バレンタインは終わらない

作者:ハル


「ふぅ、一段落だな」
「そうね、ここ数日は大変だったもの」
 バレンタインが無事に終わり、都内にあるパティスリー『ラヴ』の盛況ぶりも、大分落ち着きを取り戻していた。
 店内には3名のお客さんに、スタッフが3人。嵐のような忙しさだった数日前までに比べれば、平穏そのものである。
「次はホワイトデーだな」
 そうして、次の繁忙期までの束の間の平穏に、スタッフ達がホッと息をついた時、それは起こった。
「お菓子屋の陰謀だあああああ!!!」
「な、なんだ!?」
 他のお客さんの迷惑を考える事もなく、大声を上げながら店内に踏み行ってくる一団。その中心に立つ存在は、全身の羽毛を逆立てながら……。
「バレンタインだと、ふざけんな! そんなもんはチョコを売るために菓子屋が仕掛けた陰謀だ!!」
 鳥人ビルシャナは、年間に売れるチョコの二割がバレンタインに売れるだの、そんな事を一気に捲し立て始める。そして、一通り言い終わると、呆然とするスタッフに指先を突きつけた。
「お前等もお前等だ! 便乗しやがって!! 俺達はバレンタインも、お前等便乗する菓子屋も、チョコも絶対に許さないからな!!」
 ビルシャナの主張に、信者もそうだ、そうだ! と、何故か涙を浮かべながら声を上げるのだった。


「チョコレート美味しいですのに……可哀想人達なのです」
 ボリボリと、笹島・ねむ(ウェアライダーのヘリオライダー・en0003)は友達と交換したという、いわゆる友チョコを食べながら、ふぅーと溜息を吐く。
「ミルディア・ディスティン(猪突猛進暴走娘・e04328)さんの報告通り、『菓子屋の陰謀と、チョコを絶対に許さない明王』を見つけちゃいました」
 クリスマスといい、バレンタインといい、ビルシャナは余程恋人達のイベントが嫌いらしい。
「ビルシャナが出現したのは、都内のパティスリー『ラヴ』というお店です。また、信者の数は六人です。ビルシャナの配下になっていますが、例の如く何かインパクトのある主張をして説得すれば、戦わずにすむかもしれないのです!」
 もし信者達と戦うことになれば、彼らはビルシャナのサーヴァントのような扱いで戦闘に参加する。その場合、普通に相手をすると倒してしまうので、手加減するといいだろう。
「ビルシャナは、孔雀型の炎や経文、破壊の光で攻撃してくると思われるのです!」
 今から急げば、現場にはビルシャナ達が到着する少し前に辿り着ける。避難勧告が発令されているので、参加者の避難は完了しているだろう。
「お菓子屋の陰謀だ、なんだと、取って付けたような理由でチョコレートを嫌っていますが、なんとなく彼らは、いざ女性からにチョコレートを貰えれば、掌を返す予感がしますね」
 だが、すでにバレンタインは終わっている。
「そこで、お店のフェアで使用された飾り付けや、冷蔵ショーケースのチョコやその他のお菓子を自由に使ってくれていいと、お店のスタッフの方から了承を頂いておきました!」
 ねむが言うと、その手回しのよさにケルベロス達がおぉ~! と拍手を送った。ねむは、「えっへん!」と胸を張りながら続ける。
「といっても、ビルシャナの目があるので、信者も簡単には屈服しないでしょう。彼らの前で、ラブラブバレンタインデーを再現して、煽りに煽ってやるのも楽しそうですね!」
 その辺りどうするかは、皆さんにお任せします! ねむは告げると、手に持った資料を閉じる。
「彼らは、きっと一度もバレンタインにチョコなんて貰ったことがないでしょうね。涙目でお菓子屋さんの陰謀だ! なんて叫んでいるくらいですから……。ともかく、信者の皆さんをよろしくお願いします!」


