自然に還るクリスマスローズ……?

作者:なちゅい

●人は自然に還ろう計画
 クリスマスローズとも呼ばれるヘレボルスの花。
 多くの品種はクリスマスという名にも関わらず、原種は春にその花を咲かせることが多いが、園芸種だと冬場でも花を咲かせ、時期的に寂しくなりがちな冬の花壇を彩る。
「今日も綺麗に咲いてるね」
 家事を一段落させた主婦、鹿内・美雪はにっこりと微笑み、花壇にじょうろで水をかけていく。
 彼女は幼い子供の世話をする一方、庭先に植えた植物の世話をするのも趣味として楽しみにしていた。
 子供を保育園に迎えにいくまでの時間、彼女はのんびりと花を見つめて過ごすのだが……。
 いつの間にか、彼女の背後に大きな2枚の蓮の葉のような羽根を離した少女が姿を現し、花壇に謎の花粉を振りかけていく。
 キシャアアァァァッ……。
 瞬く間に巨大、異形化するクリスマスローズ。そいつはすぐに攻性植物となり果て、庭にいた美雪を襲う。
「きゃああっ!」
 異変に気づいてこの場から離れようとした美雪だったが、すぐに攻性植物に捕らわれてしまい、苗床のようにされてしまう。
「どう、苦しい? でも、お前達人間はこれ以上の苦しみを植物に与えてきたんだよ。だから、自業自得さ」
 トゲのある言い方で告げた攻性植物の少女……鬼蓮の水ちゃんはその様子を鼻で笑い、この場から消えて行ったのだった。

 街はクリスマスムードに染まりつつある。
 華やかな装飾やイルミネーションの街を通ってきたケルベロス達は、攻性植物の事件を聞きつけてヘリポートへと向かう。
「クリスマスローズに攻性植物が宿ると聞きましたわ」
 フィリア・ドラグニール(深艶蒼の桜御前・e34043)がそんな話を持ちかけると、リーゼリット・クローナ(ほんわかヘリオライダー・en0039)が首を縦に振った。
「そうだね。話を聞いてもらってもいいかな」
 ケルベロスの反応を受け、彼女は早速説明を始める。
 岐阜県の住宅地のとある一軒屋の庭先に現われた人型の攻性植物が謎の胞子を振り撒き、クリスマスローズを攻性植物化させてしまうのだという。
 攻性植物となったクリスマスローズは庭先で植物の世話をしていた女性を襲い、宿主にしてしまうようだ。
「取り急ぎ現場に向かうから、皆にはこの攻性植物の討伐を願いたいんだ」
 攻性植物は1体のみで現われ、配下などはいない。
 巨大化したクリスマスローズが女性の頭上から花を咲かせ、その足元からは根を生やしたような姿をしている。
 そいつは人間などを見つけると、3つの形態を使い分けてクラッシャーとして襲いかかる。
 光花、蔓触手といったよく見る形態の他、根を広げて相手を毒に侵す毒根形態というものもあるらしい。
「取り込まれた人は攻性植物と一体化していて、普通に攻性植物を倒すと一緒に死んでしまうよ」
 助けるには、相手にヒールをかけながら粘り強く戦い、攻性植物を攻撃していく必要がある。そうすることで、戦いの後に取り込まれた女性を救出できる可能性が生まれるのだ。
 現場は、岐阜県のとある住宅地にある一軒家。たくさんの花壇がある中での戦いとなるので、住人のことを思えば、戦闘後はヒールなどの対処も行いたいところだ。
「人型攻性植物の姿は、現場にはもうないみたいだよ」
 こちらも気になるが、今は、攻性植物の撃破を優先したい。寄生された女性が救出できれば、言うことはないが、皆で力を併せねば難しいだろう。
「それでは行こう。今回はよろしく頼むよ」
 そう話を締めくくったリーゼリットは、自身のヘリオンに乗るようケルベロス達へと手を差し伸べたのだった。


