●ビジネス街を襲う罪人
千葉県千葉市内、海浜幕張駅。
この周辺は、ビジネス街として知られている。
4月ということで、企業に新入社員が入った時期。彼らは新たな職場で精一杯働き始めたところだ。早くも五月病になる者もいるようだが……、それでも、昼休みともなれば、新たに同僚となった仲間と楽しくランチタイムを過ごす。
そんな折だ。この地にエインヘリアルが降り立ったのは。
「ふむ、たくさんの新入社員……ですか」
一見、その銀の鎧を纏った男は紳士然としているようにも見える。しかし……。
「ならば、教育的指導をしなければなりませんね……!」
そいつは早速、道行く男性3人へとオーラを纏った拳で殴りかかっていく。一撃でその身体を粉砕してしまうと、さらに、食らいつく弾丸を放って近場の中年男性を殴打し、一撃で絶命に陥らせた。
「おっと、新人ではない人にも当たりましたか。まあ、スキルがないあなたが悪いのです」
含み笑いをするエインヘリアルは、この場から逃げようとする人々を襲う。だが、エインヘリアルからは逃げられるはずもなく。
「他愛ない。そんなザマでは社会でやっていけませんよ……?」
そんな言葉を発しつつ、エインヘリアルはなおも拳を振るって、人々の体を破壊する。
彼の言う『教育的指導』によって、街には多数の死体が折り重なるように倒れていたのだった……。
エインヘリアルによる襲撃事件が続いている。ケルベロス達はその阻止の為に、ヘリポートへと駆けつけていた。
「新社会人が多く集まるビジネス街を、エインヘリアルが襲うそうだな」
「うん、間違いないよ」
集まるケルベロスの中から、鏑木・郁(傷だらけのヒーロー・e15512)が話を持ちかけると、リーゼリット・クローナ(ほんわかヘリオライダー・en0039)が頷く。
エインヘリアルは平均身長が3メートルほどある大柄な種族。頑強な肉体を持ち、総じて好戦的な戦闘種族というのが一般的な個体だ。
「アスガルドにおいて、『教育』と称して仲間や部下を殴打して死に至らしめた凶悪犯罪者が相手だよ」
どうやら、このエインヘリアルは、アスガルドで『永久コギトエルゴスム化の刑罰』を受けていたらしい。ただ、解き放っても反乱勢力にはならないと見なされ、こうして地球へと送り込まれたようである。
放置すれば、多くの人々の命が無残に奪われてしまう。また、人々に恐怖と憎悪をもたらし、地球で活動するエインヘリアルの定命化を遅らせることにも繋がる。なんとしても、この場で撃破したい相手だ。
「この銀の鎧を纏ったエインヘリアルはオーソルといって、紳士のような見た目なのだけれど……」
オーソルは身長は3m20cmほどと、エインヘリアルの中でもそこそこ大きい相手。バトルオーラを纏い、『教育的指導』と称して周囲の相手に殴りかかってくる。……例え、相手が死に至ろうとも。
「元々囚人のような扱いもされていたから、戦場から逃走しようとはせずに戦い続けようとするようだね」
こちらも全力で戦い、相手を叩き伏せてしまいたい。
「現場は、海浜幕張駅周辺……千葉県千葉市のビジネス街だね」
エインヘリアルは昼食時に現れ、周囲の人々へと殴りかかってくる。ケルベロスの到着もその前後となる予定なので、到着次第敵の対処と一般人の避難を手早く行いたい。
「説明は以上だよ。……出発は少し待ってね」
そうして、リーゼリットは離陸準備をとヘリオンへと乗り込んでいく。
それを待つ間、ケルベロス達は挨拶を交わし、それぞれ意気込みを語る。
「拳で教育なんて、一体いつの時代の話だかな……」
ケルベロスの中には、雛形・リュエン(流しのオラトリオ・en0041)の姿もあった。呆れながらも、彼は参加するメンバーのアシストにと動いてくれるようだ。
程なく、準備は整ったらしく、ヘリオンから顔を出したリーゼリットが笑顔を見せる。
「それでは、行こうか。よろしく頼んだよ」
参加者 | |
