
●主食なき食卓
「さぁ、食え! 遠慮することはない、どんどん食うのだ!」
「はーい!」
外装もみすぼらしい、貧相なアパートに一般人たちを集めて、1体のビルシャナが食事をふるまっていた。ボロアパートには不似合いなほどに豪勢な料理が食卓には並んでいたが、主食たる米だけはそこにない。
「もちろん米など置いていないからな。あんなもの食う必要はない! もうほとんど炭水化物しかないんだからな、栄養的に優れているわけでもない……というかむしろ太るだけだ! 肥満を促進するのは米! 太りたくなければ米は食うなよ!!」
「ええ、わかっています! 米なんて現代の食卓にはいらんのですよね!!」
「うむ!!」
米を食っても益はなく、ただただ太るばかりであるというビルシャナの教義に異を唱える者は誰もいない。
そして食う。普段は米で満たしていた分も埋めようと、肉や野菜をとにかくひたすらに口に放りこむ。
よし、これは結局太るパターン!
●炭水化物を抜くスタイルってやつ
「お米を食べては太る、ですか。こういう類は結局のところ当人の心がけ次第と思いますけれど」
調査でつかんだビルシャナへの感想を漏らしていたイリア・ミラジェット(蜃気楼の翼・e02795)は、ヘリポートにケルベロスたちが集まってきたのを認めると、かすかな微笑みをそちらへと向けた。
「ビルシャナの討伐に集まってくれて、ありがとうございます。今回の鳥は『米は太るから食べるな』という教えを説き、アパートで信者たちと食事をしているようです。呑気なものですね」
それだけ言うと、イリアは目線を黒瀬・ダンテ(オラトリオのヘリオライダー・en0004)に送り、その先の説明を促す。
「っす、詳しい流れは自分からお伝えするっす。依頼自体はビルシャナを倒すっつーシンプルな話になるっすけど、奴の周りには一般人の信者たちもいるんで、まずは彼らの説得に当たる必要があるっすよ。彼らが心酔しているビルシャナの教義を、強烈なインパクトのある主張で覆すことができれば、信者たちは目を覚ましてくれるかもしれないっす」
ビルシャナの味方である信者を正気に戻すことができれば、戦わずして彼らを無力化できたことになり、戦闘が楽になるだろう。信者たちの安全と、確実な勝利のためにも、是非とも事前の説得を成功させておきたいところだ。
「ビルシャナに従っている信者たちっすけど、全員、見た目は普通体型っすけど最近ちょっと体重が増えてきてる感じらしいっす。そこにビルシャナの熱心な布教をくらったものだから、米を食わないっていう考えに賛同してるんだと思うんすよね。おかげで以前はモリモリ米を食っていた彼らも、今ではすっかり炭水化物抜き路線に突っ走っているっすよ」
太るから米を食べるなという教義に賛成しているだけあり、やはり肥満に対する懸念が信者たちの胸の内にはあるようだ。しかし米を食べていたということは元来は好きだったということだろう。ダイエットに無理は禁物、ということでも教えてやればサクッと宗旨替えするかもしれない。
「信者たちはビルシャナの影響下にあるんで理屈っつーものがとにかく通じづらい状態っす。なんで、彼らの心を動かすにはデカいインパクトが必要になるっすよ。それさえあれば、もう主張の正当性とかはこの際どうでもいいと思うっす。どれだけ信者たちの心に衝撃を与えられるか、それが説得成功のカギっすよ!」
参加者 | |
---|---|
![]() ミリア・シェルテッド(ドリアッドのウィッチドクター・e00892) |
![]() エルボレアス・ベアルカーティス(正義・e01268) |
![]() ビスマス・テルマール(なめろう鎧装騎兵・e01893) |
![]() 辰・麟太郎(臥煙斎・e02039) |
![]() 馬鈴・サツマ(取り敢えず芋煮・e08178) |
![]() 鵜飼・海咲(粉砕アンカーガール・e21756) |
![]() モモコ・キッドマン(グラビティ兵器技術研究所・e27476) |
![]() 峰雪・六花(チェインドクレイン・e33170) |
●作業のお時間
ボロアパートの前。
