死へと誘うアロマ

作者:雨音瑛

●粗大ゴミの回収日に
 コンクリートで囲まれたゴミ捨て場に置かれたゴミの中に、30センチ四方の箱があった。その横に、握り拳ほどの大きさをした宝石が這い上がっていく。
 蜘蛛のような足を生やしたそれは箱の中へと入り込み、さらには中に入っていた電化製品の中へと入り込んだ。
 数秒の後、箱が大きく揺れる。中に入っていた電化製品は子どもくらいの大きさとなり、二足歩行で移動を始めた。
 白い円筒状のそれは、人影を発見するや否や、歩行のスピードを上げる。
 奇怪な音に気付いた男性は驚き、腰を抜かした。
「なな、なんだ!?」
「アロマノカオリデ、リラックス!」
 円筒の上部から白煙を吹き出し、男性へと吹きかけた。それは確かに良い香りなのだが、男性の意識は徐々に遠のいてゆく。
「エイエンノ、キュウソク!」
 グラビティ・チェインを吸収した円筒状の電化製品――アロマディフューザーを元としたダモクレスは、次の犠牲者を探して街を歩き回る。

●ヘリポートにて
 アロマディフューザーのダモクレスが現れるのでは、という名雪・玲衣亜(不屈のテンプレギャル・e44394)の懸念が現実となった。
「ある街のゴミ捨て場に捨てられていたアロマディフューザーが、ダモクレスとなってしまうようだ。幸いなことに、現時点でまだ被害は出てない。しかし、このまま放置すれば多くの人々が犠牲となる事件に発展することは間違いない」
 ウィズ・ホライズン(レプリカントのヘリオライダー・en0158)が、集まったケルベロスたちを見渡す。
 このダモクレスの目的は、グラビティ・チェインの略奪。ならば、ケルベロスが成すべきことはひとつ。
 ダモクレスの撃破だ。
 戦場となるのは、ある街のゴミ捨て場。道路幅は3メートルほどあり、その他、戦闘の支障となるようなものは無い。
「敵は、アロマディフューザーが高さ130センチメートルほどになった、ロボットのような姿をしている。上部の穴からさまざまな香りを噴出させる攻撃を仕掛けてくるようだ」
 特に状態異常の付与を得意としており、催眠、足止め、パラライズ効果のあるグラビティを使い分けてくる。
「住宅地での戦闘となるが、優先すべきはダモクレスの撃破だ。戦闘を開始すれば、ダモクレスが人々を狙うこともないし、逃走することもない」
 戦闘開始のタイミングは、アロマディフューザーのダモクレスが動き出した直後。現地まではヘリオンで輸送するため問題ないと、ウィズは続ける。
「あとは……と、付近にアロマオイルを販売している店があるようだ。ダモクレスの元となったアロマディフューザーは、この店が捨てたものかもしれないな。まあ、それはさておき、ダモクレスを撃破したら、この店で買い物をしてくるのも良いだろう。品揃えも良さそうなことだしな」
 と、ウィズはタブレット端末で調べた店の情報を述べる。
「ちょうど気になるアロマオイルがあったんだよねー。手の空いてる人とか、アロマオイルに興味ある人は協力ヨロシク〜」
 スマートフォン片手に、玲衣亜はひらひらと手を振った。


参加者
ゼレフ・スティガル(雲・e00179)
ロゼ・アウランジェ(アンジェローゼの時謳い・e00275)
エリヤ・シャルトリュー(影は微睡む・e01913)
蓮水・志苑(六出花・e14436)
暁・万里(猫被りの悪魔・e15680)
宵華・季由(華猫協奏曲・e20803)
セレス・アキツキ(言霊の操り手・e22385)
心意・括(孤児達の母親代わり・e32452)

