冬の海、散るものは

作者:あかつき


 港に停泊中の客船の甲板が、がらがらと音をたてて崩れ落ちる。そこそこの大きさのその船には、その時大体の三百人程度の乗客がいた。幸いなことにこの時点で乗客達に死者はいないものの、彼らは突然の事に悲鳴をあげ、混乱の極みにあった。そんな乗客たちを、スタッフ達はマニュアルに従い、怪我人には手を貸し、健康な者は不安を落ち着かせるよう声をかけながら、手際よく安全な方向へと誘導していく。そんな中、一人突出して別の方向へと走っていく初老の男性。
「わしを逃がせ! いくらの資産があると思っている?! わしが死ぬことによってどれだけの会社が損害を被ると思っておるのだ! 退け! その救命胴衣を寄越せ!」
「お客様、困ります! そちらは危険です!」
 船の構造上、甲板が割れていては危険と思われる方向に見える梯子へと、スタッフの制止を振り切り、男性は一人向かっていく。
「ふん、そんな事を言って……わしを他の客と同じに扱おうとしおって! 付き合いで乗ってやったというのに……許さんからな! 帰ったら貴様の会社を潰してやる!」
 そう叫んだその時。
「ぎゃ!!」
 ベキ、と音をさせ、足元の床が割れて男性は階下へと落下する。着地の際に男性は数ヵ所の骨を折ったらしく、木片やその他の埃の中伺える男性は、立ち上がれずにもがき苦しんでいた。
「その傲慢な態度、自分だけ先に逃げようとする愚かさ、気に入った。貴様をエインヘリアルにしてやろう」
 そこへ現れたのは、シャイターン。
「え、が……、がはっ」
 何がどうなっているかわからない男性が何かを言おうとしたその時、その胸をシャイターンの持つ刃が貫く。その一刺しにより心臓を止めた男性だが、エインヘリアルになる事はなく。
「ッチ、外れか。とんだ無駄足だ」
 吐き捨てたシャイターンは、次の被害者を探すため、踵を返した。


「ジェミ・ニア(星喰・e23256)の依頼で調査をしていたら、ヴァルキュリアに代わって死の導き手となったシャイターンがエインヘリアルを生み出すため、事件を起こそうとしていることがわかった」
 雪村・葵(ウェアライダーのヘリオライダー・en0249)は、集まったケルベロス達にそう告げた。今回、シャイターンは、多くの一般人が中にいる客船を崩壊させ、その事故で死にかけた人間を殺す事で、エインヘリアルに導こうとしているらしい。
「シャイターンが襲撃する船は予知できているが、事前に中にいる人々を避難させてしまうと、別の建物が襲撃され、被害を止められなくなる。なので、皆は建物の中に潜伏しておき、襲撃が発生した後、まずはシャイターンが選定しようとする被害者以外の避難誘導を行ったり、崩壊しそうな建物をヒールして崩壊を止めるといった対処を行ってほしい。そしてその後、シャイターンが選定対象を襲撃する場所に向かい、シャイターンを撃破するようにしてくれ」
 シャイターンの数は一体、武器はゾディアックソードを使っている。回復してくる事は無いようだ。被害者が襲われる場所は割れた甲板の下の食堂の真ん中、被害状況としては、甲板が割れているだけなので船が沈む可能性は無いようだ。しかし、その影響で船のバランスが崩れ傾く可能性は否定できないようなので、陸上への避難は必要になる。避難は船の中程にあるタラップから行うことができ、スタッフの避難誘導に任せておけば問題は無いだろう。
「シャイターンが選定しようとする一般人は、避難時に問題行動をして一人で逃げ出した所を襲撃されるらしい。この一般人が一人で逃げ出した後ならば、他の一般人を救出したり建物をヒールしても、シャイターンの襲撃は予知どおりに行われる。可能なら……誰も大怪我をしたり死亡したりしないように、事件を解決させてほしい。よろしく頼む」


