花には水を、肌には下着を

作者:質種剰


「『暑さ対策はまず下着から』をテーマにデパートがランジェリーフェアを開催する予定でありましたが、初日の明け方にデウスエクスの襲撃を受けまして、急遽中止と相成りまして……」
 小檻・かけら(麺ヘリオライダー・en0031)が、集まったケルベロス達を前に話し始める。
 人的被害が全くなかったのは不幸中の幸いだが、今回のフェアは普段なら高くて手が届かない高級ブランドの下着が大幅値下げして売り出されると話題だった為、デパート自体が臨時休業となった今、地元住民は落胆しているらしい。
「皆さんには現地へ急行して頂き、ヒールグラビティによる倒壊したデパートの修復作業をお願いしたいのであります」
 全ての建物を修復できたならば、デパート側がお礼として、臨時のランジェリーフェアをケルベロス向けに開いてくれるという。
「ケルベロス向けのランジェリーフェアってところが有難いお話であります♪ 何せ一般のお客様のいらっしゃらないランジェリーばかり集まったフロアでありますから、お支払いさえ済ませた下着であれば試着もし放題、色々羽目も外し放題でありますよ!」
 にこにこと楽しそうに語るかけら。
 ちなみに女性用下着だけでなく男性用下着を扱う店舗も入っている。
 フェアに来た言い訳に使える他、男性用の高級素材ボクサーパンツや、つるつると肌触りの良いブリーフを真面目に探しても良い。
「殊に最近のランジェリーは素材からデザイン、用途まで様々でありますから、お気に召す1着を探して回るだけでも、お買い物の醍醐味を味わえるかと存じます」
 上質で品の良いタフタ織り、お腹までしっかり隠れる綿パン、薄手でキラキラした光沢が挑発的なサテン、加えて総レースや紐パンなど際どい露出度を誇る勝負下着の類まで揃っている。
「ご自身の普段使いや勝負用にしろ、大切な方へのプレゼントにしろ、きっとお探しの1着が見つかると思いますので、どうぞお気軽にお越しくださいませね♪」
 注意事項は未成年者の飲酒喫煙の禁止である。
「それでは、皆さんのご参加を楽しみにお待ちしておりますね♪」
 かけらは笑顔で一礼し、説明を締め括った。


■リプレイ


「ドラゴニアン用の可愛い下着とか見つけたいなぁ。可愛いのはサイズが無いんですよね」
 今は私服でも、普段黒い甲冑を着る寧々花からすれば、機能性の高い涼しい肌着探しは大切。
 何せ、他の男性の目が気になって、夏場でなくとも倒れそうな程緊張しているのだ。
「ブラはまだしも、特にショーツが……尻尾はダイエットできないし……」
 悩み多き寧々花だが、彼女の好みに合う暗い色味の尻尾出しショーツは無事見つかった模様。

「エルスさんはどんなのがお好きですか?」
「ええ?! わ、私ですか……?」
 ロゼに問われて、エルスは赤くなりつつも耳打ち。
「あらあら、もしかしてエルスさん、素敵なお姿を見せたいお方が? なんて」
「ええと……こっちの瑠璃蝶のランジェリー、どうかしら? やっぱり大人すぎるかな?」
 エルスはロゼの追及をかわしつつ、テイストの違う2種を手に取る。
「大人っぽいエルスさんも素敵です! この、濃い青に金刺繍の……星のお姫様のようなのも可愛い!」
「こちらのレースいっぱいの白い姫様みたいのは?」
「わぁ、この白いレェス姫のやつとっても似合うと思います!」
「でもおかしいね……『べびーどーる』って、お子様向きじゃないかな?」
 テンション振り切れそうなロゼの傍ら、小首を傾げるエルスだ。

「これから暑くもなりますし……ちょっと背伸びして通気性も良いシースルーなど如何ですかしら……♪」
 赤面する主君へシフォンのショーツを薦めるのはミルフィ。
「……そ、それはちょっと私には……」
 結局アリスが選んだのは、淡い空色のベビードールと結ばない紐パン。
「とってもよくお似合いですわ♪」
「ミルフィだって……そういう大胆なのがとっても似合ってます……」
 自分も淡い桃色のテディを着たミルフィは、試着室の中でアリスのお召し替えに息巻く。
「って、ミ、ミルフィってぱ……一人で試着できます……ひゃんっ!?」
「……ん♪ いい感じ♪」
 更には、着せたばかりのベビードールの裾をするするたくし上げ、内側の柔肌へ口づけた。
「く、くすぐったいですっ……」
 アリスが目に涙を溜めるのも無理はない。