■リプレイ

●香り散らす機械
 ゴミ捨て場を中心に広がるのは、不思議と良い香りだった。
 よく見れば、ゴミ捨て場からではなく、移動する円筒状のものから発せられていることがわかる。円筒状のものは子どもほどの大きさをしており、たとえケルベロスでなくともそれが異様だと気付くだろう。
 幸いなことに、いま周囲に一般人はいない。ならば、ケルベロスならばどうするか? ――決まっている。
「なんて良い香りだけれど……これは毒の香りです」
 特徴的な声で告げるのは、ロゼ・アウランジェ(アンジェローゼの時謳い・e00275)。
 エアシューズ「quartz de roche」を加速させ、円筒状のもの――アロマディフューザーのダモクレスへと迫る。
「さぁ、私と一曲踊ってくださいな!」
 金蜜の髪をなびかせて喰らわせるは、煌めく星と重力を纏った蹴り。同じ業を、蓮水・志苑(六出花・e14436)も続けざまに決めてゆく。
「良い香りは大変安らぎますが、死へ誘う香りはいけませんね」
 確かに、アロマオイルの香りは心身を癒す効果があるとされている。
「……尤も、今はその気がないみたいだ」
 愉快そうに口角を上げ、ゼレフ・スティガル(雲・e00179)は鉄塊剣「随」を振り下ろし、一撃を叩き込む。
「ねえ、こういうのってゆっくり楽しむものじゃなかったっけ?」
 なんて言葉をゼレフが向けても、ダモクレスはまともに会話はできないようで。
「シビレル、カオリ!」
 過剰なほどのライムの香りを、心意・括(孤児達の母親代わり・e32452)に向けて噴射した。
 しかし、括の着用する心身癒与白衣はこの攻撃を回避しやすくしてくれる。
 軽やかに回避した括を中心に、ウイングキャット「ソウ」の羽ばたきによる風が届く。括はすぐに万能手当用包帯を展開し、加護の魔法陣を描く。
「アロマは心や体を落ち着かせるための物であって、毒ガスみたいな使い方はして欲しくないわよねー」
 おっとりした口調ではあるが、被害者を出す前にダモクレスを止める気持ちは確かなものだ。
「安らいで眠っている間に天国へ、なあんて……確かに永遠の休息ではあるだろうけどさ」
 どこか呆れた口調で言いながら、暁・万里(猫被りの悪魔・e15680)は耐性を高める雷壁を築く。
「力尽くでってのはいただけないね。どんな香りも過ぎればただの香害だもの」
「俺も、強すぎるのは苦手でな」
 何より、癒すための道具を殺戮に使わせるなど冗談が過ぎる。
「さぁ! いくぞ! ミコト!」
 まるまる太ったウイングキャット「ミコト」に声をかけ、宵華・季由(華猫協奏曲・e20803)はオウガメタル「Chocola」による光の粒子で前衛を照らす。季由の頭上が定位置のミコトも宙に浮き、翼をはためかせて前衛に加護の風を纏わせる。
 加護や耐性は十分。セレス・アキツキ(言霊の操り手・e22385)は避雷針とも呼ばれる杖を手に、ダモクレスに雷を落とした。
 回復が必要ないと踏んだエリヤ・シャルトリュー(影は微睡む・e01913)も、攻撃に移ろうと呼吸を整える。
 エリヤの道具となるは、眼に浮かぶ蝶の姿をした魔術式とローブに織り込まれた魔術回路。標となるは、確かな詠唱。
「《我が邪眼》《閃光の蜂》《其等の棘で影を穿て》」
 とたん、影の一部が鋭い針を携えた異形蝶の群体へと変じ、ダモクレスへと一斉に射出された。
 ダモクレスの円筒状ボディに突き刺さった針は、命中と回避を下げるものだ。
 そうでもなくとも、ケルベロスたちはダモクレスをどこへも行かせない所存であるのだが。