参加者
夜殻・睡(氷葬・e14891)
鏑木・郁(傷だらけのヒーロー・e15512)
君乃・眸(ブリキノ心臓・e22801)
ジェミ・ニア(星喰・e23256)
レスター・ストレイン(終止符の散弾・e28723)
尾方・広喜(量産型イロハ式ヲ型・e36130)
簾森・夜江(残月・e37211)
エトヴァ・ヒンメルブラウエ(フェーラーノイズ・e39731)

■リプレイ


 静かな海に浮かぶ客船。思い思いの時間を過ごす乗客達。そんな中、海に面した手すりに凭れかかり、夜殻・睡(氷葬・e14891)が呟く。
「……一人の選定にわざわざ関係ない人まで巻き込む必要無いだろうにな」
 その少し向こう側では、尾方・広喜(量産型イロハ式ヲ型・e36130)が無邪気に笑顔ではしゃいでいる。
「おーすげえ、でっけえ船だなあっ!」
 その様子は、若干の幼さを醸し出してはいるものの、乗客以外の何者にも見えなかった。
「どうせなら仕事と関係なく乗りたかったな……」
 睡と広喜が居るより船尾で手すりを掴み、凪いだ海を見詰めるレスター・ストレイン(終止符の散弾・e28723)が、呟いたその瞬間。
 辺りに響く爆音、崩れる甲板。
「なんて……愚痴を零してる暇はない、な」
 パラパラと木材の欠片が舞い散る中、スタッフが声を張り上げる。
「皆さん落ち着いて! 落ち着いてくださいっ!」
 しかし、乗客達の混乱は増す一方だった。
「わしを逃がせ! いくらの資産があると思っている?! わしが死ぬことによってどれだけの会社が損害を被ると思っておるのだ! 退け! その救命胴衣を寄越せ!」
「お客様、困ります! そちらは危険です!」
 スタッフを振り切り、男性が甲板を歩いていく。
「ふん、そんな事を言って……わしを他の客と同じに扱おうとしおって! 付き合いで乗ってやったというのに……許さんからな! 帰ったら貴様の会社を潰してやる!」
 そういった瞬間、べきっと足元に穴が開き、男性は下の食堂へと落ちていく。
「ぎゃっ!」
 落ちてくる彼を待つシャイターン。天井が抜けると同時に、シャイターンはゾディアックソードを構える。情けない格好で落下する男性。傲慢な態度と、愚かさを兼ね備えた男性は、シャイターンの目の前に落ちてきた。
 隠密気流を使い、身を潜めていた物陰から君乃・眸(ブリキノ心臓・e22801)は目を細める。予めヘリオライダーの葵に確認したところ、彼を事前に助ける事は予知に反するという事だった。ということは、今飛び出して彼を助ける行為はその他大勢の命を危険にさらす事になる。眸は今すぐにでも飛び出していきたい気持ちをおさえ、細く静かに息を吐き出す。
「その傲慢な態度、自分だけ先に逃げようとする愚かさ、気に入った。貴様をエインヘリアルにしてやろう」
 そう告げて、シャイターンはゾディアックソードを男性の心臓へと突き刺した。
「ッチ、外れか。とんだ無駄足だ」
 シャイターンが踵を返したその瞬間、眸は飛び出す。
「そこまでだ」
「貴様……ケルベロスか」
 ゾディアックソードを構えるシャイターン。眸は鋭く目を細めるシャイターンを見詰め、呟く。
「助かりたイと願う気持ちは、ヒトとして、至極当然なことダ」
 決して褒められた言動、行動では無いとしても、眸にとっては、愛する地球人。守る対象である事は、疑う余地も無い。胸から血を流し、動かなくなった被害者男性の傷をヒールで癒しながら、眸はその身体を担ぎ上げる。
「その役立たずに用はないが……俺の邪魔をするなら、容赦はしない」
 その横を通り抜け、シャイターンへと向かっていく簾森・夜江(残月・e37211)。
「私が相手になりましょう」
 すれ違い様、向けられた夜江の瞳に、眸は頷き返す。そして、眸は被害者への治療を止めないまま、踵を返した。
「ッチィ……まだ居たのか!」
 シャイターンの星座の重力を纏った重い斬撃を夜城鎖で受けた夜江だが、力任せにゾディアックソードを振るうシャイターンの勢いに押され、吹き飛ばされる。
「俺はまだ仕事があるんでね……行かせてもらうぞ!!」
「間に合いましたネ」
 その時、男性が落ちてきた穴からエトヴァ・ヒンメルブラウエ(フェーラーノイズ・e39731)が降りてきて、華麗に着地する。
「行って下サイ」
 その言葉に眸は頷き、食堂の出口へと走り出す。
「逃がすかぁ!!」
 追いかけようと足を踏み出すシャイターンの前へ、エトヴァは身体を割り込ませ、旋風を纏った蹴りを食らわせる。体勢を崩したシャイターンへ、眸のサーヴァントであるキリノが念を籠めて飛ばした食堂の座席が当たり、シャイターンの動きが鈍る。
 その隙を見て、ウイングキャットの錫丸が夜江に清浄の翼で回復を施し、邪気を払う。
「連絡を頼みます」
 立ち上がり、夜城鎖を構え直す夜江に頷き、エトヴァは仲間達にシャイターン出現を知らせるメールを一斉送信した。


