言うなればそれは瞬悦殺

作者:あき缶

●毎度おなじみ
 大阪城のお堀近く、やはり攻性植物に侵されたそこは、もはや大阪とは思えぬ森林地帯となっていた。
 その中を早朝、男がさまよっている。
「マックー! マックどこだー!」
 彼はちょっとしたミスで逃してしまった愛猫マックを探している。この近辺でマックらしき猫を見たという情報を元に、一心不乱に探していた結果、少し深入りしすぎたのだ。
「マック……こんなデウスエクスがいるようなところに……早く見つけてやらないと!」
 その時、男は妖艶な笑い声と甘く良い香りを感じた。
「うふふ……」
「!?」
 緑の肌の全裸美女が、意味深に微笑みながら手招いている。
「えっ。えっ……」
 男はまるで催眠術にかかったようにふらふらと、どう見ても怪しい美女に近づいてしまった。
「おっぱい……?!」
 伸ばした手を美女は胸の谷間から出した豆の鞘のような器官にすかさず収めた。
「あひ、んっほおぉおおおお!!!」
 鞘の中で男は歓喜の声をあげ、美女が鞘から男を出したときには既に精力尽き果てたミイラになってしまっていた……。

●危ないバナナイーター
 爆殖核爆砕戦後、大阪城を占拠している攻性植物から、男を魅了して精力と共にグラビティ・チェインを搾り取り、殺すというバナナイーターが動き始めてしばらくたつ。
「また新しいバナナイーターのご登場や」
 香久山・いかる(天降り付くヘリオライダー・en0042)は、眉をひそめてケルベロスに対処を依頼してきた。
「十五歳以上の男を察知すると、地下茎から生えてきて、魅了した挙句に搾り取る。グラビティ・チェインの絞りっぷりが容赦ない……新しい作戦の糧にするつもりかもしれん」
 今後の大きな攻性植物の動きの礎を築かせないためにも、排除すべき脅威である。
 今回も予知した悲劇の前に、ケルベロスは現場に到着できるだろう。
「猫探してる人を囮にしてもええけど、できればケルベロスの中で十五歳以上の男が囮になる方がええな。バナナイーターが餌を誘惑する三分間は安全やけど、やっぱ万一のことがあると困るし」
 だが、三分間はバナナイーターは何もしないからといって先に攻撃を仕掛けてもいけない。誘惑中に生命の危機を察知すれば、バナナイーターはさっさと地下茎を通って逃げてしまうからだ。
「三分間、男性諸君にはバナナイーターの魅了にかかったふりをしてもらわなあかんっちゅーわけや」
 攻性植物は囮になった男の人数分現れるが、一体以外はとても脆いので、数について気にすることはないだろう。
 バナナイーターは、蔦のような触手で攻撃したり、催眠効果のある香りを漂わせたりするが、他にも恐ろしい攻撃方法を持っている。
「でっかい胸の谷間がグバァッと空いてな、中から豆の鞘っぽいもので男を取り込んでまうねん」
 鞘の中で何が起こっているのかは分からないが、取り込まれた男は一瞬にして、めくるめくエクスタシーを感じさせられ、一気にグラビティ・チェインごと精力を搾り取られるという。
「この攻撃は、十五歳以上の男にしかやらんみたいやけど、食らうと危険やから、ほんまに注意してな」
 いかるの顔は真剣だ。
 だが、この世のものとは思えない悦楽を感じられるとは――少し興味もあるケルベロスであった。
「現場は、この猫探してる人以外は来そうもないような森の中やから、人払いは気にせんでええよ」
 あと……と、いかるは微笑む。
「終わってもし、猫探してる人にであったら、マックは家に戻ってるって伝えてあげてや」
 事件に関わる部分だからか、たまたま予知できたのだと、猫のウェアライダーであるいかるは嬉しそうだった。


参加者
朝倉・ほのか(ホーリィグレイル・e01107)
ダレン・カーティス(自堕落系刀剣士・e01435)
ハチ・ファーヴニル(暁の獅子・e01897)
鎧塚・纏(アンフィットエモーション・e03001)
ラッセル・フォリア(羊草・e17713)
結城・勇(贋作勇者・e23059)
シャルフィン・レヴェルス(モノフォビア・e27856)
獅子谷・銀子(眠れる銀獅子・e29902)