●強い香りと厚い回復
 敵の得意とするのは、ダメージよりも状態異常の付与だ。とはいえ、ダメージ自体も決して軽いものではない。
 癒し手を担う二人は的確に分担し、重複を避け、不足を補ってゆく。
 いま戦況を確認した万里がすべきは、ロゼへのヒール。与えた雷は、癒しと攻撃力向上の効果を持つものだ。
「怪我なんてさせたら、ロゼちゃんの旦那さんに怒られちゃうもんね」
 万里の軽口に、ロゼはウインクひとつ返して。
「万里さん、ありがとう! しっかり守っていただけた事、伝えておきます!」
 よく通る声で告げた後は、日本刀「Lucid」を手にダモクレスへと向き直る。
 可憐な天使の動きに合わせて、髪に咲く七彩の薔薇が揺れる。
 ダモクレスは反撃へと転じ、白い煙を頭部から噴射した。
「キヲ、ヒキシメルカオリ!」
 噴き出されたのは、ベルガモットの香り。アールグレイの香り付けにも使われる柑橘系の香りであるが、やはり過剰に強い。
「あれも一種のスメハラというのかな?」
 反撃に、剣の下で微笑むのはゼレフ。すぐにダモクレスの進行方向から正面を見極め、位置取る。
「――お逃げ」
 ゼレフが届けた嘆きの炎の威力は、ひときわ高い。円筒ボディの一部が大きく欠ける。
「いい香りもこうなると、頭がくらくらするよ……」
 あたりに満ちた香りの強さは、アロマオイルを直接嗅いだときの比ではない。エリヤはこめかみを抑えつつ、死霊魔法を展開する。
 エリヤが惨劇の記憶から抽出した魔力が、先ほど攻撃を受けた前衛に癒しをもたらした。
 ソウが翼で起こした風もまた、前衛へ。
「傷口はしっかりと手当しちゃいましょうねー」
 括もバトルオーラ「想色オーラ」でセレスの体力の回復を。
 癒しを受け、セレスはダモクレスへと肉薄した。
「お生憎様。状態異常は貴方だけの専売特許じゃないんだって、身体で覚えてもらおうかしら」
 とは、セレスの言葉。オウガメタルを纏った拳は、ダモクレスの装甲を何段階も弱体化させる。
「良い調子だな。このまま畳みかけていきたいところだが……状態異常が残ってたら、気になるだろ?」
 続いて動いた季由は、紫紺の瞳で仲間を見渡す。
「宵に華咲け癒華の花。散って散らされ舞いあがれ」
 言葉を終えて降り注ぐ、月の光を浴びた桜の花弁。花弁はやがて枚数を増し、気付けば見事な華吹雪。前衛の傷を癒しつつ邪を祓った花弁は、より紅に染めあげられて美しく煌めいている。
 ミコトも重い体をふわり浮かせて、羽ばたきで主を援護する。
「ありがとうございます、宵華さん。おかげで、攻撃に専念できます」
 丁寧に礼を述べ、志苑は斬霊刀「雪月華氷刀」を閃かせた。空の霊力を帯びた志苑の斬撃は、ダモクレスに刻まれた傷を大きく開く。
 状態異常を的確に打ち消し、そしてダモクレスへと状態異常を重ね、ケルベロスたちは畳みかけてゆく。