モモコ・キッドマン(グラビティ兵器技術研究所・e27476)は眼鏡の奥の黒い瞳をキラキラと輝かせた。
「おいしいご飯のおともが食べられると聞いて来ました」
「ち、違いますよ!? ビルシャナですよ、ビルシャナ!」
鵜飼・海咲(粉砕アンカーガール・e21756)が両手を左右にぶんぶん振りながら本日のミッションを懸命に説明しなおすが、モモコの期待に満ちた表情はゆらがない。ごはんを詰めたおひつを抱えてゆらがない。
「変なビルシャナ……いっぱい、いますけど、今回のもまた……変わってますね」
「ああ、いつも通りのビルシャナだな」
「……仕方ないでしょう、ビルシャナですから」
ぽやぽや眠そうな顔でぽつりとつぶやいた峰雪・六花(チェインドクレイン・e33170)に対し、エルボレアス・ベアルカーティス(正義・e01268)とミリア・シェルテッド(ドリアッドのウィッチドクター・e00892)はひどく淡々とした調子で返した。考えるだけ無駄な労力であるということはもうわかってるからね。
「困った方々です。なめろうの力を見せてあげなくてはなりませんね」
六花の言葉に熱い意志で応じたビスマス・テルマール(なめろう鎧装騎兵・e01893)は、大きなバッグとクーラーボックスを肩にかけている。言うまでもないが中身はなめろうだ。
「炭水化物抜き、ってヤツっすか……でも米抜いたからって炭水化物摂ってないとも限らないっすよね」
「そうなるかねぇ。……というかそもそもだが、太りたくねぇなら動けばいいんじゃねぇか?」
「いやまったくその通りっす」
馬鈴・サツマ(取り敢えず芋煮・e08178)と辰・麟太郎(臥煙斎・e02039)はアパートの階段をカンカンと上りながら軽い会話を交わす。詰まる所、それが痩せる最善手よね。
●その痩せ方は間違っている
ドアを開けると、ビルシャナたちは箸を放り出して立ちあがった。
「なんだ貴様ら! お米警察か!?」
「そんな機関は日本にはない」
米を敵視するあまり仮想組織まで考えていたらしいビルシャナに、エルボレアスは鋼鉄の無表情でツッコむ。さすが思考を放棄しただけあり、ボケ殺しのリアクションである。
「なんだケルベロスか……じゃあ帰れ厄介者!」
「そうだ帰れー! 俺たちは米なんて食わんぞー!」
早速ながらブーイングを浴びせてくるビルシャナと信者。
「いや、それだけ食べていればもはや米とか関係ないだろう。痩せたいなら食べる量を減らすか運動しようか……」
「俺たちが怠けてるから太ってるってのか!? ふざけんなー!」
料理があふれる食卓を見て、エルボレアスはド正論をぶつけてやったが、それが火に油。信者たちはますますケルベロスを追い返そうと意地になる。
「やれやれ、しょうのねぇ連中だな」
「今度は誰ッ――……ですか?」
誰かのため息に、信者たちは過敏に反応してケンカ腰にそちらを向いたが、相手の威容を見ると風船がしぼむように声を落とす。偉丈夫の竜派ドラゴニアン――麟太郎に堂々かみつける一般人はそういない。
「ダイエットだとか、それも結構なコトだがよ。百姓が丹精込めた米に敬意を払えねぇなら、メシを食う資格なんざねぇ」
「べ、別にそこまで思ってるわけじゃ……」
「米なんて、って言ったろう、アンタら。そいつがどういう考えでいるかってのは、そういう端々に出るもんだ」
「あっ……」
「米に限らず、命をいただくからいただきます、ってんだ。肉や野菜が好きだってんなら好きなだけ食え、止めやしねぇさ。だが食いモンに『生かされてる』コトを忘れて、『米なんて』と宣う輩は即身仏にでもなりゃいい。そうすりゃ望み通り痩せられるぜ」
落ち着いた語気の麟太郎の説教に、信者たちはうつむいて押し黙る。強面ではあるが普段は感情を荒立てることもない麟太郎も今回ばかりは少しだけ怒っており、彼らもそれを感じたのだろう。
「……麟太郎様が、いてくれて……助かりました」
「? よくわからねぇが、嬢ちゃんの役に立ったなら何よりだ」
いつのまにか隣でぷかぷか浮いていた六花に、麟太郎はちょっと首をひねりながら笑った。帰れ帰れと大声で騒ぐ信者たちに、六花はどう話しかければよいものやらと思っていたので、黙らせてくれたのはとてもありがたかったのだ。