参加者
赤星・緋色(小学生ご当地ヒーロー・e03584)
源・瑠璃(月光の貴公子・e05524)
ヒマラヤン・サイアミーゼス(カオスウィザード・e16046)
フレア・ガンスレイブ(ガラクタ・e20512)
アデレード・ヴェルンシュタイン(愛と正義の告死天使・e24828)
櫂・叔牙(鋼翼朧牙・e25222)
レヴィア・リヴァイア(海星の守護龍・e30000)
速水・紅牙(ロンリードッグ・e34113)

■リプレイ

●植物を愛する女性に
 岐阜県某所。
 この地に現われた攻性植物対処の為、ケルベロス達は現場へと急ぐ。
「こーいうのは準備が肝要なんだぞっ! 多分な!?」
 寒くても元気な速水・紅牙(ロンリードッグ・e34113)は今日もハイテンション。
 彼女はここまでの間に周辺の地図をネット、航空写真を使って調査しており、仲間と情報共有していた。
「攻性植物の人はもうすぐクリスマスだし、クリスマスローズを選んだのかな」
 今回の状況について、赤星・緋色(小学生ご当地ヒーロー・e03584)そんな憶測を立てると、アデレード・ヴェルンシュタイン(愛と正義の告死天使・e24828)は「ぬぅ」と難色を示す。
「クリスマスローズにせよ、野菜にせよ、スイーツにせよ、人の営みに植物は欠かせぬ……。そこにつけいるとはなんたる邪悪よ」
 アデレードがそうして、眉を顰めていた。
「人型攻性植物が言ってることは、無茶苦茶です……!」
 そばにいたフレア・ガンスレイブ(ガラクタ・e20512)などは、「人に限らず、虫や草食動物など、憎むべき相手はたくさんいるでしょうに」と怒りを露わにしていて。
「植物の苦しみを思い知らせたいのなら、植物を痛めつける人を狙うべきでしょう。なんで愛情込めて育てていた人を狙うんですか」
 なんでも、「お父さんも『植物が一番自然を侵していると思うぞ』なんて言ってましたよ」だとか。他の星々からしたら、草木が有るのが不自然なのだそうだ。
「むしろ、鬼蓮の水ちゃんの方から愛を感じません!」
「人に害為せば、妾等が黙って居ない事など分かっているだろうに」
 憤慨する彼女の話を耳にしていたレヴィア・リヴァイア(海星の守護龍・e30000)は、今回の相手に呆れを覚えて。
「ともすれば、植物を間接的に苦しめているのも同じ。所詮は一方的で手前勝手な独善者、いや、侵略者よ」
 結局、デウスエクス。地球のことなど考えていないということか。
「そんなことより、取り込まれちゃった人は助けにいかないとね!」
 被害者宅が見えてきたこともあり、緋色は話を切り替えて仲間達に呼びかける。
(「今回の被害者は母親……か」)
 源・瑠璃(月光の貴公子・e05524)は、亡くした実母のことを思い出す。
 自身を引き取ってくれた今の家族には恩義を感じてはいるが、それでも実母のことは忘れることができない。
「自分のような不幸な子供を増やすわけにはいかない」
 被害者女性の子供の為にも、瑠璃は女性の救出を強く誓うのである。

