かき氷に埋もれて眠れ

作者:なちゅい

●吹きつけてくるカキ氷
 まだまだ暑い季節。
 涼を取る為に様々な手段があるが、その一つとしてかき氷を食べる者もいるのではないだろうか。
 店で売られるものもよいが、家庭で手軽に作ることができるかき氷機もある。こちらはお手軽で、自分好みにテイストすることも出来るし、自分が満足するだけ食べる事もできるのだ。

 岡山県の山中にある廃棄物処理場。
 そこには様々な家電が転がっているが、中にはかき氷機も転がっていた。
 家電を渡り歩くように、小さな物体が歩く。それは、握りこぶし程の大きさのコギトエルゴスムに、機械で出来た蜘蛛の脚のようなものが生えている。
 複数の脚を器用に動かすそれが壊れたかき氷機内部へと入り込むと……機体全体が輝き始める。
 壊れた箇所も塞がり、かき氷機は巨大化していく。手足が生え、頭を出し、全長3メートルほどのロボットのような見た目へと変形した。
「カキゴオオオオオオオリイイイィィィ!!」
 上部に付いた頭が大声で叫ぶ。大型ダモクレスと化したかき氷機は腹部から、かき氷状の吹雪を吐き出すと、廃棄家電が次々に凍り付かせていく。
 そのままそいつは腕をドリルのように回転させ、処理場の壁を破壊した。土埃が舞う中、ダモクレスはグラビティ・チェインを求めて、山を降りていくのだった。

 とある暑い日。
 ケルベロス達は暑い中でヘリポートへとやってくると、そこではリーゼリット・クローナ(シャドウエルフのヘリオライダー・en0039)がいちご味のかき氷を食べつつ、ケルベロスの来訪を待っていた。
「皆、ようこそ。今日も暑いね……」
「かき氷を噴き出す、ダモクレスがいる……そうだネ」
 レティシア・シェムナイル(みどりのゆめ・e07779)がそう話を持ちかけると、リーゼリットは頷き、依頼について説明を始める。
 岡山県の山中にあるゴミ処理場において、廃棄された家電製品の一つがダモクレスになってしまう事件が発生してしまうという。
「幸いまだ被害は出ていないけれど、ダモクレスを放置すれば、多くの人々が虐殺されてグラビティ・チェインを奪われてしまうよ」
 その前に現場に向かって、ダモクレスを撃破して欲しいとリーゼリットは話す。
 このダモクレスは全長3メートルほどあり、胴体を家庭用のかき氷機をベースとして頭と手足が生えたロボットのような姿をしている。
「メインの攻撃は腹部から噴き出すかき氷状の吹雪と、両肩の砲口から発射するシロップだね。あと、レプリカントと同じように、ドリルとなった腕での攻撃もしてくるよ」
 余談だが、シロップは相手の要望に応え、様々な味を選択して噴射できるらしい。
 現場は、岡山県の山道だ。昼間にダモクレスとなったかき氷機はゴミ処理場の壁を破壊して外へと出てしまい、人里を求めて山道を降りようとしている。
「住宅地まで降りてしまうと被害が避けられなくなってしまうから、その前にこのダモクレスを止めねばならないよ」
 できるだけ、ダモクレスが山道にいる間に抑え、討伐してしまいたい。
 リーゼリットは説明の間に、頭をキーンとさせながらもかき氷を食べ終えていた。
「ごめんね、かき氷を食べる時間が欲しいところだけれど、タイミング的にすぐ出発したいんだ」
 だからこそ、敵を手早く倒し、皆でのんびりとかき氷を食べるのもよいだろう。ダモクレスを倒した後であれば、シロップを選んだり、何杯も食べたりできる。
「さあ、行こう。皆はどんなかき氷が好みなのかな?」
 そんな話をケルベロス達に振った彼女は、ニコニコと笑いながら操縦席へと向かっていったのだった。


