煩わしきかな、兄弟

作者:ハル


「弟に劣る兄の気持ちが分かるかーーーーー!?」
 とあるアパートの一室で、布団に突っ伏したビルシャナは号泣していた。そんなビルシャナの背中を優しく撫でるのは、同じく涙ぐむ男女達。
「勉強でも負け、運動でも負け、親の期待は弟に一身に注がれている! 周りからは出来損ないの兄として見られる毎日! あー、むかつく! 一人っ子だったなら、こんな思いをしないですんだのに!」
 それは、ビルシャナの心からの叫び。
 同調するように頷く信者達も、釣られて涙を零す。
「昔は可愛かった妹が、今では兄である俺の事を汚物扱いですよ! 兄だからって両親は俺に『折れなさい』っていつも言うし!」
「美人なお姉ちゃんに比べられて、ブサイクだと弄られる毎日はもううんざりだわ!」
「血が繋がってるからか、ずっと生活しているからか、こっちの考えを読んできてうざい!」
 ああ、兄弟姉妹とはなんて煩わしい存在なんだ……ビルシャナと信者達の間に、負の感情が蓄積していくのであった。


「ツッコミ所は多々ありますが、とりあえず……」
 セリカ・リュミエール(シャドウエルフのヘリオライダー・en0002)が、集まったケルベロス達に頭を下げた。
「八蘇上・瀬理(家族の為に猛る虎・e00484) さんが調査された結果、とあるアパートにて、ビルシャナの出現が確認されました」
 今回も例の如く、ビルシャナ大菩薩から飛び去った光の影響によって、ビルシャナ化してしまった元人間が相手になる。
 ビルシャナは、自身の経験から兄弟の煩わしさについて語り、信者を増やしているらしい。
「皆さんには、ビルシャナ化した元人間とその配下と戦って、撃破してもらうことになります。このビルシャナ化した人間が、周囲の人間に自分の考えを布教して、配下を増やそうとしている所に乗り込む形となります」
 ビルシャナ化している人間の言葉には強い説得力がある為、放っておくと一般人は配下になってしまう。
 ここで、ビルシャナ化した人間の主張を覆すようなインパクトのある主張を行えば、周囲の人間が配下になる事を防ぐことができるかもしれない。
「また、ビルシャナの配下となった人間は、ビルシャナが撃破されるまでの間、ビルシャナのサーヴァントのような扱いとなり、戦闘に参加します。ビルシャナさえ倒せば元に戻るので、救出は可能ですが、配下が多くなれば、それだけ戦闘で不利になるでしょう」
 そこでセリカは一息つき、先を続ける。
「ビルシャナは、氷の輪や孔雀型の炎を飛ばし、時には破壊の光を放ってくるようです。信者の方々は八人で、戦闘力は高くありません。しかし、倒すと死んでしまうので、手加減してあげるといいでしょう」
 セリカは資料を捲りつつ、
「初めにツッコミ所があると言ったのは、彼らが何の努力もしていない点についてです」
 たとえば、ビルシャナ。ビルシャナは、兄弟がいる事によって、劣等感に苛まれている。だが、運動に関しても勉強に関しても努力していた弟と異なり、ただだらけた生活を送ってきていた。
「その結果が、今の堕落したニート、引き籠もり生活です。アパートの家賃は、今もご両親が支払っているそうです。ちなみに彼は、今年で40歳を迎えます」
 40という年齢に、ケルベロス達は絶句する。むしろ、親には十分愛されているのではないだろうかとさえ思う。
「妹に汚物扱いされる方は、夏場でも三日に一度しかお風呂に入りませんし、美人な姉に嫉妬している方は体重が三桁を越えています」
 疎まれるには、何事も理由があるものだ……セリカは呆れたように首を振った。
「兄弟を疎むなんて、悲しいにも程があります。時にはそういった気持ちになるのも理解はできます。でも、自分本位な考え方をしていては、近い将来自分が誰かにとって煩わしい存在になっているかもしれませんよ!」


