襲い来る奇妙な巨大植物

作者:なちゅい

●浮遊する巨大攻性植物
 大阪府大阪市。
 突然、魔空回廊より現れたのは、全長7mもある巨大で不気味な攻性植物だった。
 上体は不気味な胎児を思わせる何かを内部に抱えた花びらを無数抱え、下部は上体から直接奇妙な根が生えており、その尖端はナイフのように鋭くなっている。
 あまりに不気味なその生物の強襲に、大阪市民は恐怖し、戦慄した。
「デウスエクスや!!」
「逃げえ! 逃げな、殺されちまうぞ!」
 攻性植物から逃げる大阪市民。
 だが、攻性植物は広範囲に根を広げ、逃げる人の背に尖端のナイフ部分を突き刺し、その生命力を奪い去ってしまう。
「ひ、ひいいいいっ!!」
 それを目にし、人々はさらに怯えて逃げ惑う。
 ただ、地面を僅かに浮遊する攻性植物は街を破壊しながら進み、さらに侵攻を進める。
「あかん、たす、け……」
 また1人、市民が攻性植物の根に貫かれ、養分を吸われて絶命してしまう。
 それでも、巨大なデウスエクスはなおグラビティ・チェインが足りぬのか、逃げる人々を追う様に移動していくのである……。

 巨大攻性植物の襲来を受け、ケルベロス達は情報を求めてヘリポートへと集まる。
「皆、来てくれてありがとう」
 リーゼリット・クローナ(ほんわかヘリオライダー・en0039)はケルベロス達に最初は笑顔を見せたが、事態が事態だけにすぐ表情を引き締めた。
 大阪府大阪市に現れる攻性植物。それは、爆殖核爆砕戦の結果、大阪城周辺に抑え込まれていた攻性植物の一種と見られている。
 重点的に、大阪市内へと攻撃を繰り返す攻性植物。その狙いは……。
「おそらく、その近辺で多数の事件を発生させることで、一般人を避難させた大阪市を中心に勢力を拡大させる計画だと考えられているよ」
 とはいえ、個々の事件としては規模はさほど大きな侵攻ではない。
 だが、これらを放置していると、ゲート破壊成功率が『じわじわと下がって』しまう。
「だからこそ敵の侵攻を完全に防いで、隙を突いて反攻に転じたいところだね」
 魔空回廊を通して大阪市内に現れる巨大攻性植物の名は、サキュレント・エンブリオ。
 大阪の街と市民に被害が出る前に、この攻性植物を撃破したい。
 敵は1体のみ出現し、配下はいない。
「戦いにおいてはスナイパーとして位置取って、その全てのグラビティを多数の根を使って繰り出すようだよ」
 サキュレント・エンブリオは蔓触手のようにして相手を縛りつけたり、ナイフ状の尖端で近場の相手を纏めて切りつけたりしてくる。
 また、根を伸ばして広域の相手を一度に貫き、生命力を奪うこともあるようだ。
「出現地点はある程度確認をしているから、敵出現後の避難誘導は警察、消防主導で行ってくれるよ」
 市街地での戦闘となるので、市街への被害は避けられない。
 それをできる限り軽減させるなら、短期決戦による撃破が望ましい。
「敵の出現地域の周囲は中高層の建物も多いから、攻撃時の移動経路として使うことができるよ」
 また、電柱やそれらのビルなどを利用して、戦場である市街地を立体的に使う事ができれば、有利に戦えるかもしれない。
 被害は、最終的にヒールグラビティによって修復ができる。
 だからこそ確実に、素早く敵を撃破できる戦法を立てておきたい。
 一通り説明を終え、リーゼリットはこの地域の攻性植物出現について、多くのケルベロスが警戒していたことを語る。
「彼らの働きを無駄にしない為にも、確実に敵を撃破してほしい」
 それぞれ、依頼に対する意気込みを見せるケルベロス達の言葉を聞き、リーゼリットは小さく頷いてから彼らを自らのへリオンへと招き入れるのだった。