参加者
パティ・パンプキン(ハロウィンの魔女っ娘・e00506)
松葉瀬・丈志(紅塵の疾風・e01374)
比良坂・黄泉(静かなる狂気・e03024)
エフイー・ヨハン(虚空の彼方をも狙い撃つ機人・e08148)
クローディア・ワイトマリア(ムネノコドウ・e19278)
鍔鳴・奏(あさきゆめみし・e25076)
ダスティ・ルゥ(名乗れる二つ名が無い・e33661)
空野・灯(キュアリンカーネイト・e38457)

■リプレイ

●冷たくもむさくるしいダモクレス
 ヘリオンに乗って現場の到着を待つケルベロス達。
 空調が効いている中、彼らは歓談して過ごしていた。
「さーて、次は巨大ロボかー」
「きょ、巨大ロボだあ~~!?」
 もふもふぬいぐるみを手元に置いて寛ぐ鍔鳴・奏(あさきゆめみし・e25076)の言葉に、金髪ツインテールにピンクの可愛い衣装という変身ヒロインの姿をした、空野・灯(キュアリンカーネイト・e38457)が驚愕して。
「巨大かき氷は食べてみたいけど、この星の命を奪うなんてダメだよ!」
「3mもあるかき氷機ってヤバイな……」
 話を聞いていたTシャツ姿のエフイー・ヨハン(虚空の彼方をも狙い撃つ機人・e08148)も、巨大化する相手に多少の驚きを見せていた。
「廃棄物処理場って、こういうダモクレスの大量生産地帯よね……」
 一見クールにも見える白髪のクローディア・ワイトマリア(ムネノコドウ・e19278)。そのうち、全部合体して、もっと大きなロボに進化するのではと、マイペースな発言をしていた。
「早く倒せば、カキ氷が食べれるのだな♪ それだけでやる気満々なのだ♪」
 魔女服にとんがり帽子の被ったパティ・パンプキン(ハロウィンの魔女っ娘・e00506)はお菓子が大好き。氷菓子も大好きらしい彼女は、この依頼に意気込みを見せている。
「しかし、かき氷を全身で味わうとか嫌だなぁ」
 口にしながら想像する奏。ただ、その顔はどう見ても嫌がっているようには見えない。
「とりあえず、被害が広がる前にココイらで退治しておかなきゃあな!」
 このダモクレスの話を持ちかけてくれたのは、シャドウエルフの少女だった。その代役を果たそうと、エフイーは気合を入れる。
「手早く片付けようぜ、うん」
 やや物思いに耽っていた松葉瀬・丈志(紅塵の疾風・e01374)も我に戻り、仲間に合わせて頷いたのだった。

 現場、岡山県の山中。
 冷房の効いたヘリオンから一転、ケルベロス達は早くも強い日差しと熱気に汗を流し始める。
「連日、暑い日が続くな」
 山道へと着地した丈志は、暑い中でもクールに呟く。
 比良坂・黄泉(静かなる狂気・e03024)などはいつの間にか、用意していたアイスを食べつつ身体を冷ましている。
 そのそばで、アンニュイな表情を浮かべるダスティ・ルゥ(名乗れる二つ名が無い・e33661)。
 ヘリオンから降下中までダモクレスを探していたが見つけられず、彼はきょろきょろと周囲を見回して早期の発見に努めていた。
「あそこで何か動いた気がするのだ?」
 その時、パティは前方の上り坂の右側を指差す。
「カキゴオオオオオオオリイイイィィィ!!」
 そこから現われたのは、全身が無骨なロボットとなり果てたかき氷機の姿だった。
「こんな暑い中、涼しさを提供するはずのお前が何とも暑苦しい姿に……」
 丈志はそれを確認し、小さく首を振って嘆息してしまう。
 全長3mものダモクレスと成り果てた家庭用かき氷機。そいつを取り囲むようにして、ケルベロス達は動く。
 正面には、パティが身体を大の字にしているボクスドラゴンと共に立っている。
「命導く篝火……キュアリンカーネイト!」
 隣の灯が敵を見上げ、名乗りを上げた。
「巨大かき氷機。これを使えば、大人数のかき氷もあっと言う間に作れるだろうね」
 敵の姿を眺める黄泉は殺界を展開して、一般人の接近を防ぎながら呟く。
「……まぁ、敵だから破壊するけど」
 それに、灯は大きく頷き、声を荒げる。
「もう犠牲者は出さない! 皆の街だって壊させない! 何があっても山を降りる前に倒すよ!」
「こちらは暑さで溶けそうだというのに……。この炎天下だ、さっさと終わらせるぜ」
 熱くなる仲間はいいとしても、暑苦しい見た目の敵に、シェリフスタイルの丈志はブラックスライムを纏わせた腕を突き出す。
 奏は改めて、仲良しのクロちゃんことクローディアとの依頼に力を入れる。
「……やるぞ!!」
「ええ」
 そのクローディアが後方で頷く。後方にいた彼女は、己の力に自信を持ってはいない。……それでも。
(「かなくんがいてくれるから、きっと大丈夫」)
 奏の存在を強く感じる彼女は、仲間と共に戦闘態勢に入るのである。

