阿鼻叫喚! 可愛くない女装男子が出没!

作者:ハル


「どうですかぁ、ビルシャナ様~!」
「あっら~ん、いいじゃな~い! 皆、似合ってるわよん?」
 とある路地裏に潜む異形の鳥人ビルシャナとその信者達。彼らは、並々ならぬ存在感と違和感を周囲へと解き放ち、すべてを威圧していた。
「やん、嬉しいですぅ!」
 その甘えたような信者の口調に、ヒラヒラと舞うスカート。華を添えるのは、筋肉質な脚と黒々とした毛!
「世間では男の娘とかいうのが人気あるようだけど、男の娘が女装してたってちっとも萌えないわっ! やっぱり男の中の男! 成人男性にこそ女装をさせなくちゃね~! 皆、私に出会えて嬉しいでしょう?」
「う、嬉ピーー♪」
 ビルシャナに問われた信者達が、キャルン☆と可愛らしい仕草をとる。再び揺れるスカート、はみ出る胸毛。
「いいわよ、その慣れてない感じがいいのよ! 男が屈辱を堪えて女装をして、少女のように振る舞う様! それこそが萌えなのよ!」
 本質は男の中の男である信者達の動きはぎこちない。だが、そこがいい!
 同じく筋肉質の身体に、はちきれんばかりのドレスを身に纏い、女装のビルシャナはいつまでも歓声を上げ続けるのであった。


「過去を含めても、最上級の変態です……」
 もちろん、褒め言葉ではない。セリカ・リュミエール(シャドウエルフのヘリオライダー・en0002)は口元を抑えながら、会議室にやってきたケルベロス達に今にも決壊しそうな硬い笑顔を向けた。
「シャルフィン・レヴェルス(モノフォビア・e27856)さんが調査された結果、とある空き地にて、ビルシャナの出現が確認されました」
 今回も例の如く、ビルシャナ大菩薩から飛び去った光の影響によって、ビルシャナ化してしまった元人間が相手になる。
 ビルシャナは、成人男性こそが女装すべきであると主張し、信者を増やしているらしい。
「皆さんには、ビルシャナ化した元人間とその配下と戦って、撃破してもらうことになります。このビルシャナ化した人間が、周囲の人間に自分の考えを布教して、配下を増やそうとしている所に乗り込む形となります」
 ビルシャナ化している人間の言葉には強い説得力がある為、放っておくと一般人は配下になってしまう。
 ここで、ビルシャナ化した人間の主張を覆すようなインパクトのある主張を行えば、周囲の人間が配下になる事を防ぐことができるかもしれない。
「また、ビルシャナの配下となった人間は、ビルシャナが撃破されるまでの間、ビルシャナのサーヴァントのような扱いとなり、戦闘に参加します。ビルシャナさえ倒せば元に戻るので、救出は可能ですが、配下が多くなれば、それだけ戦闘で不利になるでしょう」
 そこでセリカは一息つき、先を続ける。
「ビルシャナは、氷の輪や孔雀型の炎を飛ばし、時には破壊の光を放ってくるようです。信者の方々は八人で、戦闘力は高くありません。しかし、倒すと死んでしまうので、手加減してあげるといいでしょう」
 セリカは資料を捲りつつ、
「まず、残念というか、悲しいお知らせをしなければなりません。それは、ビルシャナに洗脳された信者さん達には、それぞれ家族がいるという事です」
 妻であったり、娘、息子がいる。果ては、新婚真っ直中の者までいるという。
「こんな現場を……目撃や写真一枚撮られるだけで、それこそ大惨事です!」
 家庭崩壊一直線である。
「信者さん達も、心の奥底では女装をしている自分を良くは思っていないはず。何故なら、ビルシャナの洗脳はそうした男性の意識を十分残しながら女装をさせ、女の子のフリをさせて辱めるという意図があるからです」
 なんと恐ろしい。信者達をよく観察すれば『くやしい……! でも……っ』そんな感じの内心が透けて見えるようではないか。
「どうか、ケルベロスの皆さん以外が信者さん達の姿を見てしまう前に、正気を取り戻してあげてください! 変態はビルシャナだけで十分です! あと、無駄毛の処理くらいはして欲しいものですよね……!」


