全ての嘘を許すわけには行かない

作者:なちゅい

●世の中、真実で有り触れてなければならない
 福岡県福岡市。
 とある建物の一室に、10名ほどの人が集まっている。
 前に立つ異様な姿の男が、ホワイトボードに一文字、『嘘』と書く。
「全ての嘘を、許すわけにはいかぬ……!」
 鳥人間とも言うべき姿と成り果てた中年の男性が、拳でホワイトボードを叩き壊す。
 それを見ていた人々は男女問わず、年代は幅広く若者からご高齢の方までおり、皆、目から光が失われている。
 疑いすら抱かずビルシャナの言葉に頷く彼らは、壇上に立つビルシャナの信者と成り果てていた。
「真実こそ、この世の道理。嘘など一つたりとも許されてはならない……!」
「「「そうだ、そうだ!!」」」
 己の主張を絶賛してくれる人々の声援を背に、ビルシャナはこの場から外に出る。新たな信者を獲得する為に。

 ヘリポートに集まるケルベロス。
 その中で、ヴォルフラム・アルトマイア(ラストスタンド・e20318)がこんな話を持ちかける。
「どんな嘘も、決して許さないデウスエクスが現れるそうだな?」
 その言葉を受け、リーゼリット・クローナ(ほんわかヘリオライダー・en0039)は頷いて。
「どうやら、そんな説法を行うビルシャナが現れるようだね」
 ビルシャナとなった者が自らの考えを布教することで、新たに信者を集めようとしている。
 鎌倉奪還戦におけるビルシャナ大菩薩の影響が今なお及ぶというから、驚きを隠せない。
「悟りを開いてビルシャナとなった人間、及びその配下と戦い、ビルシャナとなった人間を撃破してほしい」
 状況としては、ビルシャナとなった人間が自身の考えを布教し、配下を増やそうとしているところに介入することとなる。
 ビルシャナ化した人間の言葉には強い説得力があり、放っておくと一般人はどんどん配下になってしまう。
「戦う前に、ビルシャナ化した人間の主張を覆すようなインパクトのある主張を行えば、周囲の人間が配下になる事を防ぐことができるかもしれないよ」
 ただ、説得できずにビルシャナの配下となった人間は、ビルシャナが撃破されるまでの間、ビルシャナのサーヴァントのような扱いとなり、戦闘に参加することとなる。
 ビルシャナさえ倒せば元に戻るので救出は可能だが、配下が増えればその分戦闘で不利になってしまう。できれば、事前に説得しておきたいところだ。
 ビルシャナとなるのは、40代男性、村木・達雄。正義と為にと裁判官となった男だ。
 福岡県福岡市博多駅周辺に現われた敵は、駅利用者や、近辺を歩く現地民などの取り込みを行う。
 それによって、老若男女問わず、10人程度の人がビルシャナの教義に同調してしまっている。
「教義に理解を示さぬ者は、その場から逃げ去っているようだね」
 その為、多数の人が行き交う駅前とはいえ、ビルシャナ周辺は人が少なくなっているので、簡単な人払いをするだけで対処は問題ない。
 それ以上に、配下となりかけた人々の説得に力を入れて当たるべきだろう。
 ビルシャナは経文のほか、鉄拳を叩き込んできたり、羽ばたきによって相手の守りなどを振り払ったりして攻撃してくるようだ。
 説得できず、配下となった男性達はビルシャナの盾となって立ちはだかってくる。
 こちらはあまり強くないが、下手に攻撃すると絶命の恐れもある為、攻撃に当たっては慎重に対処したい。
 説明を終えたリーゼリットは、主観を語る。
「嘘はよくないとボクも思う」
 ただ、本当に真実を言うことだけが正しいのだろうか。そんな疑問を彼女は投げかけて。
「現場到着は夜かな。無事に事件が解決したら、屋台で何か食べてくるといいよ」
 ラーメンを始め、美味しいものがたくさん食べられる場所。皆は何を食べるのかなともう一つ問いかけ、彼女はヘリオンへと駆け上がって行ったのだった。


