紐パン大好きッ！

■リプレイ

●教会前
「……まったく、最近ビルシャナアホ過ぎませんか？　こんなのに引っかかってパンツ脱がされ待ちの女性がいる事が信じられませんね」
　九尾・桐子（蒼炎の巫女・e33951）は嫌悪感をあらわにしながら、仲間達と共にビルシャナが拠点にしている教会の前に立っていた。
　ビルシャナは紐パンこそ至高であると訴え、女性信者達に紐パンを穿かせ、自らの欲望を満たしているようだ。
「この手の変態鳥さんには、言葉もありません……」
　白銀・夕璃（白銀山神社の討魔巫女・e21055）が巫女服姿で、げんなりとした表情を浮かべた。
　念のため、紐パンを穿いてきたものの、嫌な予感しかしていないらしく、まったくテンションが上がらないようである。
「まあ、デザイン的に……って、脱がすの？　脱がしちゃうの？」
　アーシェ・ネイトラスト（ドワーフの鎧装騎兵・e20369）が、驚いた様子で声を上げた。
　ビルシャナにとって、紐パンは脱がすモノ。
　そのため、紐パンを見たら、脱がさずにはいられないようだ。
「まあ、紐パンって、確かに解く時……ドキドキしちゃうと思いますけどぅ……」
　ミュシカ・サタナキア（もふもふうさぎ・e11439）が、恥ずかしそうに頬を染めた。
　だからと言って、ビルシャナに紐を解いてもらおうとは思わない。
　しかし、女性信者達は催眠によって、ビルシャナに好意を持っているため、紐パンを解いて欲しくて仕方がないようである。
「このビルシャナはどこで紐パンに出会い、如何に紐パンに魅了されたのかしら？　それとも、人間の時から紐パン好きだったのかしら。　いや、全然興味無いけどね」
　クロノ・アルザスター（彩雲のサーブルダンサー・e00110）が、さらりと流す。
　おそらく、それを知ったところで、げんなりするだけ。
　もしくはションボリするだけだろう。
「俺の欲望を満たすために……か。こんなのでも、教義になるのね。じゃあ、わたしもそれに倣ってみましょうか」
　西院・玉緒（夢幻ノ獄・e15589）が含みのある笑みを浮かべ、Ｋカップの胸をたゆんと揺らす。
　その程度の事で女性信者達の心を掴む事が出来るのであれば、同じような事が出来るはずである。
「まあ、いつものビルシャナですなー」
　アルーシャ・ファリクルス（ドワーフの降魔拳士・e32409）が、乾いた笑いを響かせた。
　色々とツッコミどころはあるのだが、ビルシャナらしい教義と言えば教義である。
「欲望駄々漏れのビルシャナなんて『サーチ＆デストロイっ！』だね」
　そう言って六壬・千那（六壬エンチャンター・e35994）が、仲間達を連れて教会の中に入っていく。
　教会の中にはビルシャナがおり、紐パンを穿いた女性信者達の尻に頬擦りをしていた。
「このアホ共ー！　紐パン解くなんてのはマントゥーマンでやるもんでしょうが！　こんな列にほいほい並んであんたら握手会か！！　何が紐パンこそ至高よ！紐パンを表面だけしか見てないあんたに、紐パンの尊さの何がわかんのよ！　その左右計４本の紐に込められた奥ゆかしくも決意を込めて殿方にアピールする。その乙女の恥じらいをちゃんと理解していれば！　こんなやり方しないはずだわ！」
　すぐさま、クロノ・アルザスター（彩雲のサーブルダンサー・e00110）が、ビルシャナ達に対して説教を始めるのであった。