■リプレイ

●囮バナナカッター
 森林地帯と化した大阪城で、ケルベロスは攻性植物を釣ろうとしている。
「大丈夫、でしょうか?」
 物陰に隠れながら、心配そうに朝倉・ほのか(ホーリィグレイル・e01107)は呟く。
「三分間は向こうも攻撃してこないそうだし、大丈夫でしょう」
 隣で、獅子谷・銀子(眠れる銀獅子・e29902)はほのかを励ました。
「うっうっ、信じてるわマイダーリン」
 目尻をぬぐい、鎧塚・纏(アンフィットエモーション・e03001)は、恋人が果敢に囮に立候補したことを心配しているように、涙声で言うが泣き真似である。
(「面白そうよね!」)
 本心たるやこんなもんである。
「ところで、どうして貴方はこちら側なのかしら。囮条件は満たされてるけれど」
 纏に尋ねられたシャルフィン・レヴェルス(モノフォビア・e27856)は、ふっと微笑む。
「しゃるふぃんさんじゅうさんさいだから敵の対象外なんだ」
 女子三人からの冷ややかな視線を受け、シャルフィンは早々に発言撤回する。
「……なんてな、冗談だ。本当は、恋人が止めたからだ」
 シャルフィンが脳裏に浮かべたのは、若草色の恋人からの厳命。
 ――俺以外のバナナは食べちゃ駄目!!
 意味がわからない。
 シャルフィンは恋人からお守りにと渡されたバナナカッターを見やる。デウスエクス相手にはただの気休めにもならないだろう。シャルフィンは肩をすくめてバナナカッターをしまった。
「あっ、出てきました……」
 ほのかが小さく鋭くデウスエクスのお出ましを告げる。三人の女子と三十路のサキュバスの男は会話を止め、息を潜めて事の成り行きを見つめる。

