悪意に満ちたシスター

作者:なちゅい

●黒雷姫、襲撃さる
 ある日の夕方。
 てくてくと1人、下校の途についていたのは、黒猫のウェアライダー、ノルン・ホルダー(戦神姫・e42445)だ。
「今日も楽しかったな」
 ノルンは今日、学校であったことを思い返す。
 授業中のクラスメイトのトンデモ解答。先生の話したどうでもいいうんちく。友達との語らいながらの昼食タイム。
 思い出し笑いする彼女はふと、周囲に人がいないことに気付く。
「何、これ……」
 そして、前方から自身に殺気が向けられていたことを。
「――全て、破壊を」
 独り言のようにそいつは小さく言葉を吐き捨てた。
 修道服を纏うエインヘリアルの女はノルンを真っ赤な瞳で見下ろし、まるでブラックスライムの如く右腕を変形させてくる。
「こんなところで、負けてられない」
 ノルンも身の危険を察し、構えを取って応戦を開始するのだった。

 新たに、襲撃されるケルベロスの予知があった。
「今回、ボクが見たのは、ノルン・ホルダーがエインヘリアルに襲われる場面だったよ」
 ヘリポートでは、リーゼリット・クローナ(ほんわかヘリオライダー・en0039)が説明を始めていた。
 集まるケルベロス達がその説明を耳にしていたが、当事者であるノルンの姿はこの場にない。
「直接、本人に伝えたかったのだけれど……、連絡がとれないんだ」
 状況的に、襲撃までさほど時間はないと思われる。彼女が無事なうちに救援へと向かいたい。
 襲ってくるエインヘリアルは、エレナというシスターを思わせる姿をした女性だ。
「主に、その腕を変形させて襲ってくるようだね」
 腕の動きはブラックスライムを思わせ、スナイパーとしてそれに近いグラビティを使い、相手を狙ってくるようである。
 襲撃は、予知によると夕方。
「学校帰り、彼女は下校中を狙われたようだね」
 住宅地の下校途中の道にて、エインヘリアルは人払いをした上で網を張っていたらしい。
 ノルンがさしかかったところで敵は姿を現し、襲撃してくる。
 ケルベロス1人で戦うには危険な状況ではあるが、駆けつけて彼女を支援さえできれば人的被害を気にせず戦うことができる。
「戦いが本格化する前に介入できるはずだから、ノルンを助けてあげてほしい」
 説明を終えたリーゼリットがヘリオンへと乗り込むと、この場のケルベロスが顔合わせを行う。
 その中には、ユリア・フランチェスカ(オラトリオのウィッチドクター・en0009)の姿があって。
「ノルンさんが心配ね。無事だとよいのだけれど……」
 早いところ、救援に駆けつけたいところ。参加を決めたメンバー達は口々に意気込みを語り合う。
 そうして、準備が整ったようで、ヘリオンからリーゼリットが顔を出す。
「離陸準備、大丈夫だよ。それでは、行こうか」


参加者
久遠・翔(銀の輪舞・e00222)
天津・総一郎(クリップラー・e03243)
シャルロット・フレミス(蒼眼の竜姫・e05104)
ペル・ディティオ(破滅へ歩む・e29224)
ノルン・ホルダー(黒雷姫・e42445)
病院坂・伽藍(濡れ鼠・e43345)
グラハ・ラジャシック(我濁濫悪・e50382)
村崎・優(未熟な妖剣士・e61387)

