もふっと遊ぼう

作者:八幡

●誕生日
 誕生日、それは年に一度訪れる特別な日である。
 この日ばかりは普段は聞いてもらえないお願いができたり、欲しいものを言えば買ってもらえたりする。
 あるいは皆で騒ぐだけでもいい、思い出こそが何にも代えがたい宝物となるのだから。
「お~?」
 そんなことを誰かが言っていたなぁ~? なんて思いながら親にせがむ洋服を物色していた、小金井・透子(シャドウエルフのヘリオライダー・en0227)はとある看板の前で足を止めた。
 その看板にはあまり可愛くないわんこと女の子の絵が描いてあり、『被写体募集』の文言があって……、
「おー!」
 それを見た透子は目を輝かせると、軽い足取りでその場を後にしたのだった。

●遊ぼう
「動物さんと遊べるイベントに参加しよー!」
 ケルベロスたちの前に立った透子は両手を広げて主張する。動物と遊ぶ……と言うフレーズに僅かばかりでも反応したケルベロスに透子は続ける。
「あのね! 『動物とのふれあいを大切にしよう』って言うキャンペーンがあって、動物さんたちと一緒に遊んでいるところを写真に撮って宣伝に使いたいんだって!」
 動物と人が一緒に写っている写真を撮って、それをキャンペーンに使う。よくあると言えばよくある話だが、ついでなのでその撮影自体もイベントとして執り行おうということらしい。
「ボクたちは動物さんたちと遊んでればいいだけらしいんだよ!」
 とはいえ写真撮影となると緊張したりもするだろうが、イベント参加者を運営側が適当に写真に収めていくので、参加者は普通に動物たちと遊んでいれば良いだけらしい。その方が自然な姿を撮れるということだろう。
「堂々と動物さんたちをぎゅっとしてもふもふするチャンスなんだよ! だから一緒に遊びに行こ?」
 もふもふかぁと考えるケルベロスたちに、透子は両手をぐっと握り締めると、再度一緒に遊ぼうと誘ったのだった。


■リプレイ

「リリウムちゃんはどの動物と遊びたいの?」
 キラキラと目を輝かせて何処かへ行ってしまいそうなリリウム・オルトレインにお菓子をあげながらエルス・キャナリーが問いかければ、
「わたしおっきなわんちゃんと遊びたいですっ!」
 尻尾を振りつつお菓子に口をつけながらリリウムが応える。そんなリリウムにエルスはやっぱり仔犬ですねと目を細めると小さな手を引いて犬が居そうな場所へと歩いていく。
「あー! わんちゃんいっぱいいますよー!」
 しばらく歩けばそこには大小さまざまな犬達が居て……丁度お菓子を食べ終えた仔犬が手を繋いだエルスを引っ張ってぱたぱたと走りだした。
 そしてリリウムは毛の長い大型犬に抱き着いて頬ずりするように長い毛に顔を埋めながらもふもふ。つられるようにエルスも犬の頭をそっともふもふし、どちらがもふもふだろうとリリウムの頭をなでつつ冬毛の耳をもふもふ。
 それからこそばゆそうに耳を震わせる犬とリリウムをまとめて抱き締めて、エルスとリリウムは温かもふもふを堪能した。

 温かもふもふを撮影していた運営スタッフは、綺麗なもふもふ冬毛でもふもふな深月・雨音と、雨音を優雅に抱きながらシャラーンとモデル歩きを決める千手・明子に気付いてカメラを向ける。
 カメラに気付いた雨音は「可愛く撮ってにゃ!」と言わんばかりに明子の手の中でくるくるっと回転して自慢の尻尾を目立つようにアピール。そして腕の中でもふもふがくるくる回る姿をこそっと自分でも撮影していた明子は、
「……いつもながら雨音ったら、マジ可愛らしい」
 とご満悦な様子だった。
 それから暫くして雨音の前足ぽんぽんで行先を決めていた二人はレッサーパンダが居る場所へ辿り着き、雨音は鼻先でちょこんと触って挨拶してから抱き着き、ダブルもふもふとなった雨音とレッサーパンダを明子は心行くまでもふもふしたのだった。