参加者
ミオリ・ノウムカストゥルム(銀のテスタメント・e00629)
レイ・フロム(白の魔法使い・e00680)
テンペスタ・シェイクスピア(究極レプリカントキック・e00991)
七種・徹也(玉鋼・e09487)
シェリー・シュヴァイツァー(花紬の氷晶姫・e20977)
ハチミツ・ディケンズ(彷徨える琥珀・e24284)
黒岩・白(ドワーフのフレンズ・e28474)
榊原・一騎(銀腕の闘拳士・e34607)

■リプレイ


「40歳……でございますか……」
 件のアパートを階下から見上げながら、ハチミツ・ディケンズ(彷徨える琥珀・e24284)が想像もできないとばかりに首を振る。確かに、10歳の彼女からしてみれば、それも仕方のない事だろう。
「そもそも、兄弟云々以前に……」
「人としてどうなのかってことよね」
 未だ両親が、このアパートの家賃を出しているのだと考えただけで、テンペスタ・シェイクスピア(究極レプリカントキック・e00991)とシェリー・シュヴァイツァー(花紬の氷晶姫・e20977)も、うんざりとしてくる。実際に顔を見なくとも、そういう類いの者とは、似た系統の顔をしているものだ。
「娘には、絶対に見せたくねェな」
 将来、娘がそういう輩に影響を受けたりすると考えただけで、七種・徹也(玉鋼・e09487)は背筋を震わせる思いだ。そして、仮に娘が40でニートであった時に、パパとしての徹也が、娘を突き放せるかというと……。
「……いや、やめておくか」
 精神衛生上、徹也はそれ以上考えるのをやめた。娘は妻に似た、真っ直ぐな女の子に育ってくれるはずだ。
「アパートの方々に事情をお話して、一先ず避難してもらいました」
 と、そこにアパートに人が残っていないかのチェックを終えた、ミオリ・ノウムカストゥルム(銀のテスタメント・e00629)が合流する。
「それじゃあ、行くっスか。マーブル、力を貸してくださいっスね?」
 黒岩・白(ドワーフのフレンズ・e28474)がアパートの階段を上り始めると、その後に他の仲間達も続いた。