「お米、確かに太るとは……聞きますが、栄養はありますし、腹持ちが……いいそうです」
「腹持ち……まーそれは確かにな」
「パンとか、食べた後……すぐ、お腹すいたりはしませんか? お米でも、結果的に、量が少なくなってダイエットになること、あるんです。……ちなみに、今食べているお肉、ご飯何杯分だと、思います?」
「何杯分!? まるで何倍もあるみたいじゃないか!?」
米を食う数倍は太るぞ的なことを言外に含ませると、信者たちは戦慄する。あれだろうか……気づかずにご飯何十杯分を超えるものを胃袋に入れていたのか!
「落ち着け! 米食ってないから大丈夫――」
「うわー何っすかこれ。芋に豆類、トウモロコシ……これじゃ米食わなくても何の意味もないっすよ?」
信者たちの精神を鎮めようとビルシャナが語りだすも、サツマが部屋の食卓を見て感想をもらすと、信者たちの動揺は大きくなるばかり。
「どういうこと……!?」
「いや、痩せるにしても炭水化物を完全カットとか1番やっちゃいけないことっすよ?」
「ホワイ!?」
信者がすがるような目で見てくるので、サツマは人体の健康講座を開講。
「いいっすか。炭水化物がなくなると人体はタンパク質まで消費してエネルギーを生み出すっす。でもタンパク質が足りないと筋肉が痩せて代謝が落ちるんで、太りやすくなって肌も髪もボロボロになっていくっす」
「どえらいことやないか!」
「あとっすね、下手するとなんやかんやケトン体って物質ができるっすけど、これが臭い。要するに炭水化物を完全排除すれば一時は体重が減るかもっすけど、代償として太りやすくて肌も髪もボロボロの臭い人間になってしまうっす。ちょっとはご飯食べたほうがいいっすよ?」
「なんてこった……」
サツマが繰り出した主張は強烈すぎた。特に女性信者には、まるで雷に打たれたような衝撃だった。
「私、お米食べます」
「そ、そんなあっさりと!!」
去っていく女性信者たちを、ビルシャナはもはや止めることができなかった。
●お米の友達
「安心して下さい。俺たちはまだついていきますよ!」
女性たちが去っても、男性たちはいまだビルシャナの下に残っていた。
だがケルベロスたちもまだまだ説得の手はゆるめない。
「ああ、やっぱりご飯は美味しいですね」
「ちょ、なにしてんの!?」
いつのまにやら部屋の食卓に鎮座して、茶碗に盛った米を幸せそうに頬張っているモモコ。当然ですけど信者たちが総出でツッコみます。何食ってんねん。
しかもモモコはただ白米を食べているわけではない。
ミリアが、ご飯をかきこむモモコに数々の『ご飯のおとも』を提供していたのだ。
「食べ過ぎは良くないですからね、梅干しで消化促進しましょう。それに小魚でカルシウムも摂りましょう」
「ありがとうございます。いただきます」
まるで久々に実家に帰ってきた娘に手料理をたんと食べさせてやる母親のように、ミリアは梅干しにいかなごのくぎ煮、さらにはたくあんや柴漬けなどを小皿に乗せてモモコに出す。どれもそのしょっぱさで白米がススむ品である。
「おいおい! なに普通に甲斐甲斐しくお世話しちゃってんの!?」
「? 皆さんも食べますか?」
「いやそういうことじゃねえから!」
「あ、そうですよね、もらってばっかりじゃダメですよね……ミリアさん、私のおかずもどうぞ」
「それもっと違うよ!?」
白米を勧めてくるミリアにツッコみ、塩辛に昆布の煮物、マグロの時雨煮をミリアにお返ししようとするモモコにツッコみ……回転の早いボケ合いに信者たちは肩で息をする勢い。
「あっ、ごめんなさい、皆さん白米は食べないんでしたっけ……美味しさ、半減ですね……」
「しゅんとして目をそらすなっ!!」
かわいそうな人たち……と嘆くそぶりをするミリアに、信者は声を張りあげる。守りたい、自分の尊厳。
しかし白米に合うおかずを見せつけられたのは事実。彼らはごくり、と喉を鳴らしてしまっていた。
しかもどこからか漂う美味しそうな香りが、刺激された食欲をさらにかき立てる。強烈な、それでいて嗅ぎなれた香り……これは、カレー!