「リーナさんも色々試してみませんか?」
「試着? いいよ?」
「白のレースのとか、ワンポイントのリボンがついたのとか、あとシフォン系のとか、可愛くていいと思うんです!」
 カタリーナに似合いそうな可愛さと清楚な雰囲気を兼ね備えたランジェリーを次々差し出して、瑠璃は興奮気味に捲し立てる。
「思った通り、すらっとしてるから、どんなデザインもよく似合って……うぅ、羨ましいです」
「ささ、瑠璃さんもやろう!」
「わ、私はほら、大きすぎて……うー、少しだけですよ?」
 お返しにフリルのついた可愛いのを薦めるカタリーナ。
「ふふ、かわい……うぅ……可愛い……好き……」
 落ち込む瑠璃を見ればにこにこし、似合う下着を着れば余りの尊さに声を失った。
「次、次はこっちとか……」
「ふぇっ、他にもですか!? うぅ、リーナさんが楽しそうですし……しょうがないですねっ」

「じゃん☆」
 背中合わせで着替えていた連が振り向く。レースたっぷりながら透け透けのオープンブラがレベッカの目に眩しい。
「少しずらしただけで、こんな風に指が入るの」
 そう実演する紐パンと言い、露出度で選んだようだ。
「レンに対抗して過激なのを選んで正解だったでしょうかね」
 レベッカの下着は、レースで縁取られたデザインこそ普通の白い上下。
「完全に中身丸見えですねこれ……」
 但し全てシースルーな為、過激さでも決して連へ引けを取らない。
「あふ、もう濡れちゃってる。我慢出来ないよ。ベッカの大事なところ、舐めさせて」
 連は堪らずレベッカの前へ跪き、彼女の手にスイッチを握らせる。
「気持ちよくなったら、それであたしにお返しして」
「買ったばっかりで下着汚れちゃいますよ」

「これ、去年マリーが選んでくれたやつなのです」
 試着室。シェルフカップブラを指して、真理が恥ずかしがりつつも嬉しそうに微笑む。
「えへへ。着てくれたんだね」
 素直に嬉しがるマルレーネも、去年真理が買った黒のシースルー下着を着ていた。
「去年はセクシーだったですから……今年は可愛いの、選んでみたですよ」
 次いで真理が披露するは、恋人の為に選んだ桃色のブラとショーツ。着心地重視ながら控えめな花柄が可愛い。
 一方マルレーネは、真理の髪や瞳の色との調和を考えた、青と赤のマルチボーダーなフルカップブラとフルヒップショーツを見せた。
「こうやって選んだのを着て貰う、嬉しいですね」
 早速背中へ回って、ブラを着けてあげる真理。
「似合ってて可愛いですよ、マリー」
 マルレーネをぎゅっと抱き締める様など、誰に知られずとも変わらぬラブラブっぷりである。

「ヒルダ。あなたは身体の大半を一度失ってしまったけれど、だからこそ見えない所から、いろいろ整えていくべきだと思います」
 ヒルダのワイルド化した四肢や大きな傷跡のある腹部を気遣い、きびきびと下着を探すのはサッチモ。
「お姉様もお姉様で下着選びは重要です」
 姉と慕うサッチモへ内心反発心を抱いて、ヒルダが口を開く。
「お姉様の穿くスカートは余りに短いじゃないですか」
 サッチモのマイクロミニを諌めるヒルダは、膝丈より微かに短い程度の長さ。
「あら。私はこれはこれで、気をつけているつもりなのですけれど」
「少し激しく動いたり、深くお辞儀しようものならすぐ見えてしまいますよ。こんなのいかがですか?」
 そう言ってヒルダが薦めたのは黒レースが上品な絹の下着。
 自分とお揃いにしつつ、サッチモへはガーターベルト付きのセットにしてあげた。