●三分間ダミーテンプテーション
 ぬるりと生えてきた四体の美女型攻性植物に、ひゅぅとダレン・カーティス(自堕落系刀剣士・e01435)は口笛を吹いた。
「デウスエクスもマジであの手この手を尽くしてくるようになったよなァ」
「攻性植物もすげぇ手を考えたもんだわな? こうすりゃ良いってデータでも集めたのかねぇ」
 結城・勇(贋作勇者・e23059)も実際に目の当たりにした緑の美女に目を丸くしている。
「バナナだかメロンだかしらねっスけど、攻性植物の新たな企み、放置するわけにはいかねっス!」
 うおおお、とハチ・ファーヴニル(暁の獅子・e01897)は闘志をたぎらせ、ぐっと大地を踏みしめた。
 極悪メロンをたわわに実らせた攻性植物は、そんなケルベロスの会話内容など理解できないようで、ただただ妖しく微笑み手招いている。
 草陰でほのかは自分の胸を見下ろした。実はスタイルのいい彼女だが、あれほど立派かと言えば自信はない。
「……へぇ、こんな所にすげぇ女が居たもんだぜ」
 勇はバナナイーターの誘惑にかかった演技をはじめる。
 バナナイーターの背から両手を伸ばし、ぐわっと大胆に両のメロンを握る。
「おっ……メロンといいつつ、手触りはマシュマロ。けど、実なんだよな。食用なのかい?」
 と勇がうなじを舐めあげると、バナナイーターは甘えるようにのけぞって身じろぎした。
 そのまま勇の首に腕を回し、バナナイーターは熱烈な接吻をねだってくる。
(「おっ……と」)
 応えてやりつつも勇は、快楽に流されそうになっていた。
「健康的なケルベロス男子としちゃ、放っておけないよな。いっちょ、世界平和の為に一肌脱ぎますか」
 ダレンも、わざとフラフラした足取りでバナナイーターへと向かっていく。
「おいおいおいおい、コレはまたイングランドでもそうそうお目に掛かれない豪勢なメロンなんですが」
 迫力のあるメロンにダレンの視線が吸い込まれる。
「イングランドでもがどーのとか。なぁに、わたしの胸が小さいって言うの!?」
 草陰で纏が眉をつり上げ、恋人の体たらくにバカバカと小声で文句を言っているのを、ダレンは雰囲気で察知する。
(「危険だと分かっていても男にはやらなきゃならない時があるんだ、マイハニー! だから今日だけは赦してくれ……」)
 むふふとたわわとイザ戯れんとばかりに腕を伸ばす遊び人ダレン、百戦錬磨のはずである。はずであるが。
「う!?」
 伸ばしたダレンの腕に抱きついたバナナイーターは、メロンとメロンで腕をサンドすると、ぬるりぬるりとゆっくり、意味深に上下に擦りつけてくるではないか。
「あっあっ、これ想定超えてるヤバいヤツっすわ……!」
 これは、流れでガチ浮気に発展しそうなアレ!
 慌てたダレンが助けを求めようと草陰を振り返ると、纏は笑顔で腕をバッテンに交差していた。
(「世は無常なのよ、ダーリン♪ でも浮気は許さないから」)
 にっこり。とっても恐ろしい彼女の可愛い笑顔に、ダレンは怖気を振るう。
「て、鉄の自制心を問われてるってわけね。……っ!? う、そこは触るなって! ひっ」
 ダレンは浮気認定されそうな要素を彼女に見せまいと草陰に背を向けた。
 ラッセル・フォリア(羊草・e17713)も人好きのする笑顔を浮かべて別にバナナイーターに近づく。
「食べるならリンゴのほうが好きなんだけど……まぁいいか。立派な果実をお持ちだねー」
 重そうだね、肩凝らない? マッサージしてあげるよ。などと言い募りながら、ラッセルはバナナイーターの肩へと手を伸ばす。
 そんなところより、こっち……とばかりに、バナナイーターは身を捩り、ラッセルの手を胸元へと誘導する。
「え。そんなとこ触っていいの? でもごめん」
 爽やかにラッセルは微笑んでから、キリリと表情を引き締めてみせた。
「俺は綺麗でいないとダメなんだよ」
 『誓い』だからねーなどと付け加えているのだが、バナナイーターはそんなもん知ったこっちゃない。
 ぶにい。
「あっ、ちょ、聞いてた人の話?!」
 ぷよんぷよんばいんばいん。ぱふぱふぱふぱふ……。
 バナナイーターは人の話など聞いちゃいない。ラッセルの手を無理矢理メロンに押し付けてくる。
「積極的すぎないー?!」
 実は女性に縁のないラッセルには少し過激すぎた。というか、グイグイ来られてちょっとヒいていた。仕事だから仕方ないけれど。
 ハチは先程までの闘志はどこへやら、目をぐるぐる回していた。
「あわわ、裸……はだかっス……」
 まだまだ未熟だと自覚はしているが、幼少時から厳しい修行に身を投じてきたハチだ。どのような危険な状況であっても不退転の覚悟を持っている。持っては、いる! が!
「ええええいああああふわふわあああ」
 ふんわりと膨らみを二つ押し付けられながら、優しく抱き締められて、ハチは言葉にならない呻き声を上げるしか無い。
(「うぅ、あたたたくてふわふわ……っス……。胸部のメロンがこれじゃまるで白パンっス……焼きたてのフカフカのやつっス……ふわふわ……っス……ふわわん」)
 ちなみに、女性のおっぱいを触った経験はないハチなので、まず生身のおっぱいと密着しているという事実だけで、かなり脳内はキャパオーバーであった。
 四人の男が、このままではお戯れどころか本番になりそうだというところで、勇から銀子が預かっていたタイマーがピピピと鳴き出す。
「ここからは、戦いの時間よ」
 銀子は言うなり、とにかく最もある意味危ない状況になっているハチに絡みついているバナナイーターめがけて、達人級の一撃を放った。