■リプレイ

●黒い修道服の女破戒僧
 夕暮れの中、ケルベロスの一団が街を走る。
 エインヘリアルに襲撃されるケルベロスの少女の救出を目指して――。

「――全て、破壊を」
 真っ赤な瞳と共に殺意を向けてきたのは、黒い修道服姿のエインヘリアル、エレナ。
 ブラックスライムを思わせるような動きを見せる右腕で、そいつは襲い掛かってくる。
 それを迎え撃つ、黒猫のウェアライダー、ノルン・ホルダー(黒雷姫・e42445)は襲ってきた相手に妙な感覚をおぼえていた。
(「何でだろう? このエインヘリアル、やりにくい」)
 敵意を向け、喰らい付いてくる腕をなんとかやり過ごしながら、ノルンは考える。
 そもそも、狙われる理由すらも分からない。
 何より、なぜこんなにも負の感情をぶつけられなければならないのか。
 もっとも、相手はそれを考える暇すら与えてくれない。
「何にしても、絶対に負けられないし、負けちゃいけない気がする」
 おそらく、仲間達が駆けつけてくるはず。それまでは時間稼ぎをと、雷を舞わせたブリュンレイスを相手に突き入れる。
 一度ずつグラビティを繰り出した直後、こちらへと複数の足音が聞こえてきた。
 飛び込んできたのは、赤いゴシック調ドレスを纏った、シャルロット・フレミス(蒼眼の竜姫・e05104)だ。
「ノルンさんをやらせないわ!」
 彼女はすぐさま、左手の縛霊手と右手の黒剣を構える。
 そこに並び立つのは、灰色の髪で糸目の久遠・翔(銀の輪舞・e00222)だ。
「ふぅ……、間に合ってよかったっすよ」
「助太刀は必要っすかね?」
 続き、後ろからパイルバンカーを用意しつつ病院坂・伽藍(濡れ鼠・e43345)が軽い口調でノルンへと尋ねる。
 だが、正面からただならぬ殺気を放ってくる敵は、のんびりと話もさせてはくれない。
「さて……、ノルンさんとどんな因縁があるかは知りませんが、討伐させてもらうっすよ?」
「…………」
 無言で異形の右腕を差し向けてくるエインヘリアルを、グラハ・ラジャシック(我濁濫悪・e50382)はギロリと睨みつけて。
「日常の一コマとして映り込むにゃあ、些か物騒に過ぎるんじゃねぇか?」
「見るからに破戒……いや、物理的に破壊と言った感じだな」
 黒い修道服や雰囲気、漂うオーラ。その身を覆った外套の中から相手を見つめる、ペル・ディティオ(破滅へ歩む・e29224)は含み笑いをしていた。
「シスターってことはなんだ。カミサマにお祈りでもするのかな?」
 ミリタリーキャップを被った天津・総一郎(クリップラー・e03243)も、手前に立って相手に呼びかける。
「例えば、『カミサマ、わたしがケルベロスに殺されないようにしてください』とか?」
 彼はそれがお祈りではなく、命乞いかと笑い飛ばす。
「ほら、せっかくその格好なのだ。懺悔でもしてみるといい。さすれば、お前の死を以て赦してやらんこともない……クク」
 2人の笑いは嘲りと捉えたのか、エインヘリアル、エレナはさらに眼光を鋭くする。
「まぁ、懺悔も命乞いも、素直に受け入れる善意のオトナのオトコじゃないんだよな、残念ながら」
「どうあれ、壊そうってんなら、壊し返しゃいいだけの事か」
 総一郎が臨戦態勢に入るのに合わせ、グラハもドラゴニックハンマーに手をかけて。
「さっさと砕いて、終わらせようぜ」
「ええ、サポートするわね」
 そのグラハの依頼もあり、ユリア・フランチェスカ(オラトリオのウィッチドクター・en0009)が後方支援に当たる。
「絶対に切る……」
 応戦の構えを取るケルベロスの中央では、村崎・優(未熟な妖剣士・e61387)が並々ならぬ殺意を放っていた。
 ――あいつはデウスエクス、しかもエインヘリアル。
(「家族の仇をとる為、襲われた人々の恨みを晴らす為、あいつを生かせるわけにはいかない」)
 怒りと憎しみに燃え、優は仲間と共に目の前の敵に立ち向かっていくのである。