 ラウル・フェルディナンドと月織・宿利は空いているベンチに腰掛けるとそれぞれのサーヴァントであるルネッタと成親を呼び寄せた。
「撫でさせて貰ってもいいかな?」
 ラウルが宿利の足元で主人を見上げていた成親へお願いすれば成親はふんふんと鼻を鳴らしてからラウルに擦り寄り、その姿を見た宿利は微笑ましいなと目を細める。
「実はずーっとね、ルネッタちゃんを抱っこしたいなって思ってて」
 成親の首回りをもふもふするラウルから視線を落とせば、そこには興味津々な瞳で宿利に顔を寄せるルネッタの姿があり、宿利が両手を広げればルネッタは甘えるようにその胸に飛び込む。
 飛び込んできたもふもふの感触に、子供のような笑顔を浮かべる宿利を、成親を撫でながら見つめていたラウルだが、
「ねえ、君にも触れてみていいの?」
 普段より幼く見えた宿利に悪戯っぽく笑って見せる。ルネッタのもふもふに顔を埋めていた宿利はラウルの言葉に一瞬驚いたような表情を見せるも、それも束の間の事。
「ふふ、どうぞ……その代わり、君にも触れさせてくれるのよね?」
 すぐに目を細めてラウルへ返せば、君には敵わないなとラウフは眦を緩め、二人は触れ合う一歩手前の距離で寄り添うようにもふもふを堪能した。

「沢山動物達がいるね、瞳李姉さんはどの子がいい?」
 自然公園内に散在するもふもふを眺めてから、巽・朷夜は隣に居た鈴代・瞳李に問いかけると、
「朷夜に似てる子と遊びたいな」
 瞳李は少し考えてからそう答えた。その答えを聞いた朷夜は俺に似てる子? と首を傾げそんな朷夜を見た瞳李はそうそうこんな風な可愛い子がいいと思わず笑みをこぼして朷夜の頭を撫でる。
 実の姉のように想っている相手に頭を撫でられるのは悪い気はしない。朷夜が瞳李の手の感触に目を細めていると、何時の間にか足元に狼犬が近づいてきていて、今度は朷夜が瞳李にされたように狼犬の頭を撫でてやる。
「俺に似ているかな?」
「凛々しくてカッコいいが、可愛い所とか朷夜に似てる」
 撫でられて目を細める仕草が朷夜にそっくりで、きっと優しいところも似ているのだろうと瞳李もまた狼犬をもふもふする。
「瞳李姉さん両手出して」
 瞳李が大人しくされるがままの狼犬をもふもふしてると、朷夜が急に兎を手渡してきた。いきなり渡された兎と目が合って思わず吹き出してしまった瞳李が、
「ありがとう……そんなにウサギを触りたそうにしてたか?」
 と聞けば、朷夜は兎は可愛らしいところが姉さんに似てるからと答え……その答えに瞳李は少し恥ずかしそうに笑った。

「もふもふ、最高だよにいさん」
 ファミリアのうさぎくんを交えた兎の群れの中に陣取りエリヤ・シャルトリューが後ろを振り返れば、エリオット・シャルトリューは微笑ましいものを見るように目を細めていた。
 そんなエリオットにエリヤは一緒にもふもふしようと手を伸ばすと、エリオットはその手を取ってエリヤが触っていた兎達を撫でてみる。
「あんま深く考えねえでもいいんだな……」
「そうだね、細かいこと考えなくていいとおもうよ」
 前はどう触れて良いか分からないから触れずにいたのだが、意外と何も考えないで良いらしい。兎の群れに身を任せるように寝そべったエリヤに促されるように、エリオットも兎の群れに混じって、
「お前さんのファミリアが迷子にならんように気をつけてな?」
 ふと、うさぎくんのことを思い出してエリオットがエリヤに声を掛ければ、エリヤは半分夢の中に居て……まぁ後で考えようと決めると二人揃ってもふもふの感触に身を委ねた。