●女の戦い
「戦いを始めます」
 ほのかの言葉はスイッチ。自信なさげな少女から、冷静沈着な戦士へと変貌するスペル。
「竜の吐息を」
 ほのかが突き出した手から生まれ出づる幻影が咆哮をあげて、バナナイーターを灼く。
「一体ずつ確実に撃破しましょう」
「ほいほい、お返しの時間だな。危うく良い子のケルベロスから一線超えるトコだったぜ……!」
 バナナイーターの魔の手から、するりと身を躱したダレンの刀がひらめき、バナナイーターの緑の皮膚を裂く。
「ほんと男って馬鹿! 魅惑の青い果実って煩いわ、視覚的に青過ぎよ!!」
 黄金の果実で囮になっていた面々に癒やしの光を当てながら、纏は頬を膨らませていた。
 バナナイーターも逃げられなくなってからの攻撃に、反撃を試みる。
 まずは己の味方を増やそうと、バナナイーター達はフルーティーな香りを強く漂わせる。甘すぎて脳を揺らしそうな香りに、ケルベロス達の視界がぐらつく。
 体から伸ばした太い蔓がシャルフィンを捕らえ、バナナイーターの催眠香で熱くなった体をいやらしく撫で回してくる。
「ちょっと待て、誰もおっさんのサービスシーンなんて見ても得しないだろう……っ!?」
 シャルフィンは選りに選って自分が触手の犠牲になるとは思っていなかったらしく、慌てたように叫ぶが、こういう年齢層が刺さるクラスタもいらっしゃるので……。
「頑張れ、負けるな。……ええ!? そんなことまで……」
 銀子がシャルフィンを励まそうと振り向いたが、あられもない三十路男性の姿に目を見開いて、慌てて顔を背けた。
 全身を這い回るように幾重にも体を辱めている蔓を、なんとかシャルフィンは、『やれば出来る』の一念で、蔓の主ごと粉砕した。
 ラッセルが広げる星座がシャルフィンを癒やし、我に返ったシャルフィンは乱れた衣服を手早く整えた。
「なるほど、精神的ダメージ方向の攻撃だったわけね。が、確かに魅力は充分だが、俺を虜にするにゃあ足りねぇな?」
 勇は得心したと言わんばかりに頷く。
「はぁはぁ……え? も、もう戦っていいんスか!? 良かったっス、危なかったっス、怖かったっス!」
 ようやく自分を取戻したハチは目を閉じると、ふうっと鋭く息を吐いた。先程までの情けない面はどこへやら、鬼かと思われるほどの禍々しい気をまとい、ハチは険しい顔のまま、目をカッと開く。その橙色のはずの瞳孔は銀色に変わっていた。
 しゅうしゅうと黒い気はバナナイーターを縛る。この気を放っているハチは苦痛に苛まれているが、
(「集中しろ……闇を恐れることなかれ、っス。苦しいっスけど……誘惑を振り払うには好都合っスからな」)
 だがこの術は禁術――バナナイーターの視線を己に釘付けにする効果がある。
 バナナイーターはとろりとした目でハチを捉えて、舌舐めずりする。
「え?」
 つーっとハチの背を冷や汗が垂れていく。どのような強敵にも勇ましく向かっていけるハチだが、この類の敵は天敵である。
「やばいやつだな」
 後方に陣取っていた勇は移動することにした。
「斬ります」
 ほのかの黒獅子が空を帯びてバナナイーターに浴びせられる。
「それじゃァ、正義の名の下にオシオキと行きますかね……ッ!」
 ダレンの渾身のナックルは、その意志の強さから眩い燐光を放ちながらバナナイーターの顔面にめり込んだ。
 とどめとばかりにシャルフィンの鎌がバナナイーターの生命を吸い取る。
 いよいよ追い詰められたバナナイーターは、仲間を増やそうと必死に催眠香をばらまく。
「催眠は危険です、ヒールを厚くしてカバーしましょう」
 ほのかが注意を呼びかけた矢先、バナナイーターを守ろうとラッセルがレーザーを撃つ。
 すかさず銀子がレーザーから纏を庇った。
「ありがと。あとは任せといてー!」
 すかさず纏がラッセルの催眠状態を解除すべくオラトリオの力を使う。
 銀子はそのままルーンの力を放ちながら、斧でバナナイーターに斬りかかる。
 バナナイーターは斬られながらも、なお慈悲を求めるように、いや誘うように蠱惑的な笑みを振りまく。
 ハチは涙目になりながら、バナナイーターに拳を埋める。
「そ、そんな綺麗な顔で微笑んだって負けないんスからね! ねっ!?」
 とハチは半泣きで怒鳴った。
 シャルフィンは、そんな彼にスススと近寄ると、そっとバナナカッターを握らせる。
「……ハチのほうが、必要かと思う」
 三体目のバナナイーターに、滅びという名の救済を与えて滅したほのかは、残った一体を見つめた。
「あと一体ですが、最後まで油断せずに行きましょう」
 ほのかが言うなり、バナナイーターはぐばりと胸の谷間を縦に開いた。
 豆の鞘を思わせる器官が、ハチを飲み込まんと迫ってくる。
「させるか!」
 一回攻撃の機会を放棄してまで盾になりにきた勇が、ハチを突き飛ばして自分を鞘におさめた。
「?!」
「あらら!」
 纏がすぐにヒールできるように、勇の排出に備える。
「ぅあ……はっ。こりゃ、思った以上に……ッ、んうっ、あ、ああっ」
 くぐもった声と荒い呼吸音、呻き声やら喘ぎ声やらが鞘から聞こえてきた。
 ごぽり、となにやら粘液まみれで出てきた勇は、ぐったりと地に倒れていた。
「えっ手遅れ!?」
 纏はぎょっと目を見開いたが、よく見ると勇は動いていたので、慌てて準備していた黄金の果実を与える。
「うわー……ご愁傷様ですー」
 ラッセルはポツリと呟きつつも、反撃のためのグラビティを練る。
「……さあ、紅い夢を見よう」
 ラッセルが作り上げた少女の幻。彼女が最後に燃やした炎がバナナイーターを包んで燃す。
「公序良俗的なアレの為に早く撃退するんだ!」
 ダレンが慌て気味に刀で月光の軌跡を描いて、炎ごとバナナイーターを断つ。
「この一撃を受けてみろ」
 シャルフィンのやる気を集めた『よっこらショット』がバナナイーターの胸の真ん中を撃ち抜く。
「これで終わりにするわよ!」
 銀子の渾身の一撃がバナナイーターを完全に黙らせた。