「うぅ、どうして俺達はこんなにも不幸なのか……あれもこれも、すべて兄弟の仕業だ! 疎ましい、煩わしい!」
「妹よ、なぜお前は変わってしまったんだ~~!」
「私はブスじゃないブスじゃないブスじゃない!」
 ケルベロス達がアパートの中に踏み込むと、そこには澱んだ空気が充満していた。
(やっぱり之は、本人達に問題があるよな)
 どれだけ澱んでいるかというと、そのネガティブさに溢れた空気に当てられただけで、一人っ子の榊原・一騎(銀腕の闘拳士・e34607)が、そう認識できる程。
「確かに人をゴミ扱いするのは良くないとは思う」
 一先ず、レイ・フロム(白の魔法使い・e00680)が、ビルシャナ達に合わせるようにそう告げた。すると、涙目がレイに一斉に集中する。
「そうなんだよ、聞いてくれよ~」
「分かってくれる? ねぇ、ねぇ!」
 そして、レイは瞬く間に信者に囲まれてしまう。続くのは、まるでお経でも読むかのようなテンションで語られる、兄弟姉妹を疎む声。
(俺もいろいろあった。だから、彼らの兄弟間の関係をとやかく言うつもりはないが)
 それにしても、彼らの負の感情は大きい。レイは真摯さが伝わるように、言葉を選んで告げる。
「分かるよ、環境によって人間は変わる。恵まれた環境だと、ついそれに甘えてしまうこともある。何らかのトラウマで、殻にこもってしまう事もあるだろう」
「そうなんだ、妹は変わった! 俺を汚物扱い! 両親はそんな妹を放置!」
「ああ、さっきも言ったけど、それは良くない。でも、考えてみてくれ。裏返せば、それは君達に感心が有るからといえないか?」
「そう……なのか? あの妹の表情は、とてもそうとは思えないが……んんっ」
 レイの話しを聞いた信者の一人が、唸りながら考え込む。
「感心のある者が、人を汚物扱いするか! それはな、悪意というんだ、悪意とな!」
 だがそうはさせまいと、ビルシャナが唸る信者の肩を叩き、改心を阻もうとするが――。
「いや、君は臭い。兄弟姉妹でなくても、みんな避けるくらいにな。汚物は悪意でもなんでもなく、事実だ」
 そうさせまいと、テンペスタが容赦なく真実を突きつける。
「え、俺……臭い?」
 信者の青年は、まるで今気付いたとばかりに目をパチクリ。
「臭いっス」
 それに同意する白、そして、苦笑を浮かべながら鼻を摘まむハチミツに、換気扇を全開にするシャリーが、それを証明していた。
「年下の弟に学業や運動で負けるっていうのも問題外だし、美人な姉と比較する時点で、体重3桁の最底辺女には烏滸がましい」
「ぐ!」
「うぎ!」
 テンペスタは、さらにビルシャナや女性信者にも、ビシッと指を突きつけては次々とダメージを与えていく。
 何より、一番の問題点としては……。
「お前等、これまでに一度だって努力した事があるか? もし真っ当に努力することが出来れば、比べられるまでもなく認められるだろうけどなァ」
 努力できる事は才能だというが、彼ら……特にビルシャナは、徹也の言う通り、それ以前の問題だ。
「そもそもあなた、40歳といえば親の面倒を見る歳よ? 今まで何してたの?」
「と、歳のことを言うなー! 卑怯だぞ!」
「……卑怯って、……あのねぇ」
 シェリーの矛先がビルシャナに向くと、ビルシャナは布団を被ってしまう。埃が飛び、潔癖症の気があるシャリーは、慌ててその場を飛び退いた。
「……もう、40歳にもなって自立できないって相当よ? あなたはそう思っていないみたいだけど、その歳になってこのアパートの家賃を払ってくれているなんて、自分が愛されているとは思わないの?」
『だから歳の事は言うんじゃない!』
 返答は、布団の中からのくぐもった声。ビルシャナは、とんでもない親不孝者である。
「でも、ま、これで説得がしやすくなったな」
 そう小さく呟いた一騎が、信者達に向き直る。
「正直、兄弟がいない自分にあなた方の気持ちは分からない。でも、兄弟なんて関係なく、努力した人間としていない人間を比べれば、あなた方が何故劣るのか、その理由が分かるはずだし、当たり前だ!」
「そ、それは……」
 正論を正面からぶつけられた信者達は、一騎の剣幕に推されて後ずさる。
「今からでも遅くない。努力して、物事に取り組んでみようよ! ビルシャナの目的は、あなた方から改心の機会を奪って、怪物にさせる事なんだ、惑わされてはいけない!」
「おう、良い事言うじゃねぇか一騎! まだ遅くねェ、真面目に生きて見返してやろうぜ!」
 一騎に同調した徹也も、澱んだ空気を振り払うべく、熱を振りまく。
「お、俺達にそんか事が……」
「できるかしら?」
 信者達も、徐々に感化されてきているようだ。
「皆さんならきっと出来ますし、努力してみたらいかがでしょう? 昔のように妹さんと仲良くなれたり、お姉さんにように美人になれるかもしれませんよ?」
「私も、少しは手伝ってあげるから」
 だって、同じ血の繋がった兄弟なのだ。素養は、必ずあるはず。ミオリとシェリーの可能性を示す言葉に、信者達の何人かが「やってみよう!」そう口々に呟いた。