参加者
リシティア・ローランド(異界図書館・e00054)
海野・元隆(一発屋・e04312)
ヴォルフラム・アルトマイア(ラストスタンド・e20318)
相川・愛(すきゃたーぶれいん・e23799)
クオン・ライアート(緋の巨獣・e24469)
アリシア・クローウェル(首狩りヴォーパルバニー・e33909)
綿屋・雪(燠・e44511)
アルフレッド・イングラム(黒騎士・e46807)

■リプレイ

●真実は時に人を傷つけ、嘘は時に人を助ける
 福岡県福岡市。
 夜も更けた博多駅前に降り立つケルベロス達は、様々な想いを抱きながら作戦に臨む。
「裁判官、か……。何が、あったんだろうね」
 男装軍人といった風貌のヴォルフラム・アルトマイア(ラストスタンド・e20318)は、ビルシャナとなった男性の状況を推察する。
 どんなことがあって、ビルシャナと成り果てたのかは分からない、が。
「でも……、放っておくわけには、いかないな」
 隣で浮いているビハインド、アレクもそれに同意する素振りを見せていた。
「嘘なぁ。まぁ、本当に大事なことは嘘ついちゃいかんが」
 そのヴォルフラムの知人である海野・元隆(一発屋・e04312)はスキットルで酒を煽りつつ語る。
「俺もこの歳になると、色々誤魔化してきたことも多いしな」
 何がと問われ、彼は秘密だと笑い飛ばす。
「……嘘、なしで生きていけるほど、人は強くはありません」
 金髪碧眼、王子様然としたルックスのアルフレッド・イングラム(黒騎士・e46807)が告げるが、その表情は浮かない。
 過去、ヴァルキュリアとして、侵した罪。
 それを仲間達に打ち明けることができないアルフレッドは漆黒の動力甲冑を纏い、その償いの為にこうして戦場へと赴くのである。