●エインヘリアル、エレナ
 向かい来るエインヘリアル、エレナの右腕は自らの意志で自在に動いてケルベロス達を襲い来る。
「――破壊、破壊を」
 ノルンを狙った腕は四つに割れるように弾け、それぞれが彼女の体を捕えようとしていく。
 伸びてくる腕を、前方に出たシャルロットが受け止めた。
 彼女は触手状に変形した腕に体を絡められながらも、ノルンの呟きを耳にする。
「なんで、わたしに……」
 襲ってくる理由すらも分からない彼女の姿は、シャルロットにとって意外に思えたようで。
(「話せる余裕があるなら、いいのだけど……」)
 自分達が駆けつける前も、さほど2人は言葉を交わしてはいなかった様子。
 ならばこそ、会話するタイミングをつくりたいところだが、相手の攻勢を削がねばならない。
 シャルロットは左手の縛霊手で敵の体を強く殴りかかり、網のような形の霊気で逆に相手の動きを封じようとしていく。
 攻撃に出ようとするノルンに先んじて、総一郎も前へと飛び出す。
 総一郎にとって彼女は見ず知らずの相手であり、向こうも自分のことを「誰?」とすら思っているのだろうと考えている。
 ただ、『仲間』に何かが起きると知ったからには、総一郎には見過ごすことなど……。
「オトナのオトコとして……、やっちゃいけねーことなんだよ!」
 総一郎は正面から電光石火の蹴りを繰り出し、エレナの身にわずかな痺れを与える。
 ノルンはそうした仲間達の救援に感謝しつつも、ブリュンレイスの刃に稲妻を纏わせ、エレナの腹部へと突き入れていく。
 その最中も、ノルンはいまいちすっきりしないもやもやとした感情を抱いていた。
「さーて、氷まみれにしてやるっすよ」
 適当な口調の伽藍だが、態度は真剣そのもの。
 相手の側面から伽藍は腕に装着したパイルに凍気を纏わせ、鋭く突き刺した部分を傷ごと凍りつかせていった。
 とはいえ、それしきで相手の悪意を消すことはできない。
「破壊されるのは……貴様の方だっ!!」
 ならばと、優が逆側から両手に握った喰霊刀『暗牙』と我零刀『織心』の呪詛を同時に解き放つ。
「うあああああぁぁぁぁああああああああっ!!!」
 並々ならぬ呪詛を纏った優は狂ったような叫び声を上げ、2本の刃を振るう。
 それらの刃はまるで黒竜の翼を思わせ、力なき相手であれば羽ばたき一つで吹き飛ばしてしまうほどの威力を持つ。
 しかしながら、眼前の黒い修道服を着た相手はエインヘリアル。そう簡単に飛ばされる敵ではない。
「生憎、我は無神論者なのでな」
 敵が本当に神を信じているかはさておき。
 シスターらしき外見から呼びかけるペルは、日本刀「マサムネレプリカ」に呪詛を載せて。
「仮に神を名乗ろうとも、デウスエクスなら殺す。神でなくともだが」
 ペルは美しい軌跡を描きながら、エレナの体を斬り付けていく。
 そうした仲間達の連携を目にしていたグラハ。
 オウガの彼は元来無法者であり、手段を問わず勝利できれば問題ないと言った思考を持ってはいる。
 ただこの場は、ケルベロスが如何なる連携を行うのか気がけながら、グラハもまたグラビティを繰り出す。
 この場はドラゴニックハンマーを砲撃形態とし、グラハは竜砲弾を発射していた。
「全てを破壊するまで、止まるわけには――」
 砲弾の命中を受けたエレナだが、なおも解き放つ腕で食らいつこうとしてくる。
 今度は、ノルン自身が直接相手を食い止めようとした。
 その間に、総一郎は手のひらを相手の体へと当て、直接螺旋の力を体内へと叩き込む。
「……っ」
 僅かに呻く敵へと仕掛ける翔は僅かな相手の隙を見て、一言呼びかける。
「……幻惑の白百合」
 それは、翔にとっては忌まわしき宿敵の名。
 彼の全てを奪い、女性全てを自分のものにせんとする不倶戴天の憎しみを抱くデウスエクスだ。
「――知らぬな」
 素っ気無く応えた敵。翔も反応があったら儲けものレベルで考えており、ハナから期待はしていない。
「じゃ、何が目的でこの子を狙うっすか?」
 さらに、細身にもかかわらず重そうな星華のメイスを構えて尋ねた翔は、超重の一撃を見舞って打撃箇所を凍りつかせていく。
 ――襲撃方法を問う隙を、ノルンに。
 皆、それぞれが相手の動きを止めようと立ち回り、伽藍は黒い鎖を伸ばして相手の手足を縛りつけようとする。
 そこで、両手の刃を擦り合わせる優が影の弾丸を発射し、エレナの体を毒へと侵す。
 それでも抵抗を止めぬ敵に、マサムネブレイドを操るペルが相手の脚、腱を断ち切ろうと低い態勢から緩やかに斬撃を見舞う。
 立て続けに、グラハもヌンチャク型の如意棒をエレナへと叩き込んでいく。とりわけ腕を狙う形で、相手の攻撃力を削いでいた形だ。
「知りたい。なぜ、わたしを狙うのか……」
 ノルンもそうして、攻撃の合間に問いかける。
 この理由こそ、やりにくさの原因なのではないかと考えていたのだ。
「――破壊を行うには、お前が邪魔だと感じたまでだ」
 右手を伸ばそうとするエレナへ、ノルンは素早く古代語の詠唱を行って石化光線を発射する。
 身を翻して躱そうとするエレナだが、光線から逃れられずに腰の当たりに命中していた。
 前線メンバーの癒しに当たるユリアが緊急手術へと当たる。そのタイミング、癒しを受けていたシャルロットがノルンへと問う。
「覚悟は決まったかしら?」
 宿敵を知ることで、どうするのか。
 ノルンの判断を待っていたシャルロットは意を決した彼女の姿を見て、気兼ねなく敵の討伐の手を強めるのである。