「ふぁぁ……」
 日向の芝生で折り重なるように丸くなっている猫の群れを見つけたハチ・ファーヴニルが声を出しそうになり、九条・小町が首を横に振って抑えるように指示する。
 幸いなことにハチの声で猫が逃げることは無かったが……どうやって近づこうかと小町が考えているとハチが猫の餌を取り出した。ハチが餌を取り出すと猫達はピクリと反応して、
「はぁ~……食べてる姿もかぁいいわぁ~……」
 効果は抜群ね! と小町は親指を立てた後、餌を頬張る猫達に口元を綻ばせる。
「ふふ、本当にかぁいいっスよねぇ」
 そしてハチが猫を撫でてぬくぬくを堪能していると、何時の間にか小町の膝の上に猫達が集まって丸くなっているのに気付いた。話を聞けば、どうやらスカートの裏に温かくなるやつを張っていたようだ。
「あ、記念にスマホで1枚、いいっスかね?」
 流石っすね何て頷いてからハチは、猫にモテモテでぐへへとデレデレした顔の小町を写真に収め、
「後で写真を交換しようねー!」
 餌の匂いに釣られた猫達に飛びつかれて猫まみれなハチの姿を小町が撮影すると、交換楽しみッスと猫まみれになりながら二人で笑い合った。

 兎達の真ん中に立ったブラッドリー・クロスは、ここは天国かな? と考える。白いのや黒いの、耳が立っているのや垂れてるの。それはもう様々な兎が集まっていたから。
「だ、大丈夫だぞー怖くないぞー」
 そんな兎達の中心でアクレッサス・リュジーがおっかなびっくりな様子で兎を触り、はこもまた兎に擦り寄ってその感触を味わっていた。
「ふふ、良かったね、アーク」
 慣れない感じで兎を撫でるアクレッサスに微笑みながらブラッドリーは近くにいた垂れ耳の兎を抱き上げて、
「ああ、誘ってくれてありがとう。たまには、こういうのも楽しいもんだなぁ」
 兎を抱いたブラッドリーの微笑ましさにアクレッサスもまたにこにこと笑う。お互いがお互いの姿を見て笑い合える、それは何と幸せなことだろうか。
「また、来ようね」
 いっぱいもふもふしようと言うブラッドリーにアクレッサスは大きく頷き……その頭に優しく手を置いた。

 日の光が良く差す丘の上で玉榮・陣内と新条・あかりが並んで立っていた。それは何時もと変わらぬ二人に見えたが……見る人が見ればあかりの耳の動きで彼女の心の内が読めただろう。
「今日は随分とご機嫌だな?」
「そりゃご機嫌にもなるよこんなにおおっぴらにゆっくりできること、そうそうないし」
 実際陣内はぴよぴよと揺れるあかりの耳をつまんで心の内を言い当て、あかりもまた上機嫌に鳴り続ける喉の音やゆらゆらと揺れる尻尾を見て陣内の本心を読み解く。そしてあかりが揺れる陣内の尻尾に触れてみれば、陣内は尻尾で器用にあかりを絡めとって、
「このくらいなら、きっとセーフだよね」
「――大丈夫、だって今日はもふもふな日なんだから」
 腕の中に納まったあかりに笑いかけ、あかりもまたぴょこぴょこと耳を動かした。
 それから陽だまりの中に腰を下ろした陣内の鬣を、あかりが丁寧に梳いていく。その手つきはとても優しく、陣内は我知らずに喉を鳴らし……その音と陽光に輝くお日様の匂いを孕んだ毛並みにあかりは「全部、ぼくの」と甘えるように呟いて――。

 クレーエ・スクラーヴェと月岡・ユアは、兎やフェレットそれから猫などが入り乱れる広場であれも可愛いこれも可愛いと笑い合う。本当にどの動物も可愛いが……こんな機会だ、滅多に出会えない動物に触れてみたいと思うのも人情と言うものだろう。
「おおっ! フェネックっ」
 そんな中ユアは動物達の中にフェネックが混じっているのを見つけて早速撫でて、
「お耳大きくて、ふさふさ尻尾ー。いーなーいーな、もふもふーもふもふーかーわいー♪」
 クレーエもフェネックの大きな耳に触れてつれてかえりたーい♪ と漏らすも、既に多くの動物と共に暮らしているんだよねぇと呟く。
 そんな呟きを聞いたユアはくれーえさんの家は可愛いのパラダイスだなぁと感心するも……新しい住処も見つけたし、自分も……と、じっとこちらを見つめてくるフェネックのつぶらな瞳を見返しながら思案する。
 そんなユアの姿を見ながらクレーエはフェネックのもふもふを楽しみ、二人は穏やかな時間を過ごしたのだった。