参加者
斉藤・怜四郎(黒衣の乙女天使・e00459)
マサムネ・ディケンズ(乙女座ラプソディ・e02729)
イリア・ミラジェット(蜃気楼の翼・e02795)
鏡・胡蝶(夢幻泡影・e17699)
アンジェリーナ・ロマンゼット(愛の迷い子・e22254)
シャルフィン・レヴェルス(モノフォビア・e27856)
アンセルム・ビドー(蔦に鎖す・e34762)
言樺・奈央(行屍走肉・e36516)

■リプレイ


「あ、悪趣味です……あんなのもは、あんな、服『だけ』女の子は……女装とは認められません……!」
 眼前に広がる悪夢に、イリア・ミラジェット(蜃気楼の翼・e02795)は絶句していた。
「ビ、ビルシャナ様ぁん!」
「いいわよん、皆! その感じその感じ!」
 身体をクネクネとさせつつ恥じらう女装の男達。だが、服や髪型が女っぽいだけであって、彼らは筋肉質で毛がボーボーの成人男性達である。
「現れたわねんっ、ケルベロス!」
 と、空き地の前で、茫然自失としていたケルベロス達をビルシャナが見つける。そして、論破してやる! とばかりにこちらに近づいてきた。
(個人の範疇でなら、自由にやればいいと思うけど……これは)
 その動きに合わせ、鏡・胡蝶(夢幻泡影・e17699)が同じだけ後退する。それだけ……近くにいるだけで、精神に深刻な影響を与えそうな女装姿なのだ。
「好きでそのお洋服を着ているなら、僕はいいと思うんだ。でもね、その姿を……お友達や、家族の人に見られても、君たちはいいのかな?」
 クールな胡蝶すらもたじろがせるビルシャナと信者達。その前に、奇妙な集団に唸り声を上げてるアンゴラを引き連れて、アンジェリーナ・ロマンゼット(愛の迷い子・e22254)が躍り出ると、真剣な表情で告げた。
「ここが室内なら、僕は好きにするといいと思うよ? でも、この空き地や屋外にいたら、下手したら誰かに見られるかもしれないんだよ?! 似合う似合わない以前に、君達にその覚悟はあるの!?」
「そうですよ。せめて、最低限整えてください! 具体的には、無駄毛の処理をして、然るべきメイクを! 似合う人がするからこそ倒錯的な魅力が生まれ、萌えるのであって、あなた達の女装はただの汚物! 嫌悪と吐き気しか感じないゲテモノ趣味でしかありません!」
 世間から、そう思われていいのか? アンジェリーナとイリアが、力の限り訴える。
「確かに、貴方達のお嫁さんやご家族が、今の貴方達のような趣味を受け入れてくれるかしら……っていうのには興味があるわね」
 次いで、胡蝶の言葉が、信者達に現実を思い知らせようと、空き地に木霊した。
「よ……嫁にこんな姿を見られたら……」
「娘に……もし、あああっ!」
 一瞬、信者達は分かってくれたのか!? そう思い、胡蝶、アンジェリーナ、イリアの口元に、笑みが浮かぶ。
 だが――。
「あああっ!」
 ビクンッビクンッ! 信者達の身体が跳ねた。
「い、一体どうなっているんですか?!」
 その反応に、イリアが困惑する。
 すると、これまで沈黙を貫いてきたビルシャナが、ゆっくりと口を開いた。
「甘いわねん、ケルベロス! 彼ら……いえ、彼女達は、心の奥では女装を嫌がっているわ。まして、家族にその姿を見られるというなら、なおさらね! でも、そんな心とは裏腹に身体は女装を求め、誰かに見て貰いたいという欲求を抑えきれずにいるのよ!」
「……なんて面倒な教義なのかしら」
 ビルシャナの語る複雑な内容……男心(オトメゴコロ)に、胡蝶が天を仰ぐ。要は、信者達の心の動きと、表面上に現れる身体の反応や言葉は一致していないという事。その一致のなさにこそ、ビルシャナは萌えているのだ。洗脳によって、勝手に女らしい言葉や行動をしてしまう信者達の、屈辱と羞恥に塗れた内心を想像して。
「つまり、君たちの心の枷を壊すくらいのインパクトを与える必要があるって事だね。でも、良く分かったよ、君たちには、意思も覚悟もない。だから、彼らならやってくれるはず、そうだよね?」
 信者達の厄介さは理解した。だが、アンジェリーナは彼らならやってくれる! そう信じて後ろを振り返った。
 そこには――。
「あら、私ったらこういう服も結構イケるんじゃない♪」
 タイトスカートにハイヒール、黒ストにゆるふわロングの巻き髪に、メガネに紅のリップという女教師風の格好をしつつ、うっとりと手鏡を覗き込む斉藤・怜四郎(黒衣の乙女天使・e00459)を筆頭に、5人の乙女(笑)の姿があった!