参加者
流星・清和(汎用箱型決戦兵器・e00984)
ウィッカ・アルマンダイン(魔導の探究者・e02707)
黒斑・物九郎(ナインライヴス・e04856)
上里・もも(遍く照らせ・e08616)
ヒナタ・イクスェス(世界一シリアスが似合わない漢・e08816)
上里・藤(黎明の光を探せ・e27726)
レシタティフ・ジュブワ(フェアリー・e45184)

■リプレイ

●大阪を強襲する巨大浮遊樹
 大阪市内へと降り立つケルベロス達。
 すでに、突如現われた巨大攻性植物サキュレント・エンブリオによって、街は混乱し始めていた。
 駆けつけたケルベロス達は地上から7mもある浮遊樹の姿を、上里・藤(黎明の光を探せ・e27726)は帽子のつばに手を当てつつ見上げて。
「よう。……まあ、言葉はいらないか。どうせ通じないしな」
 その後ろから、ブチ猫のウェアライダーである黒斑・物九郎(ナインライヴス・e04856)が自身ありげな表情で姿を現す。
 旅団『喧嘩仁義』の団長である物九郎と藤はデウスエクスをブチのめすのに、よく連携する仲だ。
「待たせたな。私もここにいるぜ!」
 さらに、片耳にピアスした狼のウェアライダー、上里・もも(遍く照らせ・e08616)が明るく華やかな姿で現れる。
 街中を駆け回る立体軌道での戦いとあって、ももは新しいレギンスを買うなど並々ならぬ闘志を抱いて参戦していた。
 ちなみに彼女は藤の姉であり、物九郎と連携して戦う仲である。
 そこに、どこからか鳴り響く声が。
「空を見ろ! あれは何だ! 鳥か! ……鳥? 鳥かなぁ??」
 やや遅れる形で飛び降りてきたのは、ぐだぐだの恰好をした赤ペンギン、ヒナタ・イクスェス(世界一シリアスが似合わない漢・e08816)だ。
 ぐるぐるまきな瞳で相手を見据えつつ、ヒナタはこの場へとステキに参上してみせた。
 それぞれの立ち回りでこの場に駆けつけるケルベロス達。
 ただ、華奢な体躯のヴァルキュリア、レシタティフ・ジュブワ(フェアリー・e45184)の提案もあり、一行はできる限り作戦をすり合わせした上でこの作戦に臨んでいる。
 布陣として、壁役に名乗りを上げたグレイン・シュリーフェン(森狼・e02868)。
「人や街への被害もそうだが……」
 狼耳と尻尾を動かすグレインは敵の姿を仰ぎ見て。
「こいつが原因で、今ある木々が攻性植物になっちまうのも許すわけにいかねえからな」
 ケルベロスに気付いた攻性植物は尖端がナイフ状の根を大きく広げ、早速襲い掛かってこようとしてくる。
 そこで、無骨なロボット風の外見をした流星・清和(汎用箱型決戦兵器・e00984)が飛び込んで。
「敵性ターゲット確認、戦闘を開始する」
「大阪の街の破壊も、最終決戦勝率の低下も許しません!」
 さらに、シャドウエルフの魔術師、ウィッカ・アルマンダイン(魔導の探究者・e02707)が相手に向かって叫びかける。
「いくら巨大であろうと、私たちが倒します!」
 ウィッカはゾディアックソードを手にし、地面に魔法陣を展開させつつ攻性植物の対処へととりかかるのだった。

