いざ暴虐的な暑さから髪を護らん(帽子が)

作者:質種剰


「オーダーメイドの帽子屋さんが、お客さんを集める戦略として『帽子の親子フェア』を企画したのですけれど、開催予定の新店舗がデウスエクスに襲撃されてしまったであります」
 小檻・かけら(清霜ヘリオライダー・en0031)が困った様子で話し始めた。
「幸い、売り物の帽子やお店の方々は無事でありますが、せっかくの新しいお店が見るも無残な姿に……皆さん、どうか帽子屋さん新店舗の修復、お願いできませんでしょうか?」
 新店舗の修復を無事に終えれば、店側がお礼にと既製品の帽子を格安で譲ってくれたり、オーダーメイドの注文を優先的に受けてくれたりするらしい。
「また、『帽子の親子フェア』への参加も自由に出来るそうですから、どうぞ楽しんでらして下さいませね♪」
 帽子の親子フェアとは、何か一つ帽子を買ったり誂えたりした際に、『その帽子と全く同じデザインのミニハット』がおまけとして貰えるという企画。
「本物の帽子とミニハットを親子に見立てているのでありましょうね」
 ミニハットは本来の用途として頭に着けても良いし、ブローチがわりに自分の帽子や鞄、服へ装着する事もできる。
「恋人や友人同士でそれぞれ帽子を買い求めて、互いのミニハットを交換する——なんて楽しみ方もあるのだとか♪」
 注意事項は、未成年者とドワーフの飲酒喫煙の禁止のみ。
「それでは、皆さんのご参加楽しみにお待ち致しております♪」
 かけらは笑顔でぺこりとお辞儀した。


■リプレイ


「天才チロさんは閃いたー!! ここに素敵なにゃんこ帽が有るじゃろ?」
 これ被って大名屋敷に潜入するじゃろ?
「枝とか踏んでバキッて音がして、殿が曲者!! って出てくるじゃろ?」
 滔々と語るチロだが、何故か潜入がバレる前提。
「でも頭だけ出してにゃーんって言えば、なんだにゃんこか……って殿が騙されて、うまく逃げられるのじゃよ!」
 お友達のプレゼントはこれしかねぇ! とチロは大興奮。
 ふくふくにゃんこ擬態帽を貰う友人の心境は如何に。

「お花と、空できらきら輝くものと……この楽曲はケニアの音楽フェスに向けて作ったから、大地の恵みや動物のイメージも入れたい!」
 鞠緒は、帽子がライブ用かつ新曲を想起させるコンセプトだと語って楽しそうに笑う。
「欲張りかしら、ふふふー♪」
 彼女が想い描くは、牡丹を飾り虹色リボンを結ってねこを刺繍した女優帽。ワンポイントのヒョウ柄がメルヘンなデザインを大人っぽく引き締めている。
「あたしは、ええと……基本の色は黒、かなあ」
 一方ヴィヴィアンは迷いつつラフ画を描く。
 黒いキャスケットに艶やかな寒椿を飾り、後ろに白いリスの尾をふんわり立てたデザイン。
「その布や飾り、すごく可愛い! 私も付けてみようかな」
 羨ましがるロゼはロゼで筆が順調に進み。
 薔薇色のベルベット生地にフリルやレースを飾り、白兎のファーのリボンを巻いて桃色の薔薇一輪を添えた、女らしい趣のトーク帽が完成。
「モチーフは花と動物……難しそうな組み合わせだけど、工夫すれば可愛くなりそう!」
「あ、みんなの個性も出しつつ、グループとしての統一感もあるといいかも」
 悩むララへ助言したヴィヴィアンが、ふと思いつく。
「共通のモチーフも付けよっか、星飾りとか」
 すぐに賛同したロゼのトーク帽には『A』と書かれた金の星がアクセントに。
「ん……浮かんできたかも」
 ララも筆が乗ったらしくさらさらと描き出す。
 白い麦藁帽でつばの一部はゼブラ柄。
 花の茎イメージのハットストラップは緑で、巻いたリボンにはマーガレットのコサージュ。
「これを被ると、きっと大好きな人がそばにいてくれてるみたいに思えるから」
 それぞれのデザイン画と布見本を互いに見せ合いつつ、仲良し4人の話は尽きない。
「ふふ、きっとステキな帽子が出来上がるよね」
「カト☆エトのライブでこの帽子を被るのが今から楽しみ!」
 因みにおまけのミニハットは、カト☆エトアーティストグッズのぬいぐるみに被せる予定だとか。