● 
「わたくしにも兄がいます、あれも人より見て劣っていますが、あの人にも失礼なくらいおじさまは劣っていますわ!」
「や、やめろ! おじさま扱いもやめろ!」
 ビルシャナが大人しくしていれば、信者の説得も上手くいくと判断したハチミツは、布団に籠もるビルシャナへ追撃を仕掛けていた。
「なにを仰いますやら。おじさまは、十分におじさまです!」
「ぐあああああ!」
 10歳の少女に言われ、物凄い大ダメージを受けている様子のビルシャナ。
「職業訓練所に行くなりして、いくらでも人生のやり直しができますのに……」
 だが、ビルシャナになってしまえば、もうやり直しは効かないのだ。
「10歳のわたくしが言っても説得力がないのかもしれませんが、信者の方々も、どうかこうはならないでくださいませ!」
「……俺達は、もしかしてすごく情けない人間なのだろうか?」
 彼らの信奉するビルシャナは、幼いハチミツに人生について語られ、真面に反論もできていない。
「……今更っスか?」
 気付くのが遅すぎる信者に、白は最早呆れかえるしかない。
「ハチミツさんじゃないですが、僕にも兄弟が『いた』っスよ。犬っスけどね」
「なんだ、犬か」
「……犬でも、立派な僕の兄弟っスよ。ある意味で、人間以上の……」
 だから、犬だからと馬鹿にするな、白に鋭い視線が信者を射貫き、彼らを沈黙させる。
「でも、君たちのような考え方もあるっスから、歳が上だとか下だとかで色々比べられたり、言われることもあったっス。マーブルは……君たち以上に損をしていたかもしれないっスね」
 白が、隣に視線を馳せる。
 そこには、信者達には見えないが、犬――いや、白の家族であるマーブルがいた。
「それでも僕は、マーブルがいて、兄弟がいて、本当に良かった。大変な事もあったけど、それ以上にたくさんいいことがあった。君たちにはあまり意味が分からないかもしれないっスけど、僕をずっと見守ってくれてもいたんっス」
 そして白は、ベルトに付けている位牌の一つを信者達に見せつけた。これこそが、家族の絆であると。
「やるっスよ、マーブル。僕たち兄弟の絆を見せつけてやるっス!」
「ええ!?」
 信者達の口から、驚愕が漏れる。白の話を聞いても、未だ絆を信じ切れない信者も、白にシベリアンハスキーの耳と尻尾は生えれば――。
「……そこに、今もいるのか?」
「そうっス!」
 信じるしかなかった。
「動物も人間も、一緒だ。それぞれ巣立ちをして、子をなして命を繋ぐ。親や兄弟がないくなったら、君達は一体どうするつもりだ? 動くならば、今、この時だ。ご両親も、もういい歳だろう、最後に安心させてあげよう」
 レイが、手を差し伸べる。
 その手を、信者達は迷いながらも掴み、一歩を踏み出すのであった。

 そして……。
「近しい程、難しい存在なのでしょうか?…オープン・コンバット」
「いきますわよ、みなさま! ババロア!」
 ミオリとハチミツの声が響き、40歳ビルシャナ退治が幕を開けた。