●侵攻する大樹に立体戦闘を
 攻性植物サキュレント・エンブリオは獲物を求め、大阪の街を侵攻する。
 周囲では、すでに警察や消防による避難誘導が始まっているが、ケルベロス達は人的避難をそちらへと完全に任せて攻性植物の抑えと撃破を目指す。
 事前の情報によれば、薙ぎ払ってくる敵の根による足止め、絡み付いての捕縛といった効果をケルベロス達へと及ぼす。
 地面に五芒星を描くウィッカは、先んじて前線の仲間達を包み込むようにして防壁を展開する。
 それを受け、オルトロスのスサノオが高く跳び上がっていく。
 攻性植物が伸ばしてきたナイフ状の根からケルベロスを庇い、スサノオは自らの身体で受け止めてみせた。
 その直後、主のももは建物の中へと飛び込み、侵攻する攻性植物へとサイドから竜砲弾を叩き込む。
 それで相手の足が止まれば良いが、そう簡単に7mもの巨体は止まらない。
 続けて、物九郎が仕掛ける。
 彼は重力に身を預けるようにし、猫となった拳で敵の上部に開く花びらを強く殴りつけていく。
 グラビティを伴う一撃。花びら一つに亀裂を入れ、相手を僅かに威圧するが、まるでビクともしない。
 仲間の射線を気にして、物九郎が相手の背後に飛び降りる。
 直後、ダブルジャンプで相手の死角に回ったグレインは螺旋を込めた拳で花びらに触れ、螺旋の力で花びらの中身を破壊していった。
 グラビティによる圧力を受ける攻性植物へと、電柱の上からヒナタがドリルのように回転させた腕で殴りかかる。
 ヒナタのテレビウム、ぽんこつ一号も壁役の一員となりつつ、凶器を手にして滅多切りしていく。
 多少傷つきながらも攻性植物が広げてくる根から仲間を守ろうと、清和は腕に纏わりつかせたオウガメタルから粒子を飛ばす。
 支援強化を受けた藤はエアシューズで街中を疾走し、壁を蹴って高く跳躍しようとする。
 それをアシストするのは、光の翼を羽ばたかせたレシタティフだ。
 足場として藤を高く飛ばした彼女は、そのまま流星の蹴りを相手に浴びせかけた。
 幼女でありながらも、不遜な態度を崩さぬレシタティフ。
 ただ、彼女にばかり気を取られてもいられない。高く跳ぶ藤が花びらを破壊するように電光石火の蹴りを叩き込んだのだ。
 実力をつけて新人の域は脱したとはいえ、まだまだ発展途上の彼はややいっぱいいっぱいな素振りも見せながらも、ヒットアンドアウェイの立ち回りで敵から距離をとる。
 立ち上がりはケルベロスにとって、上々といったところ。
 サキュレント・エンブリオは群がってくるそのケルベロス達を、ナイフ状の根で纏めて薙ぎ払ってくるのである。