 博多駅前にはすでに、ビルシャナとなった裁判官、村木・達雄が声高々に演説をしていた。
「真実こそ、この世の道理……。嘘など許されてはならない!」
「「「そうだそうだ!!」」」
 それに、10人の人々が声を合わせて叫ぶ。
 年齢、性別は関係なく、ビルシャナの主張に少なからず同調した人々だ。
「そも、本当に嘘をついたことないと自信を持って言える人間がこの中にいるのかしらね」
 とある図書館の司書であるリシティア・ローランド(異界図書館・e00054)がそれらの人々に呼びかけてから、ビルシャナを一瞥して。
「……ああ、あんたは鳥だから除外よ」
「何……?」
 ケルベロスの出現に、ビルシャナは怪しく瞳を輝かせた。
 ともあれ、害にしかならないビルシャナは倒さねばならないが、同調した人々が信者にならぬよう、ケルベロス達は彼らの目を覚ます為に説得に当たる。
「んと……そこまで言うほど、絶対に嘘って悪いこと、でしょうか?」
 ややつっかえながら、メイド見習いの相川・愛(すきゃたーぶれいん・e23799)が人々に問いかける。
「だまされても、だまされたことが楽しい、みたいなことは、あると思います」
 とある事情で、病気を治す魔法を探す愛。
 この間、読んでいた本に、「人の病気を治せる魔法」との記述があったのを、愛は発見したとのこと。
 簡単な詠唱だった為に早速試したところ、両親宛の肩たたき券が召喚されたそうだ。
「病気、治せる魔法じゃなかったのはがっかり、でしたけど」
 肩たたき券が出てきたのは恐らく、ジョークが半分。そして、普段から気にかけることが肝要という示唆が半分。
 それもあって、少しだけ両親に優しくしようかなと彼女は思ったらしい。
「心がぽかぽかするような嘘も、あると思いますっ」
 おどおどしながらも、しっかり主張する愛に1人がほっこりしていたが、依然として10人が嘘を許すなと叫ぶ。
「真実こそ、道理。当然のことだ」
「真実か……」
 ならばと、ヴォルフラムはビルシャナの矛盾をつくことにする。
「じゃあ、今キミが信者を洗脳しているってことは、彼らにちゃんと伝えているかい」
 それは自分の都合に合わせ、人々の意思を捻じ曲げる行為でしかない。
 その行為が正しいというのなら、ビルシャナが嫌う嘘で真実を隠す行為と何が違うのかとヴォルフラムが問う。
「キミはビルシャナになるべきじゃなかった」
 弱者へと力を奮いながら語る言葉。
 そんなのは嘘どころでなく、薄っぺらだと彼は主張した。
「ぐ……」
 ビルシャナが言葉を言いよどむ間に、他メンバーが人々への説得を続ける。
「あなた達が、嘘を嫌う心情、よくわかります」
 全身鎧を解除したアルフレッドは相手を直接見て、思い出してほしいと紳士的な態度で話しかける。
「あなた達もまた、相手を騙すためでなく、相手を思いやって付いた嘘があったはずです」
 ――そんな、優しい嘘無しに生きていけるほど、人は強くはありません。
 彼はやや寂しげに告げ、自身の主張を締めくくる。
「お前たちは人に知られたくない内心、とかないのか?」
 続く元隆が人々に問いかけつつ、持論を展開していく。
 腹を割って話すのは確かに必要だが、誰に対しても包み隠さず伝え、人間関係を壊していくのは大人のやり方ではない。
 それに、薄々感じていることを人に指摘されるというのは、どうなのか。
「言ってほしいか、そういうのを?」
 もちろん、沈黙が嘘ではという詭弁を、彼は許さない。
「世の中には、ついていい嘘とダメな嘘があるわ」
 声を弱める人々へと、リシティアがさらに続けた。
「そも、このご時世、嘘をつかずに過ごすことは不可能よ」
 リシティアは無表情のままで、淡々と語る。
「例えば、貴方たちの家族に余命が数ヶ月だとか死を免れない病などと聞いて、果たして本人に本当のことをそのまま伝えれるかしら?」
 ――真実は時として、凶器となってしまう。
 それに、人々は表情を強張らせる。
「逆に貴方たちも言ってほしい? そいつといると長生きはできないわよ、と」
 そいつ、ビルシャナにつくということは、ケルベロスの敵となること。
 嫌ならさっさと散りなさいなと、リシティアは払いのけるように手を振る。
「つかれてうれしいうそだって、確かにあるのです」
 徐々に我に返る人が増える中、ふわふわした雰囲気を漂わせる綿屋・雪(燠・e44511)が主張する。
 ――例えば、エイプリルフール。
 つかれた嘘に、思わず笑ってしまったことはないだろうか。
 ――誰かに、サプライズの祝いをするとなった時。
 準備段階で探られたら、ごまかしたくはならないだろうか。
 大きなヘルムで顔を隠した雪は、よく透る綺麗な声で語りかけて。
「それらは、ひとを楽しませようと、笑顔にしようとする、うそです」
 雪は大人びた様子で、この場の人々へと話す。
「だれもがしあわせになるうそは、生きていくことに、ひつようです」
 さらに、兎耳をぴこぴこと動かす、アリシア・クローウェル(首狩りヴォーパルバニー・e33909)が同意して言葉を続けた。
「世の中の偉い人はいいました。『本気の嘘なら、後悔はしない』と」
 天真爛漫な態度のアリシアも、真剣に呼びかける。
 嘘が全て許させないのであれば、演劇をする演者達もそう。彼らもまた、自分を偽って劇の役割を演じているのだ。
「でも、あの人たちはそれで、皆に感動を与えてます」
 全力でついた嘘だからこそ、人の心を動かすことだってある。
「それでもまだ、嘘は駄目だというのですか?」
 そうしたメンバー達の訴えもあり、1人、また1人とこの場の人達を正気に戻す。
「戦いにおいて『嘘をつかない』という事は、『真っ向から自分達の持ってる力だけで相手に挑む』事だと私は思う」
 3人にまで減ったところで、クオン・ライアート(緋の巨獣・e24469)が前に出て、腕組みしてみせた。
 互いに嘘もなく真正面で当たるだけでは、単純に力が強い者だけが勝ってしまう。
 ならば、力をつけられれば良いのだろうが。
 一朝一夕でその技量が身につくのであれば、この星はデウスエクスに侵略されず、今も平和なままだったことだろう。
「その力の差を埋める為、ひっくり返す為にどうするか。……そこで、『様々な嘘』が必要になる」
 クオンが語るは、『戦い・勝負事』に関しての嘘。
 戦術として、時には偽りの情報で。時には偽りの行動で。相手を騙し、惑わし、誘導し、可能な限りの手を尽くす。
 嘘は、少しでも勝率を上げる為の手段だとクオンは語る。
「……自分達が生き抜く為の手段として、私は『嘘』を肯定したい」
 嘘があるからこそ、地球を守ることができている現実。人々はそれを受け入れざるを得ない。
 全員が我を取り戻し、ビルシャナから距離を取り出したことで、雪は割り込みヴォイスで声を届ける。
「ここは、わたしたちケルベロスが、がんばります。どうぞはなれてくださいね」
 そうして、信者候補がいなくなったことで、ビルシャナはものすごい形相でケルベロスを睨みつけてくる。
「摂理を乱す愚か者め……。我が捌きをくれてやろう」
 両腕の羽を広げるビルシャナ。ケルベロス達は臨戦態勢に入る。
 そんな中、元隆は直前まで酒を口にしていて。
「酒を飲んで大丈夫なのか?」
「……大丈夫大丈夫、嘘を言ってるように見えるか?」
 問いかけたヴォルフラムは彼を気がけながらも、襲い来るビルシャナの討伐に集中するのである。