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蒼龍院・静葉(蒼月光纏いし巫女狐・e00229) |
写譜麗春・在宅聖生救世主(誰が為に麗春の花は歌を唄う・e00309) |
リーア・ツヴァイベルク(紫花を追う・e01765) |
水無月・実里(彷徨犬・e16191) |
秋空・彼方(英勇戦記ブレイブスター・e16735) |
ソフィア・フィアリス(傲慢なる紅き翼・e16957) |
白石・明日香(愛に飢え愛に狂い愛を貪る・e19516) |
天喰・雨生(雨渡り・e36450) |
●教育を履き違えた男
現場に向かい、数人のケルベロスを乗せたヘリオンは、千葉県を目指してフライトする。
「犯罪者を解き放って侵略するなんて……! そんな傲慢な作戦、見過ごせるものか!!」
感情を制御できぬのは、未熟ゆえなのか。秋空・彼方(英勇戦記ブレイブスター・e16735)は大声で街中を襲うというエインヘリアルに苛立ちを見せる。
「……まぁ、教育の場に拳が必要か否か、ってのは、今は置いておいてー。このオーソルってのがやってるのは断じて、教育じゃないよねー」
現在教育のあり方については、かなり大きな議論になりそうだが。敵の行為を写譜麗春・在宅聖生救世主(誰が為に麗春の花は歌を唄う・e00309)が否定する。
「今時暴力に頼った指導なんて、社会の風潮的に許されてないのにね」
中世的な見た目のリーア・ツヴァイベルク(紫花を追う・e01765)も嘆息しながらも相槌を打つ。飴と鞭という言葉があるが、敵が行うは鞭ばかり。それはあまりに酷だと彼は語った。
思い起こせば、リーアは暖かい環境で育ってきたが、拾われる前の人生は鞭ばかりだった。丁度、そのつり合いが自分には取れているのだろうかと彼はぼんやりと考える。
その時、機内に現場到着のアナウンスが流れる。
「行きましょう。『教育的指導』という名の殺戮を止める為に」
濃蒼のロングドレス姿、そして、白い髪に蒼色の満月と羽の付いた髪飾りをつけた蒼龍院・静葉(蒼月光纏いし巫女狐・e00229)がそう仲間達に呼びかけ、開け放たれた扉から、下に広がるオフィス街へと飛び降りていくのだった。
千葉県千葉市のオフィス街として知られる海浜幕張の地。
この地に現れた銀の鎧に身を包むエインヘリアル、オーソルは周囲を見回し、丁度、昼食をとるべく街中を歓談しながら歩く新人社員に目をつけた。
「これは、教育的指導が必要ですね……」
全身にバトルオーラを纏い、水平に跳ぶオーソルが拳を突き出そうとする。
その前に、宝石のついたガントレットを輝かせて全身を戦闘用の鎧装に包んだ彼方が立ちはだかり、敵の殴打に身を挺した。
「それは教育的指導とかじゃなくて、ただの暴力だ!」
殴られながらも彼が一喝すると、オーソルはケルベロスの出現に一度拳を引く。
「老紳士な見た目ねえ」
そんな敵の姿を眺めていたソフィア・フィアリス(傲慢なる紅き翼・e16957)。いつものように、だらしない格好とポージングの彼女が呆れたように呼びかける。
「年齢より強さが重視されるデウスエクスの社会で、その外見で教育……。教育者としての中身は伴ってなかったのがよく分かるわ」
「何……?」
オーソルはぴくりと眉を動かし、不快そうにケルベロスを睨みつける。
その間に、他のメンバーはこの場の一般人の避難誘導を開始する。
敵の的になりかけていた新人社員達は白石・明日香(愛に飢え愛に狂い愛を貪る・e19516)が保護し、この場から離れるよう促す。
「デウスエクスの襲撃です、此処は危険ですから離れてください!」
静葉は割り込みヴォイスを働かせ、出来るだけ多くの人々へと状況を伝えた上で人々に避難を呼びかける。
「振り返らないで。僕らに任せて逃げて、できるだけ遠くまで」
エインヘリアルの前に立ち、その攻撃が人々に及ばぬよう警戒する天喰・雨生(雨渡り・e36450)。愛用する大きめのフード付きローブを着て、一本足の高下駄を履く彼は殺界を形成し、新たな人々の接近を防ぐ。