 被害者宅の敷地を前にし、メンバー達は各自散開する。
「こちら……ケルベロスです。デウスエクスが、現れました。皆さん、落ち着いて……指示に、従って下さい!」
 櫂・叔牙(鋼翼朧牙・e25222)は先程紅牙より教えてもらった情報を元に、近隣住人へと呼びかけ、ケルベロスカードを提示しつつ目をつけていた安全な空き地へと誘導していく。
 瑠璃もまた、住民達へと逆方向にいる住民に説明を行い、こちらもサラ地となった区画へと避難させていたようだ。
 そして、2人以外のメンバーは被害者宅に突入する。
「そこまでじゃ、邪悪な植物よ!」
 飛行して近辺に人がいないことを確認したアデレードが降下し、仲間達の前に着地して呼びかけた。
「そなたらの邪悪な企みも、わらわ達に目をつけられたが最後。大人しく邦に帰ってもらうぞ!」
 庭に現われたクリスマスローズの攻性植物。そいつはこの家の住民、鹿内・美雪を苗床にし、我が物顔で暴れて獲物を求めている。
 まずは、そいつがこの庭から出ないように、緋色、フレアは仲間と共に包囲する。
「長期戦になりそうですからね……」
 白く長い髪を持つヒマラヤン・サイアミーゼス(カオスウィザード・e16046)は作戦を思い出す。
 攻撃しつつ回復を繰り返し、最終的には攻性植物の体力を削り倒して宿主の女性を救助する。
 とにかく、攻性植物と女性の状態を常に確認し、適切な対応を取らねばならないとヒマラヤンは考えていた。この辺りは、いかに仲間内で連携が取れるかといったところだろう。
「綺麗な花壇なのに。こんなにも丁寧に育ててあるのに」
 戦いを前に、紅牙が庭を見回す。
 自分達が大切に思う気持ちも、植物にとってはありがた迷惑なのだろうか。
(「被害者の前では絶対に、口には出せんしなっ!」)
 そんなしんみりした考えを胸に秘め、紅牙は胸を張って攻性植物と対する。
 倒すべき敵を前に、レヴィアも正直複雑な心境だ。
 海を愛し、海が育むすべての命を愛する彼女にとって、地球も、地球に住む人々も愛すべき対象。
 もちろん、それは攻性植物とされたクリスマスローズ……ヘレボルスとて同じ。
「……申し訳アリマセンが、今は草花より人命優先デス。刈らせて頂きマス」
 苦渋の決断をした上で、レヴィアは異形と成り果てた攻性植物に対することにしたのだった。

●子持ちで植物好きな女性の救出を
 民家の軒先で蠢くヘレボルスの攻性植物。
 ヒマラヤンはこれからの戦いに備え、九尾扇を回せて自らのジャミング能力を高める。これによって、彼女は取り込まれた女性の体力回復に当たり始める。
 この場で唯一のサーヴァント、黒い毛並みのウイングキャットのヴィーもヒマラヤンの意に応え、まずは敵の動きを抑えようと尻尾のリングを飛ばす。
 それは攻性植物の根元に絡みつき、相手の攻撃を阻害してくれていた。
 だが、ヘレボルスの攻性植物は狂ったように動き出し、自由になる根を蔓触手のようにしてケルベロスへと振るってくる。
 そこに、フレアが身を滑り込ませ、根を受け止めた。
 避難誘導完了の知らせが来ていないこともあり、彼女は周囲を確認しながらヒールドローンを展開し、次なる相手の攻撃に備えていく。
 ただ、ケルベロスの盾は1枚ではない。
(「捕らわれの女性を救出せんとのぅ」)
 身構えるアデレードは光の盾を展開させ、すぐさま仲間の傷を癒しつつ、守りを固める。
 緋色も仲間の回復に当たるが、この場は攻性植物を抑えようと、流星の蹴りを叩き込んでいた。
 紅牙もまた仲間の回復に、全力を尽くそうと考える。
 ただ、現状は仲間がほぼ万全な状態となったことを受け、彼女は前線メンバーの手前に紙兵を撒きつつ、相手の異常攻撃に対する対策へと動いていた。
「回復は任せろー!」
 元気に叫ぶ紅牙を背に、レヴィアも攻性植物の侵攻を食い止めるように躍りかかる。目に入るは、画面が蒼白になった女性の姿だ。
「必ず、救い出しマス」
 地球に住む者に対して愛情を注ぐ彼女は、高まる緊張によって片言で相手に呼びかけつつ、竜となった爪でその根を薙ぎ払っていく。
「…………っ」
 寒芍薬を手折る事に、レヴィアは酷い罪悪感を覚えてしまう。
 その分、この状況を作った人型攻性植物……鬼蓮の水ちゃんへの怒りはすざましい。
「お待たせ。避難終わったよ」
 避難を終え、翼飛行で駆けつけた瑠璃。
 仲間達はある程度防衛の手段を講じていたようだったが、瑠璃もまた雷の壁を構築して相手の根による縛りつけや毒に備える。
「僕は生みのお母さんを亡くしてる。美雪さんは子供さんがいる」
 瑠璃もまた、女性を救い出そうという気概はひとしおだ。
「僕のようにお母さんを亡くした不幸な子供を増やしたくない。絶対助ける!!」
 彼は攻撃に出る仲間達を目にし、攻性植物へと回復に専念。場合によっては、瑠璃も攻撃にと動くようである。
 最後に戻ってきたのは、叔牙だ。急いで戦線に復帰した彼はクールさを崩すことなく、翼のような放出フィンを展開する。
 その上で、叔牙は早速攻撃に乗り出し、螺旋の拳を叩きこんでいく。
 伸ばす根を抉られた攻性植物は威圧されながらも、今度は女性の頭上に咲かせた花を光り輝かせ、ケルベロスへと光線を発してきたのだった。