 街中の人々の避難は警察、消防の働きもあってつつがなく進んでいる。
 後は、ケルベロスが如何にして地面近くを浮かんで侵攻する攻性植物、サキュレント・エンブリオを撃破するかだ。
 広げてくる根の威力を少しでも抑えようと、赤いツインテールを揺らしてウィッカは相手の目標を絞らせぬよう動き回る。
「……そこです」
 バスターライフルを構えて敵の死角より仕掛ける彼女は、エネルギー光線を発射した。
 グラビティを中和する効力のある一撃。僅かだが、敵の根の尖端のナイフから鋭さが僅かに失われる。
「へいへいみんな、立体軌道の調子はどう? 援護射撃いる?」
 タイミングを合わせるように、建物から飛び出したももがダブルジャンプで相手に迫り、竜鎚から砲弾を飛ばす。
 そんな主に、オルトロスのスサノオは四つ足で一生懸命ついていく。
 同じく、ダブルジャンプの用意していた清和だが、使う様子はほぼ見られない。
 清和は後のことも考えて建物に入らぬようにし、見えない地雷を起爆させる。後はチームのサブヒーラーとして、立ち振る舞う。
 攻性植物は広範囲に根を伸ばし、突き刺したケルベロスから体力を奪おうとしてきた。
 その相手をダブルジャンプで翻弄するグレインは、格闘戦寄りのスタイルで相手を攻め立てる。
 しかし、街路樹に被害が及ぶと見た彼は庇うようにしてその根を受けてしまい、体力を奪われてしまう。
「貸してくれ、傷つけないための力を」
 思った以上のダメージを感じたグレインは、大自然のエレメントへと働きかけた。
 そうして引き出した力は球形に展開され、自然の恵みをグレイン自身を含めてケルベロス達へと与える。
「さ~、ヒナタさんの歌を聴け~~」
 相手が移動するのに合わせてビルからビルへと移動するヒナタは、マイクを片手に歌って踊っていく。
「ガラクタの海にある十字架は 罪を持たず消えた命らしい……♪」
 ヒナタの歌に合わせる様に、ぽんこつ一号も応援動画でケルベロス達を鼓舞している。
 戦いはまだまだこれから。
(「倒れるわけにも、攻撃の手を緩めるわけにもいかないからな」)
 狙撃役となるレシタティフは高度を上げすぎぬよう気をつけて光の翼で飛び、攻撃の要として炎を纏った蹴りを浴びせかける。
「小柄なことはいい事だな」
 自身の小さな体躯を最大限活かして飛び回り、レシタティフは相手の叩き落としを意識してグラビティを繰り出す。
 相手の花びらが燃えるのを見つつ、藤が行使するのは自身独自のグラビティだ。
「畏れろ」
 それは、台風……大雨や豪風への恐怖。人々が抱く破壊の記憶を核とし、一つ目竜として畏れを具現化していく。
 そして、藤は自らの脚にそのエネルギーを凝縮させ、打撃と同時に膨大な風と水による大破壊を生み出す。
 同時に、足場を気にかけながら戦場を移動する物九郎が背負った招き猫の右腕をレバーの如く操作し、瞬く間に斧へと変形させて。
「ブチのめしてやりまさァ! ブチネコだけに!」
 力の限り、彼は敵の頭上からその斧で刃を叩き込んでいき、相手の花びらを数枚破裂させ、さらに根を断ち切る。
 樹液を滴らせながらも、浮遊して進む攻性植物。
 滅茶苦茶に根を動かしてケルベロスを襲う敵の動きは、徐々に鈍ってきていた。

●侵攻する大樹を打ち落とせ
 ケルベロス達は攻めの姿勢を崩さず、相手の根による攻撃に耐えた直後にグラビティを繰り出す。
 敵に狙いを絞らせぬよう、ビルや電柱を使って移動するウィッカ。
 彼女は時折凍結光線を発射していたが、相手の体表面にかなり氷を張り巡らしたのを確認し、詠唱を始める。
「汝、動くこと能わず……、不動陣」
 伸ばした腕の先に五芒星の魔法陣が展開し、ウィッカは魔法結界を発生させる。
「……!?」
 ジャマーとして位置取るウィッカの結界は、相手に強い痺れを与えた。
 敵も根を自在に操り、周囲に取り付いてくるケルベロスを薙ぎ払おうとしてくる。
 それぞれ、強烈な攻撃にケルベロス達は身を竦ませ、あるいは大きく仰け反ってしまう。ケルベロスのスサノオは身を張って。
 うまく耐え凌いだグレインはゾディアックソードで根を切り払い、魂を食らう一撃で応戦しつつ体力の回復にも当たる。
 激しい戦いにおいて、仲間達は体力を大きく失っている。
 それもあって、ヒナタは中盤以降、ほぼほぼ回復一辺倒での立ち回り。
「くぁ~はっは~~。さ~イッツ、ショーターイムのオチね~」
 戦場に出現するは、巨大なステージ。
 その上で、ヒナタは小ペンギンと共に歌や踊りらしき謎のステージで仲間を個別に癒していく。
 メンバー達も誰一人屈することなく、攻撃を続ける。
「情報ダイレクトリンク完了。補助ユニット射出……」
 清和は物陰に隠れつつ、補助ユニットドローンを展開していく。
「ユニットパーツリビルド……パーツドッキング開始!」
 そのドローンを味方へとドッキングさせ、回復支援と補助を合わせて行わせ、力を高めるのだ。
 そうした支援を受けながら攻撃を続ける藤は、棍棒という武器の概念を抽象化した魔術回路「Abstracter」で、巨大な相手に殴打を見舞う。
 大きさはだてではなく、攻性植物はそれだけの体力を持っていた。
 だが、グラビティ・チェインが徐々になくなってきていたのか、身体の端々が枯れてきているのが分かる。
「さぁ、惨めに死にさらせ、蛆虫め」
 光の翼で戦場を舞うレシタティフは再度、流星の蹴りで相手を地面へと叩き落とそうとしていく。
 俯瞰するように戦場を見回していたももは好機と判断し、物九郎に視線を向けて。
「全力でいくぜ。市街地で暴れるようなやつには全力パンチをお届けだ!」
 自身の旅団副団長であるももに、ダブルジャンプを駆使して敵の周囲を飛び回る物九郎が応じた。
「天蓋は開かれた――起きなさいや“シュレディンガー・キャット”!」
 拳銃型の無針注射器を使い、彼はグラビティ薬品を自らへと投与する。
 それは、ウェアライダーの体に眠る666の狩猟者の因子を呼び覚ます。
 ももも同様にその薬品によって、内に宿る肉食動物の力を引き出して。
「Shall We Dance? ……ってね!」
 飛び出した2人は獲物を確実に捉えようと、さながら踊るように相手へと襲い掛かる。
 獲物を屠る死の爪牙を煌かせ、物九郎は攻性植物へと見舞う。
 絶対的狩猟者の本質を見せるももは、逆側上空から相手へと獣のごとく慈悲なき輪舞を繰り出していく。
「………………!!」
 2人が地面に着地したその時。攻性植物は大きな音を立てて地面へと落ちていく。
 同時に、花びらから胞子が舞い始める。
 それらは高く舞い上がり、大阪の街へと解き放たれるのだった。