参加者
アメリア・ツァオ(心はいつも十七歳・e00208)
ミルディア・ディスティン(猪突猛進暴走娘・e04328)
皇・絶華(影月・e04491)
エフイー・ヨハン(虚空の彼方をも狙い撃つ機人・e08148)
ノチユ・エテルニタ(夜に啼けども・e22615)
シトラス・エイルノート(ヴァルキュリアの鹵獲術士・e25869)
マーシャ・メルクロフ(月落ち烏啼いて霜天に満つ・e26659)
クリスティーナ・ブランシャール(抱っこされたいもふもふ・e31451)

■リプレイ


「さて、こんな感じでいいだろうか……?」
「すっごくかわいくなったの! てづくりチョコのラッピングもバッチリなのー!」
 ノチユ・エテルニタ(夜に啼けども・e22615)と、クリスティーナ・ブランシャール(抱っこされたいもふもふ・e31451)が飾り付けを担当したパティスリー『ラヴ』の店内は、再び可愛らしいピンクやハートのリボンで色づいていた。
「なるほど、深窓の令嬢然とした女が好みで間違いないな」
 皇・絶華(影月・e04491)は、信者のプロフィールを確認。全身黒のドレスに、頭部の白バラという、いかにも儚げな自身の女装姿に納得の様子。
「せっかく色んな材料がある事ですしね、僕も腕によりをかけたものを作りましょうか」
「くっ、そういう方向性か!?」
 シトラス・エイルノート(ヴァルキュリアの鹵獲術士・e25869)が順調にチョコ作りを勧めていると、その視界に膝を打って悔しがるエフイー・ヨハン(虚空の彼方をも狙い撃つ機人・e08148)が映った。自分以外の男は、中性的な見た目を利用してチョコを渡す気満々なのに、エフイーが用意したのは、何の変哲も無い板チョコ一枚。
「俺様も女装すべきだった!!」
 この流れなら、それしかありえないと、エフィーは悔やんでいるのだ。
「拙者の日本での初バレンタイン……潰させるわけには参りませぬぞ!!」
「マーシャさん、もうバレンタインは終わっちゃったよ!」
「な、なんと!?」 
 苦悩するエフィーの横で、そんなコントのようなやり取りを繰り広げているのは、マーシャ・メルクロフ(月落ち烏啼いて霜天に満つ・e26659)とミルディア・ディスティン(猪突猛進暴走娘・e04328)。
「こん感じで、大丈夫だろうか?」
 その様子に、紙芝居を手にしたアメリア・ツァオ(心はいつも十七歳・e00208)が苦笑を浮かべた――その時!
「お菓子屋の陰謀だあああああ!!!」
 そんな叫びと共に、ビルシャナと信者は現れたのであった。