 ケルベロス達は女性の救出に重点を置き、戦いを繰り広げることとなる。
 ヌンチャク型の如意棒を振るう叔牙は伸びてくる敵の根を捌きながら、攻性植物に痛打を与えていく。
「はーい、痛くしないので、逃げちゃ駄目なのですよ~?」
 攻性植物の傷が深まれば、ヒマラヤンは大きな注射器をグラビティによって作成し、その中の液体を寄生された女性へと注入していく。
 ヒマラヤンの注射は女性の体力を回復させると同時に、攻性植物を活性化させてしまう。女性の足元から生やす毒の根を大きく広げ、周囲を切り裂いてくる。
「倒さないよう気をつけませんと」
 それにはたかれて毒が体内に流し込まれるのを感じながらも、レヴィアは攻性植物に攻撃を繰り出す。なお、すでに仲間達が張り巡らす状態異常対策がしっかりしており、毒に侵されることはなかったようだ。
 単体攻撃をメインで繰り出すレヴィアだったが、時に広範囲でのグラビティで威力を抑えた攻撃を行う。
「深海より御出でませ。渦巻く者、海に波を齎す海竜よ、其の身の廻渦を以って仇為す者共を打ち据え給え」
 レヴィアが呼び出したのは、深海水でできた巨大な海竜だ。
 渦巻くようにこの庭を泳ぐ海竜。その身から発する水と衝撃。2つの波が攻性植物へと浴びせかかっていく。
 それを見ていた紅牙。ヒールグラビティしか装備していない状況の彼女だが、攻性植物へのヒールは基本考えていない様子。
「皆が攻性植物に積んだ異常をキュアしちまうからね」
 それもあって、紅牙は仲間の毒を癒すべく動く。
 ある程度は仲間達が状態異常対策を行っていたこともあり、紅牙は鎖で魔法陣を描くなど、比較的優先順位の低い回復行動でもたせることができていた。
 あとは、いかに攻性植物の体力を削っていくか。
 仲間を庇って敵の光線や根に耐えるアデレードは、惨殺ナイフで敵の根を切り払い、溢れる樹液を浴びて自身の傷を回復させながら攻撃を繰り返す。
(「長期戦は必至。盾役である私が気張らなきゃいけません」)
 フレアも己の身を切り裂いてくる毒の根に耐えつつ、仲間が与えた傷によって女性の体力がなくなるのを懸念する。
「起動行程全省略、今すぐに癒しなさい!」
 飛んでいくのは、ヒールドローン。ただ、それらは彼女が「絶対に救いたい」という切望を込めた特別製だ。
(「私は救いたい、美雪さんもきっと救われたい。ヘレボルスは……美雪さんを救いたいと願ってくれるでしょうか」)
 どうやら、フレアの考えはプラスに働いたようだ。生きたいという気持ちと共鳴し、その傷を大きく癒していく。
 それがどういう意味なのかは分からない。ただ、それはヘレボレスが美雪を救出させたいと思っているのではないか。フレアはそう願って止まないのである。