 兎を膝の上に乗せた桜庭・萌花がベンチに腰を掛け、その隣で平岡・晴は萌花の膝の上に大人しく収まっている兎を興味深そうに見つめる。
 身を乗り出すように兎を見つめる晴に萌花が触ってみる? と問いかければ、晴は恐る恐る兎に触れてみて……触れても嫌な様子を見せない兎の毛の艶を確かめる。
「晴ちゃんも抱っこしてみる?」
 晴が暫くの間兎を撫でて大分慣れて来たころ萌花は、晴に寄り添うように体をくっつけると晴の膝の上に兎を移した。
「……もふもふ、あったかくて、気持ちいぃ、です……♪」
 いきなり膝の上に兎を置かれた晴は少し身を固くするも、膝の上から伝わる兎と肩越しに伝わる萌花の体温に何だか自分の体もぽかぽかするようで、兎をもふもふしながら微笑んだ。
 花のように微笑む晴に目を細めた萌花は、その様子を写真に撮って……二人は寄り添うように時間を過ごした。

 頬を撫ぜる風は冷たく、体中の体温を奪われてしまうかのような錯覚を覚える……ただ、自分の手を優しく握るの手から伝わる英桃・亮の体温で奪われた熱は満たされる気すらする。
 アウレリア・ドレヴァンツが紫水晶を思わせる目を細めて温かい亮の手を見つめていると、二人は拓けた芝生に辿り着いた。
「ね、何しよう? あのね、ボールは持って来たのよ」
「流石、用意がいいな」
 それから斜め掛けした鞄をぽんぽんと叩いて微笑むアウレリアに亮が笑みを返して、共に歩いてきた久遠と紫苑へ目を向けて……くぁと欠伸を漏らす紫苑と目を輝かせて尾を振る久遠の対比に思わず笑ってしまう。
 そんな久遠の頭を亮が撫ると久遠はやる気を見せるように更に尻尾を振り、紫苑の毛並みをアウレリアが撫でれば紫苑は甘えるようにその白い手に鼻を擦り付けてくる。久遠のやる気に応えるように亮がボールを投げてやれば、久遠は一目散に駆け出して、
「紫苑、まけちゃう、ね?」
 久遠は元気いっぱいなのと微笑みながらアウレリアが紫苑へ語りかければ紫苑も久遠に負けじとボールを追って行った。
「……遊び疲れたかな?」
 暫くして戻ってきた久遠と紫苑はおかえりなさいと迎え入れたアウレリアの手にボールを渡してから、その傍らで寝転がり、
「アリア、皆で一緒に撮ろうか」
 亮がそう提案するとアウレリアは頷き……皆で微笑みながら寄り添う瞬間をカメラに収めた。

 もふもふ動物と言えば、僕の彼氏は狼のウェアライダーなんだよねぇ。
 そこに気付いた渫・麻実子は彼氏である宮口・双牙に可愛いオオカミちゃんになるようにお願いし、双牙も普段心配させてるからと要望に応えて狼の姿になった。
 麻実子が狼姿の双牙の首を撫でれば、双牙はこそばゆそうに目を瞑る。それから麻実子はもふもふを堪能するように優しく大胆に双牙の毛並みを梳いていき、双牙は人の姿の時とは接し方の違うことに戸惑いを覚えつつも麻実子に身を委ねる。
 それから、双牙のもふもふ感にたまらず麻実子が抱き着いて、狼の……双牙の香りと寄せた頬から伝わる逞しいいのちの鼓動を確認するようにぎゅっと抱き締める。
 抱き締めた双牙も麻実子の体から感じる体温の心地よさに思わず尻尾を振って……うっとりと自分を見つめてくる麻実子の唇が、自分の鼻に触れると双牙はお返しとばかりに麻実子の白い頬に毛並みを摺り寄せた。
 それから二人は暫くの間お互いの体温を確かめ合うように、ゆっくりとした時間を過ごした。