「もともとバレンタインデーのいきさつは、兵士の結婚を祝福した聖人……聖バレンタインが殉教した日を記憶する礼拝が元になっている。アメリカ式のバレンタインデーでは、男性が女性にチョコレートや花束、ジュエリーなどプレゼントを贈り、そのあとのホワイトデーは一切ない、という習慣だ。もちろん、義理チョコはない。その他にも、カトリックなどの西方教会と東方正教会では――」
 アメリアが、紙芝居を使ってアメリカ式や、その他マニアックなバレンタインデーについて説明している。
「どうして俺達、紙芝居なんて見せられているんでしょうか?」
「『まぁ、聞け』って言われたから……」
 困惑しながら耳を傾ける信者とビルシャナ。だがまぁ、アメリアの言いたい事は十分に伝わっているようではあった。要するに……。
「男性がアクティブに動くバレンタインデーもよいものだよ」
 そういう事。渡されるのを待つのではなく、自分で動け。最も、
「それができたら苦労してない! できていたなら、今頃彼女がいて、その彼女からチョコを貰えて……って、と、とにかく! 俺達はバレンタインも菓子屋もチョコも許さん!!」
 なにやら、いきなりビルシャナの本音が出かけていた気がするが、一先ず置いておこう。
 ともかく、次に動いたのはエフィーであった。サッと、何の変哲もない板チョコを悔悟の念と共に取り出す。
「何で悔しそうなんだ……」
「こっちにもいろいろあるんだ。……いいか!」
 信者のツッコミに、エフィーは改めて気合いを入れて告げた。
「バレンタイン自体の元を辿れば、人の名前から取ったちょっとした出来事が発祥なんだぜ! それをお菓子屋の陰謀として話をすり替えてるのはそこの鳥公だ!」
「な、なに!?」
 エフィーがビルシャナに鋭く指先を突きつけると、ビルシャナが気圧されたように後ずさる。その隙に、エフィーは信者に語りかける。
「チョコってのは、めちゃんこカロリーが高いのは知ってるか? 普段からバカ食いするようなモンではないが、被災とか遭難した時とかには最適な携帯食品なんだぜ! この先、デウスエクスのせいでどれだけの被害が及ぶかわからねぇ。そんな時に助けてくれるモンを批難するたぁ、言語道断だぜ!」
「ビルシャナ様、そうなんですか!? そんな酷い事を!?」
「す、する訳がないだろう! ひたすらにバレンタインと菓子屋とチョコを否定するだけ!」
「それが被害なんだよ!!」
 その、否定するだけの行為が、現在進行形で被害をもたらし、エフィーもはっきりそう断じているのだが、当事者であるビルシャナと信者には自覚はないようだ。
「そう怒るなよ。僕も貰ったことないけど、気にはならないよ。友チョコ……だっけ、そういうのもあるだろ?」
 その時、喚くビルシャナと信者を宥めるように、ノチユが言った。それにより、少し場が落ち着いたのを見計らい、ノチユが若干上目遣い+ラブフェロモンを駆使して、
「……ほら、これ。男から貰っても嬉しくないかもしれないけどさ、貰えない事だけがショックなら、少しは気持ちも晴れるだろ」
 チョコを差し出した。
 すると、ビルシャナと信者は露骨に後ずさり、拒否の姿勢。
「嫌だあああ! 人生初チョコが男からなんて嫌だあああ!」
 もっともな話しではあるが、ノチユがチッと舌打ちをする。ノチユの気怠げで中性的な美少年の見た目も、男には通用しないようだ。
「あ、あのっ……もし、よければ食べてください……」
「僕のチョコはどうですか? 味は保証しますよ」
 ならばと、ノチユと入れ替わりに、絶華とシトラスがチョコを差し出す。絶華は格好に加え、頰を赤らめている。シトラスは、物腰の柔らかさと小柄さが、ノチユよりも大きな勘違いを生んだようだ。
「お、お嬢様、お嬢様が俺にチョコを!?」
「僕っ娘キターーーーー!!」
 狂喜乱舞して、信者は絶華とシトラスからチョコを受け取り、人生初の女の子(仮)からのチョコを食べる。
「女の子の手の味がする……」
「絶華ちゃんのチョコ甘くて最高に美味しい!」
 涙を浮かべながら、そんな極めて気持ちの悪い事を呟く信者。だが、その幸せも長くは続かない。
「……おい、そいつらは、男だ……」
 打ち砕いたのは、ビルシャナの一言。愕然とし、硬直する信者。
 そんな信者の間をすり抜けるように、ミルディアは「せっかくの告白チャンスを奪うにゃ~!」と叫ぶながら、ビルシャナの眼前に陣取った。
「バレンタインはお菓子業界が発祥ってのは確かだけど、女の子から告白できる数少ないチャンスなんだよ! 今はそうでもないけど、女性から告白するのは『はしたない』って考えがあったから、こういう時でもないと告白できなかったんだよ!」
 そう説得するミルディアの言葉には、どこかいつもの元気がなかった。心のどこかでは、ビルシャナの主張に共感してしまう自分がいたのかもしれない。だから、ミルディアは否定の言葉を早々に打ち切ると、変わりに綺麗なラッピングが施された、明かに本命だと分かるチョコをビルシャナに差し出す。 
「(……少しくらい、いい目を見させてあげてもいいよね? 信者さんはともかく、ビルシャナさんはこれが最後なんだから)」
「お、おお!?」
 ビルシャナの手が、おずおずとミルディアのチョコケーキに伸ばされる。だが、その手が一瞬止まった。人生初のチョコを男から貰い、それを心から喜んでしまった信者達の、怨嗟の視線。
「ぐっ!」
 だが、ビルシャナはその視線をかい潜り、ミルディアのチョコケーキに舌鼓をうつ。
「苦みを抑えたザッハトルテだけど、お口に合わなかったらごめんね?」
 そう言うミルディアがまたいじらしく、ビルシャナはグッと親指を立てた。
「おのれビルシャナ~~!」
 信者達の嘆きが木霊した。
「はいはい、おちつくの。みんなもいっしょにパルティートしよ!」
「チョコではありませぬが、小さなウサギのぬいぐるみを用意したでござる。ロシアのバレンタインでは、親しい友人にぬいぐるみを贈ったりするのでござるよ」
 泣き伏せる信者に、クリスティーナがラッピングにミニバラが施された手作りチョコを、マーシャがぬいぐるみを手渡そうとする。
「えっ、ええ、この子達は、女の子……だよな?」
「そ、そのはず……で、でも!」
 しかし、先程の件で疑心暗鬼になった信者達は、なかなか手を伸ばすことができない。
「失礼でござるぞ! 拙者達は紛う事なき女子でござる!」
「そうだよー! それとも、うけとってもらえないのー? なら、かなしーの……」
 むぅーと頰を膨らませるマーシャに、シュンと表情を曇らせるクリスティーナ。
「わ、分かった! もらうよ!」
 そんな二人に慌てた信者達は、争うようにしてぬいぐるみと手作りチョコを受け取った。
「わたしのいたイタリアでは、バレンタインには、みんなにおはなくばってたのー。それが、にほんではチョコってだけじゃないの?」
 続けてクリスティーナが、儲かる職種が違うだけで、どこの国も似たり寄ったりじゃないのかと、不思議そうに首を傾げる。
「甘いな、クリスティーナちゃんのチョコ……」
 その純真さと、結局信者達が手にできた、唯一の女の子から貰えたチョコの味。
「最初はあんなに喜んでくれたじゃないですか」
 せっかく作ったにも関わらず、チョコをゲテモノ扱いされたシトラスは多少不満げながら、信者達が一人、また一人とビルシャナの元から離れていく。
「普段勇気を持てない子の為にあるお祭だと思えばいいんだよ」
 それは、そもそも食べてもらえなかったノチユも同じであるが、最後の一押しで貢献する。
 そして、本日間違いなく、一番大きな溝をビルシャナと信者の間に無自覚で生み出したミルディアは、
「やっぱり、皆本音じゃチョコが欲しかったんだね!」
 そう笑っているのであった。