●偽りの正義に裁きの鉄槌を
 ビルシャナと成り果てた裁判官、村木・達雄。
 そいつは大きく羽ばたき、ケルベロス達へと羽根を飛ばし、衣服を破いてきた。
 前に立つクオンはそれ受けながらも、相手を煽る。
「さて、1人になった気分はどうだ? 鳥」
「ぐぬ……」
 呻く相手に、クオンは猛然と仕掛けていく。
「ふん、貴様の凝り固まったその思考……」
 手にする大鎌「血のリフレイン」に、彼女は太陽の力を限界まで宿して。
「我が太陽の熱にて、溶かし解してやろう!」
 クオンより放たれる一閃がビルシャナの体を断ち切り、鮮血を発していた。
 身を張るヴォルフラムもビハインド、アレクと立ち回り、バスターライフルからエネルギー光線を発射して相手を牽制していく。
 だが、ビルシャナも己の主張が正しいと疑わない。
 敵が繰り出す正義の鉄拳を受け止める盾役メンバーへ、黒い三つ編みの髪を揺らす愛は金属片を含んだ蒸気を発して援護に当たる。
 その間、愛の箱竜、ドラコがブレスを吐き掛け、仲間の付けた傷を広げていく。
「あなたのこころは、たしかにただしい」
 雪は仲間の癒しにと血染めの包帯を包み込む中、相手に呼びかける。
「でも、それを、他者に強いてはいけなかったのです」
 小さいながらに、淑女として振る舞う雪。
 許し合えないなんて悲しいと、彼女は表情を兜の中で小さく告げた。
「否、真実は変わらない」
 ただ、言葉はビルシャナには届かない。
「雷よ、雷よ……」
 そんな分からず屋な相手を倒すべく、リシティアは巨大な魔法陣を描きながら詠唱する。
「裁きの鉄槌となり地を砕け」
 光の柱にも思える轟雷が地上へと降り注ぎ、ビルシャナの体を灼く。
 これこそ、神の杖であり、剣。裁きの雷だ。
 相手が怯む隙を、全身をパワー度アーマーに包むアルフレッドは逃さない。
「私の全力、受けてもらいましょう!」
 下段に構えたバスタードソードにグラビティを集中させた彼は、疾風の如き斬撃を放つ。
 そして、アルフレッドは己の膂力、グラビティのコントロールを活かし、刃を切り落とす。
 傷つきながらも、ビルシャナは応戦の構えを崩さない。
「負けぬ……、偽りなど、許してはならぬのだ……!!」
 経文を唱えることで、そいつはケルベロス達の心を惑わせてくる。
 なんとかそれに耐える仲間達が戦線を維持する中、酔った元隆が展開する領域は、奇跡の空間。
 それは、誰もが夢見る理想郷だ。
「見えたか? お前の還るべきところが」
 ただ、そこに足を踏み入れる事ができるのは、死者の魂のみ。
 ビルシャナは自我をしっかりと持ち、己の魂をこの場に繋ぎとめようとする。
「アリシアは残念ながら嘘も演技も下手ですので、ストレートに。……どうぞ、その首を掻っ切らせてくださいな」
 だが、戦場を軽やかに舞うアリシアがそれを許さない。
 如意棒を操るアリシアの二つ名は、「首狩りヴォーパルバニー」。
 普段は明るい彼女だが、その本性は相手を切り刻むことにこそ無上の喜びを覚える殺人兎だ。
「もらいましたよ、鳥頭」
 飛び上がったアリシアは、相手の頭上よりその首を狙う。如意棒による斬撃を同じ場所に、しかもほぼ同時に重ねる。
「その首、頂戴いたしました」
 アリシアが発した言葉の直後、無残にもビルシャナの頭が落下していく。
 敵の撃破を受け、アルフレッドはパワードアーマーを解除し、ふらついて。
「ふぅ……。やはり、なかなか、堪えますね。精進せねば」
 比較的短期の戦いではあったが、彼は呪いの鎧による負担の大きさに消耗していたようだった。