「こちら、もしよかったらどうぞ」
 ロイが差し出すのは、茶色い革に歯車と赤瑪瑙を飾ったスチームパンク風のハンチング帽。
(「たまに、使ってもらえたらうれしいな」)
 ガルソへ普通サイズを渡して、自分は同じミニハットを使うつもりらしい。
「あ、妹様に帽子、如何でしょう? 薔薇とか、リボンとかレース、かわいいものが沢山ありますよ!」
 助言を受けて、素直に帽子を探すガルソ。
(「ガルソ様から贈られたら、きっと喜ぶと思うんだ!」)
 従者に見守られ、手を伸ばすのは、
「これなら妹の角にも邪魔にならない」
 黒地に白レースを巻いて赤薔薇を飾った、モノトーン調が可愛いポリスハット。
「お前の報酬だ……ありがたく受け取れ」
 同じデザインで薔薇だけ除いたミニハットは、店を教えてくれた礼にとロイの手元へ来た。
「ありがとうございます、大切にしますね」
 2つ並ぶミニハットが、常に隣にいる自分達主従のようで。
(「嬉しいな、宝物にしよ!」)

「どうかな? 似合っているといいのだけど」
 ロードクロサイトを配い、空色のリボンをまるで青薔薇みたいに結んだ黒いポークパイハットが、ルージュの鮮やかな赤い髪をよく引き立てている。
「ルージュの帽子、バラがオシャレでよく似合ってるよ!」
 花のような笑みを見せるフィーが被ったのは、白いポークパイハット。
 左右それぞれに結わえた紅色のリボンの結び目へ、空のように青く透明感のある小さなアパタイトの宝石を飾った。
「ボクのも似合ってるかな? 似合ってるといいな」
「フィアもとても似合って可愛らしいよ、そうだ。良ければ帽子を交換しようか」
「交換楽しそう! ぜひしたいな!」
 互いのミニハットを交換するや、フィーは黒い方を両手で大切に抱えて笑顔を見せる。
「えへへ、ありがとう。たからものにするね!」
「リボンはお互いの色で宝石は自分の色、とても気に入ったよ」
 ルージュもにこりと微笑み返す、誠に仲の良い2人だ。

「普段絶対買わない様なのも気にはなるんすけど……でも今回はそういうのはやめとくっすかね」
 最初こそ店内を色々見ていたノイアールだが、ふと思い立ってオーダーメイド。
 黒に近いセピアのコットンニットキャスケットのつばへ刺繍を入れて貰う。
 それは、上下互い違いに短く並べた、細い白三角と青くて半分煙のような炎紋の列。
 ミミックの牙とエクトプラズムを表現した、センスの光る見た目だ。
「色と刺繍で、ミミ蔵っぽくできたと思うっすよ!」

 花弁のオーラを降らせて店舗をヒールするのは上述。
「実は建物の修理って初めてなのですよ〜」
 傍らでは、ピコピコさんも応援動画を流して頑張っている。
 その後、上述は葡萄とマスカットの飾りが可愛い赤紫の親子ベレー帽を購入。
「わぁ♪ 喜んでるようなのです」
 ミニハットの方をピコピコさんへ被せてあげた。
「でも、戦ったら汚れちゃうって? ふふっ、かわいいのです♪」

「……このシルクハット(origin)千切ったのを使って素材に出来ます……?」
 職人へ尋ねる零の希望は、羽をつけてスチームパンク風に仕上げたシルクハット。
「……あと、ミニハットはファミリアの『もず』に被せられるといいかな?」
 完成した親子シルクハットは、黒地に赤錆色の歯車や白い羽根を飾ったのが零の、赤錆色のハットに黒い歯車と羽根を乗せ、色味を逆転させたのがもずの分となった。
 一方。
「2万以内?! ケルカ持ってきて良かった!」
 と胸を撫で下ろすのは要。
「帽子は良くかぶってるしね、任せてよ」
 零や店員を頼りに、角つきでも楽々着用できる帽子を考える。
「若草色かベージュとかの茶色系か、どっちが良いかな?」
「緑や黒を交えたのが似合いそうな気がするよ」
「柄は格子か無地で迷ってて」
「柄……ストライプみたいなのはどうだろう?」
 要はうんうん唸りつつ、若草色に黒の格子を掛け、脇に葉っぱの刺繍を施すハンチング帽を頼んだ。