「カレーにお米は欠かせません! 飲み物っていう人もいますけど、やっぱりお米があってこそです!」
海咲が屈託のない笑顔で、ウイングキャットのアドミラルと協力して大きな寸胴鍋を食卓の上にドガシャンと置いた。いやもう置き方が強引だったので叩き落としたと言ってもいいかもしれない。
「というわけでシーフードカレーを作ってきてみました。海軍といえばやっぱりシーフードですもんね。スパイシーな香りに具材の旨みがぎゅぅっとつまってて、とってもとっても美味しくできたんですよ!」
おたまで鍋をまぜる海咲はちょっと自慢げ。しかも涼やかな白の水兵服に黄色いシミができていないんです。地味にすごくない?
「これを食べるのにお米無しってわけにはいきませんよね? 白いお米ほしくないですか? カレーの為にちゃぁんとちょっとだけ硬めにたいて用意してあるんですよっ! だから、お米も食べましょう」
「き、きたねぇ……! カレーはきたねぇよ、国民食だろ……っ!」
カレーの香りはまさに見えぬ暴力。ガンガン鼻腔に攻めこんでくるスパイスの香りを防ぐため、信者たちは両手で鼻を覆いつつ、泣いた。
「そこまでつらいなら食えばいいと思うんだが……」
わけのわからない意志力で海咲のカレー攻撃に耐えるバカどもに、エルボレアスはあっさりと言うが、当の彼らはカレーと涙でそれどころではなかった。
●満たされて
「なるほど見上げた覚悟です。しかしこれを見ても、あなたがたはまだお米を食べないと言えますか!」
「!?」
凛然とした声音で言い放って、ビスマスはどーんとご飯大盛りの丼を掲げた。さらにそこへ、クーラーボックスから颯爽と出したなめろう(真空パック)と生卵を乗せると、とどめに醤油をたらーっ。
「これがなめろう丼です!」
「な、なめろう丼!?」
完成した丼を披露すると、その見るからに美味そうななめろう丼に信者は心をゆさぶられ、モモコはおひつからおかわりのご飯をよそう。
「肉食禁止の昔の日本で体を維持出来たのはお米と味噌のお陰、と考えると、単品だと栄養が偏るとしても他と組み合わせる事で栄養素の吸収効率を上げてくれるお米を抜くのは駄目です」
「米にそんな力が……?」
米の真価を語りつつ、ビスマスはごそごそとバッグから魔法瓶を出すと、なめろう丼へとその中身の液体を注いだのだ! 液体の正体は昆布茶……つまりこれは郷土料理の孫茶なのだ!