「すぐに戦闘となる。早く離脱を」
雛形・リュエン(流しのオラトリオ・en0041)もまた、人々へと通る声で呼びかけを行う。サポートに駆けつけてきた郁もまた、隣人力を使って安全な場所に移動するよう呼びかけていた。
エインヘリアルの前に立つメンバー達は、敵を威嚇しつつ呼びかける。
「それでもやるなら僕が受けてたつから、他の皆に手を出すな!」
「なるほど、先にあなた達に教育が必要なようだ……」
彼方の言葉に首を振るオーソルは改めて戦闘態勢に入り、構えを取る。
そんなエインヘリアルの姿に、水無月・実里(彷徨犬・e16191)は身体を振るわせた。
「自分勝手な理屈と事情で、なんでもないように命を奪っていくのだよね、お前達は」
普段は感情表現に乏しい実里だが、エインヘリアルに対して抱く憎悪は非常に深く、激情を露わにする。
避難をリュエンらに任せてきた静葉もまた、戦線に加わる。
「支援はお任せを。元ですが、蒼月の巫女として皆さんを全力で支えます!」
「さてはて……、教育的指導という名の暴力はやめさせませんとね~」
明日香もまた、何を考えているのか分からぬ笑みを浮かべ、後方から敵と対する。
「全く、指導の手が追いつきませんね……」
「どんな指導をするのか、見せてもらえないかしら?」
鼻を鳴らすエインヘリアルにも、ソフィアはまるで調子を変えない。
避難の手を止めてこちらにやってきた雨生は、敵の態度に苛立つ。
「教育教育、煩いんだよ。上から目線で説教なんて腹立たしい限りだね」
愛用のローブを翻す雨生は、シャーマンズカードを手にしてさらに続ける。
「あんたにこそ、『誰かれ構わず殴らない』っていう初歩的な教育が必要なんじゃないの?」
「言い聞かせるには、折檻も必要でしょうに……!」
水掛け論にもなる状況に業を煮やし、オーソルは飛びかかってくる。
「さあ、逆にこっちが指導してやろう」
ファミリアロッドを手にしたリーアもまた敵へ言い放ち、仲間と共に敵の抑えへと入るのだった。
●道を誤った教育者
この近辺からは一般人は遠ざかってはいたものの、いつ敵の矛先が逃げ行く人々に向くか分からない。
「私がパフォーマンスウェアを着たということは! これはつまり、ライブであるということ!」
敵のバトルオーラの対策が万全な衣装を纏い、翼を羽ばたかせた在宅聖生救世主は敵へと突進して大きく息を吸い込む。
「歌のグラビティ持ってきてないとか関係ないね。私の歌を聞けー!」
フェスティバルオーラを全開にした在宅聖生救世主は「言葉にならない想いはいつも……」と歌いながら、巨躯のエインヘリアルへと重力を宿した蹴りを喰らわせる。
いきなり突進してきた在宅聖生救世主をちらりと横目で見たオーソル。早速、拳で叩き落とそうとしたのを、今度はリーアが受け止めた。
「お前のやり方は時代遅れだよ」
本来はヒットアンドウェイで相手を攻めるのがリーアのスタイルだが、彼は敢えて敵の前に身をさらし、敵へと挑発の言葉を繰り返す。
「それに、指導の仕方が全然なっちゃあいない。……相応の飴がなくちゃ、効果は薄いよ」
彼はそうして、手元のファミリアロッド【灰かぶりのファイルヒェン】に視線を落とす。
「いくよ、ファイル」
呼びかけたファミリアロッドを振るったリーアは、その尖端から多数の魔法の矢を射出し、オーソルの体を射抜いていく。
「頼んだよ、ビャッコ!!」
彼方は初めて共に戦うウイングキャットへと呼びかけるが、ビャッコは先んじて尻尾のリングを相手の拳を縛り付けていた。やや遅れ、彼方もブレイブスターの武装、メタリックガイアを展開し、オーラの拳で敵に殴りかかる。
前衛陣がオーソルの攻撃を持たせられるようにと、後方に立つ静葉は全身からオウガ粒子を発し、前に立つ仲間達の感覚を覚醒させていく。
同じく、仲間の後ろに立つ雨生。まだまだ成長途中の彼にとっては、身長の低さはコンプレックスにもなっていて。
「そうも図体がでかいと、小回りきかなくて不便じゃない?」