「俺の事を分かっているような振りをして、結局何も分かってくれてはいないじゃないか、この偽善者め!」
 孔雀型をしたビルシャナの炎が、レイに向かって飛翔する。
「40にもなって……本当に餓鬼だな、お前は……」
 だが、レイにしても、信者達を解放できればビルシャナにもう用はない。レイは瞳に憐憫を浮かべつつ掌に雷を纏わせると、炎を突っ切るようにしてビルシャナに接近! 零距離から雷光掌を放った。
「娘に見せたくない所の騒ぎじゃねェなぁ、同じ空間にだっていさせたくもねェ!」
 徹也は、前衛の耐久力を上がっている事を確認して、攻撃態勢に移る。
「おら!」
 Let there be lightを類い希な巧みの技で操り、ビルシャナに突き刺したのだ。
「ぐぉぉぉぉっ!!」
 血を吹き出し、床の上を悶絶して転げ回るビルシャナ。
「汗かいて大変そうだから冷やしてあげるよ」
 そんなビルシャナの耳に、そのどこか優しげな声が届く。まさか、信者達が助けに来てくれたのか!? ビルシャナは、そんなありもしない希望を夢見たかもしれない。
 だが――。
「怯えろ、震えろ、凍えろ!! さぁ、受けるがいい!! フリーザー・テンペスト!!」
 振り返ったビルシャナが目にしたのは、無駄に格好良く飛翔するテンペストの、残酷さすら宿した笑顔と、上空から降り注ぐ冷気の嵐。
「兄弟の居る居ない関係なく! あなたの性根が! 良くないのよ!」
 次いで、凍り付いたビルシャナの身体を、シェリーの振るう変型した惨殺ナイフが、幾度も執拗に切り刻んだ。
「おおおおおお、ど、どうして俺ばかりこんな目にッッ!!」
 氷の効果もあり、絶叫するビルシャナ。だが、そこは彼も一応デウスエクス。類い希な忍耐力を武器に体勢を立て直すと、逆に凍りの輪を前衛全体に飛ばしてきた。
(減衰のせいで多少時間はかかりましたが、前衛の皆さんには、BS耐性がついているはずです)
 一瞬の内に戦況を分析したミオリは、同じくメディックのハチミツに声をかける。
「ハチミツさん、前衛の皆さんの回復をお願いできますか?」
「分かりましたわ! そっちはお任せくださいませ! ババロア!」
 ミオリの頼みを受けたハチミツは、すぐにババロアと共に前衛のヒールを試みる。
「皆様の為に歌います」
 ハチミツの清らかな歌声が響き、それでもBSが解除できなかった仲間に、ババロアが属性を注入していく。
「なら、私は中衛の皆さんの援護を! 星域術展開!」
 そしてミオリは、今度は中衛の周囲に守護星座を張り巡らせた。
「弟め弟め! これもすべてはお前のせいだからなぁぁぁぁ!!」
 ビルシャナは、未だにすべての責任を弟に被せようとしている。だが、今を招いたのは、一から十までビルシャナの自己責任に他ならない。
「ヤッコ、頼んだぞ」
 周囲を薙ぎはらう閃光の前に、レイの指示を受けたヤッコが立ちはだかる。
「たたら吹き、突っこめ!」
 同様に仲間の壁となっていたたたら吹きだが、徹也の指示を受けると、即座にアクセル全開! 炎を纏ってビルシャナと正面衝突する。
「余所見してると、そうやって交通事故起こすっスよ?」
 白の髪は中程から白く、頭部で臀部からは、マーブルの耳と尻尾が顔を覗かせている。充実の身体能力に身を任せ、白の惨殺ナイフがビルシャナを深々と抉り、その返り血が盛大に飛び散った。
「魔力を込めたこの拳で、その体を内外から破壊する!」
 魔人の加護を得た一騎の拳に、さらにジェットエンジンの速力が上乗せされる。風を切り裂いてビルシャナに打ち込まれたナックルは、破壊の魔力をビルシャナに送り込み――。
「……俺は、俺は悪くねええええええええええええええ!」
 そんな、どこまでも情けない断末魔と、深紅の輝きと共に弾けた。
「周囲に敵性存在なし、クローズ・コンバット……信者の皆さんは、努力、頑張りましょうね」
 ミオリの花の咲くような笑顔だけが、ビルシャナへの手向けとなるのであった。

「劣等感だと? はん、くだらん。なにせ私は、生まれた時から高スペックでハイエンドの指揮官機! おまけに自己研鑽で能力、容姿共に限界突破! ああ、私はなんと素晴らしいのか、世界で一番愛しているぞ、私!」
 ――とは、元信者から、どうしてそんなに中二病……もとい、自信満々なのかと問われた際のテンペスタの返答であった。
 まぁ、それはともかく……。
「とりあえずダイエットね、手始めにウォーキングからよ」
「うぅ……が、頑張るわ!」
 動きやすい服装に着替えさせた元・信者の女性を伴って、シェリーはさっそくウォーキングに出発しようとしている。手伝うと言った手前、何もせずにはいられないのであろう。
「ふぅ……」
 そんな中、ハチミツが、幼さに似合わぬ深い息をつく。兄との関係といえば、最近兄と再開したハチミツにも問題が一つ。
(同性の方と恋人同士になられたアレと、次に一体どんな顔で会えばいいのでしょうか?)
 恋が成就したのは、実に喜ばしいことだ。だが、同時に妹として、何処か複雑な感情を抱くハチミツであった。

作者:ハル 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年4月5日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 3
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