●教会内
「乙女の恥じらいなんて、どうでもいいッ！　俺は紐パンを解きたいんだッ！　本能の赴くまま、欲望に対して忠実に……！　それの何が悪いッ！　俺は誰よりも紐パンが好きなんだあああああああああああああああああ！」
　次の瞬間、ビルシャナが両手に紐パンを握り締め、魂の底から叫び声を響かせた。
「ちょっと聞いて欲しいんだけどさー。こいつ、紐解きたいだけじゃん！　脱がしたいが為に履かすって、それ単なるエロ鳥じゃん、こいつ。こいつが好きなのは紐パンじゃなくて、女体なんじゃない？？　脱がしやすいから好きなだけだよね？　本当に紐パンが好きなら、そのまま愛でたり食べたりするのがビルシャナじゃん。ほら、やってみてよ！！」
　アーシェが足元に落ちていた紐パンを拾い上げ、ビルシャナの顔に押し付けるようにして突きつけた。
「そ、それはただの変態だ！　そんな奴と、俺を一緒にするなッ！」
　ビルシャナがイラついた様子で叫び声を響かせた。
　まわりにいた女性信者達も『邪魔をしないで！』と言って、アーシェ達に猛抗議。
　催眠状態に陥っているせいか、すっかりビルシャナの虜になっているようだ。
「それじゃ、おねーさん達はビルシャナなんかに解かれるために紐パンを穿いているのですぅ？　『男のロマン』とビルシャナは言っていますが……。どうせなら、好きな人……彼氏さんとか、恋人さんに解いてもらった方が良いのではないですか？　こんなところにいては、ただ鳥……ビルシャナのいいようにされるだけで百害あって一利なしと思いますよぅ。それとも、こんな鳥……ビルシャナがお好みですか？」
　ミュシカが信じられない様子で、女性信者達に問いかけた。
「ええ、もちろん」
　女性信者達がグルグルとした目で、躊躇う事なく答えを返す。
「待って、待って！　せっかく可愛いのに、そんな中学生が妄想をこじらせたまま、おっさんになった変態の鳥野郎に脱がされるなんて勿体ないよ！　いや、寧ろ嫁の貰い手すら居なくなっちゃうよ！！　やっぱりさ！　せっかくセクシーなレースの下着を身に付けたならさ！　こうやって誘うようにゆーくりと下げていって、焦らして、男を手玉にとってしまった方が良いんじゃないかな？」
　千那がスカートをたくし上げ、ゆっくりと黒のショーツを色気たっぷりにギリギリまで下げていく。
「その脱ぎ方……参考にするわ」
　眼鏡を掛けた女性信者が、キリリとした表情を浮かべた。
　既にビルシャナの事しか頭にないためか、それ以外の事には興味がないようである。
「そんなクソ鳥相手に何やってるんですか。現実見ないとわかりませんか？　そもそも紐パンの結び目とか、装束に浮き出てしまいますし、男のクソみたいな欲望のために、不格好を晒すなんて、女として終わってます。ね、夕璃さん……？　まさか……穿いているんですか？」
　桐子が夕璃の巫女装束の脇に浮き出る結び目に気づき、夕璃からカメラを奪う。
「はわ、これは、作戦だから、はずかしくない、はずかしく……は……。だ、だから、その……お願いですから……脱がす前に撮ってくださいね、ほんとに脱ぐ気は……ないです、からっ……」
　夕璃が顔を真っ赤にしながら、紫と白のストライプ模様の紐パンを脱ごうとする。
　その間も、ビルシャナは、ガン見。
　舐めるような視線を送り、鼻息を荒くさせていた。
「ビルシャナ様ッ！　そんなヤツより、私達の紐パンを解いてくださいよ～」
　いかにも頭の悪そうな女性信者が、ビルシャナの腕を掴む。
「ちょっと待て！　いま、いいところだから！」
　しかし、ビルシャナが両目をカッと見開き、決定的な瞬間を逃さないようにするため、全神経を注ぎ込んでいた。
「あなた達、紐を解いて欲しいの？　だったら、わたしにされるべきね。……ほら、これが見えるかしら？　紐を解かれる興奮。そして、紐を解く興奮も味わえる。そいつじゃあ、そうはいかないと思うわよ？　……それを踏まえて、あなた達に問うわ。そいつとわたし、どっちを選ぶの？」
　玉緒が眼鏡をクイッとしつつ、ホットパンツから紐パンを覗かせた。
「普段なら迷う事無くビルシャナ様を選ぶところだけど……」
　黒髪の女性信者が、ビルシャナに視線を送る。
　女性信者達は嫉妬していた。
　ビルシャナの心を奪った夕璃に……。
　だが、それ以上にビルシャナを困らせてやりたいと言う気持ちが芽生えた。
「……答えが出たようね」
　そんな空気を察したのか、玉緒が蠱惑的な笑みを浮かべる。
　女性信者達もわざとビルシャナの視界に入るようにしながら、玉緒に身体を絡ませていく。
「……ん？　ちょっと待て！　待て、待て、待て！　お前ら、何をやっている！」
　それに気づいたビルシャナが、青ざめた表情を浮かべて叫ぶ。
　しかし、女性信者達は聞こえないフリをして、玉緒とイチャイチャ。
「……と言うか、実際女の子が好んで紐パンとか穿くわけ無いじゃん。冗談きっついわー。……ん？　そう言えば去年の水着……私、紐パンだったわ」
　クロノが衝撃の事実に気づき、気まずい様子で汗を流す。
「ハッハッハッ！　どうだ、俺の正しさが分かっただろ！　分かったら早く紐パンを穿けぇ！」
　ビルシャナが妙に上から目線で、クロノ達に言い放つ。
「こんなのを脱がせたいの？」
　そう言ってアルーシャがホットパンツを下にずらし、ビルシャナに紐パンを見せつけた。