●悪意から解放する為に……
「このような世界、認めるわけにはいかぬ」
 黒い修道服を纏うエインヘリアルは悪意を振り撒き、グラビティという形でそれをケルベロスへとぶつけていく。
 メンバー達はスナイパーとして位置取る敵を抑え付けつつ、攻め立てることとなる。
 ノルンと共に仲間の盾となっていた総一郎は回復にまわり、戦線を維持していた。
「誰かが倒れないように手立てをほどこすのも……、【盾】の役目だよな!」
 総一郎はグラビティ・チェインを凝縮し、光の輪を生成していく。
 それを分裂させ、彼は小さな輪を前線の仲間達の手前へと展開する。小光輪は盾となるだけでなく、癒しももたらしてくれるのだ。
 その支援を受けた翔は再度、荒々しく雷を纏わせた斬馬刀の刃をエレナの体へと突き入れていく。
 仲間のグラビティによって多少弱体したとグラハは判断し、その弱体の効力をより強める為にグラビティを行使する。
「ドーシャ・ヴァーユ・アーカーシャ。病素より、風大と空大をここに侵さん」
 詠唱を行うことで、己の精神を過剰増悪し、全身に……特に黒い靄を右腕へと纏わせた。
 その呼称は、『悪霊化』。グラハの表情、言動がより狂暴になって。
「――ざぁんねん。ホンモノなんざ、どこにもねぇよ」
 会話も終わったことで、もはやグラハに遠慮はない。
 獰猛な笑みを浮かべ、彼は力任せにエレナの体を殴りつける。
 交戦続く中、サポートに駆けつけたメンバーの姿も。
 手にしていたタバコをポケット灰皿にしまい、燐太郎は戦闘態勢に移行して。
「こんな逢魔が刻に、年端もいかん女の子をどうこうしようって言うのかねえ。いよいよ怪しいな」
 そして、彼は周囲のグラビティ・チェインを活性化させていく。
「護ってみせる――例えこの躰が朽ち果てようとも。形を為せ、『炎』の、壁よ……!!」
 敵からの攻撃を遮断する『防禦膜』を、近場の仲間達に対して展開していた。
 それは、布陣中央にいた伽藍、優を守る。
 相手の体表面にある程度、氷を張ることはできた。
 戦いの最中、気分を高揚させていた伽藍は粗野な態度に変わっていて。
「狂い咲け! 黒百合!」
 それは、呪いの体現であり、由縁の再現。
 溢れるグラビティ・チェインが蔓を形作り、華を開いた。
 怨念は膨れ上がり、エインヘリアルの身を苛んでいく。
 伽藍に続き、優が狂ったような声を上げながら、手にする2本の刃で相手の体を突き刺す。
 どろりと滴り落ちる鮮血。手応えを十分に感じた優は相手の魂を呪詛で汚染した実感を持ち、刃を引き抜く。
「そこは我の射程だ。裁いてやろう」
 入れ替わりに攻め入るのは、拳に白き魔力で生み出した白雷を宿すペルだ。
「視界を灼き、白き光景を刻み、瞬間に砕けろ」
 相手の体を殴りつけたペルの強烈な一撃は相手のダメージを与えるだけでなく、身体を駆け巡る雷によって痺れを与え、拘束していく。
「――っ」
 痺れる体に動きを止めたエレナ。
 ユリアが個別に手術を施していく前線メンバーがさらに攻め立て、シャルロットはこの場に雷雲を呼び寄せる。
「猛る雷雲、戦場の硝煙、駆ける煌き……出でよ竜の雷!」
 右手の黒刀、滅竜刀 -轟-で落雷を受け止めたシャルロットは、雷撃を宿すその刃で光の一閃を放つ。
「くっ……」
 明らかに、身体をよろけさせたエレナ。
 そいつ目掛け、翔は星華のメイスを軽々と振るって敵の体へと叩きつけ、ノルンに向けて飛ばす。
「とどめの一撃を!」
 頷く彼女は、相手が自分を狙う理由をかすかに感じ取る。
(「何となくだけど……」)
 ノルンは、自身とエレナが表と裏のような関係に思えたのだ。
(「だとするなら、これ以上エレナを悪意に染めない為にも」)
 ――わたしは負けていられない。
「槍神解放」
 ノルンは槍神の力を自身の体に降ろして解放していく。
 すると、彼女の姿はポニーテールとした朱い髪に、紅のドレスを纏った姿へと変貌する。
 炎を纏わせたブリュンレイスで、ノルンは連続して相手に神速の斬撃を浴びせかけていって。
「この希望を以て、貴方を悪意から解き放つ」
 トドメに繰り出したのは、龍の姿をした炎の一閃。
 それを浴びたエレナの体が大きく燃え上がって。
「――、――」
 口を動かしていたのは分かったが、声は聞こえず。
 エレナは、その身を滅してしまった。
「悲しいことだ。死んだ先は腐れ死神しか居ないのだからな……クク」
 倒れた敵へとペルは小さく笑い、背を向けていったのだった。