●屋台の味を楽しもう
 徐々に、博多駅前は人通りが戻ってくる。
 アルフレッドは失われた面影を悼む歌を響かせ、戦いの爪跡を幻想で埋めていくと、人々は立ち止まって耳を傾けていた。
 元隆が気力を撃ち出し、雪が広域へとオウガ粒子を放つことで、作業は終了する。
 駅周辺の屋台にも店主が戻っていたことで、誰からともなく店に立ち寄ろうと呼びかけはあったが。
「悪いけれど」
 リシティアはあまり興味を抱かず、帰ることにしていたようだった。

 メンバーが立ち寄ったのは、ラーメンの屋台だ。
「お、ケルベロスご一行様ばいね!」
 ケルベロスの活躍もあって、仕事帰りのサラリーマンなどで店内は賑わっており、活気付いていた。
「屋台って、すごい、ですね」
 それに興味津々だった雪は早速、屋台の味を堪能しようと考えるが、顔を隠していることもあってか、あまり口に入れる様子はなかったようだ。
 一方で、クオンなどは定番の料理から、変わり種まで幅広く堪能したいと考える。
 彼女は更なる味を求め、おでん、焼き鳥の屋台や、他国の味を振る舞う別の屋台にも足を運んでいたようだ。
 一度ラーメンを食したものの、ヴォルフラムが食べたいと主張する焼き鳥の屋台へ、終始酔っ払っている元隆は彼女と足を運んで。
「そういや、ヴォルフラムはもう酒もいける年だったな」
 そこはお酒も出す店とあって、こちらも仕事帰りの男性達が多数集まっていた。
「どうだ、一杯? それともいっぱい飲むか?」
 豪快に笑う元隆は日本酒を口にし、すでにほろ酔い気分になっていた。
 ただ、ヴォルフラムは焼き鳥の方が食べたかったらしく。
 目の前に出された串を見つめた彼女は、少しビルシャナを思い出しそうになってしまうのを振り払い、早速一口。
「うん、美味しいな」
 こんがりと焼けた肉は非常に香ばしく、歯ごたえ十分な神応えにヴォルフラムの頬が緩む。
「元隆ももっと食べなよ」
 そう言いながら、彼女は焼き串をたくさん注文する。
 その中からビハインドのアレクも1本串を拝借し、口にしていたようだった。

 夜は何事もなく静かに更けていく。
 ケルベロス達はそんな中、働くサラリーマンに紛れて英気を養うのである。

作者:なちゅい 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年2月28日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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