「わぁ……っ! シャルフィンの白ロリすごい綺麗! 流石オレが選んだ人だ」
「うむ、マサムネもその……似合ってるぞ」
 マサムネ・ディケンズ(乙女座ラプソディ・e02729)とシャルフィン・レヴェルス(モノフォビア・e27856)が、互いの格好を褒め合っている。ただ、目をキラキラとさせるマサムネとは対照的に、シャルフィンは努めてマサムネの足元を見ないようにしながら、にゃんこメイド服の猫耳部分を摘まむ。
「やーん♪ アンセルムくんと奈央くんもか・わ・い・い! イケナイ事しちゃいたーい!」
「う……ふっ……ふ、ふ……そ、そうかい? それはありがたいね」
「自分だとは到底思えないな。もちろん、変態的な意味で!」
 怜四郎が手をパチパチとさせて視線を向けると、そこには少女人形とお揃いのワンピースを着用し、笑いを堪えて肩を震わせるアンセルム・ビドー(蔦に鎖す・e34762)と、黒セーラー服と黒スト&黒仮面に黒マントという言樺・奈央(行屍走肉・e36516)がいる。
「お、おお!?」
 その誰も彼もが大柄な背格好をしており、その威圧感は信者達に勝るとも劣らず。少なくとも奈央は、他を寄せ付けずの圧勝を果たしており、信者達も後ずさっていた。
「あっは!」
 そんな様子の信者達を見て、場を支配した奈央がほくそ笑む。そして、デジタルカメラを取り出すと、信者達に向けた。
「折角だし、記念撮影なんかどうだい? ほら、遠慮しないで、笑って! 後で特別に個人のも撮ってあげるからね!」
 そして、奈央は次々とシャッターをきっていく。
「……酷すぎます」
 その惨状に、見ていたイリヤが思わず声を漏らした。
 可愛くともなんともない女装の成人男性達が、シャッター音の度に可愛らしいポーズをとっているのである。恐らく、これもビルシャナの洗脳の成果。
「良い物が撮れたね。うん、これはアレだね。是非ご家族や勤務先の人にも見せてあげたいねぇ! と云う事で、後日郵送しとくね!」
「ひぃいいい!」
 だが、言葉だけでなく現物の証拠を握られたのは、信者達の心の枷に僅かの亀裂を入れたらしく、彼らは涙目になって悲鳴を上げる。
「それでも、シャッター音の度にポーズをとるのはやめられないんだね」
 その健気な様には、アンジェリーナも涙がちょちょ切れる思いであった。
「もし言樺の撮った写真を見られでもしたら、家族に何て言われるだろうね? 離婚届? 絶縁? 別居? 通報? 他人のふりをされるだけで済むかなあ? 似合ってるボクと、キミたちとでは違うんだよ?」
「……ぐっ、確かに、どうしてそんなに堂々としていられる……のよ!」
「そんなのは決まっているだろう? ボクは自分が変態だとしっかり自己認識しているからさ!」
 ドーンと、アンセルムが胸を張る。さすが、普段から人形に興奮しているだけあって、格が違う。
「まぁ、似合っているという点では、少なくともビドーさんは貴方達より遥かに上よね」
 ラブフェロモンを漂わせ、胡蝶が信者達の視線を引き寄せる。男性陣に任せても良かったが、どうしても言いたいことがあったのだ。
「ただでさえ私は、髭も胸毛もすね毛も整えてない人とは、絶対寝られないのよ。その上の女装でしょう……? 好きな人は好きかもしれないけれど、さすがに勘弁してもらいたいわ。濡れるものも濡れないし、燃えないわ」