●永遠の休息へ
 気付けば、戦場に充満する香りが薄くなってきている。
 それでも、アロマディフューザーが噴き出すものより数倍は強い香りだ。
「……悪い意味で酔いそう」
 苦笑し、ゼレフはダモクレスの正面へと踏み出した。手には惨殺ナイフ「冬浪」、刀身には地獄の炎。搦め手よりも、このように正面から挑む方がゼレフの性に合っているのだ。
 叩き込んだ刃と炎で、ダモクレスはひしゃげ、ボディに炎を燃え上がらせる。
「確かに、鼻がおかしくなりそうな香りよねー。でも、この調子だとあと少しで撃破できそうな感じかしらー。私も気合い入れていくわねー」
 括は裂帛の叫びを上げて自らを癒した。ソウの送る風も心地よい。
 日頃、焚いたお香や持ち歩く香袋で心を落ち着ける習慣がある志苑にとっても、この香りは強く感じられる。
「香りで心を落ち着ける所はアロマも香も同じものではありますが……流石に、これは」
 日本刀「白雪」を手につぶやく志苑の言葉は、溜息交じりに。
 しかし視線はしかとダモクレスを捉えていた。
「散り行く命の花、刹那の終焉へお連れします。逝く先は安らかであれ」
 志苑の言葉の直後、雪花が舞い落ち、氷雪の花が咲く。残る軌跡は、斬撃の氷によるもの。散る花弁は、ダモクレスの中を流れるオイルの色に染め上げられる。
「リラックス、シテ! チカラヲ、ヌイテ! エイエンニ!」
 命乞いにも聞こえる言葉に、まるで抑揚は見られない。
 攻性植物に金色の果実を実らせたエリヤが照らすは、ダモクレスの攻撃を最も受けている前衛だ。
「永遠にリラックス、なんて嫌だなぁ……。あっ、万里くん。回復は大丈夫そうだよ」
「オーケー、エリヤくん。それじゃ攻撃に移らせてもらうね」
 返答する万里は、ショーの開演を報せる言葉を続ける。
「開幕だ「Arlecchino」」
 道化の手がぱちんと鳴ると、電柱が消え、地面には桜の木が生える。
 それはまやかしの舞台。気付いた時には全てが遅く、全てを呑み込む舞台装置だ。
 そこに畳みかけるは、季由の攻撃。爆破スイッチ「ROSEN LIED」の合図で、不可視の爆弾が爆発した。重ねて、ミコトが尻尾についた輪を飛ばす。
 爆風が止む音と、リングが命中した音。確かにそれらを聞き届け、セレスは言の葉を紡ぎ始めた。
「嫌なもの程気に掛かる。気に掛かるから縛られる。さぁ、貴方が厭うものを教えて頂戴?」
 聞いた者へ作用する言霊は、ダモクレスの受けた戒めを幾重にも増やす。
「ユッ、ユッ、ユッ、クリ、オヤスミスミスミクダ、サイ!」
 言葉が途切れがちなダモクレスが勢いよく放ったのは、花の中の花、とも呼ばれるイランイランの香り。予知では催眠効果があるといわれていたこの香りは、不安やストレスからの解放効果もあるという。
 もちろん、それはただのイランイランの香りの話だ。この戦闘のさなかに受ければ、仲間を攻撃して敵を回復しかねない危険な香りである。
 後衛に向いた香りを、季由はロゼの前に立ち塞がる形で受ける。
「ロゼ、君は俺が守るから安心して歌ってくれ」
「貴方が守ってくれるから私、思いっきり歌えます! 無理して怪我しないでね?」
 ロゼは季由を気遣いつつ呼吸を整え、一族に伝わる時空の伝承の詩を歌い始める。
「運命紡ぐノルンの指先。来たれ、永遠断つ時空の大鎌ーーあなたに終焉を」
 喚ばれたのは、光纏う「終焉の大鎌」。大鎌は一閃し、両断する。大鎌の残した銀河の煌めきに、ダモクレスもまた光の粒子となって消えてゆく。
 弔うような鎮魂歌を最後に奏で、大鎌が消えた。
 残るケルベロスの仕事は、傷の手当てと周辺のヒール。
 そして、アロマオイルのお店を訪れること、だ。