「こんなのでいいのかなー……?」
 唯奈は頭を悩ませるも、元々御洒落に余り頓着しない為か、実用重視のスポプラを手に取る。
「お顔立ちが華やかでスタイルも抜群ですし……下着もパッと見栄えする物は如何かしら」
 橙色のスプレーローズが刺繍された白いブラとショーツを持ってきたのは小檻だ。
 一方。
「少し大胆で大人っぽいものが良いのですが」
 ドキドキと緊張しつつ相談するのはシオン。
「黒の総レースなら上品さと色香、大人っぽさもあるかと……月宮殿とのギャップが無いのは難点かも」
 小檻は一緒に売場を回って、少ない布地だが白いレースの清楚な紐パンを見つけた。
「……どう、ですか?」
 試着室から顔を覗かせるシオンは恥ずかしそうだが。
「いいじゃん! よく似合ってるよ!」
 唯奈と見せ合いっこをする様は楽しそうでもある。

「胸のとこはまぁ、着けないけど下の方はどんなのにしよっかな? ちょっとだけ、冒険してみるのもいいかも」
 ユーフォルビアは、色んなショーツ——殊に大胆かつドレッシーなデザインの勝負下着を見比べている。
「あ、ところでかけらさんって下着はどういったのにしてます?」
「締めつけ感が少なくワイヤーの無い……あ、ぱんつ? 紐パンです」
 女子ならではの会話も弾んでるようだ。


「今回はにいさんを『ゆうわく』したり『のーさつ』できる様なのを買ってみよう、かな……」
 夢見るリーナの為、小檻は慎重に下着を選んだ。
「ん……スケスケ……? 紐……? ……これって隠れるの、かな……?」
「レースを垂らせば案外隠れます。本気の誘惑ならウケ狙いの露出度は望ましくないでしょ? お兄様を見惚れさせましょ」
「……あれ……? そうなると、にいさんに下着姿を見て貰う事に……?」
 至極今更な疑問である。
「俺は外出てるかな……というか、逃がしてくれ……」
 一方、肩身が狭そうなセイヤは、どうやら戦闘時に役立つ専門着のフェアと勘違いしていた模様。
「そういえば、ガイバーン達……もしや、また逃げたか……?」
 ふと男達の姿が無い事に気づき、辺りを見回していると、
「妹さんがお呼びでありますよ」
「……ちょっと待て何故試着室の方へ引っ張って行く……? 待て、引き摺るな……!」

「やはり王たる者下着にも拘りを見せねばな」
 トートは柄物のボクサーパンツを適当に選んだ後、
「偶には控えめにしてみたわ」
 シルクジョーゼットのスリップを着た小檻の胸へ顔を埋めた。
「うむ! 如何にも良き質感と感触だ」
 すりすり頭を揺らして布越しの感触のみならず直接素肌も堪能してご満悦なトート。
「余は遠慮せぬからな!」
 両手が薄布の内側を這い回るのもいつも通りである。

「普段使いできるかは意識してほしいけど、その……ちょっとだけセクシーなのでもいいわよ……」
 赤くなるのへ加えて、頼む声も尻窄みなのはかぐら。
「……どう? 変じゃないかしら?」
 真っ白なシルクに黒いレースアップのリボンが小悪魔っぽいブラとショーツを着て、試着室から出てきた。
「お似合いです~リボン緩めなければ普段使いもOK」
「緩めるとどうなるの?」
「それぞれ大事な所がぱっくり♪」

「ご招待ありがとうございます。良しなにお願い致します」
「かけらさんもスゴく服のセンス良さそうだから~宜しくみたいな♪」
「此方こそ宜しくお願い致します」
 淫夜を連れて互いにお辞儀し合う中、
「鑢殿、わたくしをセンス良いなんて、奥様の将来が心配であります」
「仰る通り……今日も手折さんがとんでもない下着を選ばないようにしとかないと……親御さんに申し訳が立たないので」
 小檻の耳打ちに思わず苦笑する霊華。
「何せ鑢の旦那様に助けて貰った時、そのまま押し倒し快楽を享受したお陰で土蔵篭りに……だから、旦那様との初夜を熱く燃え上がらせる下着を!」
 淫夜は際どくて直ぐに脱げるプラを探すも、霊華が懸命に阻止して、巨大ながら無難なデザインに落ち着いたそうな。