 胡蝶の目線は、全身の無駄毛を処理済みのアンセルムとシャルフィンに向けられていた。その視線の意味を悟り、マサムネに剃毛プレイをされたシャルフィンが、シクシクと噎び泣く。
「おい、私達……ふさふさよ!?」
 その流れに触発され、信者達は急に無駄毛が気になり始めたよう。
「胡蝶さんの言う通りだ、女装するからには美しくないといけないんだ!」
 さらに、マサムネが乗っかるが、
「いや、貴方だって剃ってないじゃない」
「あー、しまったー、処理忘れてたー」
 胡蝶にツッコミを入れられ、マサムネは棒読みで無駄毛だらけの脚を晒す。
「あー、コレは美しくない、かわいくないぞー。ほらご覧よ、189cm男子の、無駄毛処理忘れた女装イヤでしょ? 自分達の姿、鏡に映したみたいでしょ? だからやろうよ一緒に無駄毛処理! 一緒にツルツルになって、どうせだったら美しい女装目指さない!? オレの恋人、シャルフィンのように!」
「やーん、無駄毛処理したーい!」
「わ、私もよー!」
 マサムネの主張を合図に、女言葉の信者達がこぞって周りに集まり始める。彼らも、少しでもマシになりたいのだ。
「気に入らないわね、ケルベロス! あんたたち、まったく恥ずかしがってないじゃない! そんなの、何も面白くないわん!」
 この状況が気にいらないのか、ビルシャナが苛立った声を上げている。
「あら、確かに私も、恥じらう姿がいいって気持ちは分からなくもないわ。でもね、女装に恥じらう子ばかりっていうのも、それこそつまらないと思わない?」
「な、何を言ってるのよん! 恥じらわないと、何に意味もないじゃない!?」
「へぇ、そう? 私はそうは思わないわ」
 怜四郎はビルシャナに対し冷笑を浮かべると、今度はマサムネと共に剃毛中の信者に向き直る。
「恥ずかしい姿を嘲笑って、罵られたいんでしょ? そんな、ブスでどうしようもないあんた達を、先生が踏んづけてあ・げ・る。ふふっ♪」
「ひぎぃ!?」
 さぁ、新しいステージに行きましょう? 怜四郎のハイヒールが、信者達のお尻に突き刺さる。その絵面に、マサムネが「さすがです、怜四郎先生!」そう歓声を上げた。
 その時、信者達の屈辱と羞恥が、許容量を超えようとして。
「私みたいな美しい男に踏まれて、蔑まれる気分はどうかしら、それとも怒った?」
「わた……俺達は……何故こんなことを!!?」
 信者達が、怜四郎に男の顔を垣間見せる。
「お前達、聞け。女装が似合う似合わないは置いておいて、ロリータファッションを着る三十路男をどう思う? 三十路ロリータだぞ、三十路ロリータ!」
 あと少し。信者達の呪縛を説くため、シャルフィンは信者達の前にしゃがみ込む。スカートの隙間から、信者達にはつるつるの下半身と一緒に、ガーターベルトとモッコリパンツが見えているだろう。
「「「お、俺達は……」」」
 その見た目と、三十路女装ロリータという強烈な単語。
「いい加減にさっさと服を脱いでください、燃やしちゃいますから」
 さらに、イリアが信者達に現在の姿を意識させ……。
「『女装はしない』そう決意してくれたら、写真をばらまくのをやめようかな。で、どうする?」
 奈央が、写真を否応なしに突きつける。
「キミ達には、大切な人がいるはずだよ?」
 極めつけに、アンセルムが信者達の脳裏に家族の姿を呼び起こした。その瞬間――。
「「「俺達は、もう女装なんかしない!」」」
 信者達はついに、ビルシャナの魔の手から解放され、男になったのだ(意味深)。