「どうせなら色々試してみたら」
 敬重の促すまま、めびるは楽しそうに帽子を選ぶ。
「……うん、やっぱりめびるは白が似合うな。ドレスなんか良く合いそうだ」
 特に、レースとリボンが可愛らしい白いカクテルハットが、まるで誂えたようにぴったりであった。
「ほんと? じゃあめびるこれにするね……それで」
 おずおずと、同じデザインのミニハットを敬重へ差し出すめびる。
「これは、前渡したぬいぐるみに」
 ぬいぐるみとは、花柄や桃色の端切れを接ぎ合わせたくま——京の花籠の事。
「そっか、それはあいつも喜ぶ」
 敬重は笑ってミニハットを受け取り、
「それじゃあ、俺のミニハットはめびるに」
 元々彼女に渡すつもりでリボンを大きめに注文していた黒いミニハットと交換する。
 敬重が自分用に買った黒い中折れ帽と同じデザインの物だ。
「え、けいちょくんのミニハット貰っちゃっていいの?」
「これなら鞄につけても映えるだろうかな」
「えへへ、交換……なんだか嬉しいな」

「俺はバンダナ族だしあまり帽子を使う機会は無い気もするけど」
 そう思案するのは蒼眞。
「何かをする時だけ被っている帽子の向きを変えるとか、勝った時にOK! と言いながら帽子を投げるとか、色々とやってみるのも面白いかもな」
 とことんネタに生きる彼が特注したのは、『風の団』の紋章入り野球帽。
「……え? 生地の種類? 形状?」
 それらに拘りを持たない蒼眞は、洗濯機で洗えて面倒な手入れの要らぬ実用性重視の物を、と懸命に説明していた。

「おのれ恋人いない人間への当てつけか当てつけなのかッッッ」
 と、自分もちゃっかり白いソフト帽を仕立てつつ憤るのは日出武。
「よろしいイナイ人間ばりの楽しみ方をしてくれようぞ」
 やたら装飾過剰でサイケな色味の帽子を掴み、バカップル目掛けて突進。
「頑張ってそんちょーさん!」
 モヒカンカツラを携えた鈴も後に続く。
「帽子ですらないかもしれないけど、モヒカン頭のカツラとかにすり替えちゃえばいいんじゃないかな?」
 『奇跡の村』想いの鈴が、村のアピールも兼ねて用意した逸品だ。
「あら村長殿に鈴殿」
 2人は、宴と小檻が今しも取り替えようとしていたミニハットを強奪。
 代わりにサイケ帽子とカツラをその手に無理やり押しつけた。
「きさまらにはこれがお似合いだふははははは」
 高笑いする日出武と鈴が嵐のように去った後も、
「あぁん花菱さん達の帽子ぃ……今日こそ宴の前で可愛い格好しようと思ったのに」
「でもモヒカン被るんですね、知ってた」
 恋人達は変わらず仲睦まじい。

「……そーいやメイドカチューシャ以外の被り物をしている所を見てないな」
 サイケでモヒカンなカップルを眺め、海晴が思うのはニルスの事。
「気恥ずかしいだけなのか、それとも本当に避けられているのか……」
 当の本人は海晴を誘うつもりが間に合わず、柱の影から見つめている。
「男性は一人でいたい時もあるようですし、後者は無いと信じてます。信じてますから……」
 構って欲しそうなニルスの手には、既に麦藁帽と山高帽2組の親子が。
(「後日プレゼントをねだる口実はこれで完璧なのですー」)
 一方。
「どんな帽子が似合うだろうか……」
 海晴も以心伝心、赤のベレー帽を買っていた。
「胸倉に抱え込んだ感じからこれ位で合ってるはず」
 サイズ選びに抜かりはない。
「……って、何やってるんだ俺は!?」
 ふと我に返った海晴は頭を抱えて、
「いや、あれだ、プレゼントとかそーゆーのじゃないから!」
 誰にともなく言い訳するも、ますます墓穴を掘るだけだった。