雨生は挑発の言葉を投げかけるだけではない。左半身に刻まれた梵字の魔術回路を赤黒く輝かせ、召喚符から呼び出した氷結の騎士を特攻させた。騎士は槍で斬撃を繰り出し、長身の敵の腕を凍りつかせる。
「ふはは、遅いですよ!」
ただ、時にオーソルの動きは速い。敵はソフィアに狙いをつけ、彼女を拳で殴りつける。
手応えは十分とオーソルはニヤつく。ただ、ソフィアは思った以上にダメージを受けている素振りを見せない。
「相手の攻撃属性に防具を合わせていれば、こんな感じでダメージが軽減できるわね」
ソフィアは自らや、先にオーソルに殴られた彼方やリーアを示しながら、誰に言うとでもなしに語る。敵が教育者ぶるのであれば、ソフィアは相手を「教材」扱いしようと考えていたのだ。
「く……」
その場から飛びのくオーソル。そいつを狙って躍り出たのは、主人を護り損ねたミミックのヒガシバだ。家電にも似た見た目のそのミミックはエクトプラズムで武具を生み出し、特攻しつつ殴りかかる。
そして、追い討ちとばかりに、翼を広げたソフィアが聖なる光を放ち、エインヘリアルの巨躯を撃ち抜いていく。
「教育のなっていない人達ですね……」
オーソルの呟きに、実里がまたも身を振るわせる。
「ああ、なんて憎たらしいのだろう」
エインヘリアルは実里にとって唾棄すべき相手。不倶戴天とも言える存在へ、彼女はすらりと日本刀を抜く。
「貴様のような輩は、今すぐ死んでしまえ」
最早周りなど関係ない。実里は殺意を抱く相手の体へと弧を描くように刃を見舞う。
同時に、死角から姿を現した明日香が、掌から発したドラゴンの幻影に炎を吹きかけさせた。
「間違った愛なんて、私はいらないのよね」
銀の髪に混じり一房だけ赤い髪が特徴的な明日香は、小悪魔的な笑いを浮かべる。それに、オーソルは少しずつ苛立ちを募らせるのだった。
威力はあれど、エインヘリアル、オーソルの攻撃は単体メインだ。
仲間を庇って飛び出す彼方。敵の拳は決して軽いものではないが、事前にバトルオーラを纏った敵だという情報を元にして、防具を選んでいた。
「これ位じゃ、やられない!!」
彼はすかさず後方に爆発を起こし、自身や仲間を鼓舞する。
敵はエインヘリアルという強者。仲間と共に戦ってやっと、互角程度に渡り合える程度の力しかない。それでも、彼方は果敢に大柄な相手へとハンマーを叩きつけていった。
「なかなかやりますね……」
皮肉すら口にする敵はケルベロスを殴り、オーラの弾丸を飛ばしてくる。
「お怪我はありませんか?」
敵の攻撃を仲間が受ける度、静葉は声をかけて回復に当たった。光の盾を展開し、仲間に対する衝撃を和らげる。
広範囲の回復手段も用意していた静葉だったが、避難誘導を終えて駆けつけたリュエンが緊急手術を行い、メンバーを万全な状態にしようと務める。
避難誘導が終わったことで、ケルベロス達は本格的にエインヘリアルへと攻勢を強める。
軽やかに空を舞う在宅聖生救世主。
「幸せなんてものはいつも 砂上の楼閣のようで……♪」
時に、オーラの弾丸を浴びていた在宅聖生救世主だったが、防具でしっかりとカバーしつつも次々と思いつく歌を歌う。そして、受けたダメージはしっかりと簒奪者の鎌で切りかかることで、在宅聖生救世主はエインヘリアルから生命力を奪い取っていた。
正面からは実里が敵意の炎を燃やし、敵へと攻め入る。
「切り刻む」
ウェアライダーの実里は四肢を獣と化し、肉体の限界を超えて縦横無尽に敵の周囲を跳ね回り、唸りを上げて敵の銀の鎧を断ち切っていく。
「……失せろ」
獣の猛撃にオーソルの表情がついに歪む。いくら強靭な肉体を持つエインヘリアルとはいえど、度重なるケルベロスの攻撃に耐え切れなくなってきている。
攻撃の構えを取るオーソルの体を、明日香が伸ばしたケルベロスチェインが絡みとる。脚を縛られて動きが鈍った敵は、なおもオーラの弾丸を撃ち出すが、リーアがしっかりと身を投げ出すことで仲間を護る。
