をリボルバーで狙い撃つが、弾丸を受け付けない。
「ならこれはどうダ!」
バトルガントレットに持ち替え、関節を破壊しようとする。が、やはり固い。
「んんっ……あっ、くっ……ああっ!」
右肩、『3』に入っている花琳が、声を殺しつつ喘いでいるのを見て、
「ふハ、血ぃ搾られてるってのに感じてるとカ、まじでドMなんだナー?」
自身の焦りをごまかすため、わざとそんな事を言ってみる。
「そ、そちらこそ……ちゃんとすべき事、を……あああああっ!」
花琳の口から、快感からの嬌声が迸った。
「……ああっ! 強すぎ! ……あっ、ああっ、吸われて……」
花琳の下、『5』に入れられた銀子もまた、大きく喘ぎ声を。
「母血を吸わーれ、吸わーれ、吸わーれ、ストップ! ほーら、ここに快楽エネルギーがたまってきただろう?」
唯一ミステリスのみが、どこかでストレッチでもやって来たかのようにテンションが高い。
「……思った以上に、時間がかかります……!」
血を吸われている彼女らを見て、菫も焦りを禁じ得ない。
体内のタンクらしき場所は特定できたが……それは分厚い鉄板に覆われていた。
「ならば……!」
やるしかない。時間は残り、一分三十秒。
菫は、冷たき螺旋の力を解放し、そして……。
三分が経過した。
ズッ……という音とともに、自分の乳首から搾乳機を取りはらったエレオノーラは、
「……うう~、やっぱり痛いし、くらくらするし、恥ずかしいし……」
自身にシャウトを賭けて回復しつつ、そんな事を。
エメラルドの携帯からも、五分経過のタイマーが鳴っている。花琳にミステリス、銀子にサラサも、それぞれ……自力で脱出しようと試みていた。
シャウトなど、自力で体力を回復させるようにしていた彼女らだったが、それでもやはり、失血・貧血ゆえのめまいがひどく、万全の状態ではない。
「このっ!」
菫が数度の打撃を、背中へと与えていく。が……、
ダモクレスの体中から、酸のホースが鎌首をもたげ……菫に向けた。
「!!」
この距離では、逃れられない。ホースから酸が放たれ……、
……る事はなかった。
「どうやら、うまくいったようですね!」
酸のタンクは破壊されていた。
菫の放った『螺旋氷縛波』が、ダモクレスの酸のタンクを凍結させ、それに強烈な打撃を何度も与えた結果、タンクの破壊に成功したのだ。
そして、腕を上げ脚で立ち上がろうとしたダモクレスは……、
そのまま両手足が折れて……胴体のみが地面に倒れた。
「手足の関節部ハ、全部ブチ壊してやったゼ! あとはこいつヲ……」
「ぶっ壊すのみ、ですね」
神月の攻撃が、功を奏していた。
彼女と菫、そしてシャーマンズゴーストとライドキャリバーは、ダモクレス体内の皆を救出すべく、作業に取り掛かった。
●血戦の果てに
「ゃ……たす、けて……!」
「しっかりして!」
「今助けル!」
胸元を露出したまま、ぐったりしているエメラルド。菫と神月はケージを開き、彼女をダモクレスの体内から引っ張り出した。
彼女の顔は失血により青ざめ、まさに……生死の境ぎりぎりまで近づいている。
「もう大丈夫です。ダモクレスは破壊しましたよ」
菫の言葉を聞き、うっすらと笑みを浮かべ……エメラルドは気を失った。
他の皆も、やや元気がない。
「はぁ、はぁ……ああん……」
サラサは、下の口から何度も潮を吹いたため、びしょびしょになっていた。
「母乳は出ませんし、出してません。……出してませんってば」
エレオノーラも頬を染め、
「んぅ……敏感になっちゃってる……」
銀子は、自分の両胸の性感が上がり……触れただけで甘く快感が流れるのを知った。加えて脱力感と倦怠感が激しく、疲労困憊の状態。
「……しかし……気持ち、良かったのじゃ……」
花琳はダモクレスの残骸を見つつ、吸われた時の事を思い出していた。認めたくはなかったが……あの快感は、否定できない。それを思い、思わず赤面してしまう。
そんな中、
「疲れたならば、『かき氷』で補充だ! んー! 頭がキーンとするから色々と吹き飛んで元気になるぞ!」
唯一ミステリスのみが、自身のグラビティで回復し、高いテンションを維持していた。
作者:塩田多弾砲 |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
|
種類:
![]() 公開:2018年6月16日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
|
||
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 5
|
||
![]() あなたが購入した「複数ピンナップ(複数バトルピンナップ)」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
|
||
![]() シナリオの通常参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。
|