「どうです? 皆さんも食べてみますか?」
「な、なんちゅう誘惑だ……!」
ビスマスに差し出されたなめろう丼に、信者の食欲は決壊寸前だった。抑えつけていた米好きの情熱が、今この場にある数々のご飯のおともを食えと騒いでいた。
「しかしすごい熱意だが、なんというかビスマス君は系統がビルシャ」
「手が滑りました!」
信者が米を食おうかというところで、つい正直な感想を言おうとしてしまったエルボレアスの口をビスマスはなめろうボールで塞ぐ。そのまま昆布茶を啜ったらきっととても美味しいことだろう。
ちなみに、すでにモモコは孫茶を食べている!
「ひふはへほ、はへらへまふね」
「何言ってるかわかんねぇ……けど幸せだってことだけはわかる!」
『いくらでも、食べられますね』というモモコの言葉はわからなかったが、孫茶が美味いことだけは彼女の笑顔で理解できた信者たち。
気づけば、無意識になめろう丼を手に持っていた。
「あぁっ!? おまえたちまで……!」
「すまん。やっぱ米美味いんだわ」
久しぶりの白米にむしゃぶりつく彼らは、実に満たされた顔だった。
「ぐぬぬ……せっかくの俺の信者を!」
「さあ、おなかも膨れましたし、腹ごなしでもしましょうか」
信者たちと入れ替わるように食卓から腰を上げたモモコは、頬についた米粒をぬぐって斬霊刀『イズナ』を抜き放ち……たかったが、頬についた米粒が多すぎて取りきれない。これNGシーン集行きだね!
「……この流れで戦います? 戦う前にご飯タイムとかどうですかね?」
「シェルテッドさん!? ダメですよ!? キッドマンさんと同じ道をたどらないで下さいっ!」
もう戦闘とかいいんじゃないかな的なノリで丼に米を盛ろうとするミリアを、海咲が必死に押しとどめる。
そしてその後、ビルシャナはお察しなノリでサクッとケルベロスたちによって倒された。
「よし、さっさと帰るか」
ビルシャナが消滅すると、エルボレアスはプロの掃除屋もびっくりの速度で現場にヒールを施し、足早に帰っていった。しかしまあそれも仕方ないかもしれない……なにせ彼は重度の辛党&甘党。現場には彼の食指が動くような食べ物はなかったのだ。
「ビルシャナも倒せたことですし! それじゃあそろそろお食事を始めましょうか」
「おー!」
海咲の号令に、拳を突き上げて同調する元信者たち。米が食いたくてまだ居残っていたようだ。食卓を囲んで丼飯をいただくなかには、ミリアやビスマスもおり、モモコもあんだけ食ったのにまた食ってた。
「美味い! 米サイコー!」
「……そんなに食って、今度こそ太っちまうんじゃねぇのかい?」
「はっ!?」
嬉しさのあまり信者たちは米を食いまくっていたが、麟太郎に釘を刺されて箸を止める。確かにこれでは、何も変わっていない!
「どうすれば……」
「ま、運動と食事制限が基本っすね。ここにある物だったら、なめろう丼でもカロリーはそんなないだろうし気にしなくてよさそうっすけど、次の食事からは自己管理が必要っすよ」
「そ、そうかぁ……」
サツマからダイエットについての基本的な忠告を受けた彼らの顔は暗い。運動、自制、それは最も苦手なものと言ってよかったからだ。
そんな彼らを勇気づけようと、六花はふわっと飛んで寄っていく。
「運動、六花も苦手ですけど……でも、少しずつ動けば、きっと、もっとできるようになって、美味しいものいっぱい食べても大丈夫に……きっと」
「……ふふ、ありがとう。そうだな、少しずつ頑張るしかないよな」
精いっぱいの誠意で励ましてくれた六花に笑いかけて、元信者たちは自律の努力を決心した。
「……やれやれ、しょうがねぇ。そんなら体動かすためのジム代ぐらいは、面倒見てやるとするか」
ひどく小さな一歩だが、それでも進歩に変わりない。
そう思った麟太郎は肩をすくめると、ケルベロスカードを忍ばせた懐へと手を差し入れるのだった。
作者:星垣えん |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
![]() 公開:2017年6月18日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 3
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