「我々はケルベロス。本船は襲撃を受けています。係員の指示に従い、落ち着いて速やかに中央タラップより避難して下さい」
 マイクに向け、ゆっくりと喋るジェミ・ニア(星喰・e23256)。窓や監視カメラから見える乗客達は、ジェミの凛とした風の効果で、礼儀正しく列を作り、避難口のタラップから順番に避難していく。
「良かった……大丈夫そうですね」
 呟き、ジェミは背後のスタッフに頭を下げる。
「ありがとうございました。ご協力、感謝します」
「いえこちらこそ、助かりました」
 マイクの前の席を立ってその場を離れようとしたところで、思い出す。
「貴方も早めに避難を」

「大丈夫か?」
 ケルベロス達は船体が崩れないようにヒールを施しながら、辺りを見回って逃げ遅れの乗客の避難を手伝っていた。広喜が手を差しのべた男の子は、倒れてきた棚に足を挟まれて、母親とはぐれてしまったらしい。因みにその倒れてきた棚だが、今は広喜が放り投げてかなり遠くに転がっている。
「お兄ちゃん、すごいね」
「だろ? だから、もう安心していいぜ」
 目を丸くする少年の足をヒールで直してから、広喜はひょいと彼を小脇に抱え、走る。
「みんな落ち着いて、ジェミのアナウンスに従って避難して……あ、広喜! こっち通れるぞ」
 ヒールで亀裂を補修しつつ、瓦礫を退けて避難誘導にあたっていた鏑木・郁(傷だらけのヒーロー・e15512)が手招きをする。
「おい、俺たち助かるのかよ?!」
「ちょっと押さないでよ!」
 その後ろから聞こえた誰かの声に、レスターが肩を竦め、声を張る。
「大丈夫だから、落ち着いて」
 声に気付いた彼らは互いに顔を見合わせ、そしてゆっくりと列に並んで歩き出す。その時、避難誘導に当たっていたケルベロス達の元へ、エトヴァからの連絡が入る。それを見て、睡は一緒に避難誘導を行っていたスタッフへと視線を向ける。
「あとは宜しく頼む」
 スタッフが頷くのを確認するや否や、ケルベロス達は駆け出した。