「前回は赤を選んだので、黒や白にしてみましょうか?」
「は~い」
「セクシーなレースタイプにリボンなどもあるとかわいい感じがしますね」
 奏星は小檻と楽しそうに下着を選んで試着室へ。
「まあ、下着があってもなくてもかけらさんは可愛いのでいいかもですが」
「お~、男っぽいセリフ♪」
 早速彼女が試着した白レースを彩る黒リボンをいそいそと解いて、零れ出た胸や尻を遠慮なく揉み始めた。

「娘にはまだ早い気もするのですが……これでいいか」
 トリスタンが適当に手にしたのは健康的なスポブラとスパッツのセット。
「もうそろそろちゃんとしたものも身に着けませんとね?」
 そして、笑顔ながらやんわりとダメ出しするのはトウコだ。
「だ、ダメでしょうか」
 戸惑うトリスタンを尻目に、トウコは子ども用のコーナーを見て回り、
「ちゃんと尻尾対策済みのものがあるのですね……」
 彼のドーナツ好きな養女の為、シンプルなデザインとフリルたっぷりの上品な上下セットを1組ずつ選んだ。
 また、会計するついでにちゃっかり自分用の白や青のレース下着3組を確保する辺り買い物上手である。
「お待たせいたしました、いい買い物でしたわ♪」
「ありがとうございます……年ごろはやはり難しいですね」


「んー……ねぇ……清士朗さんに……選んでもらっちゃ……駄目……かな……?」
 最初のハイテンションはどこへやら、消え入りそうな声でおねだりする楓。
「清士朗さんが……その……着て欲しい物をなんて……あぅー」
「お、楽しそうだな。では……この辺などどうだ?」
 清士朗は白か青系かはたまたピンクかと目移りした後、楓は可愛らしいから——とピンクでフリル多めのブラを差し出す。
 色とフリルに喜んで試着室に消える楓だが。
「あの……サイズもう少し上の……」
「なに? ああ、成程……下はともかく上がか」
 カップに収まりきらないという巨乳ならではの展開を経て、
「ありがとう清士朗さん……大事にするね……」
 清士朗は色違いでワンサイズ上の白いブラを買う事にした。
「んー……試着は……夜に……二人の時に……なんて……ね?」
「それは、楽しみだな」

「昨年は……一人だったけれど、今年は予定通り二人で参加ね」
 スヴァルトへ贈る下着を選ぶ胡蝶の口元が、僅かながらも安堵に緩む。
「あの時は確か……願掛け兼ねて、赤の勝負下着、選んだんだったわね」
 去年は折悪しくも、別のデパートを修復する少し前にスヴァルトの暴走が発覚、修復当日も助けに行く算段を整えている最中であった。
「んー……レース調で、褐色の綺麗な肌が透けて見えるのもいいわね」
 スヴァルトの小麦色の肌には白やパステル系など明るくも優しい色味が映えそうだと、幾つか見繕う胡蝶。
「胡蝶、そちらはどうです?」
 すると、同じように胡蝶の分を探していたスヴァルトも、白やパステルカラーのブラを抱えていて、目を丸くした。
「ええ、これを試着して貰おうかしら……偉く似た雰囲気のを選んだものね」
「折角ですから、ぴったり嵌ってる黒や赤以外にも新規開拓してみてはどうかと思って」
 満足そうに笑い合って試着室に消える2人。
「女友達とのショッピングって、楽しくて時間忘れちゃうわね」
 胡蝶がじっくり時間をかけて選んだのは、エリカの意匠が可愛い総レースの白い下着であった。