「ハードボイルドが似合う山高帽をひとつ頼むぜ」
 希望通りに完成した鼠色の山高帽——ハードボイル帽を被るのは双麻。
 黄鮫師団の仲間の様子を観察しつつ、本人曰くハードボイルドに佇んでいる。
「だって、探偵だからな!」
 理由にならない言い訳をするが、観察対象も対象で、片やモヒカンを被る恋人を慰めていたり、片や尾行の連鎖になっていたり、何とも締まらない。
「え? ここ禁煙? 失礼しましたっ」
 挙げ句の果てには、注意されてそそくさと煙草をしまう双麻だった。

「帽子の親子フェア、ですかー……ふふっ、この子たちにぴったりですね♪」
 宴は雛栗さんを抱えてにっこり。
 紫の稲妻モチーフがクールな黒い中折れ帽を被っている。
 黒リボンに菊菱文様が浮かぶ和風な趣だ。
 取り返したミニハットへは、
「……仕上げに雷避けのおまじない」
 それを被せた花菱さんを抱いて、自分も帽子を被る小檻を見るや、
「うん、とってもお似合いですよ♪ かわいいです……」
 雛栗さんごと彼女を抱き締め、手放しに褒める宴だ。

「ここは、可憐な花々をあしらった花冠の様なお帽子を」
 瞳を輝かせるマリオンだが、
「ばばーん」
「……おまっ……おま……」
 ルイスの頭上、精巧な五葉松の造り物は二度見せずにいられない。
「馬鹿かお前はバカなのか!?」
「色・形・材質……細部にまで拘り、俺が持ち得る盆栽の知識と、卓越した帽子職人の業を結集して作り上げた至高の逸品……間違いなく流行る!!」
「いや、盆栽は良いんだ、だがしかし何故それを帽子に載せようと思った!?」
「何やら日本の風情を理解出来ぬ痴れ者が臆面もなく喚いているが……ぶっちゃけお前のと大差無くね?」
 コンセプトは一緒じゃね? ほざくルイスに姉は憤怒の表情。
「お前のバカアイテムと一緒にすんな! 全然違うわボケェ!」
「さーて、同好の士ガイバーンに見せてこようかな~」
「正気か! 気の毒な真似はやめろバカ!」
 ご機嫌でスキップする弟を慌てて止めるも、
「これは良いのう、その花冠帽子のミニハットの方を五葉松に乗せたら花が咲いたようじゃ」
 ガイバーンはやたら好意的に助言してきた。