●手にした香り
 ドアについたベルが、小気味よく鳴る。
 普段はお香や香袋、練り香水を使用している志苑ではあるが、用途が多様な精油にも興味があった。
「化粧品や、ケアにも使用できるのですよね」
 お香であれば白檀や桜を好むが、今回気になるのはベルガモット、ゼラニウム、月桃だ。それらを見つけるまでに出会う香りも楽しみに、志苑はサンプルの瓶を手に取る。
「……来るまで何を買おうかちょっと悩んでたけど……一つに絞る必要、ないわよね」
 口元に手を当て、セレスは店内を見渡す。
 きっとどれも、心安らぐには必要なものだ。
 並ぶオイルの瓶を見て、セレスが選んだのは紫陽花、ダリア、スミレの3種だ。
 紫陽花は大事な妹、ダリアは妹のように思っている友人の髪をそれぞれ彩る花。そしてスミレは、今は亡き義理の兄をイメージする花だ。
「大事な人達の花だから、眠れない夜にもきっと力を貸してくれそう……なんてね」
 そんなセレスの言葉を小耳に挟みつつ、ふわふわとした眠気が戻ったエリヤも買い物を楽しむ。
「アロマって、寝るときや起きるときも使われたり、するんだっけ……ペパーミント、グレープフルーツ……ふふ、すっきりした、いい香り」
 顔をほころばせつつ、爽やかな香りで兄や友人たちを連想する。元よりいい匂いは好きなエリヤは、なおさら頭がふわふわしながらもご機嫌だ。
 普段、気持ちいい眠気以上のものを引きずったまま起きることもある。そうならないようにすっきり起きてみたいと、香りと種類をのんびりと選んでゆく。
「へぇ……アロマディフューザーって思ってたよりもいろんな形があるんだなあ。折角だから一つ、彼女へ買って帰ろうかな」
 緩やかに煙を吹き出すディフューザーを前に、万里は柔らかな香りを吸い込む。
 その隣には、季由に似合うアロマを選びたいというロゼ。彼女の手には、二つのサンプル瓶が乗っている。
「流石に猫の香りはないですし、金木犀か檜かなって」
「金木犀とこっちは……檜? 不思議。なんだか落ち着く香りだね」
「落ち着く……うん、檜。檜にします!」
「僕は彼女へ……何がいいかな。ロゼちゃんお勧めある?」
「そうですね、私なら……爽やかな中に甘いベルガモットが似合うかなって思うの。どうかな?」
 言われ、万里はベルガモットの香りを嗅ぐ。
「いいね、変に癖も無いし。これにしようっと! ありがとね。さて、ディフューザーの形はどうしようかな……あ、動物型なんてあるんだ」
 猫、犬、と並ぶ中、万里はひとつの動物のところで視線を止める。
「狐! 店員さん、これ包んでもらえるかな? あ、このオイルもセットで!」
 包装されてゆく狐のアロマディフューザーと、ベルガモットの香り。彼女が包みを開いた時の表情が、楽しみだ。
 季由もまた、ロゼに似合う香りを探して楽しく店内を歩いていた。
「へぇ、これがアロマ。いい香りがしていいな」
 頭にミコトを乗せてはいるが、その表情は真剣そのもの。
 そうして決めたのは、桃の花のアロマオイルだ。こっそり想いを添えられる、桃の花言葉もまた良い。
 購入し、季由は桃の花をのアロマオイルを渡した。代わりに季由へと差し出されたのは、檜のアロマオイルだ。
「知ってる? 檜には固い友情って花言葉があるの」
「悩みに悩み俺が選んだのは【桃の花】だ。甘くて美味しそうな君にぴったりだろ?」
 交換したオイルの蓋を開け、そっと香りを吸い込んでみる。
「なんて良い香り! 幸せの、香りだ」
 その言葉に幸せそうに微笑み、ロゼも桃の花の香りを楽しむ。
「貴方の選んでくれた宝物。毎日香りを楽しむね!」
「ロゼの笑顔が一番の礼だよ。本当に、ありがとう」
 季由もまた微笑み、謝辞を述べた。
 アロマオイルを贈り物にするというのは、括も同じ。しかし、手にしたカゴには大量のアロマオイルが。
「うちは部屋が沢山あるから、沢山買っていかなくちゃ! 孤児院の子たち全員が使えるくらいは欲しいわねー」
 あれもこれもと色々選ぶ括も、とても楽しそうだ。
 ゼレフも、お土産にするアロマオイルを選ぶため、店員におすすめを尋ねる。
「疲れが取れてよく眠れそうなのって、どれですか?」
「安眠効果のあるものですね。でしたら、ラベンダー&オレンジスイートのブレンドがおすすめですよ」
「では、それをひとつお願いします。綺麗な小瓶に、それとリボンもお願いできますか?」
「かしこまりました、少々お待ちください」
 少しばかり待って差し出されたのは、くびれ部分に白いリボンが結ばれた、青い小瓶。
 受け取り、ゼレフは思う。
 なにせ、身をもって試したのだ――きっと効果はお墨付きだ、と。

作者:雨音瑛 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年3月31日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 3
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