●吹雪のちシロップ、時々ドリル
 グラビティ・チェインを求めて歩くダモクレスは、囲まれたケルベロスを餌と認識して襲い掛かってくる。
 エフイーは敵の攻撃に備えて自分達の背後にカラフルな爆発を起こし、ウェーブヘアを揺らしながら士気を高めていく。
「おい、木偶の棒、こっちだぜ!」
「カキゴオオオオリィィ!!」
 同時に、ダモクレスを挑発していたエフイー。その声を聞いたからなのか、敵は両肩の砲口からシロップを噴射してくる。
 右はグレープ、左はブルーハワイ。2色の蜜が乱れ飛び、前衛メンバーへと浴びせかけられた。
 待ってましたと、口を開く奏はさておき。
 飛んで来る青いシロップを受け、ダスティは息苦しくなったのかスカーフ型のフェイスガードを慌てて外す。
「ま、マジでシロップだ……」
 少し舐めたダスティは、口の中にブルーハワイ濃密な甘さを感じる。
「シロップを口から発射しないのが良心……なのかなぁ」
 呆けかけた彼はまんまと攻撃の手を緩まされていることに気づき、オウガメタルを纏わせた拳で攻撃を仕掛けていく。
「パティはマンゴーシロップが欲しい!!」
 飛んで来るシロップを見て、パティはダモクレスへと要望を出す。
 ただ、敵の討伐を優先させていた彼女は、自身を中心にしながらも簒奪者の鎌を大きく振り回し、ダモクレスの装甲を傷つけていった。
 そのパティのボクスドラゴン、ジャックは前線にいた。同じく、前線で身を張るオルトロスのデザイアが加える刃を浴びせた直後、ジャックは封印箱に入って強く体当たりを繰り出す。
 さらに、ケルベロス達がダモクレスを抑える。
 敵の間合いを計りつつ、その頭上にまで飛び上がった黄泉が流星の蹴りをダモクレスへと見舞う。
「そんな危ない刃物持ったまま、この道を通すことは出来ないな」
 捕食モードとしたブラックスライムをけしかけ、丈志が敵の体を捕縛しようとする。
 今回はグラビティとして使う様子はないが、元がかき氷機のダモクレスはその体の中心に氷を切り裂く鋭い刃を持つ。
 また、敵の両腕は鋭いドリル状になっている。間違いなく、敵はそれを使って人々の命を奪うことだろう。
 そして、今はそれをこちらに向けてくるはず。その手を抑えるべく、シロップにまみれた奏は敵の頭上に出現させた黒太陽から黒光を照射していく。
 次なる攻撃が来る前に、クローディアもカラフルな爆発を前衛メンバーへと重ねる。
「山を降りないよう抑えないとね!」
 街を守る為、立ち振る舞う灯。速攻勝負を仕掛けたい彼女だが、生憎とそれ用の技が用意できなかった。
 敵が繰り出すドリルアームや、吹雪は怖い。それでも、灯は防御を捨てて前のめりに飛び出す。
「だから、いつものわたしらしく! 全力で攻撃するよ!」
 両手をぐるぐると回す灯は勢いをつけ、極大化された想いの力を具現化する。
「ラブリルブレス! リンカーネイト!」
 それは、ピンク色をした二つの巨大拳型エネルギー、自力飛翔誘導拳「バズーカ」だ。
「ダブルコブシッ! バズゥゥーカァーーッ!!!」
 灯の放つ拳はホーミングしながら飛び、ダモクレスの体へと炸裂させる。
 しかし、多少攻撃を受ける程度では、ダモクレスも歩みを止めない。ケルベロスからグラビティ・チェインを回収しようと、そいつは両手のドリルを振るってきた。
 敵の攻撃をを、後方メンバーに通さないように。ダモクレスに対して万全の対策を練ってきたエフイーはデザイアと身を張り、突き出されるドリルを受け止める。