「退けぇっ!」
 シャイターンの放った灼熱の炎塊を受けたエトヴァは、自身のダメージを冷静に判断しつつ、気力溜めで回復をする。
「貴方は此処から先には行かせません」
 静かに言い放ち、夜江は武器の刀身に魔力を付与する。
「我が刃、雷の如く」
 光の刃は割れた硝子のように蒼々と瞬きを散らせ、シャイターンの身体の自由を奪う。
「ぐうっ……」
 呻くシャイターンを錫丸は伸ばした爪で鋭く切り裂く。そこへキリノが金縛りでダメージを加えていく。
「っ……邪魔をするなぁっ!」
 叫んだシャイターンがケルベロス達を振り切り、出入り口へと一歩踏み出した瞬間。
「待ったか?」
 食堂の入り口に顔を出した広喜が、砲撃形態に変形させたドラゴニックハンマーを向ける。
「何?!」
 咄嗟に身を捻るシャイターンだが、お構い無しに広喜は竜砲弾を撃ち込んだ。
「ぐっ!」
 竜砲弾の直撃を受けたシャイターンがぐらりと体勢を崩した瞬間、食堂へと駆け込んできた睡。腰の位置で握りしめた拳を、シャイターンの身体へと叩き込む。睡の達人の一撃により、シャイターンは吹き飛ばされ、机を薙ぎ倒しながら仰向けに倒れる。
「よ、っと。お待たせさん」
 振り向き、軽く手を上げる睡の後ろからジェミ、レスター、郁が走ってきて、状況を確認すべく左右に素早く目を走らせる。
「回復しますね」
 足止めをしていたメンバーのダメージをざっと確認し、ジェミは広範囲への回復を選択する。花びらのオーラが傷に降り注ぎ、癒しを与えていく。
「シャイターンの選定基準はヴァルキュリアと明確に違う。わかっていたけど……キミたちは勇者をなんだと思ってるんだい」
 呟きながらレスターは構えたバスターライフルの銃口から、フロストレーザーを放つ。
「ぐぅ……!」
 フロストレーザーの直撃を受けたシャイターンではあるが、ぐっと唇を引き結ぶと机と椅子を撥ね飛ばし、起き上がる。そこへドラゴニックハンマーを構えた郁が駆けた。
「お前みたいなやり方は……絶対に、許さない!」
 ドラゴニック・パワーにより加速したハンマーは、咄嗟に構えたゾディアックソードごとシャイターンを叩き潰す。
「くそぉっ!」
 シャイターンは目を見開き、ゾディアックソードを地面に突き刺して体勢を立て直すと、右手を大きく横に振るう。その手を追いかけるように空に広がるのは幻覚作用をもたらす砂。シャイターンの姿を覆い隠すように巻き起こる砂の嵐は、シャイターンの近くに位置していたケルベロス達を襲う。
「っ……」
 ぐらりと傾く夜江の身体。その手に持つ刃は、自身に向けられる。
「夜江さん!」
 ジェミは夜江に回復を施そうとその名を呼ぶ。
「させるかっ!」
 そう叫ぶシャイターンの横っ面に、理力を籠めた星形のオーラを纏う郁の蹴りが入った。
「ぐふぉっ」
「ジェミ! 今の内に回復を!」
 顔を歪ませるシャイターンを他所にジェミの方向へ顔を向ける郁に、ジェミは頷き、夜江に溜めたオーラを放ち、回復を施す。
「……あ、私……何を……?」
 目を瞬く夜江に小さく息を吐くジェミ。他に催眠に陥った仲間はいないようだが、ダメージは前衛の仲間全員に及ぶ。
 視線を巡らせ、そういった現状を把握したエトヴァは、透き通る繊細な声で、歌う。異国の言葉で紡がれる詩は、郷愁を掻き立てるようなメロディに乗り、仲間達の傷を癒していく。
「うおおぉっ!!」
 しかし、それを良しとするシャイターンでも無く。叫びながら、ゾディアックソードを振りかぶるシャイターンは、傷が癒されていくケルベロス達へ向かい、走る。
「そうはさせない」
 呟く睡は、真白に染まる鎧通しを下段に構え、駆ける。そして、すれ違い様、睡は斜め上へ向け、鎧通しを振るう。
「此の華は香らず。只、白く舞い散るのみ」
 逆袈裟に斬りつけられたシャイターンは、刃に込められた冷気と雪片で身体を凍て付かせる。
「くそっ」
「この涙は罪を穿つ、地に堕つ蝶を断つ!」
 ぐらりとよろめくシャイターンへ、致死の呪いを宿された弾丸を撃ち込む。
「ぐ、くぁっ……な、何だ?!」
 シャイターンが見るのは群舞する蝶の幻。弾丸により穿たれた身体からは、破裂した肉が飛び散り、血液が滴り落ち、シャイターンは膝をつく。
「……このっ、俺をおぉっ!!」
 目を見開いて叫び、シャイターンはゾディアックソードを支えにし、立ち上がる。その瞳は憎悪に歪み、口角からは赤い筋が流れ落ちた。
「ふざけるなよっ!!」
 憎悪と執念でゾディアックソードを構えるシャイターンに向かい、広喜は走る。自棄を起こした相手だ。シャイターンは己が身を省みること無く、ただ一矢報いる事だけを考えている筈。下手をすれば痛み分け、しかし自分には頼りになる仲間がいる。
「任せたぜ!」
 そう声を掛け、広喜はシャイターンに向き直り、全身の回路に青い地獄の炎を充填させ、演算速度を向上させる。シャイターンも同じように、攻撃を放つ寸前のようだ。とはいえ、ダメージは覚悟の上だ。広喜が拳を握りしめた、その時。
「遅くなッテ悪かった」
 後ろから掛けられた声は、眸のもの。男性を安全な所まで移動させるという作業に思いの外時間を取られた眸だったが、遅れを取り戻すようにTOWER_OF_HANOIを手に、シャイターンに肉薄する。
「なっ……?!」
 予期せぬ展開にシャイターンが狼狽えた僅かな隙に、眸はシャイターンのゾディアックソードを絡めとる。
「広喜、今ダ。行け」
 頷き、広喜は拳を振りかぶる。
「解析完了、ぶち壊す」
 広喜の拳は、シャイターンの胸を穿つ。
「ぁ……」
 シャイターンはその一撃を諸に受け吹き飛び、瓦礫に埋もれ、力無く倒れ伏す。ぱらぱらと埃が舞い散る中、最後まで握りしめていたゾディアックソードが、シャイターンの手から溢れ落ちた。