「透子ちゃんはお誕生日おめでとうで宜しくね!」
 ふっかふかのカワイ子ちゃんどもで溢れ返るとか、ここは天国ですかなゲヘヘと笑みを浮かべていたチロ・リンデンバウムは、自分の体よりでっかいもふもふにしがみ付いていた小金井・透子に軽く挨拶してから、もふもふの中心に寝転がる。
 こうすることによりもふもふを堪能できるのだが、もふもふに包まれていれば当然眠くなるわけで……スヤァとチロは何時の間にか寝てしまった。
「ぐぐぐグォァアアアアアアア!!!」
 暫く微睡の中に居たチロだが、少女にあるまじき奇声を上げながら飛び起きて、額に滲む汗のようなぬめぬめを拭う……なんかチロの10倍くらいあるわんこに頭からムシャアされて、モグモグした挙句ペッされる恐ろしい夢を見たのだ。
 だがそんな現実はあるはずが無く……そんな馬鹿なと自分を笑い飛ばしチロはもう一度寝直すことを決める。
 しかし、意識が闇に飲まれる直前にチロは思い至ってしまった、透子がしがみ付いてたのってなんだっけと、それにさっきのぬめぬめとこのもふもふ――。

「天候は快晴。絶好のもふもふ日和!」
 『動物とのふれあいを大切にしよう』キャンペーン最高! と、猫やら犬やらが集まっている広場でアイカ・フロールは両手を空へ向けて万歳する。
「もふもふがたくさんですねぇ……ふふ、皆かわいい……」
 元気いっぱいなアイカを見上げつつ多々良・数元は既に猫だまりに潜り込んで、猫のもふもふを楽しみながら既に横になっていた。
「もふも……骨のありそうな奴らじゃねぇか」
 もふもふ、ありゃあ魔力を秘めているともふもふの中に埋もれていく数元を見つめ、陸堂・煉司は右手に持ったボールと左手に持った猫じゃらしに力を篭める。油断をすれば自分も数元のようにもふもふに埋もれてしまいかねないのだ。実際わんこ達が物凄い期待に満ちた目で自分を見てるし。
「むむ、煉司は準備万端ですね。さすがもふもふのプロなのです」
 良いぜ、もふも……鍛えてやると煉司が放り投げたボールにわんこ達が群がり、ぼくも負けていられないのですと仁江・かりんもわんこ達と一緒に駆ける。
「煉司くんすげえ!」
 さらに左手の猫じゃらしで猫を数珠のように釣っている煉司に霧隠・佐助が感心し、アイカも完璧すぎて流石ですと賛辞を送る。賛辞を送りつつも佐助とアイカは寝そべっていた犬や猫の背中をさすったりもふもふしたりしてそれぞれの違いを堪能するも、
「怖くなんてないですよー、もももさんもいらっしゃい」
「この子なんて一見固そうな毛並みだけど触ってみると超もこもこっすよ!」
 アイカは、いっぱいもふもふしてて少し怖いかもですと距離をとっていた若草・もももの姿に気付いて声をかけ、お日様の光を吸ってふっかふかになった仔犬を抱いた佐助もおいでよと誘う。
「わー、新感覚!」
 そんな仔犬をアイカとわんこ達と共に戻ってきたかりんがもふり、同い年のかりんが楽しそうにしているのを見て、
「~~っ、もももも、がんばります! えーい!」
 もももが意を決してもふもふの中に飛び込めば……そこにはもふもふ温かぬくぬくな世界が広がっていた。
「わぁ……! ぽわぽわのぬくぬくなのですよ……!」
「これが楽園……生きててよかった」
 最初の一歩さえ踏み出せれば後に待つのはもふもふ天国だ、もふもふに包まれてふわ~とした顔になるもももに数元は大きく頷き猫じゃらしで猫を釣り続ける。
「あ、大変です! もふもふ溜まりにぽんずが埋もれてます!」
 だがそうこうしている間にアイカのぽんずがもふもふの中に沈み、それを救うべくかりんがもふもふの中に潜り込んで……もふもふに沈んだかりんをもももがあわあわと探そうとするが、
「……ってすげえ気持ちよさそうっすね」
 もふもふの中から数元と共に発見されたかりんは幸せそうな寝息を立てていて、その姿に佐助は目を細めた。
 それから煉司達は幸せそうな二人に釣られるようにもふもふの中に飛び込んで――ぬくぬくもふもふな世界で微睡んだのだった。

作者:八幡 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年2月4日
難度:易しい
参加:31人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 3/キャラが大事にされていた 4
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