●帰ろ帰ろお家に帰ろ
「……男性陣はお疲れ様。強く生きてね」
 銀子はため息を吐いて、一同に向き直ると労りの言葉をかけると、歩き出した。
「飼い主の人に猫が戻っていると伝えるんですね。私も行きます。猫に会えないのは残念ですが、無事が何よりですから」
 ほのかも、銀子の後を追う。
「ハッ! 俺も行くっス! マックの事、早く伝えてあげたいっスね!」
 とハチも彼女らを追いかけるのだが、強烈な体験のショックからか足取りが覚束ない。
「大丈夫?」
 銀子に気遣われ、ハチはコクコクと何度も頷く……が、足取りはやはり覚束ない。
「何事も程々が良いよね、多分」
 撤収ーと、ラッセルはノックアウト状態の勇に肩を貸しながら、大阪城の森を後にする。
「行き過ぎた天国は地獄と同じだな……へへ……」
 勇はまだうっとりとしただらしない表情のまま、ぶつぶつとそんなことを呟いていた。
「見事に潔く散ったな。頑張った頑張った」
 ラッセルの反対側からシャルフィンが雑に勇を励ましている。
「ふー。一件落着だな。また世界平和のために貢献しちゃったぜ」
 と息を吐いているダレンに、纏は笑顔で近づくと明るく言い放つ。
「はい、そこのイングランド人は土下座ーぁ!」
 ダレンはぴゃっと跳ねると、額を地面にぶち当てた。
「すんません、マジで調子乗ってました」

作者:あき缶 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年5月28日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 3/素敵だった 4/キャラが大事にされていた 1
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