「最近ブラがきつくなってきたので、ちゃんと測って……」
 クノーヴレットはいちごへ下着の選び方をレクチャーしつつ、自分の採寸も忘れない。
「……まだ大きくなるんですか?」
「ついに1m超えました♪」
 思わず茫然とするいちご。
「え、えっと……お嬢様と一緒にいろいろ学ばせていただいても大丈夫でしょうか……?」
 水咲も謙虚な姿勢でいちごの下着選びに付き従っている。
 一方。
「メイドとして華やかなものは身に着けぬ様に心掛けていますが……あら、こういうの着けている人少なそうですし買おうかしら」
 エンジュは、淡い緑や水色、黒レースの下着を見繕う中、ふと気になるデザインのベビードールを発見、いそいそと試着室へ向かった。
「お勤め用にシンプルなデザインの物も買いましたが、こういう星座ランジェリーはどうかしら?」
 少しして出てきた彼女が身に纏っていたのは、山羊座をイメージした大人の魅力際立つ逸品。
「これなら私も着れますかね?」
 いちごが興味を持つと、即座に蘭華がピンクでフリフリのベビードールをあてがってきた。
「特に御嬢様は、色々隠したいですものね」
 薄ピンクのレースと幅広のフリルに刺繍された紅と白の苺が可愛らしい。
「安心して私にお任せ下さいなっ」
 蘭華からまるで着せ替え人形のように弄ばれたいちごは、すぐに2人から乳で顔を挟み込まれ、真っ赤になっていた。
 すると。
「あの……わたし、ヘンですか……?」
 雫が、白を基調に淡いピンクのレースをアクセントとした清楚で可愛いスリップドレスを着て現れた。
 自分で見立ててあげたいちごは、満足そうに頷く。
「よく似合ってるので、恥ずかしがらなくてもいいかと……?」
「……お、お嬢様ぁ! わたし、わたしっ……!」
 感極まった雫は目に涙を浮かべていちごを抱き締め、顔へ胸を押しつけた。3人目の乳サンドである。
 その傍ら、
「も……もし見られちゃっても大丈夫そうな下着はない、でしょうか……? お、お洒落な感じのもの、とか……」
 水咲もクノーヴレット達に助言を受けて、赤いオーガンジーが挑発的な上下を試着。
「とても可愛らしいですね」
 いちごが何の衒いもなく微笑んだのへ動揺してか、
「いちご嬢様、勿体無いお言葉……きゃ?!」
 うっかり転んでいちごの顔へBカップの胸を押しつけてしまう水咲。第4の乳サンド要員となった。

「まず店員さんのおすすめを戴きますわっ」
 律儀に通気性抜群の下着を物色する傍ら、シンプルながらレースやリボンがアクセントになった下着もチェックするのはちさ。
「折角現役でブルマーお穿きですし、それに合う白い綿パンはいかが?」
 と、小檻からも助言を貰っている。
「そういえば勝負下着なるものもあるみたい、さぞ防御性能の高いものに違いないわね」
 ヒメは、勘違いに気づかず仲間へ語りかけた。
「勝負下着……というものは以前お父様が複雑なお顔してましたわね」
「ってちゃうちゃう……その勝負では無いでござる」
 ちさが首を傾げる傍ら、思わず軽快にツッコむ鈴女。
「端的に言えば……意中の殿方に見せても良い下着っていうか見てもらいたい下着って奴? つまりこれの時用でござる」
 更には、ニマニマと脂下がりながら、親指と人差し指で作った輪へもう片方の人差し指をずぼずぼと抜き差ししてみせた。
「鈴女さんのジェスチャーはちょっとぎりぎりな気がするのですけど……」
 自分に似合う派手めな下着を探していた憂女から、呆れ半分のツッコミが飛ぶのも尤もである。
「選んで貰うと言うのは良いなと思うけれど……」
 ヒメは鈴女の説明も手振りも理解してないものの、ボソボソと恥ずかしそうに呟く頬は赤みが射している。
「でしたら、目の離せなくなる感じのがよさそうですよね?」
 すると、すかさず憂女がレースのリボンこそ可愛らしいもののオーガンジーの透け透けが際どいインナーのセットを差し出した。
「……憂女?」
 その女性力も着るハードルも高い、露骨さと派手さを兼ね備えた下着を見て、硬直するヒメ。
「……それともこっちが?」
 次に笑顔で薦めたのは、フロントがレースアップになっていて脱がし易いLethal Weaponのセット。
「……憂女さん?」
 重ねてツッコむヒメだが、その実琴線に触れたらしく、後でこっそり普通の下着に混ぜて購入していた。

作者:質種剰 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年5月28日
難度:易しい
参加:39人
結果:成功!
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