 さらに、猛烈な吹雪がケルベロスへと吹きつけられて。
「おいおい……、こんな所で倒れてるわけにはいかねェぞ! ……システム起動ッ!」
 レプリカントのエフイーは軌道兵器のシリーズとして自身に搭載されたヒーリングフィールドを展開し、自身と近場の仲間を回復させる。
「少しずつ、装甲を剥がしてあげるよ」
 吹雪を受けてその身の所々を凍らせた黄泉はエクスカリバールを振り上げ、曲がった先端部分を敵の胴体に叩きつけ、その装甲を剥ぎ取ろうとしていく。
「この星の命も、大切な街も、絶対に守ってみせる!」
 前方の仲間が吹雪に耐える中、灯は自分らしく攻め込もうと、ラブリルブレスから出現させた光の剣で斬りかかる。
 その時、敵は再びシロップを発射してくる。
 先ほど、吹雪を受けていたジャックの熱視線に応えたのか、放ってきたのはメロンシロップ。それを浴びたジャックは攻撃の手を止め、満足気だ。
「マンゴーシロップが欲しいのだ!」
 対して、後方でパティは護られているはずなのに、盾となる仲間にガードされて食べられず、何よりマンゴー味を飛ばしてこないことに不満気である。
「クロちゃんバリアー!」
 別方向には、イチゴシロップが飛んでいて、奏はクローディアを盾にしようとしていた。
 対して、イチゴとブルーハワイとメロンとグレープとレモンとピーチ、贅沢6色掛けを希望していた彼女は微笑を浮かべて。
「……かなくん、……食べる?」
 くすりと笑ったクローディアは身を反転させ、奏を盾にする。
「……って、逆にされた!? それも食わされる!?」
 浴びせかけられるイチゴシロップで、彼は全身を真っ赤にさせてしまう。
「うわああ、大丈夫ですか!?」
 それを血と勘違いしたダスティが動揺すると、すかさずクローディアが気力で奏を回復していた。
「少しでも涼しくて良いかもー、とか思ってた俺が馬鹿だったよ!」
 頭をキーンとさせていた奏の鼻の両脇を、クローディアは思いっきり圧迫していた。
 そんな主の様子に呆れながらも、ボクスドラゴンのモラは相手にブレスを吐きかける。
「カキゴオオオリィィィ!」
 ダモクレスはブレスに対抗し、再び胸部から吹雪を吹きつけてきた。
 思った以上に強力な攻撃に、丈志は攻撃の手を止めて。
「大丈夫か? 凍ってると削られちまうぜ」
 彼は薬液の雨を降らし、仲間の凍った部分を解凍していく。
「こんな、こんな所で……! パティは……カキ氷を皆で食べる為にも、こんな所で倒れるわけにはいかぬのだ!」
 マンゴー氷を食べる為に。後方のパティも大鎌を思いっきり振り上げ、地面を割った衝撃波をダモクレスへと浴びせかけていく。
 ぐらりと揺らぐダモクレスの身体。ケルベロス達の攻撃によって、徐々にダメージが蓄積していたのだろう。
「ど、どうか御覚悟を……!」
 自身の迷いに対する意味も込めながら、ダスティは声を上げて両手のナイフでダモクレスへと連撃を繰り出していく。
 続き、丈志も差し向けたライトニングロッドから、迸る雷を飛ばす。
「カキ、ゴオリィィ……」
 ガラガラと音を立てて崩れ落ちるダモクレス。巻き起こる土埃が収まると、そこには壊れたかき氷機だけが取り残される。
「そろそろ冷房の効いたところに戻りたいんだ。悪いな」
 丈志は事も無げに敵に言い放ち、杖を収めたのだった。