●倒れた敵と仲間の存在
 夕闇は徐々に、夜闇へと変わって。
 エインヘリアルを討伐し、事後処理に当たるメンバー達。
「皆で一緒に、作業しましょう?」
 翼を広げて周囲の修復を行うユリアの呼びかけに応じ、1人でいた優は動き出す。
「……これで満足だろう?」
 気力を撃ち出して破損した壁を幻想で埋め、彼はそうメンバー達へと告げた。
 ある程度作業を終え、伽藍は修復された戦場跡を見回して。
「無事に終わって何よりっすねえ」
 一息つくメンバー達の中、翔がノルンへと近づく。
「この相手と因縁はあったすか?」
 問いかけに、ノルンは肯定も否定もしない。
(「自分が出来る限りのことを。エレナのようなエインヘリアルが生まれないようにする為にも……」)
 そのノルンは誓いを立てつつ、倒したエインヘリアルを弔う。
「無事でよかったな」
 弔いを終えた彼女へと声をかけた総一郎は、そのままこの場を歩き去ってしまう。
 この世界は、誰もが知り合いというわけではない。
 だが、そうでなくてもこうして助けてくれる存在がいる。
 去り行く総一郎の背中はそう語っているようにも見えたのだった。

作者:なちゅい 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年5月26日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 5/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 1
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