「ヒールはこの辺で十分でしょう」
 殆んど元通りになった船の甲板に立ち、夜江は頷く。
「取り敢えず被害者はスタッフに任せたが……」
 去っていく救急車のテールランプを見つめ、眸は呟いた。傷は治っても、死した者を甦らせる事は出来ない。
「やれるだけの事はやったと思うぜ」
 眸の肩に手を置く広喜。被害者を助けに入るタイミングは、どうしてもあれでなければならなかった。あれより早くなれば、予知から外れてしまう。そうなれば、シャイターンを倒すことは出来なかった。
「他の乗客に被害は出なかったしな」
 睡の声に、郁は僅かに目を細め、救急車の消えていった先に視線を向ける。そこに何も答えは無いし、その後の未来が解るわけでも、そして過去と未来が変わる訳ではない。解ってはいるが、それでもやりきれない思いがあるのだ。
 被害者の身勝手な行動が招いた結果とはいえ、その報いは大きかった。それでも、やはり、生きていて欲しいと思うし、助かって欲しいと思う。
 ジェミは一先ず胸の奥の悔恨は置いておく事にして、大切な家族に歩み寄る。
「エトヴァ、お疲れ様」
「…………ジェミも、お疲れ様デス」
 答えるエトヴァの細めた瞳は、きらきらと陽光を反射して輝く海と、少し寂しそうに微笑むジェミを映していた。
 そんな仲間達を見守っていたレスターは、小さく息を吐く、視線を海へと向ける。そこにあるのは、静かに波打つ青い、そして広い海。
「海って広いんだな。青い海に血は似合わない。同じ赤なら夕焼けのほうがずっと綺麗だ……皆もそう思わないかい」
 そう語り掛けるレスターに、ケルベロス達は一瞬目を瞬いて、それから小さく頷いた。

作者:あかつき 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2018年1月25日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 3/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 5
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