「ビルシャナ殿! ここ日本ではチョコがバレンタインのキーアイテムになっておりまするが、他国に目を向ければ千差万別! 貴殿はチョコだけに執着する小さき志の鳥類ということですな! その翼が飾りでないのならば、ワールドワイドに全てのバレンタインアイテムを破壊してみなされ!」
「よく言った! ならアメリカだろうが、イタリアだろうが、ロシアだろうが乗り込んでやる!!」
「フッ、勿論、拙者達がそれを許しませぬが!」
 マーシャが名乗りを上げると、負けじとビルシャナも声を張り上げた。
 それと同時に、ビルシャナが孔雀型の炎を放ってくる。マーシャは炎を鼻先数㎝の所で躱すと、逆に縛霊手の掌から巨大光弾を発射し、まちゅかぜがスピンで追撃をかける。
「(ビルシャナさん、さようなら! 陰謀でも何でも、楽しめれば良かったのにね)」
 初撃の応酬に、店内に粉塵が上がる。その中で、ミルディアは悲しそうに目を細め、聖なる光で味方の守護に専念した。
「おしおき、なのー!!」
 簒奪者の鎌をクリスティーナが振り下ろす。ビルシャナの首を断ち切らんと迫るそれに対し、ビルシャナは「ぐぅ!」と呻きながら背中を反らすことで、なんとか致命傷を避ける。
「なんでも人のせいにすんじゃねぇ! チョコパワーは伊達じゃないってことを教えてやる! いくぜ、デザイア!」
 だが、乱れた体勢では、板チョコを囓ってカロリーを補充したエフィの流星の煌めきと見紛う飛び蹴りと、デザイアの神器の剣までは躱せず、ビルシャナはゴロゴロと店内を転がった。
「まぁ僕も昔はチョコ貰ったりしたけど、貰えなかったからって別に悲しくもないだろ」
「悲しいに決まってるだろ! この、この美少年めっ!!」
 それは果たして、褒めているのか貶しているのか……。地獄の炎を武器に纏わせたノチユの一撃を、ビルシャナは経文を唱えて応戦する。ノチユは、ビルシャナが唱える女の子からのチョコが欲しいという本音全開の念に気分を悪くするが、幸いにして睡眠のかかりは浅く、そのまま一撃はビルシャナに直撃した。
「ちょ、ちょっとタンマ!」
「容赦はしませんよ! チョコの恨みもありますしね!」
 苦痛に呻き、休戦を呼びかけるビルシャナ。だが、シトラスの放つ電光石火の蹴りに、一切の躊躇はない。
「ううっ」
「之は……私が全力で作ったのだが…良ければ食べてくれるか? 圧倒的なパワーを秘めたチョコレイトだ!」
 虫の息のビルシャナに向かって、絶華はグラビティにより強化したカカオ10000%&漢方薬がこれでもかと使われた狂気のチョコを投擲する。
「……確か、味は美味しいんだったよな?」
 ビルシャナは、休戦宣言したおかげで見逃してくれるのかと思い、そのチョコを口にしてしまう。だが、当然ながらそのチョコは、信者達に配ったチョコ……とある戦女神に持たされたものとは別物であり――。
「ひでぶっ!!」
 絶華のチョコを口にした瞬間、ビルシャナは血反吐を吐きながら膨張、肉体を破裂させ、血の雨を周囲に降らせた。
「こういう使い方はしたくなかったが、せざるを得ない……」
 言いながら、アメリアが手持ちの本をありったけビルシャナに投げつける。立つこともままならないビルシャナは、本の乱舞を受け、まるでダンスを踊っているようにフラフラだ。
「これで、終わりだ!」
 最後に、アメリアは鈍器の如き重厚感のある本で、ビルシャナの頭部を殴りつけた。
 グシャ! という、鈍い音。それと共に、ビルシャナは力なく倒れたのであった……。 