●幻想化する街に舞う胞子
 巨大な影が街から消え、忙しない大阪の民はすぐに街へと姿を現して日常に戻っていく。
「かなり壊されたな……」
 戦場跡を見回す藤。
 攻性植物が直接破壊した跡はもちろん、戦闘の余波によって破壊されたビルや歩道、道路へと、彼は満月を思わせるエネルギー光球をぶつけて修復に当たる。
「よーし、ちゃちゃっといくぜ」
 ももも、この場に歌声を響かせていく。
「何もかも 騙してしまえ それが為人(ひととなり)の証明……♪」
 生きることの罪を肯定するメッセージによって、ももは戦場跡の復興を行う。
 そばでは、ウィッカが地面に描いた五芒星で荒れた道路を舗装していき、物九郎が発したオーラが癒しをもたらし、周囲を幻想で埋めていく。
 大自然より力を引き出したグレインは、植物の幻想を纏う形で建造物を補修し、さらに、被害のあった街路樹も合わせて手当てしていた。
「ヒナタさんのステキなセンスで、格好良~~く修復するのオチね」
 グラビティによって巨大ステージを出現させたヒナタは小ペンギンを従え、歌や踊りのショーで人々をほっこりさせつつ、ヒーリングに当たっていた。
 その傍らでは清和が予め持ってきていた大型掃除機で、胞子を吸い込もうとする。
 空中に舞う胞子が少しでも残らないようにと、彼は動いていたのだ。
「さすがに、全ては捕えられないか」
 ただ、すでに空高くまで舞い上がった胞子もあり、清和もできる範囲で除去していた形だ。
 仲間達のヒール活動を眺めていたレシタティフは、飛び散る胞子に目を細めていて。
「飛散した胞子はきっと、他の植物へ取り付くのであろうな」
 傍目から見れば散歩しているようにしか見えないレシタティフだったが、持ってきた容姿に胞子を採集し、胞子が活性化しないかと観察していた。
 残念ながら、程なく枯れるその胞子が及ぼす影響を懸念しつつも、どうしようもないのが現状だ。
「胞子の拡散を防げないのは、口惜しいですね」
 それらを見上げ、それから生まれた攻性植物も、ケルベロスが必ず根絶するとウィッカは誓う。
「だが、ここの平和は保たれた。それでいいのではないだろうか」
 藤はヒールされていく街を見回し、幻想交じりになっていく光景を興味深く見回すのだった。

作者:なちゅい 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年5月29日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 3
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