「気持ち悪い格好しやがって!」
「あんたに言われたくないわよ!」
 マサムネはメイド服のスカートを翻し、黒いねこさんランジェリーを露出しながら、電光石火の蹴りをビルシャナに突き刺す。対するビルシャナは、これまたスカートから黒々とした臑毛を覗かしながら、孔雀型の炎で応戦した。
「正直、どっちもどっちとしか。ただ、自分の趣味を押しつけるのは感心しないけれどね」
 ビルシャナの洗脳が解けた信者達は、避難した先で一様にドンヨリとした空気を纏っている。
「仕方ないから、私が変わりに仇をとってあげるわ」
 そんな、超絶黒歴史を背負ってしまった彼らを哀れに思った胡蝶の瞳が、ビルシャナを惑わせた。
「だ、誰が化け物よ! 私程の美少女が、どこにいるっていうの! あ、空き缶を投げないで!」
 トラウマの効果を受け、虚空に向かって叫ぶビルシャナ。幻影に空き缶を投げられているのか、ビルシャナは頭を抑えて屈み込んでしまう。
「一体何があったというのだろうか……」
「でも、仕事として出会わなかったら、ボクだって空き缶くらい投げたくなるよ」
「まったくだね、とんでもない変態だもの、うん!」
「……あなた達がそれを言いますか、あなた達が!」
 コントじみたやり取りを繰り広げるシャルフィン、アンセルム、奈央に、イリヤが頭痛を堪えるようにしてツッコミを入れる。だが、そうした軽口を叩きながらも、「虚」を纏ったシャルフィンの簒奪者の鎌が、アンセルムの放った影の如き斬撃が、奈央のブラックスライムがビルシャナを飲み込み、切り刻みながら羽をむしり取っていく。
「この、エッチなケルベロスね!」
 羽を毟られ、女性服を破られたビルシャナが、筋肉でムチムチの胸元を隠しながら抗議してくる。
「そういう仕草は男の娘がするからこそ可愛らしく思えるんですよ!」
 男の娘大好きなイリアには、此度のビルシャナは到底許容できるものではない。シャルフィン、アンゴラと手分けして光の光線から仲間を庇いつつ、イリアは隙を見て「鋼の鬼」と化した拳をビルシャナに叩き込んだ。
「そうそう、世の中にはあるでしょ、『だだしイケメンに限る!』っていう至言が。私、美しくないものは好きじゃないの。消えてちょうだい。なぁちゃんは皆の援護任せたわよ!」
「アンゴラはご苦労様だよ。僕も皆の援護に専念するね! あとは、おにいちゃん!」
 なぁちゃんのバリアと、アンジェリーナの降らす薬液の雨が、傷ついた前衛を癒やす。怜四郎は後方から仲間の状態を確認しつつ、問題ないと判断し、チェーンソー剣でビルシャナの傷口を広げた。
 そして――。
(どうしてこうなった?)
 アンジェリーナに合図を受けたシャルフィンは、最後までそうした思いを拭うことができないまま、渾身の一撃を繰り出し、ビルシャナを撃破した。
 やる気が抜け落ちたシャルフィンは、ヘナヘナと崩れ落ちる。その時、彼は女の子座りをしていたという……。
 マサムネ歓喜の三十路ロリータ、ここに完結!

「シャルフィンさんのツルツルおみ足にすりすりしたーい!」
「ちょっと怜四郎先生! それはオレのですよ!」
 シャルフィンのスベスベの脚に抱きつこうとする怜四郎を、マサムネは必至に留めていた。そして、当のシャルフィンは、さすがに恥ずかしいのか、若干赤くなっている。
「早く帰ってマネキンに服を着せないと!」
「さて、皆で記念撮影をしようじゃないか!」
 アンセルムと奈央は、やはり元気そうであった。
「なんか、いつも以上に疲れたわね」
「……ですね」
 そんな彼らと違い、胡蝶とイリアはグロッキー状態。
 残るアンジェリーナといえば――。
「君が敵じゃなかったら、もしかして仲良くできてたのかな?」
 そうビルシャナの亡骸に呟き、「まじで!?」今日一番の驚きを、仲間のみならず元信者達からも向けられたのだった。

作者:ハル 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年5月5日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 1/素敵だった 2/キャラが大事にされていた 7
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