「シンプルで使いやすそうなのを選びたいですねー」
 朱藤のまんまるい猫目が捉えたのは、キャスケットやマリンキャップ。
 彼女の短い髪によく似合いそうだ。
「わぁ、可愛いです♪ これにします!」
 一方イリスがふと思い立って手に取るのは、青いリボンのついた麦藁素材の中折れ帽。
 夏らしい爽やかさと上品さを兼ね備えた風情が、銀髪へ咲く桜の花にぴったりだ。
「あ、折角の記念ですし……」
 リボンに『遊び場:GoraQ』の旅団エンブレムを刺繍して貰うイリス。
「良いですねー! 旅団共通のエンブレム、私も記念に入れちゃいましょう!」
 朱藤も元気良く宣言、ふんわりしたシルエットが可愛くもボーイッシュなマスタード色のキャスケットの脇に旅団エンブレムの刺繍をオーダーした。
 その後も、
「イリスさんセンスいいですよねー」
「環さんこそ、そのキャスケットとても素敵だと思います!」
 朱藤とイリスは、楽しそうに互いのミニハットを交換している。
「うんうん、似合うと思うぜ♪」
 恵がシャンツェリッゼの藍色の髪に載せたのは、白く染めた麦藁のミニ女優帽。
「あ……ありがとうございます」
 清楚な雰囲気の増したシャンツェリッゼは、お返しにと自分で見繕っていた黒い中折れ帽のミニハットを差し出す。
 親子女優帽も親子中折れ帽のどちらにも、やはり旅団エンブレムの刺繍は必須である。
「この辺、髪纏めんの面倒な時に割と便利なんだよなー」
 けらけら笑う空牙が選んだのはネイビーのサマーニット帽。
「夏用のは通気性もいいしなー」
 通気性と吸汗性を重視する彼のお眼鏡に叶った帽子へ、旅団エンブレムを縫いつけて完成だ。
「被り心地も違和感なくて良いですね」
 そう頷くのは、いつもの魔女帽子に多少アレンジを加えて新調したクララ。
 巨大かつ盛大に歪んだブリムが異彩を放つも、アクセントの花の装飾が可愛い。
 旅団エンブレムは、わざと垂れ下がった先端の陰に隠れるよう配置した。
 生地のみならず花やリボンまで錆色の天然皮革で作らせた拘りぶりだ。
「ふふ、変な形をしているでしょう。でも、これはこれで、実用的なのですよ」
 照れ笑いするクララは、詩帆のツインテを崩さないゴスロリハットのミニサイズと自分のミニハットを交換した。
「どうしよう……前は麦わら帽子被っていましたけど……キャペリンハットがちょっと気になりますね……」
「キャペリンハットですか。女性らしい神条さんに似合うと思います」
 霞はプラータへ相談しながら、落ち着いたボルドーとカンパニュラブルーの2つのキャペリンハットを選び、ボルドーには旅団エンブレム、カンパニュラブルーには自分のイニシャルを刺繍して貰った。
「私は仕事用にかさばらず折り畳めるのを……さて、どれにしましょうか」
 プラータ自身が目をつけたのはパナマハット。
「……迷っちゃったら、どっちも買っちゃえばいいんです!」
 2つや3つまでならセーフです! と豪語する朱藤のアドバイスを受けて、
「はは、それもそうですね」
 柔らかいペールブルーやシックな黒など色違いを2〜3個購入した。
 勿論リボンへの旅団エンブレム刺繍は欠かせない。
「んー……私は魔女帽を作ってもらおうかな。鹵獲術士としては1回被ってみたかったんだよね。
 と、目を輝かせたノエシアが注文するのは、黒地に白いリボンを巻いたシンプルながら愛らしい魔女帽。
「旅団のエンブレムも隅に入れてほしいな」
 エンブレムの鮮やかな紫色が、殊の外黒い魔女帽にしっくりハマっている。
「旅団の皆と初めて遊びに出たわぁ。わいわい買い物するのも楽しいわねぇ」
 傍らでは紅彩が、黒レースのリボンと黒真珠なる薄く黒味がかった紅色の薔薇を飾った、濃い赤のガルボハットを誂えていた。
「つばの内側には旅団のエンブレムを刺繍してもらえると嬉しいわぁ」
 そう妖艶に微笑む紅彩の紅い瞳と、出来上がってきたガルボハットの紅を基調にした風合いが親和性を持って、違和感なく彼女の頭を彩る。
「……あ、ノエシアのカワイイ♪ じゃ、アタシのはコレねぇ」
「ありがとう。ガルボハットっていうんだね、お洒落で格好いい」
 紅彩とノエシアは、互いに交換したミニハットを自分の帽子へつけて被ってみた。
「どうかな?」
「凄く素敵よぉ。ガルボハットの紅が魔女帽のコサージュみたいねぇ」
「夜想嬢も似合ってるよ、ふふ」
 全員が帽子を被ったところで、恵の提案で記念写真を撮る。
「またひとつ、俺ら皆の思い出になったな。これからもよろしくな!」
「はい、帽子選び、楽しかったです♪」
「また皆さんと、恵さんとこんな風に楽しい時間を過ごしてみたいです!」
 恵が言うのへイリスが頷き、シャンツェリッゼも最高の笑顔で返した。
 すると、
「パナマ帽は浴衣に合わせたりするんですよ、試しにどうです?」
 プラータが恵の帽子の上へ、ミニパナマ帽を載せた。
「目指せ、世界新記録です!」
 それを皮切りに、気配を殺した朱藤も追従してミニサイズのマリンキャップを載せた為、次第にミニハットチャレンジとして白熱し始めた。

作者:質種剰 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年8月26日
難度:易しい
参加:35人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 6/キャラが大事にされていた 2
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