●ビルシャナ
「お、おお、それだ、それ！　早く俺に解かせろ！」
　ビルシャナが興奮した様子で、アルーシャに迫っていく。
「誰が解かせるって言ったかなー」
　すぐさま、アルーシャがビルシャナの顔面めがけて、膝蹴りを繰り出した。
「ぐはっ！　何をする！？」
　予想外の一撃を喰らったビルシャナが、顔面を押さえてよろめいた。
「……残念ね。この娘達は、わたしが貰っていくわ。……とはいえ、あまりにも可哀そう過ぎかしら？　わたしのこれ、あなたに解かせてあげる。冥途の土産ってヤツね。ほら……いいのよ？」
　玉緒が腋見せのポーズで、ビルシャナを挑発。
「ふ、ふざけるなああああああああああ」
　これにブチ切れたビルシャナが、八つ当たり気味に破壊の光を放つ。
「それじゃ、徹底的にボコらせてもらうわね」
　すぐさま、クロノが破壊の光を避け、攻撃を仕掛けるタイミングを窺った。
「ならば、お前ら全員返り討ちにして、一生紐パンしか穿けない身体にしてやるうううううううう！」
　ビルシャナも『やれるものなら、やってみろ』と言わんばかりのノリで、再び破壊の光を放ってきた。
「……と言うか、全国100万人の紐パン愛好者に土下座しなよ」
　アーシェも破壊の光を避けつつ、ビルシャナの注意を引く。
「土下座するのは、そっちだ。この俺のプライドを傷つけたのだから！」
　ビルシャナも両目を血走らせ、まったく悪びれた様子がないようである。
「変態さん、逝ってらっしゃーい」
　その間にアルーシャが一気に間合いを詰め、ビルシャナに破鎧衝を叩き込む。
「煩悩退散……っ！」
　続いて夕璃が絶空斬を仕掛け、ビルシャナが反撃する破壊を奪う。
　ビルシャナは何が起こったのか分からず、目をパチクリ。
「これで終わらせます……！」
　それに合わせて、桐子がビルシャナめがけて、ヘッドショットを放つ。
「ぐはっ！」
　次の瞬間、頭から噴水のような血を流し、糸の切れた人形のようになって動かなくなった。
「えっ？　あ、あの……この状況って、一体……」
　その途端、女性信者達が我に返って、目をパチクリさせる。
　未だに状況がつかめないようだが、何となく悪い夢を見ていたような感覚だったようである。
「みんな、目が覚めたようね」
　ミュシカがホッとした様子で溜息をもらす。
　これで二度とビルシャナに好意を持つ事も無いだろう。
「でも、可愛い子達とは、もう少し話がしたいな。ね、そう思うでしょ？」
　そう言って千那が思わせぶりな態度で、玉緒と顔を見合わせるのであった。

作者：ゆうきつかさ	重傷：なし 死亡：なし 暴走：なし
種類： 公開：2017年3月8日 難度：普通 参加：8人 結果：成功！
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