すかさず、リーアは反撃にとリボルバー銃「白狼」を握り、地面や戦闘によって破壊された瓦礫を生かして跳弾を飛ばし、敵の後頭部へと弾丸を叩き込む。
「ケルベロスの指導はどうだ?」
しかし、敵は苦虫を噛み潰したような顔をし、応えない。気力を溜めることで、自らの回復を図っていたようだ。
その一手だけでも、ケルベロスの回復の手が休まる事となる。
「こちらの手数が減らせていない状況での回復は、相手がそれだけ追い込まれているってことね。たたみかけましょうか」
それを冷静に説明するソフィアはヒガシバを敵に食らいつかせた上で、両手から弾丸を飛ばして命中箇所を凍りつかせていく。
「では、此方も貴方に『教育的指導』と参りましょう。貴方と同じ事で」
応じた静葉が抜いたのは、蒼く煌く流星刀「蒼煌刃時月」。彼女はそれを左手で弓を携えるように構える。そして、右手に「御業」を纏わせた魔法の矢を生成した。
「纏うは『煌』、蒼き月の加護を受けし破魔矢にて敵を討つ!」
静葉の手を放れた矢は空を駆け抜け、オーソルの腹を穿つ。そこから発せられる破魔の力が敵の体を痺れさせる。
サポートの為にとやってきた郁がそこで、グラビティによって生成したライフル銃から銃弾を撃ちこむ。
「くっ……」
痺れを強めたオーソルは動かぬ身体に小さく呻く。
同じ旅団の頼もしい友人の助けに感謝する彼方。
「ビャッコ、今度こそ……!」
タイミングをギリギリで見計らったビャッコがオーソルの体を引っかく。その直後に、オーラを纏わせた拳で彼方が力の限り敵の頬を殴りつけた。
「やった!」
なんとか連携が成功したのに喜ぶ彼方の背後から、雨生が畳み掛ける。
「血に応えよ――天を喰らえ、雨を喚べ。我が名は天喰。雨を喚ぶ者」
すでに、敵の解析は完了。敵の持つ水分と自らの魔の波動を同調させた雨生は、敵の腹目掛けて掌底を撃ちこむ。
「――これでお仕舞い。さよなら」
雨生の一族に伝わる術「雨呪」の一つ「第壱帖丗肆之節・塵核」。彼の発した波動は敵の水分を奪いつくし、枯れ果てさせる。
「かぁっ……」
生命活動が停止したオーソル。そいつは乾いた砂と成り果て、地面へと流れ落ちていったのだった。
●Pranzo!(昼ごはん!)
エインヘリアルを倒して落ち着きを取り戻すケルベロス達。
戦場となった道路に気力を撃ち出すリーアは、周囲に再び昼食へと繰り出すサラリーマンの姿を目にし、自らも空腹を覚える。
「そういえば、丁度昼時なんだよね。なら、何か食べて帰らないかな」
「一仕事終えると、なんでこうもお腹がすくんだろうね」
リーアの提案に、大食いな雨生もまたお腹を鳴らしていて。
そこで、オウガ粒子を飛ばした修復と、エネルギー光球を発した仲間の手当てを行っていた静葉がやってきた。
「そういえばお昼時ですね。雛形さんはこの周辺で美味しいお店って知ってますか?」
「そうだな、確か……」
事前にリュエンはスマートフォンで幾つかチェックしていたのだが。ふと、そばの店にケルベロス達が何気なく目をやると。
「ピッツァ、うまー」
ヒールグラビティがないからと清々しいほどに割り切った在宅聖生救世主がすでに、おいしそうにマルゲリータ・ピッツァなぞ口にしているではないか。
そんなマイペースな在宅聖生救世主に呆れるケルベロス達だったが、空腹には抗うこともできず。彼女に続く形でメンバー達は店に入り、銘々食べたいイタリアン料理をオーダーするのだった。
作者:なちゅい |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2017年5月2日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 3/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 3
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