「これ、貰ってください!」
 修復と怪我人の治療が終わった店内で、アメリアは元信者の一人からプレゼントを渡されていた。恐らくは、男性からアクティブに動けという、アメリアの言葉を参考にしたのだろうが……。
「すまない、私には愛する夫がいるんだ」
「そ、そんな!?」
 人妻であるという衝撃の真実をアメリアに告げられた元信者は、泣き伏せる。アメリアは、そんな彼の姿に苦笑しながら、
「(夫のためのチョコレートを作ってもらおうと思っていたが、後でコッソリにした方がいいな)」
 そんな事を考えていた。
「だいじょうぶだよ、みんなでパルティートしてわすれるの!」
「そうだな、チョコ祭りだ。私特製のチョコに用意しているからな、楽しみにするといい!」
 落ち込む元信者をクリスティーナと絶華が慰めるが、絶華のは殺人予告にしか聞こえず、他の者まで涙目になってしまう。
「確かお店のチョコも自由にしていいんだよね! 過ぎたことは置いといて楽しもうよ、ね♪」
 ミルディアもようやく普段の元気を取り戻し、楽しそうだ。
「姉さん、僕の作ったチョコレート送ったら喜んでくれるかな」
 シトラスが姉の喜ぶ顔を思い浮かべる。その大事な人の笑顔こそが、バレンタインデーにおける一番の価値なのではないかと、シトラスは思うのであった……。
 

作者:ハル 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年2月16日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 2/キャラが大事にされていた 2
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