 戦いは長期化していたが、ケルベロス達は少しずつ攻性植物を追い込む。
「もうすぐ助けるから! 子供も待ってるんだし、絶対諦めないでね」
 息つく緋色が女性に呼びかけながら、小江戸とも呼ばれる地で抽出したグラビティ・チェインを拳に込めて。
「ひっさーつ!」
 一気に、彼女はそれを叩きつけて行く。
 その時だ。女性の体から攻性植物の体が剥がれかけていたのは。
 ヒールはもう不要と判断した瑠璃も暁響双龍【雷電召杖】を握り、雷を撃ち出す。
 その身に電撃を走らせて痺れる攻性植物。ぐったりとうな垂れたそいつに、叔牙がかけよる。
「その女性は……返して、頂きます……!」
 彼の背中、そして、両肩に腕から光学攻撃用励起体が現われて。
「敵機動解析・照準多重捕捉(マルチロック)。光条嵐舞……撃ち貫く!」
 叔牙は誘導レーザーを次々に発射していく。発せられる光条は、攻性植物が女性と同化した部分を執拗に狙って降り注ぐ。
 茎や根を射抜かれ苦しみ悶える攻性植物はグラビティ・チェインがなくなり、ついに枯れ果ててしまう。
 しかし、攻性植物の支配から逃れた女性はぶじではあったが、ぐったりと倒れこむ。
 そこに叔牙が飛びこみ、女性を支えていたのだった。

●萎れた植物に力を
 戦場となった庭で……。
 ケルベロス達は、代わる代わる被害者女性の鹿内・美雪を介抱していた。
「ん……」
 フレアが施術を行っていると、美雪はゆっくり目を覚ます。
「お母さんは、笑顔でいなきゃ」
 低体温症になっていないかなど、ケアを行っていた瑠璃はホッと一息ついていた。そばにいたアデレードは、地獄となった右目を細める。
 しかし、荒れた庭を見た美雪の表情が陰っていく。丹精込めて育てた植物の中にはボロボロになっていたものもあったのだ。
「花は散るモノ、命は土と海に還るモノ」
 そこで、レヴィアが美雪に声をかける。
「……とは言エ、愛情込めて育てた花が此の様な形で台無しになって仕舞うトハ……。謝罪させて下サイ」
「いえ……」
 丁寧に頭を下げるレヴィアに、美雪も申し訳なさそうにしていた。
 まさか植物に襲われるとは思っていなかったか、美雪は戸惑いも見せていたようである。
「悪いのはこの子たちを変異させたデウスエクスなので、この子たちに罪は無いのですよ」
 そこで、ヒマラヤンが優しく彼女を諭す。
 これがトラウマとなって、植物の世話をやめてしまう、そんなことにならないようにとヒマラヤンは考えていたのだ。
「僕は、園芸の事は。分かりませんが……。どんな命でも。大切に、育てられて……嬉しくない筈は無いと、思います。
 叔牙も一緒になって、フォローする。すると、美雪は小さく笑って。
「気遣いありがとう。大丈夫よ」
 そんな美雪の為、ケルベロス達は荒れた庭を修復することとなる。
「ガラクタの海にある十字架は 罪を持たず消えた命らしい……♪」
 緋色は美雪も気にかけつつ、できる範囲でヒールしようと歌声を響かせ出した。
 美雪の指示を元に、メンバーは花壇の修復に当たっていく。
 アデレードが1本1本丁寧に、グラビティによる施術を行う。
 紅牙は美雪と話すとボロが出そうだと考え、直接話すのは控えていた様子。
「パーフェクトに直してやんよ!」
 その分、紅牙は花壇を重点的に全力で気力、紙兵、全力シャウトとヒーリングしていく。戦いで煽られた庭の植物も元気を取り戻していた様子だ。
 ところで、花壇には萎れかけのヘレボルスがある。フレアはそれに近づいて。
(「美雪さんの願いに……応えたいです……!」)
 絶対に救いたい。そんな願いを込め、フレアはドローンを展開して集中治療を施す。
 光輝くヘレボルス……クリスマスローズは再び花を咲かせる。それに、美雪の表情が綻んで。
「良かった……」
 彼女の笑顔に、フレアは照れながら目じりを下げていたのだった。

作者:なちゅい 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年12月24日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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