●ひんやり、時にあつあつ……?
 ダモクレスを倒したものの、シロップまみれになるケルベロスの姿がちらほら。
「よ、宜しければどうぞ」
 自身もその例に漏れず、極彩色の蜜まみれになったダスティは持参の水やタオルを仲間へと差し出していた。
 ひとまず、体の蜜を洗い流したメンバー達は、次に戦場となった道路を見回す。アスファルトが破壊されて穴が開いたままでは、近隣住民の足に影響が出るだろう。
「悪いけれど、修復をよろしくね」
 他者向けのヒールグラビティを持たない黄泉が仲間に依頼すると、数人のメンバーが了承して動き出す。
「ハロウィンの夜が明け、全ては元に戻るのだ!」
 小人サイズのジャック・オー・ランタンを複数呼び出したパティ。至る所でお祭り騒ぎをした彼らが「Happy!」と消えると、その場は幻想交じりに修復する。
 さらに、メンバーは近くにある廃棄物処理場へと出向く。
 ダモクレスによって破壊された壁へ、クローディアが気力を撃ち出していた。
「まいうー」
 その間、怪しげな影がガラクタを漁る。それはダスティのようにも見えたが、真相は定かではない。
 ポスターのような壁画っぽく修復された壁を背に、山を降りていくケルベロス達。
「こんだけ暑いんだ、かき氷タイムにしようぜ」
 丈志だけでなく、エフイーやパティも同じことを考えていたらしい。麓へと降りた一行は早速、かき氷取扱店で好みのかき氷を頼む。
「ん……、アイスも良いけどかき氷も悪くないね」
 黄泉はイチゴ味のかき氷を口にする。少し前まで無表情だった黄泉だが、暑い中で食べるかき氷の冷たさに微笑んでいたようだ。
「赤い液体は自前のしこたま出したし、青いのもさっき……」
 若干微妙な顔をしていたダスティだったが、結局頼んだメロン味を一杯を口に運んで破願する。
(「レティちゃんも来れたらよかったな……」)
 一方で、レモン味を口にするエフイーはこの場に来られなかった少女を想い、少し寂しそうにしていた。
「んー、『白くま』ないかな?」
 丈志の希望は、鹿児島発祥の氷菓子。練乳を掛けたかき氷、もしくはアイスにカットした果物を盛り付けた一品だ。
 さすがにこの地での扱いはないらしく、彼は練乳もりもりの一杯で妥協していたようである。
「オレンジのマンゴー氷なのだ♪」
 しかし、パティがどこからか、今流行のマンゴー氷を持ってやってくる。この店には取り扱いがないはずなのに、どこから持ってきたのだろうか。
 そんなメンバー達と離れて、歩く男女の姿がある。
「クロちゃんクロちゃん、食べに行こうか」
 冷たいものはいいやと主張する奏が少し寒そうに見えて。
「暖めて欲しいな! 結構切実に!!」
「あら寒いの大丈夫……? ギュってする?」
 クローディアは彼を気がけ、その手を握る。
「かなくん頑張ってたから、好きな所で良いわよ。どこ行くのかしら」
 うきうきするクローディアの横で、奏は目を光らせる。
(「激辛カレーでも食わせてやる………」)
 戦闘中のお返しを考えていた奏だったが、一枚上手な彼女にまた一杯食わされることになろうとは、この時まだ知る由もなかったのであった。

作者:なちゅい 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年8月30日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 4
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